高市内閣総理大臣記者会見
動画が再生できない方はこちら(政府広報オンライン)
動画ファイルは
【高市総理冒頭発言】
皆様、こんばんは。
第104代内閣総理大臣に任命されました高市早苗でございます。
本日、北海道白老(しらおい)町の農場におきまして、簡易検査の結果、鳥インフルエンザの疑い事例が確認され、現在、北海道がPCR検査を実施中でございます。新内閣におきましても、関係各省、道庁等が緊密に連携をし、高い緊張感を持ってこの対応に万全を期す考えでございます。
さて、まず、新内閣が成立するまでに時間を要したことにつきまして、国民の皆様に心よりおわびを申し上げます。
ここからは、国家国民のため、全力で、変化を恐れず、果敢に働いてまいります。そのための内閣を、本日、作り上げました。国家国民のため、結果を出していく。強い日本をつくるため、絶対に諦めない、そう決意をいたしております。
一度ならずも、二度敗れても、自民党総裁になることを諦めませんでした。強い日本経済を作り上げ、外交・安全保障で日本の国益を守り抜く。私には、明確な決意がございました。
厳しい野党時代も含め、26年間の長きにわたる公明党の皆様の御協力に、改めて、深く感謝を申し上げます。
しかし、「政治の安定」なくして、力強い経済政策も、力強い外交・安全保障政策も、実現していくことはできません。「日本を再起させたい」との思いで、政策合意までたどり着くことができた、この日本維新の会の同志の皆様に、感謝を申し上げます。
そして、精力的に協議を行ってくださいました全ての関係者の皆様に、心より敬意を表します。
物価高対策、首都機能のバックアップ体制、また、社会保障改革、そして、憲法改正。両党の政策合意を基礎に、共に手を携えて、政策実現に取り組んでまいります。
また、「身を切る改革」としての議員定数削減にも合意をいたしました。私どもの内閣といたしましても、国会議員から任命をされる、私を含む、総理大臣を含む閣僚等の給与につきましては、議員歳費を超える閣僚等としての給与を受け取らない法改正に取り組む所存でございます。
さらに、私は、全て国家国民のため、多数を形成し、政治を安定させる。その思いを共有する全ての野党の皆様に、引き続き協力を呼び掛けてまいります。私たちの基本政策と矛盾しない限り、原則として、政策提案を受け入れる方向で前向きに議論をしてまいります。最大限の柔軟性を発揮していく準備が私たちにはございます。それが国家国民のためであるならば、決して諦めない。これがこの内閣の不動の方針でございます。
初閣議におきまして、経済対策の策定を指示いたします。国民の皆様が直面している物価高への対策をしっかりと講じていく。ガソリンの暫定税率は速やかに廃止する考えでございます。
さらには、野党の皆様の御意見にも耳を傾けながら、いわゆる「103万円の壁」も引き上げてまいります。手取りを増やし、家計の負担を減らす。そのための経済対策です。
米国の関税による影響の緩和にも万全を期してまいります。
また、この内閣における成長戦略の肝は「危機管理投資」でございます。経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障など、様々なリスクや社会課題に、官民手を携えて先手を打って行う戦略的な投資でございます。
世界共通の課題解決に資する製品・サービス・インフラを提供できれば、更なる日本の成長につながってまいります。未来への不安を希望に変え、経済の新たな成長を切り拓(ひら)いてまいります。その大胆な取組をここから始動いたします。
来週は、マレーシアでのASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議、韓国ではAPEC(アジア太平洋経済協力)も開催されます。
多くの国の首脳と顔を合わせる絶好のチャンス。
「自由で開かれたインド太平洋」を外交の柱として引き続き力強く推進し、時代に合わせて進化させ、基本的価値を共有する同志国やグローバルサウス諸国との連携を深める。そうした機会としたいと考えております。
また、トランプ大統領と早期にお会いをして、日米関係を更なる高みに引き上げてまいります。日米関係は、同盟国として、日本の外交・安全保障政策の基軸でございます。
二国間の課題にとどまることなく、インド太平洋地域の課題から、中東情勢、欧州・ウクライナに至るまで、日本と米国が直面する課題につきまして、率直な意見交換を通じ、首脳同士の信頼関係を深めてまいります。
日本の国益を守るため、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します。
