人工改変地形データ抽出のための手順書(概要版)


人工改変地形データ抽出のための手順書
( 概 要 版 )1.平 成 2 2 年 2 月
国土交通省国土地理院
表紙写真
提供:有限会社 太田ジオリサーチ
内 容
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
手順書の見かた・使いかた (項目の検索) ・・・・・・・・・・・・・・ 1
しかく主な要望・疑問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
しかく調査プロセスフローから項目の検索・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1.手順書の概要
1-1 手順書の位置付け(大規模盛土造成地の変動予測調査との関係) ・・ 3
1-2 手順書の構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1-3 一次スクリーニング調査のプロセス・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
2.調査対象地域の設定等
2-1 調査対象地域の設定等とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2-2 調査対象地域を設定する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2-2-1 調査対象地域を設定する標準的なプロセス ・・・・・・・・・・・ 7
2-2-2 除外区域の地形要素と資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2-2-3 除外区域の判別に使用する資料の収集 ・・・・・・・・・・・・・ 8
2-2-4 除外区域(沖積低地、台地上の平坦部、海部)の判別 ・・・・・・ 9
2-2-5 除外区域(山林や原野など)の判別 ・・・・・・・・・・・・・・ 10
2-2-6 除外区域(宅地以外の人工改変地)の判別 ・・・・・・・・・・・ 10
2-2-7 調査対象地域の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
2-3 人工改変地形データを作成する基礎資料の選択・・・・・・・・・・・ 12
2-3-1 人工改変地形データを作成する基礎資料選択のフロー ・・・・・・ 12
2-3-2 基礎資料の選択について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
2-3-3 主な基礎資料と精度の目安 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
2-3-4 航空レーザ測量による 5m メッシュ標高データ等の利用 ・・・・・ 16
2-3-5 造成前地形データ作成用基礎資料の選択条件 ・・・・・・・・・・ 17
2-3-6 造成後地形データ作成用基礎資料の選択条件 ・・・・・・・・・・ 18
2-3-7 盛土造成地形データの精度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
2-4 調査対象地域図及び改変地形データ作成に使用する基礎資料リスト・・ 20
3.盛土造成地の位置と規模の把握
3-1 盛土造成地の位置と規模の把握について ・・・・・・・・・・・・・・ 22
3-2 盛土造成地(位置と規模)把握の流れ ・・・・・・・・・・・・・・・ 23
3-3 造成前地形データの取得 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
3-4 造成後地形データの取得 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
3-5 5m メッシュ標高差分計算(切・盛データの計算)及び地形変化量図の作成 ・ 26
3-5-1 メッシュ標高差分計算の標準フロー ・・・・・・・・・・・・・・ 26
3-5-2 地形変化量図の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
3-6 作成手法別地形データの取得方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
3-6-1 既存の地形データを利用する
(DM データ、砂防基盤図データ、航空レーザデータ等 )
・・・・・・ 29
3-6-2 既成のアナログ図からマップデジタイズ方式で地形データを取得 ・ 30
3-6-3 空中写真から地形データを取得 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
3-6-4 地形データの補完(ブレークライン等)について・・・・・・・・・ 32
3-7 計測手法別(空中写真測量及びマップデジタイズ)に作成したデータ
の比較と評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
3-7-1 空中写真測量及びマップデジタイズによるデータ計測手法 ・・・・ 33
3-7-2 データ計測手法別取得データ比較及び評価 ・・・・・・・・・・・・ 34
3-8 取得データの精度検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
3-8-1 造成前・造成後地形データの精度検証 ・・・・・・・・・・・・・ 36
3-8-2 メッシュ標高差分計算データの精度検証 ・・・・・・・・・・・・ 36
3-9 現地踏査(抽出盛土の確認)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
3-9-1 抽出した盛土の確認のための現地踏査 ・・・・・・・・・・・・・ 38
3-9-2 評価のための目視調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
3-10 盛土造成地の抽出(位置と規模の把握) ・・・・・・・・・・・・・・ 39
3-10-1 盛土タイプの判別について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
(補足) 古い盛土造成地の扱いについて ・・・・・・・・・・・・・・・ 40
3-11 一次スクリーニングで使用するデータの形式 ・・・・・・・・・・・ 41
参考資料・解説編
資-1 報告書の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資- 1
資-2 調査対象地域の設定等標準仕様書 (案)
・・・・・・・・・・・・・・ 資- 2
資-3 一次スクリーニング調査 (大規模盛土造成地の位置と規模の把握)
標準仕様書 (案) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資- 4
資-4 発注用設計項目フロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資- 9
資-4-1 調査対象地域設定等の設計項目フロー ・・・・・・・・・・・・・ 資- 9
資-4-2 造成前地形データ取得の設計項目フロー・・・・・・・・・・・・ 資-10
資-4-3 造成後地形データ取得の設計項目フロー・・・・・・・・・・・・ 資-11
資-4-4 5m メッシュ標高差分計算等の設計項目フロー・・・・・・・・・・ 資-12
資-5 盛土脆弱性評価システムの選択 (二次スクリーニング計画での危険度評価) 資-13
資-5-1 盛土脆弱性評価システムについて・・・・・・・・・・・・・・・ 資-13
資-5-2 盛土脆弱性評価システムの選択 ・・・・・・・・・・・・・・・ 資-13
資-5-3 盛土脆弱性評価システムで使用するデータ形式・・・・・・・・・ 資-13
資-6 大規模盛土造成地マップの作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-14
資-6-1 大規模盛土造成地マップの作成 ・・・・・・・・・・・・・・・ 資-14
資-6-2 大規模盛土造成地マップの公表 ・・・・・・・・・・・・・・・ 資-15
資-7 盛土カルテ運用と宅地盛土 GIS 活用(オプション ) ・・・・・・・ 資-16
資-7-1 盛土カルテの整備と運用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-16
資-7-2 大規模盛土管理 GIS の活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-16
資-8 用語解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-18
資-9 参考図書・資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-24
図表・写真の目次
図 1 手順書の位置付けと大規模盛土調査への適応・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
図 2 手順書の構成(大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインとの関係) ・・・・ 4
図 3 一次スクリーニング調査のプロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
図 4 地形と調査対象地域の関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
図 5 調査対象地域を設定する標準的なプロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
図 6 除外区域(沖積低地、台地上の平坦地、海部)の判別例・・・・・・・・・・・・・ 9
図 7 除外区域(山林や原野など)の判別例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
図 8 除外区域(宅地以外の人工改変地)の判別例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
図 9 基礎資料選択のフロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
図 10 空中写真標定図例(
「横浜」 1963 年撮影写真 )
・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
図 11 国土地理院の航空レーザ測量による 5m メッシュ標高データ整備範囲 ・・・・・・ 16
図 12 航空レーザ測量の計測イメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
図 13 1/3,000 旧版地形図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
図 14 5m メッシュ標高データ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
図 15 1/2,500DM データ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
図 16 「調査対象地域図」のイメージ図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
図 17 メッシュ標高差分法による盛土造成地の抽出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
図 18 メッシュ標高差分計算による盛土造成地(位置と規模)把握のプロセス ・・・・・ 23
図 19 造成前地形データ取得のパターン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
図 20 造成後地形データ取得のパターン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
図 21 5m メッシュ差分計算のフロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
図 22 ブレークラインデータから地形モデル構成の例(斜め俯瞰イメージ) ・・・・・・ 26
図 23 地形変化量図の例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
図 24 地形データを取得する3つのパターン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
図 25 既存の地形データを利用するプロセス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
図 26 アナログ地形図からマップデジタイズ方式で地形データを取得するプロセス ・・・ 30
図 27 造成前自然地形の数値化イメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
図 28 造成後人工地形の数値化イメージ(宅盤等をブレークラインで補完取得) ・・・・ 30
図 29 空中写真から地形データを取得するプロセス ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
図 30 図上でのブレークライン設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
図 31 現地での比高確認によるデータ補完方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
図 32 メッシュ法データイメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
図 33 DSM データイメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
図 34 ブレークライン法によるデータ例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
図 35 盛土厚(深さ)の比較検証イメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
図 36 現地踏査の意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
図 37 旧地形図との重ね合わせによる盛土タイプの判別 ・・・・・・・・・・・・・・・ 39
図 38 古い盛土造成地の表示例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
図 39 調査対象地域の設定等の設計項目フロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資- 9
図 40 造成前地形データ取得の設計項目フロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-10
図 41 造成後地形データ取得の設計項目フロー ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-11
図 42 5m メッシュ標高差分計算等の設計項目フロー ・・・・・・・・・・・・・・ 資-12
図 43 危険度評価に使用する盛土脆弱性評価システム ・・・・・・・・・・・・・・ 資-13
図 44 盛土分布図例(メッシュ標高差分方式) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-14
図 45 公表用盛土分布図例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資-15
表 1 除外区域の地形要素と判別に使用する資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
表 2 除外区域の判別に使用する資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
表 3-1 基礎資料の利用方法及び資料精度の目安 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
表 3-2 主な基礎資料の資料精度説明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
表 4 資料収集に関連する関係機関のアドレス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
表 5 盛土造成地データの精度目安(標高)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
表 6 調査対象地域図と調査対象地域基礎資料リストの内容 ・・・・・・・・・・・・・ 20
表 7 調査対象地域及び基礎資料(リスト例) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
表 8 計測手法別取得データ比較及び評価結果(国土地理院)
・・・・・・・・・・・・・ 34
表 9 作成したデータ精度検証の要領(案)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
表 10-1 調査報告資料リスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 資- 1
表 10-2 一次スクリーニング調査報告成果リスト ・・・・・・・・・・・・・・・・ 資- 1
表 11 盛土カルテの整理項目例 ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ 資-17
写真 1 1/10,000 空中写真 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
写真 2 1/12,000 米軍写真 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
写真 3 1/10,000 空中写真 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
写真 4 ステレオ図化機 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
人工改変地形データ抽出のための手順書
( 概 要 版 ) 1本手順書は、地方公共団体の担当者が行政区域内で、人工改変地地形の位置と規模を把握するために発
注する場合のマニュアルとして利用できる構成となっています。
「大規模盛土造成地の変動予測調査」は、いくつかの作業に分かれています。1対象範囲の設定、2デ
ータの作成、3対策を行うための順位付け、4二次スクリーニングの計画、そして5二次スクリーニング
等です。これらの業務は、一括で発注する場合と、1と2を発注して盛土分布図の作成まで行い、3以降
を別の発注とする等の選択が可能です。なお、一次スクリーニングに関する調査実務1と2は測量業務で
すが、本手順書では、空中写真や数値地形データの扱い方についてわかりやすく解説しました。
なお、本手順書で「宅地」としている用語は、一般的な呼称として使用しています。
本手順書は、調査の項目毎に手引きできるよう、1目次、2調査プロセスのフロー、3解説文章内の用
語・キーワード、4主な要望・疑問の4つの要件で記載箇所を検索できる構成としました。必要箇所に青
文字で関連する記載項目ページを添えてあります。
はじめに
手順書の見かた・使いかた(項目の検索)
しかく検索1 ≪目次から≫・・・・・・・・・・・・・・・目次項目を参照
しかく検索2 ≪調査プロセスフローから≫・・・・・P2 調査プロセス項目検索を参照
しかく検索3 ≪用語・キーワードから≫・・・・・必要に応じて本文中のキーワードに
関連項目記載ページ番号を記載
しかく検索4 ≪主な要望・疑問から≫・・・下表参照
くろまる 調査の標準的な進め方について把握したい(→P4〜P5)
くろまる 調査範囲をどのように決めればよいのか?(→P6〜P11)
くろまる どのような資料を使用したらよいか?(→P12〜P21)
くろまる 基礎資料の精度について知りたい(→P13〜P14)
くろまる 使用したい資料の所在は?(→P13〜P16)
くろまる 盛土の抽出にはどのような方法がある?(→P22〜P35)
くろまる 得られるデータの精度について知りたい(→P19、P34〜P35)
くろまる 取得したデータの精度的な検証はどのように行う?(→P36〜P37)
くろまる 調査手法や評価方法の違いにより、調査結果が違ってしまわない?
