第一技術委員会は、人間が生活の中で身体的・精神的に様々な影響を受ける騒音・振動に関する諸問題を扱います。産学の研究者を中心に30名近いメンバーで活動をしています。引き続きオンラインツールも有効活用しつつ、対面での活動も再開しております。今後も対面とオンラインをうまく併用しながら活動を進めることによって、より多くの方にご参加いただけるような参加形態を模索いたします。
(1)技術講習会
委員各位のご協力により例年通り2回開催することができました。1回目は6月7日(金)に「静粛設計のための防音・防振技術」と題して、2回目は12月4日(水)に「機械と環境のサウンドデザイン」と題していずれも中央大学後楽園キャンパスで現地とオンラインのハイブリッド形式で実施しました。1回目34名、2回目26名の参加者がありました。
(2)手作りで音を楽しもう
─環境にやさしい夏休み親子向けイベント─
株式会社東芝のご協力のもと例年実施しているイベントです。今年度は8月21日(水)に対面にて開催しました。12組の親子ペアの皆さんにご参加頂きました。
(3)「音・振動快適化技術と新しい評価法」研究会
今年度1回目は11月15日(金)に、 (株)東芝のご協力を得て、研究開発センターイノベーション・パレット(新棟)にてハイブリッドで開催し、30名が参加しました。2回目の2月28日(金)は日本音響学会騒音・振動研究会、機械学会の共催という形で東京都立産業技術研究センターのご協力を得てハイブリッドで開催予定です。今後も、対面に加えて、ハイブリッドやオンライン開催などの柔軟な開催形態ならではの魅力ある活動を周知し、柔軟で活発な活動を維持できればと思います。皆さまのご協力をこれからもどうぞよろしくお願いします。 第2技術委員会では、資源循環・廃棄物処理技術分野に携わる技術者および研究者が中心となり、技術的な課題のみならず社会的な課題に対しても検討を行い、循環型社会の形成推進に向け活動を進めています。
2024年度では、特別セミナーを開催したほか、見学会を企画しております。また、次年度のIWEEに向けてオーガナイズドセッションの企画立案なども行っています。
1.活動報告
(1)特別セミナー
一昨年度の「環境と地球」(No. 34)にて、雑感「廃棄物焼却施設のイメージとは」という記事を寄稿させていただきましたが、専門家を招いてより具体的に議論することを提案し、「NIMBYな廃棄物処理施設をPIMBYへ」〜 廃棄物焼却処理施設の都市近郊設置に向けた技術的・デザイン的取り組み 〜と題した特別セミナーを企画致しました。当該セミナーでは、都市景観や建築設計を専門とされる先生方に、「デザイン」から見た廃棄物焼却施設の位置づけや有り様について様々な国内外の事例に基づいて詳しくご講演いただきました。
(2)見学会
3月末に鹿児島南部清掃工場の見学会を予定しております。同施設は2022年に竣工されたもので、日量220トンの焼却施設に日量60トンのバイオガス施設が併設されており、生成されたバイオガスは主に都市ガス事業者に供給されています。近年、バイオガス施設の併設や生ごみの分別回収などが提案されるようになっており、一般廃棄物処理の在り方も少しずつ変容している様に思われ、社会的な要請に対する技術的な対応について改めて考える必要があると感じました。
2.計画
本年度に引き続き次年度も特別セミナーの実施を継続したいと考えています。また、SEE2025(IWEE2025)においてオーガナイズドセッションを企画し、廃棄物焼却施設に関する技術者の交流の場として活用し、更なる技術発展および人材育成に取り組む予定です。1.活動報告
第3技術委員会は、大気や水環境分野を扱う研究者や技術者で構成されています。
環境工学総合シンポジウムについては、例年20件前後の研究発表がなされるものの、2024年に関しては9件と少なく、残念な結果となりました。
第3技術委員会主導の活動としましては、まず、11月22日に実施された、見学会「川崎市・浮島処理センターにおける資源循環および大規模太陽光発電施設」があります。浮島処理センターは、最新のゴミ焼却施設、資源化処理施設、特殊焼却施設を集合させた総合施設です。廃棄物発電施設を含む施設全般を見学しました。参加者数は19名となり、多くは企業所属の研究者・技術者の方でした。
次に、動力エネルギーシステム部門との合同企画として、「カーボンニュートラル実現に向けた最新技術− 燃焼プロセス・燃焼施設の最新状況 −」と題する講習会を12月17日にオンラインにて実施しました。前年の「低炭素社会実現に向けた最新技術」の続編となることを意識した企画です。今回は、燃焼関連技術に焦点を当て、互いに関連する4つの講義をお願いし、通常の研究発表会では聞くことのできない詳細な内容となりました。企業、大学から24名の方々に聴講していただくことができました。
2.計画
2025年の環境工学総合シンポジウム内にて、法工学連携セミナーを開催するべく、計画を進めているところです。本セミナーの検討におきましては、環境工学部門の第1、2、4技術委員会の皆様からも多くのご協力をいただいております。この場を借りてお礼申し上げます。
見学会、講習会につきましても実施して参りますので、引き続きご支援ご協力お願いいたします。
第 4 技術委員会では、再生可能エネルギーの開発、エネルギー変換・貯蔵のための熱交換器やヒートポンプの技術開発、エネルギーの有効利用のためのヒートポンプやコージェネレーションの活用、エネルギーシステムの最適化等の分野に関する研究者が集まり、環境保全型エネルギー技術を主なテーマとして活動しています。