内から外から、日本は大きな危機に直面しています。立ち止まっている暇はございません。全力で、変化を恐れず、果敢に働く。初日から、全速力、トップスピードで、閣僚の皆さんには、それぞれの分野で任務を果たしていただきます。
衆議院・参議院共に、自民党と日本維新の会を合わせても過半数には及ばない。
少数与党による、厳しく、また、困難な船出でございます。
それでも私は諦めません。
この内閣は、「決断と前進の内閣」です。国民の皆様と共に、あらゆる政策を、一歩でも二歩でも、前進させていく。どうか国民の皆様のお力をお貸しください。新しい内閣の船出に、どうか、国民の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、心よりお願いを申し上げます。
私からは以上でございます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より質問をいただきます。
まず、幹事社から質問いただきます。
初めに、時事通信、丸橋さん。
(記者)
幹事社を務めさせていただいております、時事通信社の丸橋と申します。
総理、就任おめでとうございます。
(高市総理)
ありがとうございます。
(記者)
早速、質問に入らせていただきます。
昨日の日本維新の会との連立合意を受けた今回の組閣となりましたが、維新が閣外協力になったことへの受け止めをお聞かせください。さらに、維新から起用された遠藤首相補佐官に期待することというのも併せて教えてください。
続きまして、今回の組閣で女性閣僚は2名にとどまりました。女性初の総理となられただけに、世間では女性閣僚がもっと増えるのではという期待もあったと思うのですけれども、総理は今回の人事を行うに当たってどういう方針で臨まれたのかということも教えてください。
最後に、維新と連携、連立を組んでも、衆参両院で少数与党という状況に変わりません。こういった政治状況を打開するために早期の衆院解散総選挙というのに持ち込む考えというものも改めて確認させてください。よろしくお願いします。
(高市総理)
先ほども申し上げましたが、「政治の安定」なくして力強い経済政策も力強い外交・安全保障も推進することはできません。「日本を再起させたい」という思いでこの連立政権合意、ちゃんと連立政権樹立と書いてございます。この合意にたどり着いてくださった日本維新の会の同志の皆様には心より感謝を申し上げます。
その上で、今回は日本維新の会と、物価高対策、首都機能のバックアップ、また、社会保障改革、憲法改正など、非常に広い分野で意見の一致をみることができました。閣内に閣僚を送ってくださるかどうかにかかわらず、連立政権合意書、ここに基づいて共に手と手を携えて国家国民の皆様のために全力を尽くして政策実現に取り組みます。
そしてまた、遠藤国対委員長の件でございますが、まだ、この後、発令をさせていただきます。日本維新の会との政策調整を円滑に進めるということもあり、遠藤国対委員長には、連立合意政策推進担当補佐官という役割を担っていただくつもりでございます。これまでの御経験、ネットワーク、知見をいかして大いに活躍していただくことを期待いたしております。
それから、閣僚人事でございますが、一部、高市内閣になったら女性閣僚が6人になるとかというニュースが流れておりましたが、当初より申し上げておりますとおり、私は、あくまでも機会平等、チャンスの平等、これを大事にしています。それから、全員参加、全世代総力結集、この考えで組閣を行いました。国民の皆様のためにあらゆる政策を一歩でも二歩でも進めていける、そういったことから適材適所の布陣といたしました。まだ、あした、この後また副大臣の人事もございますので、お楽しみに見守っていただけたらと思います。
そして、解散のお話がございました。今はもうとにかく、多くの国民の皆様が困っておられる、そしてまた、例えば賃上げ税制の恩恵を受けられない、それでも一生懸命、すばらしい技術を持って努力をしておられる、そういう中小企業の方々の御苦労もございます。また、農林水産業も大変です。いろいろな価格が、コストが上がって苦労をしておられます。それから、医療機関。医療機関も7割が大きな赤字を抱えている。そしてまた、福祉施設の倒産、過去最多となりました。こういったことを考えますと、私たちの安心・安全に関わる大切なインフラが失われるかもしれない。今、手をつけなきゃ間に合わないこと、たくさんございます。ですから、とにかく経済対策最優先で取り組ませてください。今すぐに解散どうのこうのと言っている暇はございません。
以上でございます。
(内閣広報官)
続きまして、同じく幹事社から、日経、三木さん、お願いします。
(記者)
日本経済新聞の三木と申します。
高市総理、御就任おめでとうございます。
(高市総理)