(→P33〜P35、P 資-8)
くろまる 各自治体での有効な調査の進め方を把握したい(→P6〜P21、P 資-4〜資-8)
くろまる 大規模盛土造成地マップの標準仕様は?(→P 資-2〜資-8)
しかく 主な要望・疑問 2一次スクリーニング
調査対象地域における基
礎資料の選択 P12〜P19
調査対象地域の設定等
の標準的な手順 P6・P7
計測手法別のデータ
P33〜P35
地形データを得る方法
P28〜P32
取得データの精度検証
・現地踏査 P36〜P38
造成後地形データの取
得 P25
盛土造成地の位置と規
模の把握 P22・P23
二次スクリーニン
グ計画の作成
しかく 調査プロセスフローから項目の検索
調査対象地域の
設定等
P6〜P21
盛土造成地の位
置と規模の把握
P22〜P41
参考資料
・解説編
P 資 1〜資 24
調査対象地域の設定等
にて使用する資料 P8
調査対象地域の設定
P7〜P11
5m メッシュ標高差分(切・
盛データ)計算 P26〜P27
造成前地形データの取
得 P24
古い盛土造成地の扱いP40大規模盛土造成地
マップの作成
発注用設計項目フロー
P 資 9〜資 12
報告書の作成
(標準成果品)P 資 1
盛土カルテ運用・宅地
盛土 GIS 活用 P 資 16~17
一次スクリーニング調
査標準仕様書 P 資 2〜8
調査対象地域の設定等」標準仕様書(案)P 資 2〜資 3
一次スクリーニング調査
標準仕様書(案) P資4〜資8
盛土脆弱性評価システ
ムでの運用 P 資 13
参考図書等 P 資 24
用語解説
P 資 18〜資 23
盛土造成地の把握の流
れ P23
盛土タイプの判別P39除外区域の判別
P6〜P10
調査対象地域設定資料
の整理 P20〜P21
データの形式 P41
大規模盛土造成地マッ
プの作成・公表 P 資 14~15 31-1 手順書の位置付け
=大規模盛土造成地の変動予測調査との関係=
平成 19 年度〜平成 21 年度の3カ年にわたり実施した、国土交通省総合技術開発プロジェク
ト「高度な画像処理による減災を目指した国土の監視技術の開発」
(以下総プロという。
)におい
て、
「地盤の脆弱性把握の技術開発」が設定され、国土地理院では「地盤脆弱性の危険度評価シ
ステムの開発」で使用する「人工改変地形データの抽出手法の技術開発」を実施しました。
一方、平成 18 年度より、国土交通省の主幹で宅地耐震化推進事業の一環として「大規模盛土
造成地の変動予測調査」(以下、大規模盛土調査という。)が開始されました。大規模盛土調査
の一次スクリーニング調査(以下説明文では一次スクリーニングという。)においては、総プロ
の「地盤の脆弱性把握技術の開発」の「人工改変地形データ抽出手法の開発」と重なります。
本手順書は、
総プロで検討された開発技術を実務に生かすため、
大規模盛土調査の一次スクリ
ーニングに有効に活用されることを念頭に置いて、
調査を計画する発注者編手順書
(概要版)
と、
調査を実施する実務者編手順書(詳細版)の二編を作成しました。11..手手順
順書
書の
の概
概要要国土交通省総プロ(H19〜H21)
「高度な画像処理による減災を目
指した国土の監視技術の開発」
「地盤の脆弱性把握の技術開発」
人工改変地形データの
抽出手法の開発
国土交通省 補助事業(H18〜)
宅地耐震化推進事業
「大規模盛土造成地の変動予測調査」
一次
スクリーニング調査
手法を事業調査
に生かす
「手順書」
図 1 手順書の位置付けと大規模盛土調査への適応 41-2 手順書の構成
本手順書は、大規模盛土調査における一次スクリーニングの盛土地形データ取得について、発注者編手
順書
(概要版)
の構成内容と、
大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインとの関係を図 2 に示します。
図 2 手順書の構成(大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインとの関係)
一次スクリーニング
・調査対象地域の設定
・盛土造成地の位置と
規模の把握
・二次スクリーニング計
画の作成
大規模盛土造成地マップ
・大規模盛土造成地マップの
作成
・大規模盛土造成地マップの
公表と活用
二次スクリーニング
・現地調査
・安定計算
防災区域指定等
・保全対象の調査
・防災区域の指定等
参考資料・解説編
発注者編手順書(概要版)の構成
1.手順書の概要
1-1.手順書の位置付け
1-2.手順書の構成
1-3.一次スクリーニング調査のプロセス
2.調査対象地域の設定等
2-1.調査対象地域の設定等とは
2-2.調査対象地域を設定する
2-3.人工改変地形データを作成する基礎資料の選択
2-4.調査対象地域図及び改変地計データ作成に使用する
基礎資料リスト
3.盛土造成地の位置と規模の把握
3-1.盛土造成地の位置と規模の把握について
3-2.盛土造成地(位置と規模)把握の流れ
3-3.造成前地形データの取得
3-4.造成後地形データの取得
3-5.5m メッシュ標高差分計算(切・盛データの計算)及び
地形変化量図の作成
3-6.作成手法別地形データの取得方法
3-7.計測手法別(空中写真測量及びマップデジタイズ)に
作成したデータの比較と評価
3-8.取得データの精度検証
3-9.現地踏査(抽出盛土の確認)
3-10.盛土造成地の抽出と盛土区分
3-11.一次スクリーニングで使用するデータの形式
ガイドラインの構成 51-3 一次スクリーニング調査のプロセス
大規模盛土調査における一次スクリーニングの目的は、大規模盛土造成地の位置と規模を把握すること
です。標準的な仕様は、造成前及び造成後の地形データを取得し、その差分から人工改変地形(切・盛分
布)を把握し、盛土区域を抽出します。
一次スクリーニング調査のプロセスを図 3 に示します。
斜体文字は、ガイドラインで使用していない用語項目です。
図 3 一次スクリーニング調査のプロセス
P7〜12
P13〜20
P23〜44
調査対象地域の設定
基礎資料の選択
大規模盛土造成地の
位置と規模の把握
二次スクリーニング計画の作成
大規模盛土マップの作成・公表
二次スクリーニングへ
盛土造成地の地形データを取得する範囲を設定し
ます。
調査対象地域の地形データ取得に使用する基礎資
料(地形図、空中写真等)を選択します。
造成前の地形
データ取得
造成後の地形
データ取得
標高差分計算
盛土造成地の抽出と区分
二次スクリーニング調査優先度の設定。
簡易評価「盛土脆弱性評価システム」
(P 資-13)の運用を推奨します。
大規模盛土分布図の作成と公表。 62-1 調査対象地域の設定等とは
大規模盛土造成地の抽出を効率的に行うため調査地域を絞り込むための、
「調査対象地域の設定」と地形
データ取得に使用する「基礎資料の選択」を行います。
全行政区域の中から、真に必要な調査対象地域を絞り込むことにより、調査の効率化及び調査費用の軽
減化を図ることを目的とするものです。
図 4 のオレンジの区域(A)が沖積低地で緑の区域(B)が開発造成のない山林とします。A 及び B の
区域は調査対象外であり、白地の区域の一次スクリーニングを行うことが、調査の効率化になります。
2.調査対象地域の設定等
調査対象地域の設定の目的は、調査範囲を絞り込み、調査の効率化を図るこ
とにあります。
全行政区域
傾斜の乏しい沖積低地
山林区域BA
調査の主旨から、傾斜のある丘陵
地の宅地造成地が対象となり、
海岸
部の埋立地等は事業の対象ではあ
りません。
従って、
図 4 にあるA及
びBの区域は調査の対象ではあり
ません。ただし、B の区域は市街化
により区別がしにくい状況がある
ので、旧地形から判断します。さら
に宅地以外の造成地も調査対象か
らはずします。
図 4 地形と調査対象地域の関係
白地の区域が造成対象地域
(さらに宅地以外の造成地を除き
ます) 72-2 調査対象地域を設定する
2-2-1 調査対象地域を設定する標準的なプロセス
調査対象地域を設定する標準的なプロセスを図 5 に示します。ここでは、調査から除外する区域を資料
から判別し、調査対象地域から除外します。
2-2-2 除外区域の地形要素と資料
除外区域の地形要素と、それらの判別に用いる資料を表 1 に示します。
除外区域の地形要素 判別に使用する資料
1 沖積低地、海部、台地上の平坦部
*原地形の様子がわかる資料
旧版地形図、土地条件図、旧空中写真、傾斜量図等
2 自然地形(山林・原野等)
*現在の改変の無い自然地形を把握する資料
最新空中写真、最新地形図等
3 宅地関連造成地以外の用途造成地
*現在の土地利用の状況がわかる資料
最新空中写真、最新地形図等
図 5 調査対象地域を設定する標準的なプロセス
(除外区域判別のための)
資 料 収 集
除外区域の判別
調査対象地域の設定
宅地造成が行われていない区域を確認するために、地
図等の資料の収集を行います。
収集した資料から、1沖積低地、海部及び台地上の平
坦地、2自然地形(山林、原野等)
、3宅地関連造成地
以外の用途の造成地を、除外区域として判別します。
除外区域を除外したあとの残りの区域を調査対象地
域とします。
(行政区域-除外区域)=調査対象地域
表 1 除外区域の地形要素と判別に使用する資料 82-2-3 除外区域の判別に使用する資料の収集
除外区域を判別するための資料を収集します。
資料名 資料の所在等 使用のしかた 資料例
1 旧版地形図
(1/3,000〜
1/25,000)
1/3,000 クラスの地形図は
当該自治体で保有。未整備
の場合は、1/25,000 地形図
(国土地理院)を利用
除外対象の原地形の区分
沖積平坦部、海部(埋立地)
、平
坦な台地面
2 旧空中写真
(1/10,000〜
1/30,000)
自治体が保有する旧空中写
真又は、国土地理院撮影空
中写真及び国土地理院保有
の米軍写真
同上(除外対象の原地形の区分)
3 土地条件図
又は地形分類図
(1/25,000〜
1/50,000)
国土地理院の 1/25,000 土地
条件図の他は、各県で整備
の地形分類図等
同上(除外対象の原地形の区分)
4 50mメッシュ
標高データ
(傾斜量図)
国土地理院の 50m メッシュ
標高データ等(古い時代の
もの)
同上(除外対象の原地形の区分)
特に平坦な台地面の判定に用い
る(傾斜 1°〜1.5°以下の区域)
現況非改変地
(自然地形)
区域の
判別。
5 最新地形図
(1/2,500〜
1/10,000)
当該自治体で保有の地形図
又は DM データ
宅地以外の造成用途地域
(政令で
定められる宅造規制法第2条1
に関わる土地以外の土地)
の判別
6 最新空中写真
(1/10,000〜
1/30,000)
当該自治体が地形図整備又
は税務資料のため撮影の空
中写真、又は国土地理院撮
影空中写真
現況非改変地
(自然地形)
区域及
び地以外の造成用途地域の抽出
に用いる。
(5の代わり、又は5と併用)
表 2 除外区域の判別に使用する資料 92-2-4 除外区域(沖積低地、台地上の平坦部、海部)の判別
主に旧版地形図、土地条件図、又は旧空中写真を用い、地形分類上の除外区域〔沖積平坦地や海部(現
在埋立地等)
〕を判読し除外区域を判別します。判別例を図 6 に示します。
台地上の平坦部
<除外>dceab沖積低地
<除外>
旧版地形図による判別例 *沖積低地の判別
縮尺 1/10,000〜1/25,000 の地形図を用い、旧空中写真は
補助的に用います。沖積低地は非調査対象区域ですが谷底
低地は対象となり得ます。
図中のa・b 等の谷部及び緩扇状地部は組み入れます。
旧空中写真による判別例*旧海岸線の判別例
現在埋立が進んでいる地域で、旧海岸線を取得する場合
は、磯浜のような沖積低地が存在しないような地域に限ら
れます。旧版地形図からも判別できます。
土地条件図による判別例*台地上の平坦部の判別
台地上の平坦部は土地条件図あるいは傾斜量(図)を併
用して判別しますが、台地上の浅い谷(c)又は改変地の
周り(d・e等)は調査対象となり得るので注意を要しま
す。
海部
<除外>
除外
区域
図 6 除外区域(沖積低地、台地上の平坦地、海部)の判別例 102-2-5 除外区域(山林や原野など)の判別
非改変区域である自然地形(山林や原野など)を、最新地形図及び空中写真を用いて抽出します。ゴル
フ場周辺あるいは自然公園周辺の宅地付近、及び宅地造成地内の樹林地・公園は人工的に造成したものが
あるので注意を要します。使用する地形図は最新のものが好ましいが、空中写真画像又はインターネット
の地形画像を利用し、最新の造成状況を確認することも有効です。自然地形区域の抽出例を図 7 に示しま
す。
2-2-6 除外区域(宅地以外の人工改変地)の判別
宅地造成以外の人工改変地であるゴルフ場、自然公園、墓園、農地造成地、単独土地利用の道路・鉄道、
土取場、採石場等の区域を、最新地形図(1/2,500〜1/10,000)を用いて判別抽出します。抽出例を図 8 に
示します。
除外区域
(宅地以外の
人工改変地)
の判別
図 8 除外区域(宅地以外の人工改変地)の判別例
ゴルフ場
<除外>
図 7 除外区域(山林や原野など)の判別例
除外区域
(山林や原野など)
の判別
自然地形区域
<除外>
ゴルフ場 112-2-7 調査対象地域の設定
しかく調査対象地域は、除外区域を除く地域として設定します。
しかくなお、
調査対象地域の範囲は、
調査対象地域側から外に 20〜50m 程度のバッファを設定した範囲としま
す。
(行政区域-除外区域)=調査対象地域 122-3 人工改変地形データを作成する基礎資料の選択
調査対象地域の人工改変地形データを作成します。データ作成に使用する基礎資料を選択します。
2-3-1 人工改変地形データを作成する基礎資料選択のフロー
調査対象地域の、造成前及び造成後の人工改変地形データ取得に使用する基礎資料の選択のフローを図
9 に示します。また、P13 表 3-1 及び P14 表 3-2 に、使用する主な基礎資料と資料の精度を示します。
2-3-2 基礎資料の選択について
図 9 基礎資料選択のフロー
造成前地形データ
取得の基礎資料選択
造成後地形データ
取得の基礎資料選択
資料の調査と
リストアップ
資料の調査と
リストアップ
庁内(自治体内)で調査
自治体以外で調査
庁内(自治体内)で調査
自治体以外で調査
造成年代・地域の
おおよその確認
最近資料の確認
優勢造成年代の確認
基礎資料の選択 基礎資料の選択
有効な資料選択判断
さんかく1 標準精度を確保でき
るか
(2m 以内の精度を
確保できる資料)
さんかく2 調査対象地域の広域
をカバーする資料をベ
ースとする
さんかく3 上記条件を満たす、
より新しい資料
さんかく4 有効な補完資料設定
さんかく5 庁内の保有資料を優
先し、
無ければ外部より
調達する
造成前地形データの
作成へ
造成後地形データの
作成へ
調査対象地域の造成前の旧地形データ及び造成後の地形データ取得に使用する、
地形
図や空中写真等の基礎資料を調査、選択します。 132-3-3 主な基礎資料と精度の目安
造成前・後の地形データ取得に使用する主な基礎資料とその基礎資料の精度の目安値(垂直)を表 3-1
に、また、資料精度の説明を表 3-2 に示します。
