日本薬局方
クラリスロマイシン錠
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること日本薬局方
シロップ用クラリスロマイシン
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること有効成分 | 1錠中 日局 クラリスロマイシン50mg(力価) |
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添加剤 | 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース トウモロコシデンプン 軽質無水ケイ酸 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム ヒドロキシプロピルセルロース ステアリン酸マグネシウム 硬化油 カルナウバロウ パラフィン ショ糖脂肪酸エステル ポリソルベート80 ポリビニルアルコール(部分けん化物) ヒプロメロース 酸化チタン |
有効成分 | 1g中 日局 クラリスロマイシン100mg(力価) |
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添加剤 | モノステアリン酸グリセリン アミノアルキルメタクリレートコポリマーE アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー ソルビン酸 水酸化ナトリウム ポリソルベート80 カルメロースナトリウム 軽質無水ケイ酸 酸化マグネシウム D-マンニトール トウモロコシデンプン ヒドロキシプロピルセルロース サッカリンナトリウム水和物 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 三二酸化鉄 香料 |
剤形 | 白色フィルムコーティング錠 | |
---|---|---|
外形 | 表面 | |
裏面 | ||
側面 | ||
大きさ | 直径 | 約6mm |
厚さ | 約3.5mm | |
質量 | 約84mg | |
識別コード | T17 |
剤形 | 微赤白色の粉末 | |
---|---|---|
識別コード | T16(分包) |
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、百日咳菌、カンピロバクター属、クラミジア属、マイコプラズマ属
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎、猩紅熱、百日咳
本剤に感性のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症
「抗微生物薬適正使用の手引き」1) を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
効能・効果
用法・用量
錠
ドライシロップ
一般感染症
通常、小児にはクラリスロマイシンとして1日体重1kgあたり10〜15mg(力価)を2〜3回に分けて経口投与する。
レジオネラ肺炎に対しては、1日体重1kgあたり15mg(力価)を2〜3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
用時懸濁し、通常、小児にはクラリスロマイシンとして1日体重1kgあたり10〜15mg(力価)を2〜3回に分けて経口投与する。
レジオネラ肺炎に対しては、1日体重1kgあたり15mg(力価)を2〜3回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症
通常、小児にはクラリスロマイシンとして1日体重1kgあたり15mg(力価)を2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
用時懸濁し、通常、小児にはクラリスロマイシンとして1日体重1kgあたり15mg(力価)を2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動をおこすことがある。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。,
肝機能障害を悪化させることがある。
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で、母動物に毒性があらわれる高用量において、胎児毒性(心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等)が報告されている。なお、国外における試験で次のような報告がある。SD系ラット(15〜150mg/kg/日)及びCD-1系マウス(15〜1,000mg/kg/日)において、それぞれ母動物に毒性があらわれる最高用量でラット胎児に心血管系異常並びにマウス胎児に口蓋裂が認められた。また、サル(35〜70mg/kg/日)において、母動物に毒性があらわれる70mg/kg/日で9例中1例に低体重の胎児がみられたが、外表、内臓、骨格には異常は認められなかった。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
なお、動物実験(ラット)の乳汁中濃度は、血中濃度の約2.5倍で推移した。
低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下しており、高い血中濃度が持続するおそれがある。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
**ピモジド3)
|
QT延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の心血管系副作用が報告されている。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン |
血管攣縮等の重篤な副作用をおこすおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
**スボレキサント |
**左記薬剤の血漿中濃度が顕著に上昇し、その作用が著しく増強するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
ロミタピドメシル酸塩 |
ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
タダラフィル |
左記薬剤のクリアランスが高度に減少し、その作用が増強するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
チカグレロル |
チカグレロルの血漿中濃度が著しく上昇するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
イブルチニブ |
イブルチニブの作用が増強するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
イバブラジン塩酸塩 |
過度の徐脈があらわれることがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
**ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の用量漸増期) |
腫瘍崩壊症候群の発現が増強するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
ルラシドン塩酸塩 |
ルラシドンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
アナモレリン塩酸塩 |