ありがとうございます。
(記者)
経済と金融政策について伺います。高市総理、先ほど物価高対策に言及されましたけれども、物価高対策の実施を目指す中で、利上げを避ければ外国の為替市場で円安が進行して、更なる輸入のインフレを招きかねない恐れがあります。総理自身は、まず、日銀が次の利上げを判断できる経済・物価の環境が整いつつあるというふうに考えますでしょうか。
また、持論でいらっしゃる金融緩和路線を続けるのか。それとも、利上げ継続の姿勢を示す日銀の判断を尊重しますか。
最後に、デフレからの早期脱却と2パーセントの物価安定目標の実現に政府と日銀が一体となって取り組むことを掲げたアコードの見直しは必要と考えていますでしょうか。
(高市総理)
ありがとうございます。
私は、マクロ経済政策の最終的な責任は、政府が持つものだと考えております。これは、日銀法におきましても、日銀の金融政策が、この金融政策は経済政策の一環を成すものであるということを踏まえまして、日銀が政府と十分に連携を密にして意思疎通を図っていく、これが何より大事だと考えております。
その上で、金融政策の手法につきましては日銀に委ねられるべきものと考えています。ですから、これからもコミュニケーションをよくしていきたいなと思っています。そして、やはり経済・物価・金融情勢、こういったものを踏まえながら2パーセントの物価安定目標、これがコストプッシュだけではなくて、やはり賃金の上昇も伴って緩やかにという形の持続的・安定的な実現に向けて適切な金融政策運営を行うということを期待しております。
アコードについての御質問でございますが、今の段階で直ちに見直しをするということについては考えておりません。
(内閣広報官)
ここからは幹事社以外の方からの質問をいただきます。質問を希望される方は挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。
そうしましたら、フジテレビ、瀬島キャップ。
(記者)
フジテレビの瀬島です。総理就任おめでとうございます。
(高市総理)
ありがとうございます。
(記者)
外交について伺います。総理も冒頭触れられていましたが、就任直後からASEAN、トランプ大統領の訪日、APECと、重要なイベントが続くことになります。総理の外交手腕、外交力に早速注目が集まることになりますが、どういった外交を展開するお考えでしょうか。特に、トランプ大統領との個人的な信頼関係を深めることも重要になると思いますが、高市総理の首脳外交をどういった戦略で成功させるお考えでしょうか。主要議題として、関税関連の対米投資、防衛費、北朝鮮問題など重要事項が山積していますが、どういった主張をされたいお考えでしょうか。
(高市総理)
そうですね。もう就任直後ではございますけれども、いよいよ重要な外交日程が目白押しでございます。
まず、ASEAN関連首脳会議につきましては、先ほど申し上げました「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)、これを一層推進してASEANとの協力を進めていく、その機会にしたいと考えております。
また、日米同盟は、これはもう我が国の外交・安全保障の基軸でございます。我が国は米国にとってみても、米国側から見ても、米国の対中戦略であったり、米国のインド太平洋戦略であったり、そういったことの不可欠なパートナーだと私は考えております。間もなくトランプ大統領の来日が予定をされておりますけれども、もしお会いできましたら、日米が直面する問題について率直な意見交換を通じて、首脳同士の信頼関係をまず深めていきたいなと思っております。そして、先ほど申し上げましたように、やはりFOIP、非常にこれが重要なことであるということ、こういったことも訴えてまいりたいと思っております。
先ほど防衛力の話も出ましたけれども、これは非常に重要です。日本が自立して国を守れる、そういう形をつくっていくということは、我が国の国民の皆様の生命を守ることでもあり、領土・領海・領空を守ることでもあります。国家主権を守る大切な取組でもありますので、これは日米協力の下にありますけれども、日本自体の防衛力はしっかりと充実をさせていく、こういったお話をしたいと思っております。
それから、APEC、これも重要な地域枠組みでございます。首脳会議がございますので、ルールに基づく自由で公正な経済秩序、この維持・強化の重要性をしっかりと訴えてまいります。何としても、各国の首脳とお会いできる貴重な機会でございますので、私はすごく楽しみにしております。時間をかけて信頼関係をつくって、そして、日本からもどんどん提案をし、存在感を発揮し、やはり世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻したい、こういう強い決意でおります。