しかく取得精度の目安値は、経験値表記になります。最も多く使用されると思われる2〜4は、標準的に作成
される等高線間隔の 1/4〜1/2 を示します。他は、この2〜4資料を基準に、資料の比較精度により経験
値から目安値を示してあります。取得精度目安値の小さい値は樹林等の被覆がない地域で、大きい値は
樹林地等の地域の値です。また、造成前地形などで傾斜度の大きな山地斜面においては、水平精度の影
響も加味されます。
空中写真及び地形図の縮尺の違いによる精度は、縮尺係数に比例します。
取得媒体(区分)と取得方法
(標高)
取得精度目安
利用
対象
資料の年代
(備考)1航空レーザによる 5mメッシュ標高デ
ータ利用(国土地理院:大都市周辺)
±0.2m〜0.4m
主に
造成後
平成 15 年以後
(国土交通省データもあり)2DM データ、砂防基盤図
(自治体等)
±0.5m〜1.0m
造成前・
造成後
平成 10 年以後
(データ直接利用)31/2,500 地形図より数値化取得
(自治体等) ±0.5m〜1.0m
造成前・
造成後
昭和 40 年代以後
(ブレークライン補完の必
要もあり)41/10,000 空中写真より直接取得
(国土地理院・自治体等)
±0.3m〜1.0m
造成前・
造成後
昭和 30 年代後半〜現在
(空中写真測量実施)51/20,000 空中写真より直接取得
(国土地理院、
林野庁、
県森林計画課)
±0.6m〜2.0m
造成前・
造成後
昭和 30 年代後半〜現在
(他に資料無き場合利用)61/3,000 地形図より数値化取得
(自治体等)
±0.8m〜1.4m
主に
造成前
昭和 20〜30 年代
(比較的有効)71/12,000 米軍写真より直接取得
(国土地理院) ±0.6m〜1.2m
主に
造成前
昭和 20 年代
(部分的な旧地形データ
の補完に用いる)81/40,000 米軍写真より直接取得
(国土地理院)
±2.0m〜4.0m
主に
造成前
昭和 20 年代
(部分的補完に限る)9旧版 1/25,000 地形図より数値化取得
(国土地理院)
±3.0m〜5.0m 造成前
主に昭和 20 年代以前
(標準精度確保せず)10旧版 1/20,000 地形図より数値化取得
(国土地理院)
±数m〜
10 数m
造成前
明治中・後期
(標準精度確保せず)
さらに、主な基礎資料について、個別に精度状況について詳細説明を加えます。
表 3-1 基礎資料の利用方法及び資料精度の目安 14基礎資料・取得方法 資料精度の内容
1 航空レーザによる
5mメッシュ標高
データ利用
一般には、人工改変地形データを得るために新たに航空レーザ測量を実施する
ケースはごくまれで、結果として求められた地形データそのものを利用するので、
航空レーザ解析における地形データ取得の精度に言及しませんが、
計測要件
(撮影
距離・計測密度など)と計測対象の地形条件(樹林等により被覆されているか被覆
無く地盤を直接計測できるか)
により取得精度が異なります。
地盤を覆う被覆が無
い状況では ±0.2mの精度が確保されます。
2 DM データ、
砂防基盤図
標準的な公共測量基準による写真測量を実施して得たデータですので、地図情
報レベル 2500 の標高誤差「1.0m 以内」の要件が確保されています。やはり、地
域的な条件の違い
(樹林地帯かそうでないか)
により差があり、
その精度幅が ±0.5
m〜1.0mに相当します。
1/2,500 一般には、公共測量(写真測量)にもとづき作成されているので、数値化によ
る水平誤差が若干加味されるものの、標高について、前項 DM データと同様の測
量精度と見ることができます。
(±0.5m〜1.0m)36
地形図
より数
値化取
得 1/3,000 旧版 1/3,000 図については,測量手法が明記されていないケースが多いですが、
実測法によるか、
当時の3級図化機と呼ばれル装置の図化により作成されているの
で、特に標高精度は、1/2,500 図より格段劣ります。地形条件差はあり、その標高
精度は±0.8m〜1.4mと見積もられます。
1/10,000 空中写真から直接取得する場合の精度要件は、撮影縮尺と基準点です。撮影
縮尺は大きい程精度が良く、
基準点条件は、
現地設定基準点ほど良い結果となりま
す。
この総合的な精度は、
空中三角測量という工程を経て具体的に結果が求められ
ます。しかし、本調査では旧版空中写真の利用を含め、既存の地形図等の資料から
基準点を選定するケースが多いと思われ、
精度は標準より劣るようになります。このケースでは、
基準点の選定を多くし、
調整段階でより有効な選択ができるよう対
応することが要点となります。空中写真測量を実施するケースでは、
「目安値」で
なく、測量の実精度結果をデータ精度として報告するとよいと思われます。45
空中写
真より
直接取得1/20,000 縮尺条件からは1/10,000の空中写真のちょうど2倍の誤差があるといえますが、
同じ地形図等から選定する基準点条件は変わりません。
データ取得精度はその複合
的な精度結果になりますが、前項と同様に実の精度結果値を報告すると良いです。
1/12,00078
米軍写
真より
直接取得1/40,000
米軍写真についても、
データ取得手法は空中写真による流れになりますが、
写真
内部の条件(歪みが大きい、写真測量の基準となる写真枠の表示・寸法等が曖昧で
誤差が大きい等)から、最近の空中写真より精度が劣ります。写真内部の状況も大
きく較差があり,測量した結果の実精度を報告に使用する必要があります。
1/40,000 写真も同じ資料条件ですが、精度的には 2m には遠く及びません。
9 10 旧版 1/25,000、
1/20,000 地形図は資料誤差が大きいため、
古い造成地の概要を把握する場合に限って用います。
表 3-2 主な基礎資料の資料精度説明 15しかく対象地域をカバーする空中写真を「標定図」という索引図から選択します。
(図 10 参照)
しかく資料収集に関わる各関係機関のアドレスを表 4 に示します。
《URL等》
・国土地理院地図閲覧サービス http://watchizu.gsi.go.jp
・旧版地形図の謄本交付に関し(国土地理院) http://www.gsi.go.jp/MAP/HISTORY/koufu.html
・国土地理院撮影の空中写真 http://www.jmc.or.jp/photo/gsi.html
・林野庁撮影の空中写真 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kutyu_syasin/index.html
・土地分類調査・水調査の概要(国土交通省土地・水資源局:旧国土庁)
http://tochi.mlit.go.jp/tockok/inspect/landclassification/index.html
・土地条件図整備状況(国土地理院)
http://www1.gsi.go.jp/geowww/landcondition/map-list.html
・沿岸海域基礎調査 整備地域(国土地理院)
http://www1.gsi.go.jp/geowww/coastmap/ccm-area.html
・地形分類・表層地質「土地分類基本調査」1/5 万データ(社団法人 全国国土調査協会)
http://www.zen-kyo.or.jp/support/cpy.html
表 4 資料収集に関連する関係機関のアドレス
図 10 空中写真標定図例(
「横浜」1963 年撮影写真)
財団法人日本地図センターホームページより 162-3-4 航空レーザ測量による 5m メッシュ標高データ等の利用
しかく国土地理院が整備する航空レーザ測量による 5mメッシュ標高データが存在する地域は、図 11 のとおり
です。精度的な内容からもこれらを最優先的に利用すべきです。整備地域は大都市域に限定されます。
しかくこのほかに国土交通省が河川流域及び海岸部を航空レーザ測量で整備しており、都道府県等でも航空レ
ーザ測量を実施している事例があります。これらは公開されていませんが、使用申請手続きにより承認
を得ることで利用が可能です。
しかく財団法人 日本測量調査技術協会ホームページアドレス( http://www.sokugikyo.or.jp/laser/search.html )
で、航空レーザ計測のアーカイブエリアを示した資料を閲覧できます。
図 12 航空レーザ測量の計測イメージ
(国土地理院ホームページより)
平成 22 年 2 月現在
図 11 国土地理院の航空レーザ測量による 5m メッシュ標高データ整備範囲 172-3-5 造成前地形データ作成用基礎資料の選択条件
造成前に利用する基礎資料の選択条件は以下のとおりです。
利用する主な造成前基礎資料の例を以下に示します。
造成前基礎資料の選択条件
・一般に造成前の地形データの作成に使用する基礎資料は限られ、選択する余地は比
較的少ない。
「精度が 2m 程度の資料から優先的に選択」することが選択条件にな
ります。
造成前基礎資料選択の手順
1造成前で、より新しく精度の高い資料をベース資料として優先的に選択します。
昭和 30 年代 1/10,000 空中写真、1/3,000 の地形図
あるいは、
1/20,000 の空中写真、1/2,500 の地形図
2ベースの資料よりさらに古い造成地の造成前地形データを作成するため、米軍写
真や旧版地形図(1/25,000 等)をスポット的に補完使用します。
その場合、旧版地形図以前の時代の資料は、標準的な精度の確保が難しいため、
「古い造成地」としてデータ取得地域の区分を行います。
こうした資料が、庁内に存在する場合は優先的に利用し、不足する場合は、
2-3-1〜2-3-3 で掲載した関係機関の基礎資料を調達します。
写真 1 1/10,000 空中写真 図 13 1/3,000 旧版地形図 写真 2 1/12,000 米軍写真
造成前のデータ作成で利用される代表的な基礎資料
旧地形の補完で
利用される資料 182-3-6 造成後地形データ作成用基礎資料の選択条件
造成後に利用する基礎資料の選択条件は以下のとおりです。
利用する主な造成後基礎資料例を以下に示します。
造成後基礎資料の選択条件
・データ取得方法には3つの手法(a.既存データの利用、b.地形図の数値化、
c.空中写真測量による取得)があります。実際にはaが優先され、aの代わり、
あるいはaの補完にbまたはcの手法を選択する方法があります。
・砂防基盤図データは、全国的に整備された有用な三次元地形データです。利用に
あたっては整備範囲を確認しておく必要があります。
(都道府県砂防担当課)
造成後基礎資料選択の手順
1既存データが存在すれば、このデータを利用します。まず、5m メッシュ標高デ
ータ及び砂防基盤図データを優先して利用します。次に既存 DM データを利用しま
す。
2既存データがない場合、データを作成する必要があります。作成に使用する基礎
資料は、地形図及び空中写真です。
空中写真及び地形図の、縮尺及びの資料の新しさ等が選択の条件となります。
こうした資料が、庁内に存在する場合はそれを優先的に利用し、不足する場合
は、2-3-1〜2-3-3 で掲載した関係機関より必要な基礎資料を調達します。
図 14 5m メッシュ標高データ 図 15 1/2,500DM データ 写真 3 1/10,000 空中写真
造成後で利用する既存データ
既成データが無い場合、
利用される空中写真 192-3-7 盛土造成地形データの精度
盛土造成地の地形データは、造成前地形データと造成後地形データの差分計算によって取得できます。
取得する盛土地形データの精度として、
作成に使用する基礎資料の標高の精度
(P13 表 3-1 及び P14 表 3-2)
の組み合わせによって得られる盛土造成地データの精度目安値を、表 5 に示します。
精度目安は、地形図や空中写真の精度を考えて、2m 程度を基準とします。1/20,000 空中写真は、条件
の悪い地域で 2m を超す誤差が存在しますが、
他に有効な資料がない場合利用します。
1/40,000 米軍写真、
さらには旧版 1/25,000 地形図、
1/20,000 地形図などを利用しなくてはならない古い造成地を把握するケー
スでは、2m より格段に大きい誤差を必然的に保有し、精度的な状況から「古い造成地」として括ります。
造成後基礎
資料
造成前
基礎資料
5m メ ッ シ
ュ標高デー
タ(レーザ)
(直接利用)
2,500 砂 防
基盤図デー
タ (直接的
に利用)
2,500DM
データ
(ほぼ直接的
に利用)
1/2,500 地
形図
( 数 値 化 利用)1/10,000 級
空中写真
(写真測量に
よる取得)
1/20,000 級
空中写真
(写真測量に
よる取得)
2,500DM データ
(ほぼ直接的に利用)
±0.5 m 〜1.1m±0.7 m 〜1.4m±0.7 m 〜1.4m±0.7 m 〜1.4m±0.6 m 〜1.4m±0.8 m 〜2.2m1/2,500 地形図
(数値化利用)
±0.5 m 〜1.1m±0.7 m 〜1.4m±0.7 m 〜1.4m±0.7 m 〜1.4m±0.6 m 〜1.4m±0.8 m 〜2.2m1/10,000 空中写真
(写真測量取得)
±0.4 m 〜1.1m±0.6 m 〜1.4m±0.6 m 〜1.4m±0.6 m 〜1.4m±0.4 m 〜1.4m±0.9 m 〜1.7m1/3,000 地形図
(数値化利用)
±0.8 m 〜1.5m±0.9 m 〜1.7m±0.9 m 〜1.7m±0.9 m 〜1.7m±0.9 m 〜1.7m±1.0 m 〜2.4m1/12,000 米軍写真
(写真測量取得)
±0.6 m 〜1.3m±0.8 m 〜1.6m±0.8 m 〜1.6m±0.8 m 〜1.6m±0.9 m 〜1.7m±1.0 m 〜1.8m1/20,000 空中写真
(写真測量取得)
±0.6 m 〜2.0m±0.8 m 〜2.2m±0.8 m 〜2.2m±0.8 m 〜2.2m±0.7 m 〜2.2m±1.1 m 〜2.8m1/40,000 米軍写真
(写真測量取得)
±2.0 m 〜4.0m±2.1 m 〜4.1m±2.1 m 〜4.1m±2.1 m 〜4.1m±2.0 m 〜4.1m±2.2 m 〜4.2m旧版 1/25,000 地形
図 (数値化利用)
±3.0 m 〜5.0m±3.0 m 〜5.1m±3.0 m 〜5.1m±3.0 m 〜5.1m±3.0 m 〜5.1m±3.1 m 〜5.2m旧版 1/20,000 地形
図 (数値化利用)
±数m〜
10 数m
±数m〜
10 数m
±数m〜
10 数m
±数m〜
10 数m
±数m〜
10 数m
±数m〜
10 数m
*米軍写真は、古い造成地をスポット的に他の基礎資料の補完としても使用できます。
*盛土造成地データの精度目安値の算定は以下の式によります。22度)(造成後地形データ精度)(造成前地形データ精 
【重要】精度結果及び別項にある精度検証結果を整理し、報告書に記載する必要があります。
表 5 盛土造成地データの精度目安(標高) 202-4 調査対象地域図及び改変地形データ作成に使用する基礎資料リスト
調査対象地域図及び人工改変地形データ作成に使用する基礎資料は、一次スクリーニングにおいて造成
前・造成後の地形データを取得するための重要な資料です。