2024 年度は、技術委員会、親子イベント、講習会、見学会、研究会を実施し、さらに空気調和・冷凍連合講演会、環境工学総合シンポジウムでオーガナイズドセッションを企画・運営しました。
(1)夏休み親子向けイベント「熱を体験してみよう」
次世代を担う子供たちに工学、機械、そしてエネルギーに興味を持ってもらうために、夏休み親子向けイベント「熱を体験してみよう」を開催しました。本イベントは 2011 年から開催しており、14 回目を迎え、夏休みの恒例行事となっております。コロナ禍(2020 年度)以降はオンライン開催にした結果、日本各地からご参加いただけるようになりました。2024 年 7 月の開催では、20組の皆様に参加いただきました。体験キットを用いて参加者が実際に手を動かすことで、身近にあっても目に見えない「熱」の性質を体験していただきました。
(2)講習会「プログラミングで学ぶ熱物性推算」
熱・エネルギーシステムや流体機械など様々な機械工学分野において、正確な流体物性値を利用することが求められる中、より実践的な知識の習得を目的として、「プログラミングで学ぶ熱物性推算」の講習会をオンラインで開催しました。前年度に大変好評だったことをを踏まえて、2024年6月に基礎編、さらに11 月にステップアップ編を開催し、60 名あまりの方にご参加いただきました。2025 年度以降も、多くの方々が参加できる講習会を企画し、実施して参りたいと思います。
(3)見学会「東芝エネルギーシステムズ京浜事業所」
東芝エネルギーシステムズ京浜事業所(所在地:横浜市鶴見区)の見学を行いました。100年近い歴史のある京浜事業所を訪れ、高効率エネルギーシステムや火力・原子力・水力発電所で活用している蒸気タービンやその他発電機器の製造プロセス、最新技術および環境保全への取り組みについて理解を深める機会となりました。
(4)第 57 回空気調和・冷凍連合講演会
空気調和・冷凍連合講演会では、「環境保全型エネルギー技術」のオーガナイズドセッションを企画・運営しました。第57回空気調和・冷凍連合講演会が2024年4月18、19日に東京海洋大学で開催され、1件の基調講演と4 件の研究発表が行われて、活発な議論となりました。
(5)第 34 回環境工学総合シンポジウム
環境工学総合シンポジウムでは、「環境保全型エネルギー技術分野」のオーガナイズドセッションを企画・運営しました。2024年度には、第34回環境工学総合シンポジウム2024が7月17〜19日に和歌山県高野町の高野山大学で開催されました。「環境保全型エネルギー技術分野」セッションでは、24件の研究報告があり、活発な議論が行われました。また、本シンポジウムの関連イベントとして、法工学部門と連携として「第4回法工学・環境工学連携セミナー」をオンラインで開催しました。第4技術委員会より環境問題対策に向けた冷凍空調機器の冷媒転換の現状を整理し,法工学の観点から課題を見出す活発な議論が行われました。
その他、第 4 技術委員会の委員を中心とした研究会を開催しました。2024年度はNEE研究会とサーモインフォマティクス研究会の 2 つの研究会が活動を行っています。
2025 年度にも、引き続き、他の技術委員会や研究会、他学会の連携を積極的に進め、多くの皆様にご参加いただけるような分野の横断的研究交流を進めて参ります。1.はじめに
環境工学部門の4つの技術委員会の横断的活動として「先進サステナブル都市・ロードマップ委員会」が組織されており、代表して日本機械学会技術ロードマップ委員会に参加しました。2024年度は,年次大会において開催された市民フォーラムならびにワークショップについて報告いたします。
2.年次大会市民フォーラム
愛媛大学・城北大学での2024年度年次大会において、技術ロードマップ委員会企画の市民フォーラム「JSMEメンバーが考える2050年の社会像実現に向けた技術ロードマップ」が開催されました。矢部彰氏(NEDO)による特別講演「技術ロードマップと社会課題の挑戦」では、熱工学における技術開発の歴史の紹介、技術の将来を予測するフォアキャストの視点の追求に併せ、今後は求められる将来の社会像から現時点に遡り現在がどうあるべきかを議論するバックキャストの視点の重要性、SDG’sロードマップへの展開についてまとめられました。また、小宮敦樹氏(東北大)、倉元昭季氏(東京工業大)、山下智輝氏((株)前川製作所・千葉大)から、学会誌1月号掲載の特集記事に基づいた3つの社会像について紹介され、さらにパネルディスカッションでは2050年さらに2050年以降の社会像について議論されました。参加者は目視したところ50名程度で、活発な意見交換がなされていました。
3.ワークショップについて
2024年度においても、7月(ハイブリッド)と12月(対面)の2回開催され、その内1回目に委員として参加しました。ワークショップでは、昨年度までと同様に複数のグループに分かれ、2030年のレビューと2050年社会像に向けたビジョンをテーマに、課題の抽出ならびに今後の社会像に向けた展望について議論されました。
今後もこうした機械学会全体で議論を共有しつつ2050年およびそれ以降の技術ロードマップの策定が進められる予定です。技術ロードマップ委員会の活動については、学会ホームページ「技術ロードマップ委員会」(https://www.jsme.or.jp/technology-road-map/)に詳細が紹介されておりますので、こちらも是非ご参照ください。