会議概要報告
アフリカにおけるツマジロクサヨトウ対策のための研究に関する国際会議の報告
FAW R4D Conference Oct 29-31 2018, Africa Union Commission, Addis Ababa
近年、アフリカ大陸において、ツマジロクサヨトウ(Fall Armyworm: FAW)が爆発的に拡散し、農業生産に深刻な影響をもたらしています。2018年10月29-31日、エチオピアのアフリカ連合本部にて、FAW対策のための研究に関する国際会議(International Conference on "Fall Armyworm Research-for-Development – Status and Priorities for Africa")が開催され、国際農業研究機関・国連機関・アフリカ連合・アフリカ各国のみならず、アメリカ・ブラジル・中国から、230名ほどの参加者が集まり、国際農研からは、飯山研究コーディネイターが参加しました。
FAWはもともと南米・北米の害虫ですが、飛翔による高い移動能力を持ち、2016年初頭に西アフリカで観察され、1年程度でアフリカ全域に拡散し、今やインドでも発生が報告されています。FAWは非常に小さな害虫であるにもかかわらず、アフリカ大陸の農業を担う規模農民の栽培するトウモロコシやソルガム、それ以外の80種以上の作物に被害を及ぼすとされ、甚大な経済的被害と、国・地域を超えた食料安全保障の懸念を引き起こし、国際的な協調を通じた対策が早急に必要とされています。既にFAWと共存してきた北米や南米の大規模商業農業では、化学農薬や最新技術が使用されていますが、アフリカ小規模農業では、これら技術の直輸入・普遍的な適応は難しく、人的・環境被害を最小にしつつ、既存の生態系・農業システム本来の害虫耐性・抵抗力の向上を通じた、低コストで包括的な対策法が求められています。このために、国際研究機関・国際機関・アフリカ研究機関・ドナーが協調し、FAW発現に関する国際モニタリング体制を強化するほか、農民を取り巻く生態系・作付システムに応じて、有効な技術パッケージの開発を行うことで合意しました。
(報告者:飯山みゆき)
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