しかく調査対象地域図は、1/10,000 地形図等の上に表示します。
しかく調査対象地域図に表示した調査対象地域の人工改変地形データ作成に適した基礎資料を、P13 表 3-1 の
資料の精度目安、及びこれらの資料の組合せによる盛土造成地形データの精度目安(P19 表 5)を参考
にして、造成前の地形データの取得のために有効な基礎資料を選択・特定します。
造成後の地形データ取得のための基礎資料は、自治体保有資料の他に、国土地理院の空中写真及び、県
整備の砂防基盤図(2500 レベル)データを利用します。
しかく調査対象地域が設定され、地形データ取得のための基礎資料が選択(特定)されれば、一次スクリーニ
ングの計画へと進みます。
しかく「調査対象地域図」と「調査対象地域基礎資料リスト」の資料内容を表 6 に示します。
「調査対象地域図」のイメージ図例を図 16 に、
「調査対象地域・基礎資料リスト」のフォーム例を表 7 に
示します。
表 6 調査対象地域図と調査対象地域基礎資料リストの内容
くろまる 調査対象地域図
対象行政区域の地形図(背景図)
調査対象地域
行政上の地域区分(線)
除外区域
造成前地形データを取得する資料
(地形図範囲・旧空中写真位置)
造成後地形データを取得する資料
(資料範囲が限定される場合表記する)
くろまる 調査対象地域基礎資料リスト
地域別調査対象地域整理番号
調査対象地域面積・集計面積
調査対象地域住所
造成前地形データ取得使用資料
造成後地形データ取得使用資料
規制区域・指定区域等 21大規模盛土の基礎資料
調査対象
地域番号
住 所
(造成地域名・施設名)
面積(m2)造成
年代 造成前地形 造成後地形
山下 01 山下市岡本 2 丁目 621,900 III S46 地形図 H18DM データ
山下 02 山下市柴元 1・2 丁目 989,000 III S46 地形図 H18DM データ
山下 03 山下市原 3〜5 丁目 1,433,000 II S36 空中写真 H18DM データ
合計 29 地域 12,690,000
1.山下 16・18・19 地区は、米軍写真(S23 年 1/10,000)による補完を要す。
2.東部地区の一部で、H16 年作成 5mメッシュ標高データ有り(図参照)
3.平成 18 年以降の開発造成図書、該当箇所 5 件有り。要補完。
付記(参考)
*一次スクリーニングは 12.69km2(ないしはバッファ設定付加)が積算の対象。
図 16「調査対象地域図」のイメージ図
(注記)宅地に関わる人工改変地は、
さらに
造成年代区分を表示することもあり。
表 7 調査対象地域及び基礎資料(リスト例)
設定された
調査対象地域
山林部(自然地形)
<除外>
沖積低地区分線(旧版地形図・土地条件図等で判別)
宅地に関わる人工改変地<対象>
使用する旧版地
形図の図郭
使用する旧空中写真
使用する
旧空中写真
行政界
宅地以外の造成地<除外> 22調査対象地域を2-1〜2-2で設定し、
人工改変地形データ作成に使用する基礎資料を2-3で選択した
結果を踏まえ、一次スクリーニング調査の盛土造成地の抽出(位置と規模の把握)へ進みます。
3-1 盛土造成地の位置と規模の把握について
しかく盛土造成地の位置と規模の把握は、2-3で選択した基礎資料により、造成前及び造成後の盛土地形デー
タをそれぞれ作成し、差分法により位置と規模の把握を行います。
しかく「盛土造成地の位置と規模の把握」の標準的な作業手法は、
「差分法」です。
「差分法」は、造成前及び造成後の地形データの標高差から地形の変化(切土・盛土)を把握する方法で
す。それぞれの地形データを等間隔の 5m メッシュ標高データに置き換え、その差をとる方法をメッシ
ュ差分法またはメッシュ標高差分法と呼びます。ガイドラインの標準形もこの手法です(図 17)。メッシュ標高データの設定サイズは、5m を標準とします。
3.盛土造成地の位置と規模の把握
図 17 メッシュ標高差分法による盛土造成地の抽出
差分法 メッシュサイズは 5m が標準
標準型
「メッシュ標高差分法」
造成前地形
データの取得
造成前メッシュ
標高データ作成
メッシュ標高差分計算
(造成後標高)-(造成前標高)
=盛土
・プラス領域が盛土
造成後地形
データの取得
造成後メッシュ
標高データ作成 233-2 盛土造成地(位置と規模)把握の流れ
一次スクリーニングの盛土造成地(位置と規模)把握のプロセスを図 18 に示します。フローの前半は、
造成前後の地形データ(5m メッシュ標高データ)を取得します。後半で差分計算を行い、対象盛土を抽出
するプロセスです。P40図 18 メッシュ標高差分計算による盛土造成地(位置と規模)把握のプロセス
メッシュ標高差分計算P26盛土区域の設定
造成前地形の 5m メッシュ
標高データ取得
造成後地形の 5m メッシュ
標高データ取得
地形変化量図の作成
P27 盛土区分(分割)設定
ガイドライン要件の
対象盛土の抽出
(盛土タイプの判別)P39
谷埋め 3,000m2
以上
腹付け 高さ 5m以上
原地盤の勾配
20°以上
自然地形主体 等高線・標高点取得 人工地形 (ブレークライン取得)
数値標高モデル(DEM)構成 P26 数値標高モデル(DEM)構成 P26
危険度評価へ
基礎資料
データの精度検証
造成前の地形データ取得 P24 造成後の地形データ取得 P25
古い造成地の造成前
地形データの補完取得
新しい造成地の造成後
地形データの補完取得
戦後(米軍写真)
、 P24
戦前(旧版 1/25,000 図)等
小域(現地比高確認) P32
広域(空中写真測量) P25
極最近造成(造成設計図書)
古い盛土造成地の整理
造成前地形データを旧版
1/25,000 図等より取得
の区域 (戦前の造成地)
造成前・後地形データ、
メッシュ標高差分デー
タを検証 P36〜P37
現地踏査 P38
(抽出盛土の確認) 243-3 造成前地形データの取得
しかく造成前地形データは自然地形が主体で、人工的な手がかかる前の原地形の形状を得るので、等高線デー
タによる表現方法が適しています。
しかく基礎資料別のデータ取得には、以下のパターンがあります。
(図 19 参照)
図 19 造成前地形データ取得のパターン
☞ *
造成前地形データの補完について
くろまる使用した基礎資料が、既に開発済みの造成地域が一部に存在するため、さらに古い時代
の造成前地形データ取得が必要な場合、米軍写真や旧版地形図を用い、造成前地形デー
タを部分的に補完取得することを意味します。
くろまる米軍写真の 1/12,000 写真をスポット的に用いる場合は、標準精度が確保される可能性
がありますが、それ以外の条件での取得ケースでは大きな誤差を伴いますので、精度的
な区別を意図して、
「古い造成区域」又は「古い盛土造成地」として表示方法を変え、
精度目安値を報告します。
最近の 2,500 レベルのDMデータ等を利用
昭和 30 年代後半以後の(国土地理院撮影)空中写真を利用
旧版 1/3,000 地形図(昭和 30 年代前後)を利用
旧版 1/25,000 地形図の利用〔古い造成地〕*データ補
完のための
手法
米軍写真(1/12,000)の利用
新しい造成地に限る 253-4 造成後地形データの取得
しかく造成後地形データは人工地形です。複雑な人工地形面の地形データはブレークラインによる取得が最も
適しています。
しかく最近の 1/2,500 地形図を数値化する場合、又は 2,500DM データを用いる場合にも、宅盤や道路面の高さ
が表現されていない箇所があり、これを補完する必要があります。補完の方法を下欄に示します。
しかくごく最近の開発造成地は、造成図書の資料により補完しますが、その際、取得していた地形データは造
成前地形データとして扱います。
しかく基礎資料別データの取得には、以下のパターンがあります(図 20 参照)。・ 造成後地形データの取得について、座標系は世界測地系で統一します。
・ 造成後地形データは、複雑な人工地形面を表現するため、地形特徴線であるブ
レークラインを主体に取得します(例えば、道路路肩線、宅盤面周囲、各種造成構
造物法面、堤防上下端線等)。図 20 造成後地形データ取得のパターン
レーザ計測による 5m メッシュ標高データを利用
最近の 2,500 レベルの DM データ等を利用
最近の 1/2,500 地形図をマップデジタイズを利用
最近の空中写真(1/10,000)を利用
現地での比高確認(データ補完)について
造成設計図書を利用**データ補
完のための
手法
☞ **
造成後地形データの補完について
くろまる造成後地形標高が不明な場合の補完
1対象箇所が少なければ、現地で比高計測して補う方法が有効です。
2対象箇所が多く分散して点在する場合は、空中写真測量によるブレークラインデータの
補完取得が合理的です。
くろまるごく最近の開発造成地は、造成図書を用いて地形データを補完します。 263-5 5m メッシュ標高差分計算(切・盛データの計算)及び地形変化量図の作成
3-5-1 メッシュ標高差分計算の標準フロー
造成前・後の DEM データを用いたメッシュ差分計算の流れを図 21 に示します。
大規模盛土調査ガイドラインにある差分計算の標準的な方法は、造成前地形データ及び造成後地形デー
タそれぞれについて数値標高モデル(DEM)を構成し、それぞれの時点の 5m メッシュ標高データを二次
的に算出し、メッシュごとの差分値が計算されます。
造成後地形のブレークラインデータから DEM を構成したイメージを図 22 に示します。
〔造成後標高〕-〔造成前標高〕の値で、プラスのメッシュが盛土領域でマイナスのメッシュが切土領域
です。その量を階層区分し、地形変化量図(切・盛分布図)として色分け表示することがメッシュ標高差
分計算結果の一般的な表示例です。
造成前数値標高モデル(DEM)
造成後 5m メッシュ
標高データ取得
造成後数値標高モデル(DEM)
造成前 5m メッシュ
標高データ取得
5m メッシュ標高差分計算
図 21 5m メッシュ差分計算のフロー
図 22 ブレークラインデータから地形
モデル構成の例(斜め俯瞰イメージ)
☞ 2.5m メッシュデータの検討
・複雑な人工地形面の把握には 2.5mメッ
シュサイズが有効。
・比較的小規模な腹付け型盛土の抽出漏
れを防ぐ効果があります。
黄色:道路骨格ブレークラインデータ
赤色:宅盤等細部のブレークラインデータ
青色:ブレークラインデータを元に構成さ
れる TIN データ 273-5-2 地形変化量図の作成
図 23 地形変化量図の例
しかく造成前・後のメッシュ標高データの差分により、5m メッシュを単位とする改変量を階層区分して
表示します。この図が切・盛の分布を表す「地形変化量図」
(又は「切・盛分布図」
)です。
(図 23
参照)。*背景地形図
青線表記:造成前地形図
赤線表記:造成後地形図 283-6 作成手法別地形データの取得方法
造成前・造成後の地形データを取得する方法は、基礎資料の利用形態から次の3つのパターンに分けら
れます。
以下、3つのパターンの具体的なデータ取得のプロセスを紹介します(P29〜)。既存の地形データ(DM
等)を利用する
既成アナログ図を数値
化し取得する
空中写真測量により取
得する
図 24 地形データを取得する3つのパターン 293-6-1 既存の地形データを利用する
(DMデータ、砂防基盤図データ、航空レーザデータ等)
代表的なデータ利用のプロセスを図 25 に示します。
使用するデータ毎にメッシュ標高データ取得の工程
が異なります。
くろまるDM データは、等高線や標高点データを利用できますが、特に造成後の人工地形については、等高線
及び標高点データのみでは表示し切れない場合があります。この場合、宅盤や道路面等をブレークラ
インデータで補完することが必要です。
くろまる砂防基盤図データは、ブレークラインデータが備わっていますので、メッシュ標高データを作成する
ことにより、メッシュ標高データを取得できます。
くろまる航空レーザによるメッシュ標高データはそのまま利用できます。
図 25 既存の地形データを利用するプロセス
DM データ
砂防基盤図データ(三次元地形データ)
航空レーザ メッシュ標高データ
メッシュ
標高
データ
標高データを抽出し三次元化
(ブレークライン等の補完)
数値標高モデル
(DEM)を構成し
メッシュ標高データ
を作成
既存の地形データ(DM 等)を利用する 303-6-2 既成のアナログ図からマップデジタイズ方式で地形データを取得
デジタルデータが無くアナログ地形図を利用する場合、マップデジタイズ方式による標準的な流れを図
26 に示します。又、造成前の自然地形を数値化するイメージを図 27 に、造成後の人工地形をブレークラ
イン方式で補完するイメージを図 28 に示します。造成後の人工地形におけるブレークライン補完は、図上
で設定する場合と、現地で比高確認する方法、空中写真測量で補う方法等があります。
図 26 アナログ地形図からマップデジタイズ方式で地形データを取得するプロセス
図 27 造成前自然地形の数値化イメージ 図 28 造成後人工地形の数値化イメージ
(宅盤等をブレークラインで補完取得)
アナログ
地形図
1/2,500,
1/3,000,
1/10,000 等
メッシュ
標高
データ
地形図
画像化
幾何補正・座標変換
地 形
データ
取 得
三次元地
形モデル
構成
既成アナログ図からマップデジタイズ方式で取得する
1.大型スキャナー
で地形図画像を取得
2.地形図の四隅の座標
値等を元に画像に公共座
標を付与し幾何補正
3.画像内の等高線及
び標高点を数値化し、
高さ情報付加4.等高線などの地表
面標高データより3
D地形モデルを構成
5.3D地形モデ
ルよ りメ ッ シ ュ
標高作成 313-6-3 空中写真から地形データを取得
空中写真から地形データを取得するのは、既成数値データが及び地形図(1/2,500 や 1/3,000 クラスの地
形図)が不足する場合に適用します。空中写真測量手法の標準的な流れを図 29 に示します。
空中写真測量においては基準点設定が必要ですが、最新地形図(データ)あるいは旧版地形図をもとに
基準点を図上選定するケースが多く、精度的な検証が行えるよう、数量的に必要十分な数を選定する必要
があります。
図 29 空中写真から地形データを取得するプロセス
空中写真測量により、直接地形データを取得するステレオ図化機の例を写真 4 に示します。
写真 4 ステレオ図化機
空中写真
1/10,000、
1/20,000 等
メッシュ
標高
データ
基準点選定
空中
三角
測量
地形データ取得
等高線・
ブレークライン
三次元地
形モデル
構成
空中写真から地形データを取得する
1.最新地形図上で設
定するケースが多い
3.写真2にあるようなステ
レオ図化システムにより、地
形データをさまざまな方法で
取得可能。
2.公共測量基準に準
じた精度値が目標
4.3D地形モ
デルを構成
5.3D地形
モ デ ル よ り
メ ッ シ ュ 標
高作成 323-6-4 地形データの補完(ブレークライン等)について
ブレークラインによるデータ補完は、等高線だけでは表示しきれない主に造成後の人工地形面について
実施します。ブレークラインは空中写真測量により取得できますので、データ取得に使用する資料がアナ