ありがとうございます。
(内閣広報官)
次は、読売、田島さん。
(記者)
読売新聞の田島です。よろしくお願いします。
(高市総理)
よろしくお願いします。
(記者)
日本維新の会との連立で合意しましたけれども、総理がおっしゃったとおり、与党は衆参共に少数与党の状況は変わらない状況です。そうした中で、前政権は政策ごとに部分連合を模索して法案、予算案を可決させましたけれども、総理はどのような手法で多数を確保するおつもりか。また、野党との連携を模索する場合、連立を離脱した公明党や、総理が一時連携を模索された国民民主党、あるいは政策が一部近い参政党などがありますけれども、どの党との連携を優先されるお考えかお願いします。
(高市総理)
もうとにかく今、国家国民のために全力で結果を出していかなきゃいけない、そして、特に経済対策などが非常に重要である、こういったことは党派を超えて共通認識となっていると私は考えております。とにかく政治の安定がなければ何もできませんので、これからしっかりと自民党の基本政策、ここと矛盾しない限り、原則としましては、政策提案、各党・各会派からの政策提案を伺い、そしてまた、前向きに議論していく、そういった姿勢でおります。とにかく国家国民のために結果を出すということが何よりも重要でございますので、何か政策提案をいただいた党とは真摯に議論を積み上げていく、これに尽きると思っております。
具体的な政党のお名前も頂きましたが、それについては特にコメントいたしません。
ありがとうございます。
(内閣広報官)
次は、神戸新聞、末永さん。
(記者)
神戸新聞の末永です。よろしくお願いいたします。
(高市総理)
よろしくお願いします。
(記者)
防災庁について伺います。石破政権は看板政策として防災庁の設置に向けて準備を進めてきました。高市首相もこれまで、事前防災対策や災害時の医療体制の重要性について語って、あと、防災庁の必要性を認める発言もされていたかと思います。いざ、今、首相になられて、地方拠点も含めた上で、今後、防災庁の体制づくりをどのように進めていくか教えてください。
(高市総理)
ありがとうございます。
私は、国の究極の使命は国民の皆様の生命と財産を守り抜くことと申し上げてまいりました。やはり皆様の命や財産、これを災害から守り抜くということを考えますと、人命最優先の防災立国の実現、これは喫緊の課題でございます。
防災庁でございますけれども、我が国の防災全体を俯瞰(ふかん)的に捉えて、徹底した事前防災、それから、発災時から復旧・復興までの一貫した災害対応、この司令塔となる組織とすることとしております。
私、この内閣においては、実は、復興大臣を防災庁設置準備担当大臣にもいたしました。今、復興庁では、東日本大震災の被災地、復興に向けて一生懸命取り組んでおられます。特に福島県ですね、まだまだ先の長い取組がございます。ここは大切に、大切にしながら、しっかりと人手も割き、力を抜くことはございません。ただ、復興庁において蓄積してきた災害復興の経験やノウハウ、これを最大限にいかさないというのはとてももったいないと私は考えました。ですから、防災庁設置準備にこれまでの経験、ノウハウを最大限いかしながら、石破前政権の下で打ち出されてきた方針を引き継いで、令和8年度中の防災庁設置に向けた準備を進めてまいります。
(内閣広報官)
日本テレビ、平本さん。
(記者)
総理、就任おめでとうございます。
(高市総理)
ありがとうございます。
(記者)
日本テレビの平本と申します。
物価高対策について伺います。冒頭の会見では、トップスピードで初日から結果を出すという発言が心に留まりました。では、物価高対策でスピード感を持って何を結果を出すのか具体的にお伺いしたいです。
高市政権での物価高対策について、何を優先順位を持ってやっていくのかというメッセージが受け止めづらいという指摘があります。冒頭では、「103万の年収の壁」の引上げについて言及がありましたけれども、今から言う4つの中での優先順位、メニューについての考え方を教えてください。「103万」に関しては、引き上げると言いましたけれども、これは年内に結果を出すのか、国民民主党が求めている年末の年末調整での所得税の減税まで考えているのか。2つ目は給付付き税額控除。これは高市総裁が、総裁選ではかなり優先順位を高く打ち出しましたが、その後、熱意を感じない部分があります。今どうお考えになられているのか。3つ目は減税です。特に維新の会が強く求めていた食料品の消費税減税、これが3つ目です。4つ目は自民党が参院選で打ち出した給付をどうするのか。この4つを、いつまでに、どう優先順位をつけて、どう実現していくのか、その結果をどう出すのかの具体的なビジョンをお伺いします。
