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「国土を測る」意義と役割を考える懇話会
―― 測量関連業6団体からいただいたご意見1
等を踏まえた論点整理 ――
資料1-1でご紹介した論点ごとに、業界団体の方々へのヒアリングで頂
いたご意見を委員の皆様から頂いたご意見に追記しました。
委員の皆様からのご意見は色を薄くしています。また、業界からのご意見
を踏まえ追加したキーワードには下線を付しています。
「国土を測る」意義と役割とはどのようなものか
【論 点】
1 測量が、
生活の中でどのように役立っている
(関与している)
のかに着
目し、体系化(類型化)して表現することが必要ではないか?
2 測量が誰(人・組織)によって行なわれており、またその成果が誰(人・
組織)に役立っているのかを明らかにすることが必要ではないか?
3 測量の結果は、全てのインフラとなりうるものであり他の情報と関連
づけることで、
より有効
(高度)
に活用できる地理空間情報となるが、
こうした点について、どのような説明アプローチが有効か?
4 測量そのものが世の中で役立っているケース(測らないと物事が進ま
ないケース)と、測量によって作られたもの(特に地図)が世の中で役
立っているケースの2パターンで意義と役割が整理できないか?
5 測量の意義と役割とその伝え方について、
国際交流を通じて、
国内レベ
ル、
また世界レベルで意識して取り組めるよう、
わが国の測量界はどう
貢献できるか?
【キーワード】
生活や人とのつながり、測量主体(測る人、組織)の役割、意義と役割
の体系化(類型化)
、統計データ等の他の情報との関係
【頂いたご意見】
○しろまる暮らしとのつながり
(業界から頂いたご意見)
・ 「地図」に対する認知度は高いが、地図ができるまでの過程や、その中で
1平成 28 年 8 月 9 日〜10 日にかけて(公財)日本測量調査技術協会、(一財)日本地図センタ
ー、(一財)測量専門教育センター、(一社)地図調製技術協会、(公社) 日本測量協会、(一社)
全国測量設計業協会連合会の各団体を訪問し、聞き取りを実施した。
資料2-32(狭義の)測量が果たす役割については認知されていない。
・ 国土保全や街づくりに不可欠なもので、人々の命や財産を守る基礎技術。
・ 地図が無料で利用でき、誰でも容易に位置を測れる時代に。ただし、計測
した位置の信頼性(精度など)の理解・興味は希薄なままである。
・ 情報の電子化が進む一方、紙地図へのニーズは引き続きあり、提供媒体の
多様化が進行している。
(委員から頂いたご意見)
・ 測量自体の意義とか役割ということを超えて、測量によって私たちの生活
がどう変わるか、受けられる恩恵とかを示せるとよい。(田中委員)
・ 国土地理院から発信する情報は、日常生活を支え、国民が生きていくため
の国土を知るための情報を提供することがベースで、
それが一番大事。(山﨑委員)
・ 国土地理院の役割は、測量を暮らしに生かし、人が生きていくという視点
で測り、描き、守り続けていると理解している。その中で自然(地球)が動
き基準が変わるから
「測り」
続ける必要があることを理解した。
(田中委員)
測る、描いて何がどういう風に変わるのか、逆にそれがないと世の中どの
ような不便なことが起こるのか。
(田村委員)
○しろまる日常を守る、支える
(業界から頂いたご意見)
・ 防災(被害状況把握、災害対応)や環境(現況把握、保全)への応用が広
がってきた。
・ インフラ整備、防災対応。
(委員から頂いたご意見)
・ 筆界、境界線、海も含め意義に照らすと、生命だけではなく国土の国民の
財産を守るという視点も大事。(清水委員)
・ 国土全体の地図を整備する活用が災害から「守る」だけで良いのか。日常
を支える、日常を守るというところが「まもる」の要素で、災害時だけの
「守る」
はその延長線上に災害対応があるという理解である。 (山﨑委員)
・ 3 つのキーワードにプラスして「支える」(意義と役割の観点)もキーワード
となるのでは。(今村委員)
・ 安心・安全の観点が第 1 回、第 2 回とも無いのでは。測量の成果は交通安
全や防犯にも役立っているのでは無いか。安心・安全の観点も入れてはど
うか。
(田村委員)
・ 災害はたまにしか起こらない。それよりもやはり日常生活のところが重要
なのでは無いか。
(田村委員)
資料2-33○しろまる全てのインフラ
(業界から頂いたご意見)
・ (測量に限らず)リアルタイムな情報提供・情報更新へのニーズが増大
・ ナビゲーションや地図サービスなど、身近な社会生活に関連する情報。
(委員から頂いたご意見)
・ 測量が知れば知るほど重要で、基本中の基本ならばデジタル化やグローバ