ログ地形図からの数値化又は DM データを利用する場合に適用します。
地形図では、宅盤などの標高値が確認できないケースがあります。以下に、地形データの補完例を示し
ます。
ブレークライン等による地形データの補完例
くろまる 図上でブレークラインを設定する方法
くろまる 現地で比高確認を行い、不明なデータを補完する方法
くろまる 空中写真測量で補う方法
図 31 に示したような箇所が比較的広範囲にある場合は、
空中写真測量のブレークライン手法によ
るデータ補完が有効です。
くろまる 造成図書を利用する方法
造成地の基礎資料に地形の状況が反映していない場合は、設計図書から造成後の地形データを補
完する方法です。
図 30 は、等高線のデータ上で、谷と斜面の傾斜変換
線を図上でブレークライン設定する方法を示したもの
です(赤いライン)
。変換線はしっかりと地形モデルに
反映されます。
造成前地形のブレークライン設定は、
こうした平坦面
と斜面の傾斜変換線の他、自然河川の護岸線、変形地等
に限られます。
図 30 図上でのブレークライン設定
図 31 現地での比高確認によるデータ補完方法
谷低地
図 31 内の の標高値がわかっている場合、 との比
高を現地で求め の宅盤や の路面の標高値を求
めることができます。小域・少箇所の場合にこうした
現地確認法が有効です。 33地形データ作成は、空中写真測量及びマップデジタイズにより実施する事が基本になります。空中写真
測量の 3 手法(メッシュ法、ステレオマッチング法、ブレークライン法)と、マップデジタイズ法による
データ計測手法毎に比較及び評価を行いました(P34 表 8)。3-7-1 空中写真測量及びマップデジタイズによるデータ計測手法
空中写真を利用した地形データ作成手法は、主に以下の手法を利用しています。
図 32 メッシュ法データイメージ
図 33 DSM データイメージ
図 34 ブレークライン法によるデータ例DSMDEMDSMDEM
メッシュ法とは、設定した正方の座標間隔
で標高データを取得する方法です。
(図 32
にイメージ図例示)
ステレオマッチング法は、隣り合う一対の
空中写真により形成されるステレオモデル
内において、左右写真画像で相関する地物
ポイントを連続的に一致させその標高値を
自動取得する方法で、
基本的には、DSM(数
値表面モデル)データといって、表層上面
のデータを取得します。すなわち、被覆の
ない地盤は地盤高ですが、建物がある場所
では建物面の高さ、樹木があるところは樹
冠の高さで取得されます。
(図 33 DSM デ
ータイメージ参照)
・等高線法 ・メッシュ法 ・ステレオマッチング法 ・ブレークライン法
ブレークライン法は、
地形の特徴線を手動でラインデ
ータ取得する方法です(図 34)
。最も直接的に現況地形
を反映できる方法で、特に道路面、宅盤、人工斜面、水
路等の人工地形データの取得に有効です。
DSM データは、地表面の DEM(数値標高モデル)
データに置き換える必要があります。
すなわち、樹林や建物の高さのデータを取り除き、地
盤高に置き換える処理が必要です。
等高線法とは、地形図作成時の等高線データ作成の要領で地形データを取得する方法で、自然地形の表
現には適しています。
3-7 計測手法別(空中写真測量及びマップデジタライズ)に作成し
たデータの比較と評価 343-7-2 データ計測手法別取得データ比較及び評価
空中写真測量における地形データ取得手法として、等高線法、メッシュ法、ステレオマッチング法、ブ
レークライン法などのバリエーションがありますが、ここでは等高線法を除くデータ計測手法について計
測精度、データ取得の均質性及び効率性等について詳しく検証した結果を表 8 に示します。既成地形図の
マップデジタイズ法も比較のため検証しました。
計測手法 メッシュ法 ブレークライン法 ステレオマッチング法 マップデジタイズ法
しろまる にじゅうまる ×ばつ しろまる旧地形地形の連続性をやや
考慮しにくい
地形の連続性を考慮
可能
樹冠の標高を取得、画質により標高が変わる地形の連続性を考慮
可能、
等高線と標高点
のみのデータ取得
しろまる にじゅうまる ×ばつ しろさんかく
盛土地形
の特徴新地形擁壁をピンポイント
で計測できない
擁壁をブレークライン
として連続的に取得
航空レーザ測量結果を
併用することでより精
度が高くなる
建物が建った範囲も
取得
画質により標高が変
わる
高さを取得できない
擁壁の標高データを
取得できない
盛土の諸元 しろまるしろさんかく にじゅうまる ×ばつ しろさんかく計測精度
(盛土地形範囲)
連続的な地形の特徴
がある 盛土の正確
性がやや低い
盛土地形面の正確性
が比較的高い
盛土地形の範囲を正
確に把握できない
微地形を捉えにくく
盛土地形範囲の正確
性が低い
しろまる しろさんかく にじゅうまる しろまる
均質性
平面位置が決まって
おり差異が出にくい
ブレークラインかど
うかの判断にやや差
異が生じる傾向
機械による作業のた
め、
人為的な差異は生
じない
決まった情報を取得
するため、
差異が生じ
にくい
しろさんかく しろさんかく しろまる しろまる
効率性
モデル作成にやや時
間を要する
モデル作成 約 0.4
日、データ取得 約
7.0 日(2km2)モデル作成にやや時
間を要する
モデル作成 約 0.4
日、データ取得 約
8.4 日(2km2)モデル作成にやや時
間を要するが、
データ
取得は自動
モデル作成 約 0.4
日、データ取得 約
1.0 日(2km2)作業準備の時間が少
ない
モデル作成 約 0.1
日、データ取得 約
5.0 日(2km2)表 8 計測手法別取得データ比較及び評価結果(国土地理院) 35評価結果は、地形特徴線をデータ取得するブレークライン法が、手動取得であるために均質性及び効率
性の点では劣るものの、
地形の形状を正確に表現出来る方法であることから、
今回比較した手法の中では、
総合的に最も優れたデータ取得法であることが検証されました。
くろまるデータ計測手法のうち、ブレークライン法が最も地形形状を正確に表す方法で
あることが検証されました。
くろまる実際のデータ取得においては、造成前地形は自然地形であることから等高線な
どで表現することがふさわしく、造成後地形は人工地形であることからブレー
クライン主体で対応することが適しています。
くろまる対象となる地形形状に応じたデータ取得方法を選択することが重要なポイント
です。 363-8 取得データの精度検証
取得データの精度検証は、実際の精度を検証し確認するプロセスです。この検証結果を、調査業務報告
書の記載要件とします。また、データ検証は、品質評価事項としても位置付けられ、標準的な(製品)仕
様とセットで整備対応する必要があります。具体的には、造成前地形データ、造成後地形データ及びメッ
シュ標高差分計算結果の盛土分布データについて、各工程の段階で精度検証を行います。
3-8-1 造成前・造成後地形データの精度検証
3-8-2 メッシュ標高差分計算データの精度検証
ボーリングデータによる精度検証方法
ボーリングデータで盛土が確認されているものを抽出し、次に盛土の深度を把握し、ボーリング調査位
置における造成前・造成後の差分データを比較します(図 35 参照)。ボーリング調査結果と
比較して盛土厚の
精度はどうか
ボーリンク ゙ No .1
゙ ゙
盛土厚
新地形
旧地形
ボーリンク ゙ No .1
゙ ゙
盛土厚
新地形
旧地形
新地形
旧地形
新地形
旧地形
盛土厚B-1しかく造成前地形データについて、非改変地域のポイントを選び、造成前地形及び造成後地形の標高データに
ついて比較検証を行い、必要に応じて補正を行います。
しかく造成後データは、基本的に現在の地形データに近いので、現地で精度検証を行うことも可能ですが、地
形図データ等との標高の比較対照を行います。また、造成前・造成後地形データそれぞれによる地形モ
デル構成の際に異常点及びエラーデータの抽出とその補正を併せて行います。
しかくメッシュ標高差分データは、基礎資料から作成したデータです。従って標準仕様的には、現地の踏査は
行わないことになっていますが、少なくともエラーにより存在しない盛土が算出される状況はきちんと
補正する必要があります。
しかくメッシュ標高差分データの検証は、異常データの検出と補正処理のほかに、造成設計図書、ボーリング
データ等による検証方法があります。
図 35 盛土厚(深さ)の比較検証イメージ 37造成図書による精度検証方法
実際の造成地における面的形状の確認を行い、必要に応じて開発事業地区ごとの補正を行います。
現地踏査による盛土の確認
ガイドラインでは、現地踏査は一次スクリーニングの工程には含まれていませんが、資料から抽出した
盛土データについて、現地で確認することは有効な検証プロセスとなります。次項に「現地踏査」につい
ての要領を解説します。
表 9 に作成したデータ精度検証の要領(案)を整理しました。
検証項目 検証対象 検証の要領
造 成 前 地 形
データ
経 年変 化 のない
地点で比較検証
標高点については1km2
当たり1点のポイントを選び検証を行い、検証結果に傾向的な差がある場合には、補正の範囲と量について検討し
ます。
水平位置の検証は3km2
当たり1点の密度で行います。
他 の資 料 媒体に
よる比較検証
他の地形図(データ)との標高差を比較し、傾向的な差がある場合は
補正を検討します。検証数は1km2
当たり 1 点とします。
造 成 後 地 形
データ
人 工地 形 データ
の 異常 点 等の点検造成後の地形データでは、ブレークライン法によるデータ取得が主と
なりますが、道路面及び宅盤面の誤りや取得漏れ、異常値、エラーデ
ータについて点検及び補正を行います。
造 成前 地 形図と
差分データ(切・
盛)の整合点検
造成前地形図を背景に、
差分データ
(地形変化量図)
を重ねることで、
不合理なデータ及び異常データを検出しやすくなります。異常データ
の原因を確認し、地形データの補正を行います。
既 存ボ ー リング
デ ータ に よる検証記載されているボーリングコアを参考にして、盛土の厚さについて比
較検証します。ボーリングデータの杭頭の高さを地盤データの基準と
一致させることがポイントです。
造 成図 書 による
データ検証
位置座標基準との整合を行い、盛土区域については、その形状と規模
について比較検証を行います。
メ ッ シ ュ 標
高 差 分 デ ータ現 地確 認 踏査に
よる検証
地形データにより抽出した盛土造成地について、特に盛土の存在の有
無について現地踏査により確認します。現地確認できる対象は、大規
模造成地の周辺と単独の小規模な造成地に限られます。
補正の目安
比較検討する場合に参考とする精度値は、
P13 の表 3-1 及び P19 の表 5 に掲載の精度目安
値です。傾向的な誤差がある場合は、ブロックごとの補正を検討します。
表 9 作成したデータ精度検証の要領(案) 383-9 現地踏査(抽出盛土の確認)
3-9-1 抽出した盛土の確認のための現地踏査
しかく基礎資料による差分データから抽出された盛土箇所について、資料精度の問題から存在しない盛土が算
出されるケースがあります。これを現地の目視踏査により検出することができます。特に、大規模造成
地の周辺部や小規模な開発地で確認が可能です。
3-9-2 評価のための目視調査
しかく目視調査は、一次スクリーニングではオプションですが、対策工の状況、地盤の変状(有無)
、地下水の
様子等を目視観察することは有効です。
しかく二次スクリーニング調査のために優先度評価を実施し、現地の目視踏査の項目を組み入れることで優先
度危険度評価のレベルを上げることが可能です。
しかく現地踏査の意義について、図 36 に整理します。
ガイドライン要件
の対象盛土の抽出
この段階は、基礎資料のみから抽出した盛土造成地形データなので、抽出
箇所について、正しく盛土であるかどうかの点検を実施することが大事で
す。
現地踏査I
(盛土存在の確認)
現地踏査II
(評価のための
目視観察)
点検確認の対象は、比較的小規模な腹付け型盛土や大規模
造成地周辺の盛土部に限られます。
比較的簡単な目視調査で、優先順位付けの評価にとって効果ある
項目(対策工施工の状況、地盤・対策工の変状の有無、地下水の
状況、造成年代等)の追加が可能となります。
資料による盛土土塊の地形要素データだけの評価は、対策工の状況などを
考慮しないので、実際の評価と乖離する可能性があります。
図 36 現地踏査の意義 393-10 盛土造成地の抽出(位置と規模の把握)
3-10-1 盛土タイプの判別について
抽出した盛土造成地形データと旧地形図との重ね合わせを行い、盛土タイプの判別を行います。
(図 37
参照)
造成前地形図
との重ね合わせ
図 37 旧地形図との重ね合わせによる盛土タイプの判別
☞ メッシュ間隔の設定について
くろまる腹付け型盛土は一般的に面積が狭いので、5m メッシュ標高データでは捉えきれない場
合があります。従って、造成規模の小さな区域については、2.5m メッシュ標高データ
で対応する余地があります。
盛土造成地の抽出
ガイドライン要件の
対象盛土の抽出
腹付け型
谷地形・
凹型斜面
凸型斜面・
平行型斜面
谷埋め型
二次スクリーニング
計画のための簡易
危険度評価 40(補足)古い盛土造成地の扱いについて
しかく造成前の地形データを取得する際、盛土を実施した時期が数回に分かれる場合、作成に使用する基礎資
料の時期によって、一番古い盛土を把握できない場合があります。この場合、米軍写真を用いてスポッ
ト的に造成前の地形データを補完することがあります。米軍写真は、資料のもっている歪み等の精度的
な条件から部分的な補完には適していますが、広域を面的に、写真測量を実施することが難しい基礎資
料です。
しかく戦前の造成地については、さらに古い基礎資料に求めなくてはなりません。しかし基礎資料の項で示し
たように、そうした資料は精度的には数m以上の誤差が伴い標準的な精度とは明らかに異なります。こ
れらの地域の抽出盛土域を「古い盛土造成地」として、他の(戦後の)標準的な地域とは区別し扱うこ
とが有意と思われます。しかし、盛土の規模を表すデータの精度は劣りますが、古い盛土造成地の存在
として二次スクリーニングに提供するデータと位置付けられます(図 38 参照)。谷埋め型盛土
腹付け型盛土
古い造成区域
〔資料年代による〕
古い谷埋め型盛土
古い腹付け型盛土
図 38 古い盛土造成地の表示例
3-11 一次スクリーニングで使用するデータの形式
一次スクリーニングで使用するデータの形式は以下のとおりです。41しかく メッシュデータ
・造成前メッシュ標高データ・造成後メッシュ標高データ
(ASCII グリッド形式、CSV 形式、shape ポイント形式)
しかく オリジナル地形データ
・造成前地形データ・造成後地形データ
(等高線データ・ブレークラインデータ・ランダムポイントデータ等:shape 形式、
ASCII グリッド形式等)
しかく 標高差分データ
・メッシュ標高差分データ
(ASCII グリッド形式、CSV 形式、shape ポイント形式)
くろまる「盛土脆弱性評価システム」での運用データ
総プロで作成した「盛土脆弱性評価システム」
(P 資-1)
、とりわけ統計的地形モ
