人の一生と法律
人とは何か。法はこの問いにどのような答を与えているのか。出生から死にいたるまでの一生と法のかかわりを法律の設定に照らし合わせ,人間尊重の立場から鋭く解明する。
第三版発行にあたって
本書の第一版の出版は昭和55年[1980年)、そしてその新版が平成元年[1989年)のこと、そして、本書は、さらにその新書版の改訂版の出版ということになる。本書の第一版の出版後、間もなく20年、20世紀の世紀末を迎えようとしている。この激動の社会にあって、これだけ本書が読者に受け入れられたことは、著者としてこれ以上の幸福はない。ここに改めて読者に心から感謝の意を表したい.
さて本書が生きてきた子の20年間の流れを経て、現代人の家族生活は、超高齢化、そして少子家族社会を迎え,21世紀に新たな重大問題を提起しようとしている。
すなわち、「人の一生と法律」でも、医科学的懐胎が進み体外受精の新たな問題から人の成長過程、そしてその家族生活、それに死の脳死論、遺産相続問題などすべての分野において新たな問題が登場し、従来の視点を超える解明が緊急の問題化している。人間の活動も多様化が進み、それとともに問題は無限といってよいほど多い。本書では従来の執筆方針と同じく、読者にとって身近な問題を選択し、とくに、現行法の改正論が活発な成年後見法(高齢者の財産保全・身上監護)、介護保険問題、それに家族法の改正案の紹介・コメントを進め、その他、出生・死亡論など、21世紀の人間法学の形成の基礎的視点から、簡潔に本書の改訂を進めたい。
20世紀末を迎え、21世紀の人間社会を思い、「人とはなにか」、人権的視点からの論議の活発化に寄与できれば、本書の改訂の意味も一段と生きていけるのではないか。このように念願して、本書の改訂の結びの言葉としたい。
佐藤隆夫
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