(高市総理)
ありがとうございます。
高市内閣の最優先事項、これはもう国民の皆様が直面している物価高への対応でございます。この後、初閣議を行います。そこで経済対策の取りまとめの指示を私は出します。いわゆるガソリンの暫定税率でございますが、これはもうこれまでの各党間の協議を踏まえまして、今国会での廃止法案の成立を目指します。ですから、非常に早く実現するものであります。
また、軽油引取税の暫定税率、これも私が訴えてきたことでございますので、これも新年度までに廃止することが望ましいと考えています。
これらの廃止に伴って、当然、財源は必要なのですが、これは国及び地方自治体の安定財源も確保しつつ、廃止までの間、補助金を活用するということで考えております。割とスピード感があるのはこの点でございます。
それから、先ほど、自民党が参議院選挙で掲げました給付金についてお話がございましたが、私は、この夏の参議院選挙で給付金については国民の皆様の御理解が得られなかったと考えております。ですから、もうこれは実施をすることをやめて、物価高に関する国民の皆様の懸念、一つ一つに丁寧に対応するための財源として使わせていただきます。
例えば、先ほど少し触れましたが、赤字に苦しむ病院、介護施設への対応として、これは診療報酬、介護報酬について、報酬改定の時期を待たずに、今もう経営が大変ですから、経営の改善、また、働いておられる方々の処遇改善につながる補助金を前倒しして措置させていただきます。
それから、やはり物価高対策ということで言いますと、国・地方自治体から民間への請負契約単価、これは物価上昇を踏まえて適切に見直す。これも急ぎたいと考えています。
それから、中小企業・小規模事業者への対応として、賃上げと設備投資、これを強力に後押しするということ、これも進めます。
それから、物価高の影響を受けておられる生活者の方々、それから、賃上げ税制を活用できない中小企業、また小規模事業者、または農林水産業も大変ですよね、今、様々なコストが高騰していますから。こういった方々を支援する推奨メニューを設けた上での自治体向けの重点支援交付金を拡充する、これを考えております。これも即効性のあるものだと思います。それぞれの地域の課題に応じて、一番しんどいところにお金を入れていくと。
それから、これから冬場に入りますので、電気・ガス料金の支援も行ってまいります。
それから、少し中期的に時間がかかるものと分けて考えなければなりません。いわゆる高校無償化、それから給食費の無償化、これについてですが、今回の連立合意に基づきまして、制度設計の議論を進めて、これは来年の4月から実施をするということで取り組んでまいります。
それから、いわゆる「103万円の壁」でございますが、今般、自民党・維新の連立合意を踏まえまして、所得税の基礎控除等をインフレの進展に応じて見直す、その制度設計については、令和7年内、今年です、今年の年末をめどに取りまとめてまいります。
それから、給付付き税額控除、これは私のこだわりでもありますし、各党からも、各会派からもそういった御提案が出てきております。これはやはり税・社会保険料負担でなかなか大変な中・低所得者層の方々の負担を軽減して、所得に応じて手取りが増えるようにするものでございますので、これは早期に制度設計は進めます。少し準備の時間がかかりますので、その実現を図ってまいります。
そのようなことで、必ずしも今年の年末までにできることとそうでないものもございますけれども、あらゆる知恵を絞って、できるだけスピーディーに取り組んでまいります。
ありがとうございます。
(内閣広報官)
そうしましたら、北國新聞、松本さん。
(記者)
石川県の北國新聞の松本と申します。
(高市総理)
よろしくお願いします。
(記者)
能登の復旧・復興についてお伺いします。昨年元日に発生した能登半島地震から間もなく1年10か月がたとうとしています。能登の被災地は、震災後には豪雨にも襲われて二重被災となった地域もあり、現在も復旧の途上といった段階なのですが、首相として今後、復旧・復興にどのように取り組まれていくのかお考えをお聞かせください。
あわせて、今日、首相の選出後に、地元の知事や国会議員からも、ぜひ能登に来ていただきたいという声が上がっていたのですけれども、今後、被災地を訪れる御予定や御意向、あるようでしたらお聞かせください。
(高市総理)
ありがとうございます。
能登半島地域におきましては、地震と豪雨災害、二度にわたって大変なことになってしまって、お亡くなりになられた方々には哀悼の意を表すとともに、大変な被害に遭われた方々に改めて心からお見舞いを申し上げます。