デル解析システムで運用のデータ形式は、ASCII グリッド形式の造成前地形デー
タ及び造成後地形データを用います。
参考資料・解説編
資-1
しかく調査に利用した資料、データ取得方法、データ検証の内容と記録、対象地域の抽出盛土データの精度の
明示、盛土抽出データ・要素・評価等の整理、一覧表作成、調査の経緯等を報告書及び電子ファイルと
して取りまとめます。
しかく報告するリストを、報告資料(表 10-1)及び一次スクリーニング調査報告成果リスト(盛土造成地の位
置と規模の把握等)
(表 10-2)を示します。
(青文字はオプション)
成果品項目 規格 数量
1.調査対象地域図 2部
2.調査対象地域図データ(TIFF) CD-R 1式
3.調査対象地域・基礎調査資料リスト CD-R 2部
4.調査報告書 A4ファイル製本 2部
5.その他資料(除外区域の資料等) 1式
成果品項目 規格 数量
1.調査報告書 (精度検証報告含む) A4ファイル製本 2部
2.地形変化量図(切盛分布図)
(1/5,000) 製本収納 2部
3.地形変化量(切盛分布)データ(shape) CD-R 1式
4.地形変化量図(切盛分布図)画像データ(TIFF) CD-R 1式
5.造成前地形データ(5mメッシュ、 ASCII グリッド形式、他) CD-R 1式
6.造成後地形データ(5mメッシュ、 ASCII グリッド形式、他) CD-R 1式
7.造成前地形オリジナルデータ( shape ) CD-R 1式
8.造成後地形オリジナルデータ( shape ) CD-R 1式9.(古い開発区域)切盛データ(shape) CD-R(参考データ) 1式
10.大規模盛土造成地一覧表 資料製本 2部
11.大規模盛土造成地データリスト(Excel) CD-R 1式
12.盛土(ブロック)カルテ(電子データ) CD-R 1式
13.公表用大規模盛土造成地マップ(1/10,000) 製本(印刷原版) 2部
14.公表用大規模盛土造成地マップデータ(TIFF) CD-R 1式
15.調査報告書電子媒体 CD-R 1式
16.調査参考文献・調査付属資料等 ファイル綴じ 1式
17.その他発注先より指示されたもの 1式
表 10-1 調査報告資料リスト
資-1 報告書の作成
表 10-2 一次スクリーニング調査報告成果リスト
資-2
1.件名 大規模盛土造成地把握のための予備調査業務委託
(中略)
2.調査目的
大地震時に災害の発生のおそれが大きい大規模盛土造成地について、
宅地造成等規制法第 20 条第 1 項に
規定する造成宅地防災区域の指定又は宅地造成工事規制区域内における勧告を行うに当たって必要となる
大規模盛土造成地の状況を把握する必要がある。
本調査は、大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン(以下、ガイドラインという。
)を使用し一次
スクリーニング調査を実施するに当たり、事前調査として、調査対象地域の絞込みや、大規模盛土造成地
の把握のために必要な基礎調査資料の状況の調査及び使用する資料の選択等を行い、しろまるしろまる市における一次
スクリーニング調査を効率的に実施することを目的とする。
3.通則
(1)受託者(以下、
「乙」という。
)は、本調査を実施するにあたり、しろまるしろまる市(以下、
「甲」という。)と詳細な協議を行い、
甲の承認を受けて作業を進めるものとする。
また本仕様書に記載のない事項及び疑
義が生じた場合は、甲と協議の上、その指示に従うこととする。
(2)乙は本調査の主旨を理解し、調査を進めること。
(3)乙は本調査に関するデータの保護に努め、これを甲の承認を得ずに他に公表・貸与してはならな
い。
4.調査内容
(1)調査対象地域の設定
調査の対象は、しろまるしろまる市の行政区域のうち、以下の条件のものを除いた区域とする。
1地形条件から除外する区域
造成前の元地形が平坦地であったと想定される地域。ただし、丘陵造成に関わる谷低地等は除外し
ない。
2) (造成後:現在の状況の)土地利用から除外する区域
1)自然地形区域。
2)宅地造成等規制法第2条第1項の宅地以外の土地の区域。
3)宅地であっても、ゴルフ場等の住宅系以外の土地の区域。
3調査対象区域の絞り込み方法
1)最古 1/25,000 地形図等から、沖積低地及び台地面における平坦地区域を調査対象から除く区域
として抽出する。この判別において、必要に応じ傾斜量データを参考にする。
資-2 調査対象地域の設定等 標準仕様書(案)
資-3
2)前項条件を除く区域について、最新の地形図及び空中写真より、宅地造成に関わる土地利用区
域を抽出する。
3)抽出区域について、地域図及び面積表等の資料を作成し、甲との協議を経て、調査対象地域と
して決定する。
(2)調査基礎資料の選択
1調査対象地域の調査基礎資料の調査
決定された調査対象地域について、造成前地形データ取得のための基礎調査資料を特定するため、各
年代の1/25,000 地形図等を使用し、以下による資料年代を確認する。
1)昭和 20 年代以前(旧版 1/25,000 地形図等を利用する年代)
2)昭和 20 年代(米軍航空写真が使用できる年代)
3)昭和 30 年代以降(1/3000 地形図他が使用できる年代)
年代が細かく交錯する地域は、必要に応じて重複する資料として確認するものとする。
2造成前地形データ取得資料の特定
前項の資料年代区分によって、
該当するデータ取得のための基礎調査資料として具体的な数量等も含
め調査し、選定する。
(3)調査対象区域図の整理
1/10,000 地形図をベースに、大規模造成地を含む一次スクリーニングの調査対象地域、造成前地形
把握資料区分及び空中写真利用区域の使用予定写真位置図等を整理する。併せ、地域別調査対象地域面
積表を整理する。
5.報告書の作成
調査報告書を作成する。また、打合せ等を行った場合は、その都度議事録を作成し、甲に提出すること。
6.成果品
成果品は以下の通りとする。
(1)報告書(A4版、ファイル綴じとする) 2部
(2)調査で作成した電子データ 一式
(以下略)
資-4
1.件名 しろまるしろまる市大規模盛土造成地の変動予測調査
一次スクリーニング調査(大規模盛土造成地の位置と規模の把握)業務委託
(中略)
2.目的
大地震時に災害の発生のおそれが大きい大規模盛土造成地について、宅地造成等規制法第 20 条第 1 項
に規定する造成宅地防災区域の指定又は宅地造成工事規制区域内における勧告を行うに当たって必要とな
る大規模盛土造成地の状況を把握する必要がある。
本調査は、
「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン」
(以下、ガイドラインという。
)をもとに、
調査対象地域及び調査対象地域の基礎調査資料をもとに、一次スクリーニング調査を実施することを目的
とする。
3.調査の基準
本業務の調査は、本仕様書に基づき実施するほか、以下の諸基準によるものとする。(1)「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説(案)」(国土交通省、平成 20 年 2 月)(2)「人工改変地形データ抽出のための手順書(案)」(国土地理院、平成 22 年 2 月)(3)「公共測量―作業規程の準則」
(日本測量協会、平成 20 年 6 月)及び「同解説と運用」
(同、平成
21 年 2 月)
4.調査区域
しろまるしろまる市の一部(〜地区都市計画区域)の調査対象区域しろまるkm2
とする。
(別図 10,000 調査対象地域図参照)
5, 大規模盛土造成地の把握の作業構成
1 昭和 20 年代 1/25,000 旧版地形図及びしろまるしろまる市旧版地形図(1/3,000 等)を参考に、戦後の開発造成
地域と戦前の古い開発造成地域とを判別し、前者を標準仕様による調査地域とし、後者を資料精
度リスクが大きいことによる参考データ地域(
「古い造成地」
)と設定する。
古い開発造成地域については、標準的な精度に及ばないため、参考データと位置づける。
2 戦後の開発造成地域である標準仕様による調査対象地域については、造成前・造成後地形データ
取得用基礎調査資料より求めることとし、1/5,000 地形変化量図(切盛分布図)を作成するものと
する。切盛については、±2m 以上の区域の表示を標準とする。
3 公表用大規模造成盛土マップは、縮尺 1/10,000 を標準として、区分図単位で作成し、調査により
抽出した大規模造成盛土地、宅地造成工事規制区域、防災関連施設等を表示するものとする。
資-3 一次スクリーニング調査(大規模盛土造成地の位置と規模
の把握)標準仕様書(案)
資-5
6, 業務内容
(1)計画準備・基礎資料収集
1 調査実施に当たり必要な基礎調査資料(資料 1)を収集するものとする。
2 資料内容の確認を行い、業務全体の方針、細部仕様及び業務実施体制について計画書を作成し、監
督職員に提出するものとする。
<表1>収集する資料一覧(例)
(2)造成前地形データの取得
1 戦後の新しい開発造成区域について、複数の資料により造成前地形データを取得する場合、標準とし
て 2m 等高線あるいは 5m メッシュ標高を標準として取得するものとする。
2 空中写真及び米軍写真の利用については、最新地形図(DM データ)等より基準点を選定し、空中三
角測量を実施することを標準とするが、決定調整精度は公共測量基準に準ずるものとする。ただし、
米軍写真利用においては、最近の空中写真使用のケースに対し 120%程度の誤差を標準とする。
3 古い開発造成地域については、旧版 1/25,000 地形図等資料による等高線の数値化を基本とするが、
資料から地形が復原できない状況にある場合は監督職員と協議確認し、場合により調査不能区域と設
定する。
4 造成前地形データ取得については、使用した基礎調査資料別に取得精度を報告するものとする。
収集する資料項目 数量 取得形態
1.造成後地形データ取得に関する資料
最近の 2,500DM データ(CD-R) 1式 貸与
1/2,500 都市計画基本図(印刷図) 1式 貸与
1/25,000 地形図(データ) 1式 購入(対象区域全体)
2.造成前地形データ取得に関する資料
空中写真(昭和 36〜38 年 1/10,000 級) 1式 購入(または貸与)
旧版 1/3,000 地形図 1式 貸与
米軍写真(1/10,000 級) 1式 購入(または貸与)
旧版地形図(1/25,000、他) 1式 購入
最古地形図書類(1/2 万図、文献等) 1式 貸与・購入(古い開発区域)
土地条件図(1/25,000) 1式 購入(対象区域全体)
3.開発関連図書・地質調査資料・災害履歴等 1式 貸与(提供可能なもの)
4.その他開発関連資料 1式
開発区域図 1式 貸与5.「調査対象区域図」及びエリアデータ 1式 貸与
資-6
(3)造成後地形データの取得
1 現況地形データについては、市の最新版 2,500DM データより等高線及び標高点データを抽出する。
2 さらに、主な道路及び法面、宅盤等の、本調査で重要と思われる比較的規模の大きな人工地形面の表
現のため、ブレークラインデータ(地形特徴線ともいう)を補完設定するものとする。
ブレークラインデータの補完方法は、等高線等の標高データを参考に DM データ上で設定することを
基本とし、DM データ内で標高が特定できない場合においては、現地確認あるいは空中写真計測よっ
て補完対応するものとする。
(4)造成前・造成後地形データの標高検証
1 造成前地形データ及び造成後地形データについて、
また次項の差分データ作成と併せ十分な精度検証
を行い、この結果を報告するものとする。
2 検証方法については、主に表2に示す方法で対応するものとする。
<表2>地形データの精度検証の要領
検証項目 検証対象 検証の要領
造 成 前 地 形
データ
経年変化のない地
点で比較検証
地域的な人工改変度の違いも影響するが、標高点については1km2当たり1点程度のポイントを選び検証を行い、
傾向的な差が
ある場合その補正について検討する。
水平位置の検証は3km2
当たり1点の密度で実施する。
造 成 後 地 形
データ
人工地形データの
異常点等の点検
造成後の地形データはブレークラインによる取得が多いが、道路
面及び宅盤面の誤りや取得漏れ、異常値、エラーデータについて
十分な点検と補正を行う。
造成前地形と差分
データ(切盛)の整
合点検
造成前地形図を背景に、差分データ(切盛分布図)を重ねること
で、不合理なデータあるいは異常データが検出しやすくなる。
造成図書によるデ
ータ検証
造成図書については、位置座標基準の整合をはかり、とりわけ盛
土区域について、その形状と規模について比較検証する。
既成ボーリングデ
ータによる検証
ボーリングデータの杭頭の高さを地盤データの基準と一致させ
ることがポイントである。盛土の厚さについて検証する。
差 分 人 工 改
変データ
現地確認踏査によ
る検証
地形データにより抽出した盛土造成地について、特に盛土の存在
の有無について現地踏査により確認する。現地確認できる対象
は、大規模造成地の周辺と単独の小規模な造成地に限られる。
(5)三次元差分計算・差分図(地形変化量図)の作成〜標準仕様調査区域〜
1 戦後の新しい造成発区域について、
造成前及び造成後の地形データそれぞれについて、
三次元数値地
形モデル(DTM)を構成した後 5m メッシュ標高データを作成し、差分計算(造成後メッシュ標高
資-7
-造成前メッシュ標高)を行う(+が盛土領域、-が切土領域)。2 この結果について、前項と同様に差分データの検証を行った上で、有効精度を考慮したプラス領域
を盛土区域、マイナス領域を切土区域とし、表示のためメッシュにカラーリング設定する。また、盛
土領域については等盛土厚コンター(2m 間隔を標準)を作成し、オリジナルの地形変化量図データ
として取りまとめる。
3 標準的には、+2m〜-2m の間を地形変化量の少ない区域とし、+2m 以上を盛土領域、-2m 以下を切
土領域とし表示する。
(6)古い開発区域の参考図(データ)の扱い
1 戦前の古い開発区域については資料精度が大きく異なることから、
参考データとして別扱いとする。
2 具体的には、旧版 1/25,000 地形図等を利用し概略差分データを得ることを基本とし、標準的に±6m
以上を有効データと想定する。
3 表示仕様としては、標準仕様調査区域と併せ±6m以上の切盛分布を縮尺 1/25,000 標準で、切盛概略
一覧図として作成する。
(表示項目は、±6m以上、10m階層の切土・盛土区域及び宅地造成工事規制区
域等とする)
(7)現地確認
1) 造成前地形で急傾斜、急崖の区域は、資料の水平誤差が大きく標高精度にも影響する。また、一般
に大規模造成地の谷埋め盛土の現地確認は困難であるが、
造成地縁部や腹付け盛土箇所は比較的現地で
確認できる状況にあることから、これら条件の区域について、差分データ取得後に現地にてデータの検
証を兼ね、盛土位置の確認をすることとする。
2 明らかに現地現況とデータが異なる場合は、差分データの検証にフィードバックし、その原因を把握
した上で再度データの調整を行い、精度的な修正を行うものとする。
3 修正の有無に関わらず、現地確認を含む地域的な精度考察について報告書に記載するものとする。
