令和7年9月7日石破内閣総理大臣記者会見終了後の書面による質問に対する回答

【東京新聞】
戦後80年・読売新聞の報道について

(回答)
石破内閣は、これまでの内閣総理大臣談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいくとの立場です。
その上で、戦後80年のメッセージについては、今回は閣議決定を経る談話という形はとりません。内容やタイミングについては、引き続き検討してまいります。
(後段のお尋ねについて)個別の報道の内容についてのコメントは差し控えさせていただきますが、個別の報道が出処進退の判断に影響を与えたということはありません。

【中国新聞】
政治改革について

(回答)
政治改革につきましては、昨年、自民党総裁として、
・政策活動費の廃止、
・調査研究広報滞在費(いわゆる「旧文通費」)の使途公開と残金の返納、
・収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築、
・政治資金の透明性を確保するための第三者機関の早期設置
などの方針を示し、昨年末には、これらを実現する政治改革関連の法律が成立しました。
党内においても、不記載の関係者に対して厳正な処分を行うとともに、二度と同様の事案を繰り返さないよう、政治資金に関する研修を定期的に行うなど、綱紀粛正とコンプライアンスの徹底を進めているところです。
国民の皆様方に政治を信頼していただくため、今後も一人の政治家として、政治資金の透明性を更に高める努力を継続し、引き続きこの問題に取り組んでいく考えです。

【琉球新報】
日米地位協定の改定について

(回答)
沖縄県には、多くの米軍施設・区域が集中しており、県民の皆様に大きな負担を引き受けていただいていることを重く受け止めています。沖縄の負担軽減については、石破政権においても最重要課題の一つとして全力で取り組んできました。
その上で、日米地位協定の改正については、同協定を含むアジアにおける安全保障の在り方について、自民党の中で検討するよう指示し、「アジアにおける安全保障のあり方特命委員会」において幅広い議論が行われてきたものと承知しています。
今後の自民党における議論や、次期政権の対応を予断することは差し控えますが、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、同盟の強靱性、また地元の理解も含めた持続性を高めていくという観点から検討されるべきものと考えます。

【TBSラジオ】
選択的夫婦別姓の導入・日米地位協定の改定について

(回答)
(選択的夫婦別姓の導入について)夫婦の氏の在り方については、現在でも、国民の間に様々な意見があると承知しています。
政府としては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感やこどもへの影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の理解が形成されることが重要であると考えております。
一人の政治家としても、国民の皆様の様々な思いや悩みをうかがいながら、幅広い方々から御理解が得られる取組を進めるべく、努力を続けてまいります。
(日米地位協定について)沖縄県には、多くの米軍施設・区域が集中しており、県民の皆様に大きな負担を引き受けていただいていることを重く受け止めています。沖縄の負担軽減については、石破政権においても最重要課題の一つとして全力で取り組んできました。
その上で、日米地位協定の改正については、同協定を含むアジアにおける安全保障の在り方について、自民党の中で検討するよう指示し、「アジアにおける安全保障のあり方特命委員会」において幅広い議論が行われてきたものと承知しています。
今後の自民党における議論や、次期政権の対応を予断することは差し控えますが、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、同盟の強靱性、また地元の理解も含めた持続性を高めていくという観点から検討されるべきものと考えます。

【文化放送】
成果・辞任表明の契機について

(回答)
(前段のお尋ねについて)会見で申し上げたとおり、少数与党でありながら、与野党の皆様のご協力を頂きながら、国会においてほぼ全ての政府提出法案・条約が成立したことに加え、米国関税対応、最低賃金引上げをはじめとする賃上げ、地方創生2.0の始動、コメ政策の転換、防災庁設立の準備など防災体制の強化、自衛官の処遇改善をはじめとする防衛力の強化、能動的サイバー防御制度の創設、万博、首脳外交、などで、一定の成果を残すことができたと考えています。
(後段のお尋ねについて)9月6日、赤澤大臣から直接詳細な報告を受け、今後も米国と緊密に連携し合意内容を確実に履行していくこと、国内中小企業等への支援に万全を期していくこと等が必要であるが、国難とも言える日米関税協議が一区切りついたことを確認しました。
もとより党内に無用の対立をもたらすことは避けるべきと考えていたところであり、党の分断を招いてはならないと考え、このタイミングで自らの出処進退を明らかにすることを決断したものです。

【フリーランス・江川紹子氏】
残された課題について

(回答)
会見で申し上げたとおり、以下のような課題において道半ばであり、更なる取組の深堀や改革が必要だと考えています。
・地方創生2.0、
・賃上げ、
・防災庁の設立、
・防災対応強化、
・社会保障制度に関する負担と給付の在り方、
・米国関税対応、
・防衛力強化、
・外交・安全保障、
・拉致、
・政治改革、
・党の再生。
残された期間、これらの課題について、国民の皆様のために、一歩でも前に進めた上で、次の総理に引き継ぎたいと思います。
戦後80年のメッセージについては、今回は閣議決定を経る談話という形はとりません。内容やタイミングについては、引き続き検討してまいります。

【フリーランス・大川豊氏】
福祉政策について

(回答)
(障害のある方々の就労確保や継続的な支援について)障害者一人ひとりが、その希望や障害特性に応じて活躍できるよう、必要な支援を進めることが重要と考えています。
障害者の就労支援については、本人の希望を踏まえつつ、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターといった雇用施策による支援と、就労継続支援事業、就労移行支援事業などの障害福祉サービスによる支援を連携させながら行っているところです。
来月からは、障害者が就労先・働き方についてより良い選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望や能力、適性等にあった選択を支援する、「就労選択支援」という新たな障害福祉サービスが開始されます。
この制度の円滑な施行を図りつつ、引き続き、障害の有無にかかわらず、誰もが能力や個性を最大限生かせる社会を目指していくことが重要であると考えます。
(DWAT、DCATについて)先の国会では、能登半島地震の教訓も踏まえ、被災者の福祉的支援の充実等を図るための「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」を提出し、成立したところであり、今後、改正法の着実な運用に向けて、万全の対応を進めてまいります。
改正法においては、災害救助法の救助の種類として「福祉サービスの提供」を追加するとともに、DWATについてはその活動範囲の拡大を図っています。
災害時に適切な対応をとることができるよう、平時から災害時を見据えた福祉的支援の体制づくりが必要であると考えています。
この点、厚生労働省で開催してとりまとめた「地域共生社会のあり方検討会議」においては、DWAT等について法令上・運用上の措置を行うことを検討すべきとされたところであり、そうした点を踏まえ、次期政権においても引き続き検討が進められるものと考えています。

【フリーランス・深月ユリア氏】
安易なポピュリズムについて

(回答)
会見でも申し上げたとおり、自民党は、今さえよければよい、自分さえよければよい、という政党であっては決してなりません。寛容と包摂を旨とする保守政党であり、真の国民政党であらねばなりません。
そうあるべき自民党が信頼を失い、この国の将来に責任を持たず、有権者にとって耳障りが良い政策を訴え、耳目を集める主張をすればよいという風潮になるようでは、安易なポピュリズムになってしまうのではないかと考えます。
自民党の決定的な分断を避け、「解党的出直し」の上で、自民党が真の国民政党として国民の信頼を得る政党であり続けることを願って、退任の決断をしたものであり、その意を汲んで総裁選が行われ、次の総裁が指導力を発揮していただくことを期待します。

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