アナモレリンの血中濃度が上昇し、副作用の発現が増強するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
*フィネレノン |
フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
*イサブコナゾニウム硫酸塩 |
イサブコナゾールの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
**ボクロスポリン |
**ボクロスポリンの血中濃度が上昇し、その作用が増強するおそれがある。 |
**本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
**マバカムテン |
**マバカムテンの血中濃度が上昇し、副作用が増強され、収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。 |
**本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
ジゴキシン |
嘔気、嘔吐、不整脈等が報告されているので、ジゴキシンの血中濃度の推移、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、投与量を調節する等の適切な処置を行うこと。 |
本剤の腸内細菌叢に対する影響により、ジゴキシンの不活化が抑制されるか、もしくはP-gpを介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、その血中濃度が上昇する。 |
スルホニル尿素系血糖降下剤
|
低血糖(意識障害に至ることがある)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与を中止し、ブドウ糖の投与等の適切な処置を行うこと。 |
機序は不明である。左記薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、左記薬剤の血中濃度の推移等に注意し、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。 |
|
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う横紋筋融解症が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。 |
|
コルヒチン |
コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状(汎血球減少、肝機能障害、筋肉痛、腹痛、嘔吐、下痢、発熱等)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。 |
ベンゾジアゼピン系薬剤 非定型抗精神病薬
ジソピラミド トルバプタン エプレレノン エレトリプタン臭化水素酸塩 カルシウム拮抗剤
リオシグアト ジエノゲスト ホスホジエステラーゼ5阻害剤
クマリン系抗凝血剤
ドセタキセル水和物 アベマシクリブ10) オキシコドン塩酸塩水和物11) フェンタニル/フェンタニルクエン酸塩 |
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。 |
**ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の維持投与期、急性骨髄性白血病) |
ベネトクラクスの副作用が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。 |
抗凝固剤
|
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。 |
本剤のCYP3A及びP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝及び排出が阻害される。 |
抗凝固剤
|
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。 |
本剤のP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の排出が阻害される。 |
本剤の未変化体の血中濃度上昇による作用の増強等の可能性がある。 |
本剤と左記薬剤のCYP3Aに対する阻害作用により、相互に代謝が阻害される。 |
|
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性がある。 |
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。 |
|
リファンピシン16)
|
本剤の未変化体の血中濃度が低下し、活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。本剤の作用が減弱する可能性があるので、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。 |
左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。 |
天然ケイ酸アルミニウム17) |
本剤の吸収が低下するとの報告がある。 |
左記薬剤の吸着作用によるものと考えられる。 |
呼吸困難、痙攣、発赤等があらわれることがある。
QT延長等の心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者においては特に注意すること。
劇症肝炎、AST、ALT、γ-GTP、LDH、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがある。
異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれることがある。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
痙攣(強直間代性、ミオクロヌス、意識消失発作等)があらわれることがある。
乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
0.1〜5%未満 |
0.1%未満 |
頻度不明 |
|
---|---|---|---|
過敏症 |
発疹 |
そう痒感 |
|
精神神経系 |
めまい |
幻覚 |
|
感覚器 |
味覚異常(にがみ等) |
耳鳴 |
|
消化器 |
悪心 |
食欲不振 |
口腔内びらん |
血液 |
好酸球増多 |
||
肝臓 |
AST上昇 |
||
筋・骨格 |
筋肉痛 |
||
その他 |
倦怠感 |
動悸 |
5〜10%未満 |
1〜5%未満 |
頻度不明 |
|
---|---|---|---|
精神神経系 |
不眠症 |
頭痛 |
|
感覚器 |
味覚減退 |
味覚倒錯 |
|
皮膚 |
発疹 |
そう痒感 |
|
消化器 |
下痢 |
悪心 |
鼓腸放屁 |
血液 |
白血球減少 |
||
肝臓 |
肝機能異常 |
γ-GTP上昇 |
AST上昇 |
腎臓 |
急性腎障害 |
BUN上昇 |
|
生殖器 |
子宮頸部上皮異形成 |
腟カンジダ症 |
|
筋・骨格 |
筋肉痛 |
||
その他 |
高脂血症 |
無力症 |
小児に5mg(力価)/kgを19) 、また健康成人に200mg、400mg(力価)を20) 空腹時単回経口投与したときの平均血清中濃度及び各パラメータの値は以下のようであった。なお、個体間のバラツキは少なかった。
測定法
Cmax
(µg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC
(µg・hr/mL)
小児(n=6)5mg/kg
HPLC未変化体
1.05
1.4
1.8
3.54
HPLC代謝物
0.98
1.4
3.2
5.37
成人(n=8)200mg
Bioassay
1.16
1.9
4.04
8.98
成人(n=8)400mg
Bioassay
2.24
2.7
4.36
20.30
健康成人において、クラリスロマイシン錠剤(250mg)を経口投与した場合(2回測定)とクラリスロマイシンラクトビオン酸塩を静脈内投与した場合の薬物速度論的パラメータを比較検討した。その結果、未変化体のバイオアベイラビリティは52、55%であったが、初回通過効果によって生成される活性代謝物(14位水酸化体)を含めたパラメータ解析結果から、クラリスロマイシンは経口投与後ほぼ完全に吸収されていることが示唆された21) (海外データ)。
小児に10mg(力価)/kgを単回経口投与したときの血清中濃度には、食事の影響がほとんど認められなかった22) 。
腎機能正常者と種々な程度の腎機能障害者に200mg(力価)を空腹時単回経口投与し、クレアチニンクリアランス(Ccr)とその体内動態との関係を検討した結果、腎機能の低下に伴ってCmaxの上昇、T1/2の延長及びAUCの増加が認められた(測定法:Bioassay)32) 。
クレアチニン
クリアランス
(mL/min)
Cmax
(µg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC
(µg・hr/mL)
Ccr≒100(n=5)
2.02
1.24
2.38
8.89
Ccr≒50(n=5)
2.15
1.89
5.74
21.69
Ccr≒30(n=5)
2.55
0.96
4.69
18.73
Ccr≒5(n=5)
3.54
1.48
6.13
36.89
重篤な基礎疾患のない66〜82歳(平均72.2歳)の女性3名に200mg(力価)を空腹時単回経口投与し、その体内動態を検討した結果、健康成人と比べるとTmax、T1/2はほぼ同様であったが、Cmax、AUCは明らかに高かった(測定法:Bioassay)33) 。
Cmax
(µg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC
(µg・hr/mL)
高齢者(n=3)
3.72
2.3
4.2
19.20
下記の疾患に対する有用性が認められた31) ,34) 。なお、成人を対象とした皮膚科領域感染症35) 、肺炎36) 、慢性呼吸器病変の二次感染37) 、扁桃炎38) に対する二重盲検比較試験で本剤の有用性が認められた。
疾患名
有効率(%)【有効以上】
皮膚科領域感染症
(表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染)
91.7(22/24)
呼吸器感染症
(咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染)
93.7(550/587)
感染性腸炎
98.9(90/91)
耳鼻科領域感染症
(中耳炎、副鼻腔炎)
88.5(69/78)
猩紅熱
100(28/28)
百日咳
86.7(39/45)
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性MAC症に対する二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤の有用性が認められている。小児を対象とした試験成績は次のとおりである。
疾患名
有効率(%)【有効以上】
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性MAC症 (米国)
61.1(11/18)
細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、蛋白合成を阻害する39) 。
ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌の好気性グラム陽性菌40) ,41) ,42) ,43) ,44) 、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、百日咳菌、カンピロバクター属等の一部のグラム陰性菌40) ,41) ,42) ,43) ,44) 、クラミジア属45) 、マイコプラズマ属44) ,46) 及びマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)47) に抗菌作用を示し、その作用は他のマクロライド系抗生物質と同等以上である(in vitro)。
未変化体とほぼ同等の抗菌力を有する48) が、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)49) に対しては未変化体より弱い(in vitro)。
マウスの腹腔内感染40) ,41) ,43) ,44) ,48) 、皮下感染40) ,43) ,44) 、呼吸器感染症40) ,41) ,44) ,48) モデルにおいては、本剤の良好な組織移行性を反映し、優れた効果を示す。
クラリスロマイシン(clarithromycin)
(2R,3S,4S,5R,6R,8R,10R,11R,12S,13R)-5-(3,4,6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2,6-dideoxy-3-C-methyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-11,12-dihydroxy-6-methoxy-2,4,6,8,10,12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide
(日局に準拠)
C38H69NO13
747.95
白色の結晶性の粉末で、味は苦い。アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
220〜227°C
CAM
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること。
PTP 100錠[10錠×10]
PTP 500錠[10錠×50]
プラスチックボトル100g(乾燥剤入り)
分包0.5g×120包(乾燥剤入り)
1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
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40) 小野武夫ほか:Chemotherapy. 1988 ; 36 (S-3) : 1-34
41) 五島瑳智子ほか:Chemotherapy. 1988 ; 36 (S-3) : 35-58
42) 横田健ほか:Chemotherapy. 1988 ; 36 (S-3) : 59-70
43) 西野武志ほか:Chemotherapy. 1988 ; 36 (S-3) : 95-110
44) 長手尊俊ほか:Chemotherapy. 1988 ; 36 (S-3) : 129-155
45) 吉沢花子ほか:Chemotherapy. 1988 ; 36 (S-3) : 117-122
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47) Brown BA, et al. : Antimicrob Agents Chemother. 1992 ; 36 (9) : 1987-1990
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