(8)対象盛土区域の一次絞り込み抽出
「ガイドライン」
の調査対象盛土の一次的絞り込み要件
(面積が 3,000 m2以上の谷埋め盛土、
又は、
原地盤面の角度 20 度以上で、かつ、盛土の高さが 5m 以上の腹付け盛土)の対象地域を、盛切分布
図データより抽出し一覧表を作成する。
(9)点数方式変動確率評価
1 点数方式変動確率評価
対象盛土造成地について、ガイドラインの点数方式による評価、変動確率算定を行うものとする。
評価方式については、
「ガイドライン点数方式」の他、国土交通省(国土地理院)において開発整備
中の「統計的地形情報回帰モデル」対応の「統計的側部抵抗モデル版評価システム」
、あるいは「統
計的三次元安定解析モデル版評価システム」のいずれかによるものとする。
資-8
2 評価(ランク)表作成
評価結果について、危険度の高い盛土造成地より優先度ランクを付し、高ランク盛土造成地につ
いて、地形変化量詳細図、空中写真、現地写真等を整理した資料を作成するものとする。
(10)大規模盛土造成地マップの作成
一次スクリーニングの調査により抽出された盛土造成地について、大規模盛土造成地マップを作
成し、公表のため印刷ないしはホームページ公開用の PDF データを作成するものとする。
5.貸与資料
前掲表1のうち、貸与する資料 1式
6.成果品
本業務において報告する成果品は、別表に示すものとする。
資-9
調査費用の積算のための、設計項目フローを示します。
資-4-1 調査対象地域設定等の設計項目フロー
1.作業計画
2.調査対象地域の設定
3.基礎調査資料選択
2 基礎調査資料の整理
4.調査報告資料作成
項 目 数量設定 備 考
1 資料収集・整理
2 除外区域判読(平坦地)
3 除外区域判読(自然地)
1 資料調査・選択
全体計画。打合せ。
調査対象地域について必要な基礎調査資料を
リストアップ
盛土造成地把握のための造成前地形データ及
び造成後地形データ取得のための基礎資料を
選択。
行政面積又
は設定区域
調査対象
地域面積
(見積時
は想定)
行政面積又
は設定区域
行政面積
又は
設定区域
調査対象地域を絞り込む
収集する資料の調査・選択・収集・整理。
除外区域(平坦地等原地形区分)の判読抽出。
全体から除外区域の合計を除いた地域を調査
対象地域とする。
除外区域(自然地形)の判読抽出。
除外区域(宅地以外の造成地)の判読抽出。
5 調査対象地域の設定
4 除外区域判読(宅地外)
調査対象地域図及び一覧表について、
それぞれ
範囲(面積)と使用予定資料を明記。
調査報告書作成。
数量は、行政面積が該当するが、山林等の自然地形や完全な沖積低地、埋立地等の明らかに
除外できる区域をあらかじめ除いた面積でも良い。
図 39 調査対象地域の設定等の設計項目フロー
資-4 発注用設計項目フロー
資-10
資-4-2 造成前地形データ取得の設計項目フロー
図 40 造成前地形データ取得の設計項目フロー
1.作業計画
2.資料収集・調達
C.旧版 1/3,000 図利用
E.旧版 1/25,000 図利用
項 目 数量設定 備 考
1 ブレークライン補完
2 地形データファイル
1 画像化・幾何補正
全体計画。打合せ。
一部区域を旧版 1/3,000 図利用
調査対象
地域面積
選択資料・手法
の合計面積が
調査対象地域
面積
資料の収集。
既存数値データ利用。必要な補完を実施
造成前地形のブレークライン取得はごく僅か。
造成前の地形を等高線データ主体で取得。
一部区域を空中写真利用
机上選定の基準点を用い空中三角測量を実施。
4.造成前データ精度検証 造成前地形データの精度検証を行う。
戦前の古い造成地の造成前地形データを取得。
A.最新 2,500DM 利用
B.空中写真利用
1 空中三角測量
3.地形データファイル
2 地形データ取得
地形モデルを構成できる地形データファイルを整理。
地形モデルを構成できる地形データファイルを整理。
3 地形データファイル
地形図をスキャニング、座標付けする。
等高線・標高点等を数値取得する。
地形モデルを構成できる地形データファイルを整理。
2 地形データ取得
D.米軍写真(補完)利用
3.地形データファイル
1 空中三角測量
2 地形データ取得
部分的に造成前地形を補完取得するため利用。
机上選定の基準点を用い空中三角測量実施。
造成前の地形の等高線データを補完取得。
地形モデルを構成できる地形データファイルを整理。
5.造成前地形データファイル 調査対象地域全体の造成前地形データを統合。
古い造成
区域面積
調査対象
地域面積
調査対象地域が点在する場合は、写真利用の場合の空中三角測量工程にかかわる費用が増えます。
3.造成前地形データ計測 A〜E は使用する資料・手法により選択する。
資-11
資-4-3 造成後地形データ取得の設計項目フロー
図 41 造成後地形データ取得の設計項目フロー
6.資料収集・調達
A.,既存メッシュ標高の利用
D.最新 1/2,500 図利用
8.造成後データ精度検証
項 目 数量設定 備 考
1 ブレークライン補完
2 地形データファイル
1 画像化・幾何補正
資料の収集。
一部区域を新版 1/2,500 図利用
調査対象
地域面積
選択資料・手法
の合計面積が
調査対象地域
面積
既存数値データ利用。そのまま利用できる。
既存数値データ利用、要ブレークライン補完
造成後人工地形のブレークライン補完取得。
造成後の地形をブレークライン主体で取得。
一部区域を空中写真利用
机上選定の基準点を用い空中三角測量を実施。
9.造成前地形データファイル 調査対象地域全体の造成前地形データを統合。
造成後地形データの精度検証を行う。
B. 2,500DM 利用
C.空中写真利用
1 空中三角測量
3.地形データファイル
2 地形データ取得
地形モデルを構成できる地形データファイルを整理。
地形モデルを構成できる地形データファイルを整理。
3 地形データファイル
地形図をスキャニング、座標付けする。
等高線・標高点等を手がかりに図上ブレークラ
インデータを設定取得する。
地形モデルを構成できる地形データファイルを整理。
2 地形データ取得
E.データ補完
3.設計図書による補完
1 現地比高確認
2 空中写真測量補完
12 及び 14 の資料による場合のデータ補完
資料で不明な地形面高を現地で取得(少数対応)。資料で不明な地形面高を現地で取得(多数対応)。資料にない最新の造成情報を設計図書より取得。
調査対象
地域面積
調査対象地域が点在する場合は、写真利用の場合の空中三角測量工程にかかわる費用が増えます。
7., 造成後地形データ計測 A〜E は使用する資料・手法により選択
資-12
資-4-4 5m メッシュ標高差分計算等の設計項目フロー
図 42 5m メッシュ標高差分計算等の設計項目フロー
10. 5m メッシュ標高取得
11.メッシュ差分計算
項 目 数量設定 備 考
2 ガイドライン要件抽出
4盛土分布図整理
造成前後の地形データから 5m メッシュ標高作成
調査対象
地域面積
造成盛土地
面積
*調査対象面
積の 1/3、
あるいはそれ
以下と想定
差分データより盛土区域に特化し位置と規模
を把握
盛土造成地を区分。盛土の地形要素抽出。
大規模盛土造成地マップに相当する盛土分布
図整理。
簡易の危険度評価を行う
ガイドライン要件にかなう盛土を絞り込み。
点数方式を標準とする評価による変動確率算定。
2.造成後データ取得
1 盛土区域の設定
造成前地形データから 5m メッシュ標高作成
造成後地形データから 5m メッシュ標高作成
5m メッシュの標高差分計算を行う。
12.盛土造成地の抽出
1.造成前データ取得
ほとんどの業務で「第二次スクリーニングの計画」にあたる概略危険度評価・ランク付け及び大
規模盛土マップ(盛土分布図)作成が含まれますので、それらの項目を付加します。
13.第二次スクリーニング
の計画
3.高ランク盛土詳細資料
作成
14.大規模盛土マップ作成
評価ランク
(二次スクリーニング優先度)
を設定。
高ランク盛土造成地の詳細資料を整理(カルテ)。公表を前提とするマップを作成
2.マップの印刷(公表)
15.報告書作成 調査の全体的な資料、データの整理報告。
大規模造成地マップを作成(1/10,000 級)。大規模造成地マップを印刷あるいは PDF 公表。
造成盛土地
面積
*調査対象面
積の 1/3、
あるいはそれ
以下と想定
調査対象
地域面積
1.マップの作成
2.評価ランク表作成
1.点数方式変動確率評価
3 現地踏査(盛土確認) 資料抽出盛土の存在を現地で確認する。
資-5 盛土脆弱性評価システムの選択
(二次スクリーニング計画での危険度評価)
資-5-1 盛土脆弱性評価システムについて
二次スクリーニングを効率的に実施するための計画立案では、盛土の脆弱性(安全性)を簡易に評価す
る必要があります。減災総プロの研究開発では、抽出した盛土形状から盛土の相対的な脆弱性(安全性)
を簡易に評価するシステムも開発されています。この評価システムで必要な入力データは、新旧それぞれ
の地形データ(DEM)のみで、本手順書に沿って作成した地形データを使用することができます。すなわ
ち、一次スクリーニングで抽出した地形データのみを使用して、二次スクリーニング計画立案に有用な盛
土の相対的危険度を知ることができます。
資-5-2 盛土脆弱性評価システムの選択
盛土脆弱性評価システムは、
ガイドライン点数方式と、
新たに考案された統計的地形情報回帰モデル(統計的側部抵抗モデル、統計的三次元安定解析モデル)で盛土の脆弱性(安全性)を評価することができま
す(図 43)
。本評価システムで新旧地形データを読み込むと、自動で盛土・切土分布が表示され、ユーザ
ーは旧地形を参考に盛土の谷軸を指定するだけで、盛土範囲および評価に必要なパラメータ(盛土厚、盛
土幅、盛土の長さ、地山傾斜角、地下水位(地山傾斜角から推定)
)が自動抽出されます。合わせて、予め
選択した評価手法に基づいた脆弱性(安全性)が算出されます。評価結果や盛土範囲、盛土パラメータは、
csv 形式や GIS データとしてエクスポート可能です。
(本評価システムの詳細については、
国土地理院地理
地殻活動研究センター地理情報解析研究室にお問い合わせ下さい。)資-5-3 盛土脆弱性評価システムで使用するデータ形式
図 43 危険度評価に使用する盛土脆弱性評価システム
しかく 造成前メッシュ標高データ・造成後メッシュ標高データ
(ASCII グリッド形式で運用し、
グリッド間隔について、
2.5m、
5m、
10m を選択できます。)統計的地形情報回帰モデル
ガイドライン
点数方式
統計的側部
抵抗モデル
統計的三次元
安定解析モデル
盛土脆弱性評価システム
このシステムで使用するデータ形式は ASCII グリッド形式ですが、他のデータ形式(5m メッシュデー
タ:CSV 形式、shape ポイント形式等)については、ASCII グリッド形式に変換して用います。
資-13
資-14
資-6-1 大規模盛土造成地マップの作成
しかく抽出した盛土区域の位置と規模に関する地図情報を、今後の事業管理の用途に供することも踏まえ、整
理し「大規模盛土造成地マップ」として作成します(縮尺 1/5,000〜1/10,000 が標準)。しかく図 44 に盛土分布図の図例を示します。
図 44 盛土分布図例(メッシュ標高差分方式)
凡例の盛土地形変化量が+の領域が盛土地形に当たります。
資-6 大規模盛土造成地マップの作成
資-15
資-6-2 大規模盛土造成地マップの公表
しかく一次スクリーニング調査の最終段階で、
「大規模盛土造成地マップ」を公表するごとになっています。地
図の縮尺は 1/10,000〜1/25,000 程度が適当と思われます。図 45 に図例を示します。
図 45 公表用盛土分布図例
資-16
盛土箇所毎に盛土カルテ(表 11)を作成します。盛土カルテの記載事項は、盛土区域図(1/2,500)
、所
在地、タイプ、整理番号、盛土要素データ、居住戸数、保全対象の存在、概略評価、調査優先度、現地写
真、現地踏査記述のほかに、二次スクリーニング調査項目を設け、盛土の地図情報と合わせた GIS を用い
て事業管理することが有効です。
資-7-1 盛土カルテの整備と運用
「盛土カルテ」は、一次スクリーニングで抽出した盛土について、盛土ブロックあるいは盛土区分ごと
に、位置と規模を表示した盛土分布図とその他の調査情報を、二次スクリーニング調査により得る項目と
あわせ、カルテとして整理し、二次スクリーニング調査や防災区域の指定、対策工施工管理等の記録とし
て整備し運用するものです。
盛土カルテのフォーム例を表 11 に示します。
資-7-2 大規模盛土管理 GIS の活用
盛土カルテの背景にある、多くの盛土情報をデータベース化し、必要な書式としての「盛土カルテ」を
逐次更新し、盛土ブロック図の地図情報とを有効にリンクさせることで、
「大規模盛土管理 GIS」
(仮称)
が構成・運用できます。
資-7 盛土カルテ運用と宅地盛土 GIS 活用(オプション) 資-17
自治体名 ブロック名 盛土ブロックカルテ 作成年月日 カルテ番号
場所 現地踏査 盛土ブロックの概況
調査年月日
被災履歴
地表変状
構造物
変状
ブロック居住 世帯数 人口
地形 履歴 土質
第一次 SC
一次評価
安定度
変状 総合判定
平面図
(位置図)
第二次SC調査対象 可 ・ 否 調査優先順位
盛土ブロックの状況 第二次スクリーニング調査 調査年月日
平面形 微地形
旧地形
(地山) 地質構造
土質調査
ボーリング
盛土の高さ m 最大層厚 m
最大幅(水平) m 長さ(水平) m
面積(水平) m2
平均斜度 °
盛土地形
面積(傾斜) m2
土塊量 m3
変動機構
粘着力 t/m2
内部摩擦角 °
土質定数
単位体積重量 t/m3
想定総重量 t
変動面
の判定
評価/対策工 二次評価 対策工優先順
地質構成
地下水位等
対策の考え
有効対策工表11
盛土カルテの整理項目例
資-18
【事業全体・調査大項目】
大規模盛土造成地 宅地等の大規模造成地の開発では、
原地形の谷や沢等の低い土地は埋土又は盛
土を行います。
大規模盛土造成地の
変動予測調査
宅地造成等規制法第二十条第一項の災害の発生のおそれの大きい大規模盛土
造成地について、
造成宅地防災区域の指定又は宅地造成工事規制区域内における
勧告を行うに当たって必要となる調査です。調査対象地域において、谷埋め型の
盛土造成地では面積 3,000m2
以上、腹付け型の盛土造成地では原地盤の傾斜が
20°以上で盛土の高さ5m以上の大規模盛土造成地の位置と規模を正確に把握(一次スクリーニング)し、それらの盛土が滑動崩落の危険性をどの程度孕んでいる
かについて詳細な地質調査を含め評価する(二次スクリーニング)一連の調査で
す。
大規模盛土造成地の
変動予測調査ガイドラ
イン及びガイドライン
の解説
大規模盛土造成地の変動予測調査の調査手法を示したものが、
ガイドラインと
その解説で、
「ガイドラインの解説」の最新は平成 21 年 2 月版です。
*本手順書は、
調査対象地域の設定及び一次スクリーニングの範囲についての詳
しい調査手順とその解説を加えたものです。
一次スクリーニング 一次スクリーニングは、
調査対象地域における盛土造成地の位置と規模の把握