これまで、県と被災市町、市と町ですね、これで緊密に連携を図りながら、被災者の皆様の避難支援、それから、インフラ復旧、また、生活・生業(なりわい)の再建支援、また住まいの確保、それから、公費解体の加速化、こういったことには予備費を活用しながら切れ目なく取り組んできたところでございますが、まだまだ、まだまだ道半ばでございます。やはりインフラ復旧、それから、生活と生業の再建、ものすごく大事ですので、一日も早い復旧・復興に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。
なお、被災地への訪問、これも考えております。馳(はせ)知事からも私のスマホにメールを頂いたところでございます。当面、外交日程がございます。それから、早急に対応すべき国会の審議もございますけれども、日程が空くところをしっかりと見て、是非とも伺いたいと私は考えておりますので、その折にはよろしくお願いを申し上げます。
(内閣広報官)
次に、朝日新聞、西村さん。
(記者)
朝日新聞の西村です。よろしくお願いします。
私からは、外交と安全保障についてのお伺いをします。先日の維新さんとの合意文書の中で、いわゆる安保3文書、戦略3文書を前倒しで改定すると明記されております。こちらは具体的にスケジュール感であったり、防衛費を増やすことになるのであればその規模感なり、総理の中での今のイメージがありましたら教えてください。
また、この合意の中では、防衛装備移転三原則の中での5類型の撤廃も明記されております。こちらは自公政権の中でも慎重な議論があって、堅持されてきたものでありますけれども、これまでブレーキ役となってきた公明党さんがいなくなる中で、こちらもどれくらいのスケジュール感で、一気に進めようとお考えなのか、慎重な議論が必要とお考えなのか、そちらについても教えてください。
(高市総理)
防衛3文書につきましては、私は、最近の戦いの対応が随分変わってきたと思っております。皆様も御覧になっていると思いますが、ロシアとウクライナの戦争の中で、すごい勢いでドローンが飛んできて、しかも、スウォーム攻撃ですね。こういったものも含めてございます。それから、やはりサイバープロパガンダ、こういったものから始まる。それから、深刻なサイバーアタックから始まる。様々な形で、日本にとってはまだまだ取組が足らない、これからもっともっと強くしていかなければいけない分野もございます。
そういったことを考えますと、2022年の12月に戦略3文書を策定いたしましたけれども、もう見直しの作業に取りかかる、そういった指示を出したいと思っております。2022年の3文書見直しのときもしっかりと時間をかけながら細かく詰めて、また、与党内でもしっかりと審査をいただいてつくってまいりましたので、それでも、もう一刻を争う状況だと思っておりますので、これはしっかりとスケジュール感を考えて取り組んでまいりたいなと思っております。
後段の質問についてでございますけれども、今すぐに期限を区切れるものでもないと思っておりますが、ただ、大切な合意でございますし、国際標準に合わせていくという内容でございますので、これはしっかりと与党の皆様にもまた御理解をいただける、安全保障観を一緒にする各党の皆様にも呼び掛けをしながら実現に向けてまいりたいと思っております。
(内閣広報官)
この後の予定が詰まっておりますので、残り2問とさせていただきます。
質問は簡潔にお願いいたします。
ドワンゴ、七尾さん。
(記者)
ニコニコ、七尾です。
総理、就任おめでとうございます。
(高市総理)
ありがとうございます。
(記者)
高市総理については、「政策・命」の方だと思っておりまして、総裁初会見時のワーク・ライフ・バランス発言は、これは時間が限られている中で、総裁が政策を一つでも実現するために言及せざるを得なかっただけだと理解しております。
この続きの質問ですが、自民党の小林鷹之政調会長の存在は総理にとって大変心強いと察します。総理の頭の中には様々な、今、御発言があった中で、いろいろな政策があるのですけれども、この政策のロードマップを国民に示すお考えはあるのかという点と、政策には、先ほども言及がありましたけれども、短期と中長期的なものがあって、これは長期政権でなければ実現できないものもありますけれども、長期政権として取り組む覚悟はあるのか。また、それはどのような政策か是非教えてほしいと思います。
(高市総理)
ありがとうございます。
