Chemicals Informaticsを活用したポリ乳酸用添加剤の有望候補の探索と実証の論文が米国化学会誌「ACS Applied Polymer Materials」に掲載
株式会社日立ハイテクが提供する「Chemicals Informatics(ケミカルズ・インフォマティクス:以下CI)」を活用し、バイオ由来樹脂の強度と生分解性を向上する添加剤を探索し、製作、実証した研究論文が、アメリカ化学会の専門誌「ACS Applied Polymer Materials」に掲載されました。
ACS Applied Polymer Materialsとはアメリカ化学会(ACS)が2019年に創刊した応用ポリマー材料に特化した国際的な学術誌です。工学、化学、物理学、生物学など幅広い分野におけるポリマー応用研究を対象としています。
CIは公開特許や論文などの公開情報から、目的の特性を持つ既知・未知の化合物を探索できるツールです。今回CIを活用したデータ駆動型アプローチにより、母材であるポリ乳酸の添加剤として、強度と分解性の向上する化合物を探索しました。合計31万通りの組み合わせから数分で探索を行い、降伏強度と吸水率(加水分解性)が最大になる組み合わせを調べた結果、アジピン酸と3,3'-ジチオジプロピオン酸を有力候補として選定できました。この結果をもとに、試験片の製作を行い、引張試験における降伏強度と水溶液浸漬による加水分解性試験を実施した結果、比較物質よりも優れた特性を示すことを実証しました。
【論文タイトル】
【掲載日】
2025年9月19日
「Chemicals Informatics」とは
CIとは日立ハイテクが提供する化合物探索を行えるクラウドサービスです。膨大な特許などの公開情報をもとにしたデータベースを保持しており、求める特性を持つ有望な化合物を網羅的かつ効率的に探索できます。また、探索時に特許情報も確認できるため権利侵害リスクの低い化合物を効率的に見つけ出すことができ、戦略的な研究開発を可能にします。
[ソリューションサイト]
化合物探索や特性値から特許を逆引き検索できるデータベース:Chemicals Informatics
また当社では、CIとマテリアルズ・インフォマティクス(以下MI)を連携させることで、新材料の開発においても全体の開発工数を8割以上削減し、業務効率化できることを実証しました。研究開発の上流から量産設計までを支援を行い、さらなる高度化に貢献してまいります。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社日立ハイテク
産業社会インフラ事業統括本部
インフォマティクス推進部
インフォマティクス推進事務局