等「第二次スクリーニングの計画」及び「大規模造成盛土マップの作成」を言い
ます。第二次スクリーニングの計画は、ガイドライン要件の抽出盛土地について
簡易の危険度評価を行い、二次スクリーニング調査の優先順位を設定する内容
で、大規模造成盛度マップの作成は、調査抽出した盛土造成地の分布状況をマッ
プにより公表する内容です。
二次スクリーニングの
計画
抽出した大規模盛土造成地について、
地形的形態の要素を中心に簡易の危険度
評価(地震時の変動の確率など)を行い、二次スクリーニング調査の優先度を設
定するプロセスです。危険度については別途開発の「盛土脆弱性評価システム」
を活用することができます。
大規模盛土造成地マ
ップの作成
従来、
「宅地ハザードマップ」と呼ばれていた"危険度を評価抽出した盛土地"
の公表であったマップは、
「大規模盛土造成地マップ」として調査で抽出した客
観的な盛土の分布状況を一般市民の方に知っていただくという位置付けに軌道
修正されました。私たちの周りに、これまでの開発で造成された盛土地がどの位
置にどの程度の規模で存在しているかを客観的な情報として共有することで、宅地耐震化事業の基本的な啓蒙を兼ねており、公表することの意義があります。
資-8 用語解説
資-19
宅地造成工事規制区域宅地造成規制法により、
都道府県知事及び指定都市、
中核市又は特例市の長は、
関係市町村長の意見を聴いて、
宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街
地又は市街地となろうとする土地の区域にあって、
宅地造成に関する工事につい
て規制を行う必要があるものを、
宅地造成工事規制区域として指定することがで
きます。
総プロの「地盤脆弱性
把握」
平成 19 年度より3カ年で実施した、
国土交通省総合技術開発プロジェクト
「高
度な画像処理による減災を目指した国土の監視技術の開発」
(以下総プロとい
う。
)において、
「地盤の脆弱性把握の技術開発」が設定され、人工改変地形デー
タの抽出手法の技術開発を行いました。
総プロで検討された開発技術を実務に生
かす上でも、
大規模盛土調査の対象範囲の設定及び一次スクリーニングに当たる
調査範囲について、本手順書を作成しました。
人工改変地形データ
抽出手法の開発
総プロ「高度な画像処理による減災を目指した国土の監視技術の開発」におけ
る「地盤の脆弱性把握の技術開発」において、人工改変地形データの抽出手法の
技術開発を行いました。
特に写真測量における地形データ取得手法の比較評価を
検証し整理しました。
(手順書本文 P34 表 8 参照)
【調査対象地域の設定等 関連事項】
調査対象地域 大規模盛土造成地を抽出するため、
造成前及び造成後の地形データから盛土地
形データを作成します。
この地形データを取得に関する範囲を予め絞り込んでお
く必要があります。この絞り込んだ範囲を調査対象地域といいます。
除外地域 調査対象地域の裏返しとして、調査の対象とならない地域を判別し、この他の
地域を調査対象地域とする方法があります。
調査の対象とならない地域を除外地
域と呼び、1原地形で傾斜がほとんど無い広域な平坦地形、2現在開発されてい
ない自然な地形、
3宅地造成以外の目的の造成地域の3つの地形がこれに当たり
ます。
土地条件図・地形分
類図
除外地域の要素で、原地形の広域な平坦地を確認する資料として、土地条件図
あるいは地形分類図があります。抽出対象は広域な平坦部で、沖積低地や台地上
の平坦面がそれに当たりますが、台地上の浅い谷などは判断に注意を要します。
50m メッシュ標高デー
タ・傾斜量図
除外地域の要素で、原地形の広域平坦地を確認する資料として、土地条件図の
他に 50m メッシュ標高データ(国土地理院)及びこれを元に作成する傾斜量図
を参考にすることができます。適用対象は、沖積低地や台地上の平坦面です。
資-20
調査対象地域の設定 当該自治体の行政区域あるいは、
それに準ずる区域から除外地域を除いた地域
が調査対象地域です。実際には、この範囲より外側に 20m〜30m 程度のバッフ
ァを設定します。
設定に際し、
宅地造成工事規制区域との整合確認を行う必要が
あります。
基礎資料 大規模盛土造成地を抽出する場合、
造成前数値地形データと造成後数値地形デ
ータをそれぞれ取得し、取得したデータの三次元的な差分を取得して、切・盛分
布の地形変化量図を作成します。
造成前、
造成後の数値地形データを得る資料(空中写真や地形図など)を総じて、基礎資料と言います。
基礎資料の選択 基礎資料には、各種アナログ地形図、空中写真、既成数値データ(DM データ、
砂防基盤図データ、
航空レーザ計測によるメッシュ標高データ等)
及び造成設計
図書等があり、調査対象地域の設定の段階で、調査対象地域における造成前・造
成後それぞれの基礎資料について整理し、精度条件や効率性などの判断を行い、
使用する基礎資料を選択します。
(空中写真撮影)標定図空中写真撮影の資料記録として、
空中写真の撮影位置と範囲を表示した
「標定
図」
があります。
国土地理院の空中写真は日本地図センターのホームページで閲
覧できます。その他の同様の空中写真についても同様の標定図があります。
【基礎資料関連事項】
1/3,000 旧版地形図 自治体が昭和 20 年代から 30 年代にかけて都市部を中心に整備した地形図(一部昭和 10 年代整備のものあり)。等高線間隔が 2m で、
標高情報としては現在運
用されている 1/2,500 都市計画基本図と同等と考えられます。
主に造成前の地形
図データの基礎資料として利用できます。
米軍写真 戦後の昭和 20 年代に米軍の GHQ が日本全土を精力的に撮影した空中写真資
料。全国的には 1/40,000 の空中写真でカバーされ、1/10,000〜1/20,000 クラス
の空中写真は、
都市部及び幹線ルートをカバーしています。
国内に残存する米軍
写真のほとんどは原版からの複製であるため、
この空中写真を使用して地形デー
タを作成した時のデータの精度が悪くなります。
米軍写真は、
戦災の影響と生活のため木材が切り出され、
広範にわたって樹木
が無く地表面が確認できます。
旧版地形図
(1/25,000)等
戦前の地形状況を表す旧版 1/25,000 地形図等は、土地利用の変遷を把握する
には十分価値がありますが、
地形形状のデータとして利用する場合、
標高データ
について数m以上の誤差が存在することを前提に取り扱わねばなりません。
資-21
航空レーザ測量 航空レーザ測量によって作成したデータは、
造成後地形データを得る最も精度
的に優れた既存データです。国土地理院では大都市部を中心に 5m メッシュ標
高データを廉価で提供していますが、
国土交通省の実施している広域の航空レー
ザ測量データは、
地方整備局ごとに実施しているので、
データの使用申請等の手
続きを行いデータの形式等を確認する必要があります。
DMデータ 最近の都市計画基本図をはじめとする 1/2,500 地形図はデジタルマッピング
(DM)仕様が基本となっています。2500 レベルの地形図データは、都市計画
の他、河川、砂防、農業等さまざまな目的で広域に整備されているデータです。
本調査では最もよく利用されています。
砂防基盤図データ 2500 レベルの地形図データのうち、平成 14 年度より各県砂防課で整備され
ている砂防基盤図データは三次元データですので、
本調査にとって、
一般の 2500
レベル地形図データよりさらに有用なデータということが出来ます。
ただし、県により整備範囲がばらつきがあるので、その点利用に際し注意が必要です。
既成地形図の数値化
(マップデジタイズ)
既成のアナログ地形図から標高データを取得する場合、
原図を画像化し座標情
報を付加し、
等高線及び標高点データを数値化して三次元情報を付与します。人工地形が卓越するような地域ではブレークラインを設定する必要があります。また宅盤等の地形面高がデータで確認できない場合は、他の方法(現地確認、空中
写真測量等)で補完します。
【地形データ取得関連事項】
盛土の位置と規模の
把握
一次スクリーニングの主体である、盛土の位置と規模の把握は、造成前・造成
後の地形データをそれぞれ取得して地形モデルを構成し、
二次的に得るメッシュ
標高データの差分をとって地形の改変量を求めることが標準的な方法です。(メッシュ標高差分法)従って、差分法では、盛土の位置と規模の把握を同時に行い
ます。
造成前地形データ 調査対象地域について、
造成前の地形図及び空中写真等より造成前地形データ
(標高データ)を取得しますが、差分法における抽出盛土地の精度は、使用する
造成前地形データの精度に支配されます。
それは最近の資料に比べ一般に資料精
度が古く劣るためです。
当時の限られた資料の中からより有意な資料を選択する
ことも調査の大きなポイントとなります。
造成後地形データ 造成後地形データの取得に使用する資料は、
一般に資料の精度が高い場合が多
いですが、
ここでは費用の面から効率的なデータの取得法が検討され、
またデー
タは人工地形面を表すブレークラインデータを効果的に取得することが重要で
す。
資-22
ブレークラインデータ 特に造成後の人工地形を表す地形データとしては、
ブレークラインを取得する
必要性が確認されています。
ブレークラインデータを自由に取得できる媒体は空
中写真ですが、
他の資料、
データにおいても可能な限りブレークラインを補完設
定することが重要です。
ブレークラインデータ
の補完
造成後の地形データ作成には、
ブレークライン法により作成することが効果的
です。既成図のマップデジタイズや既存の DM データ利用の場合、等高線表示
で表せない地形面をブレークライン法のデータ補完は有効です。
地形データ補完(古い
造成)
古い時期の造成前地形データを補完する場合、
米軍写真や旧版地形図を用いま
すが、
後者は標準精度より劣りますので、
差分データ等について区別しておく必
要があります。
地形データ補完(標高
確認;造成後)
造成後の地形データ作成では、
ブレークラインデータを補完するため、
または
不明な地盤面の高さを確認するため、
他の資料や手法を用いてデータを補完をし
ます。
〔→ブレークラインの補完〕
現地での比高確認(デ
ータ補完)
データ等で不明な地盤面高について、
小域であれば、
現地で高さを確認するこ
とが比較的容易に出来ます。
【地形データ(地形モデル)関連事項】
差分法 大規模造成盛土の位置と規模の把握について、造成前・造成後の地形データを
それぞれ取得し、その差をとって改変量を把握する方法が差分法で、メッシュ標
高データにいったん置き換えてその差分をとる方法がメッシュ標高差分法です。
メッシュ差分法 造成前・造成後地形面高の等間隔の標高データ(メッシュ標高データ)の差分
をとり、地形改変の盛・切の分布をとらえる方法がメッシュ差分法ですが、標準
的なメッシュ間隔は 5m です。しかし、腹付け型盛土などは 5m サイズでははじ
かれてしまう可能性があるので、
大規模造成地以外の比較的小規模な造成地が多
数分布する場合には、メッシュ間隔 2.5m で検討する必要があります。
DSM と DEM 空中写真測量でモデルを構成する左右一対の写真画像の画像相関
(イメージマ
ッチングという)により、逐次標高データが得られます。しかしこのデータは、
上空からの表面データで、樹林等の被覆がある場合は樹冠高で、建物は建物屋上
高で、被覆の無い地盤は地盤高を取得します。このデータを DSM と言います。
これに対し地盤そのものの標高データを DEM といい、本調査で必要なデータは
DEM ですので、DSM データが得られる場合は、その標高から樹冠や建物の高さ
を除いた地盤高に補正する処理が必要となります。
資-23
【盛土の位置と規模の把握関連事項】
地形変化量図 差分法などによって、地形の改変(切・盛)の分布が把握できます。メッシュ
差分法の場合、
メッシュごとの標高差分について階層分けしカラーリングにより
色分け表示した地形変化量図として整理しますが、 切・盛分布図又は人工改変
図等とも呼ばれます。
盛土の現地確認踏査 差分法などにより、基礎資料から抽出された盛土造成地は、資料条件によって
は、盛土でない区域を盛土として抽出している可能性もあります。比較的小規模
な盛土がその対象となりますが、
これらの分布は大規模造成地の周辺部や単独の
造成地、そして古い時期の造成地等に該当する例が多く、現地で盛土の有無を確
認することは、それほど手数のかかるものではありません。
盛土区分の方法 盛土の区分については、
ガイドラインの解説の二次スクリーニングに示されて
いますが、
一次スクリーニングの時点からこの区分を意識しておく必要がありま
す。ただし、一連の盛土区域の繋がりについては地形、地質的な連続性の要素が
関わるため、それらの要素が評価に影響する可能性があります。
盛土(ブロック)カルテ 盛土は地すべり地の形態に近い要素が多くあります。
地すべり地を管理するカ
ルテとして、地すべりブロックカルテが運用されていますが、同様に盛土ブロッ
クカルテを、
各盛土区分単位に作成すると後々の調査及び事業展開にとっては効
率的です。また、盛土の地図情報とカルテ(データベース)を組み合わせ、盛土
管理 GIS として展開することも大変有効と思われます。
【盛土脆弱性評価システム】
盛土脆弱性評価システム一次スクリーニングで抽出した盛土地形データを使用して、二次スクリーニン
グの計画(対策の順位付け)を行うため、総プロの中で開発された簡易評価シス
テム。使用するデータは ASCII グリッド形式を標準とし、他の形式の地形デー
タは ASCII グリッド形式データに変換して利用します。
ASCII グリッド形式データ 格子(グリッド)状に規則正しい間隔に点を配列し、その点に標高などの属性
データを付したデータで、
バイナリー
(2 進数)
の形式でなく、
テキスト
(ASCII)
形式で表されたデータを言います。
資-24
 星野 実,吉武勝宏,木村幸一(2009)
:盛土地形データ作成手法の検討,国土地理院
時報 No.119, 93-100 頁
 釜井俊孝・鈴木清文・磯部一洋(1996)平成 7 年兵庫県南部地震による都市域の斜面
変動,地質調査所月報 第 47 巻 第 2/3 号, 175-200 頁
 国土交通省都市・地域整備局(2008)大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン
の解説
 沖村 孝,鳥居 宣之,田中 裕美,大藪 剛士(2006)
:高町団地を対象とした地震時宅
地盛土被災原因に関する考察,神戸大学都市安全研究センター研究報告
Vol.10(20060300) 17-28 頁
 総合的な宅地防災対策に関する検討会(2006)
:総合的な宅地防災対策に関する検討会
報告(案) 参考資料2
資-9 参考図書・資料
【問い合わせ先】
国土交通省 国土地理院 地理調査部 防災地理課
〒305-0811 茨城県つくば市北郷 1 番
TEL 029-864-1111(代表)
FAX 029-864-1804
Homepage http://www.gsi.go.jp/

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