例えば、日本経済の強い成長を実現するということを考えますと、AI(人工知能)ですとか、半導体ですとか、量子ですとか、造船といった、こういった戦略分野について官民連携フレームワーク、これを構築すると。そして、総合的な支援策を講じていくということが必要です。ここでは当然、官民で短期・中期・長期の戦略目標、そしてまた、ロードマップをしっかりと策定して共有していくということが必要になってまいります。
先ほど来、私が申し上げてまいりました「危機管理投資」、これも確実に成長を生むものでございます。だって、世界共通の課題ですもん。食料安全保障はみんな強くしたいよね。エネルギー安全保障もそうですよね。サイバーセキュリティだってちゃんと強くしたい。様々、各地で今、気候変動で災害が起きています。そうすると、いろいろなインフラも強くしたい。防災をしっかりと強くしたい。これは世界共通の課題ですから、日本にはかなりこれらを解決する先進的な技術があります。ただ、それを学術機関に眠らせておくとかそういうことではなくて、しっかりとこれを製品、サービス、またインフラにして、日本国内でも活用しますが、世界各国に展開していく。これによって日本にも富を呼び込めますし、多くの国々のこれは課題を解決する、そういう貢献もできると私は信じています。
ですから、一つずつ、一つずつではございますけれども、各閣僚にとにかく働いてくださいと、もう今日から働いてくださいというぐらいの勢いで申し上げておりますのは、それぞれの閣僚に担務を割り振りましたので、そういったことを前進させるための戦略をつくる閣僚もいるかと思います。そうではなくて、予算措置ですとか税制ですとか、そういったもので進めていこうという閣僚もいるかと思いますが、どれも大事なものでございますので、しっかりとしたビジョンを示しながら頑張っていきたいと思っております。
その上で、在任期間でございます。私が今申し上げたことを全部やるのに、果たして、私は、今、石破前総裁の残任期間を務めている自民党の総裁でもございますので、2年で足りるのかという御質問だと思います。ただ、在任期間というのは、政策を実現できたかどうか、政策がかなり前進しているかどうか、そういった中で国民の皆様の御判断で決まっていくものだと思っております。それは長くやった方が、腰を据えて長くやった方が実現の可能性は高まると思いますけれども、これはやはり国民の皆様に委ねたい、そう考えております。
ありがとうございます。
(内閣広報官)
それでは、最後の質問です。端的にお願いいたします。
朝鮮日報の成(ソン)さん、お願いします。
(記者)
韓国新聞社、朝鮮日報の成好哲(ソン・ホチョル)と申します。
(高市総理)
よろしくお願いします。
(記者)
隣国の一人として、日本初の女性総理就任、おめでとうございます。
(高市総理)
ありがとうございます。
(記者)
韓国では、一部に、高市総理の就任で日韓関係が悪化するのではとの懸念も実はあります。その一方で、実用外交を掲げ日本を重視した李在明(イ・ジェミョン)韓国大統領のように、高市総理も韓国を重視した外交を進めてくださるのではないかという期待もあります。日韓関係についてどのようにお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。
(高市総理)
ありがとうございます。
もう韓国は日本にとって重要な隣国でございます。とにかく国際社会の様々な課題に対応するためにも必要な「パートナー」でございます。
日韓関係の重要性というのは、今、一層増していると私は考えています。これまでの政権の間で築かれてきました日韓関係、この基盤に基づきながら、日韓関係を未来志向で安定的に発展させたい、こんなふうに私は考えております。ですから、大統領との間でも会談を希望いたしております。また、両政府間でしっかりと意思疎通を進めていきたいと思っております。
また、日米韓3国でも、これは北朝鮮に対する対応というところでこれまでよりも更に重要な取組、これは安全保障、経済安全保障、どっちの面でもそうなのですけれども、この協力も必要ですから、戦略的な観点からしっかりと進めてまいります。
いろいろ御懸念があるようでございますが、韓国のりは大好き、韓国コスメも使っています。韓国ドラマも見ております。これからまた大統領とお目にかかれるようなチャンスをつくれることをとても楽しみにしておりますので、よろしくお願いいたします。
(内閣広報官)
以上をもちまして、会見を終了いたします。
遅い時間まで御協力ありがとうございました。
今、挙手いただいている方々は、追って書面で質問を提出いただけましたらば、後日、書面にて回答いたしますので、本日中に1問、担当の方までメールでお送りください。
どうもありがとうございました。
(高市総理)
どうもありがとうございました。
ちょっとこの後、閣議等々ございますので、御協力ありがとうございました。
よろしくお願い申し上げます。