ル化と同様に全てのことに関わる全てのインフラとなる意味合いを伝え
られないか。(田中委員)
・ 物を抽象化してわかりやすく示す方法は図と表で示すということ以外な
いことから、国の姿、社会経済活動を抽象化し表現するためには、測量、
地図、統計データが必要となる。このような議論ではセットで議論してい
かないと、全体像が国民の皆様にわかりづらいものとなる。(清水委員)
・ 国土という概念は排他的経済水域まで含めて国土という見方が広がって
いる。それをどうやって測量し表現していくかという視点から国民にその
意義を伝えることも大変重要だと思う。常に海も対象として国土を測ると
いうことの意義を伝えていくべき。(清水委員)
○しろまる地域への貢献
(委員から頂いたご意見)
・ 自治体が地方創生とインバウンドに非常に関心を持っており、地理とか地
形の情報というのが地域活性化の大きな要素の一つになる。(田中委員)
・ 筆界、境界線、海も含め意義に照らすと、生命だけではなく国土の国民の
財産を守るという視点も大事。(清水委員)
○しろまる働き手の見える化
(業界から頂いたご意見)
・ よく「測量」としてイメージされると言われる「道路で機械を覗いている
姿」すら認知されていない。
・ 測量の意義と役割が社会で認知されていない要因の一つとして、多くの測
量技術者が受信的意識に埋没している状況があると考える。
・ 測量の担い手不足が重要であると考えるなら、なぜ人が入ってこないかを
考えることが重要。
・ 測量という行為が社会にどのように役立っているかが認識されていない。
・ ホワイトカラー的な作業に移行しつつある。
(委員から頂いたご意見)
資料2-34・ 資料(三層図)の中で、人が余り表現されていない。唯一、表現されている
ところには実は女性が一人も入っていない。瑣末なことだが、女性が進出
できない分野とのイメージが固定観念としてあるように感じる。 (須田委員)・ 三層図を見て、測量技術者はどこで活躍しているのかがイメージできない。
一層〜三層を支えているのは実際に測量技術者や人が技術を使って支え
ているので、そういう「人」がどこでどのように働いているか見えてくる
ようなアプローチの仕方の説明が必要。(須田委員)
○しろまる国際的な観点
(委員から頂いたご意見)
・ 地理院の持っている技術は非常に高度な技術。そういう技術をアジアの地
域なんかに展開できれば、
非常に大きな国際貢献となる。
地理院の役割も、
国内だけではない広がりが出てくるのではないかと感じる。(山本委員)
・ 国連の UN-GGIM や地名会議など国際的なつながりとの中での位置づけに触
れて、各国の測量・地図作成機関がやっていることの比較をすることによ
り、特徴や存在理由がわかりやすくなるのでは。(森田委員)
○しろまるその他
(業界から頂いたご意見)
・ 国土地理院は、
「国土を測る」民間業者をどのように支援し、育てていくか
をもっと考えるべき。
(委員から頂いたご意見)
・ 資料4(懇話会第 1 回)に、
「○しろまる○しろまるします」という表現があるが、どういう観
点で主語が何かが分からない。
「します」
という表現は国土交通省の中での
国土地理院の役割を国土交通省内に伝えます、と言う感じに受ける。本会
は国土地理院や測量業界が国土を測るということを国民の皆様に伝える
ことを議論するのであれば第2回、3回、4回の議論においては重要なこ
ととなるのでクリアにされたい。(清水委員)
・ 「国土を測る」ところがまだうまく説明しきれていないのではないか。測
量業界団体毎の国土を測る意義も示さないと、このままではオタクがオタ
クのための広報となってしまうのではないか。
(田村委員)
資料2-35「国土を測る」意義と役割をどのように伝えればよいのか
伝える(広報)内容や方法
【論 点】
1 人々の関心に寄り添い常にニュースバリューを意識する広報マインド
をどう根付かせるか?
2 測量の意義と役割について、
人の働きを活写し、
データや数字の含蓄を
盛り込んだ魅力的なストーリーを作ることが必要ではないか?
3 測量に従事する技術者が、自らの仕事の意義と役割を効果的に伝える
ことができ、世の中の人にその存在が見えてくるようにするためには
何をすべきか?
【キーワード】
ストーリーを持たせた広報、
測量の世界に関心を持ってもらえるように
伝える工夫、世の中の人が知りたいことに応える、異業種との連携
【頂いたご意見】
○しろまるニュースバリューを常に意識
(業界から頂いたご意見)
・ G空間EXPOは開催場所の地の利から家族連れなどの参加も増加して
いるが、こうした一般層への普及啓発活動が希薄で、チャンスを活かせて
いない。
・ イベント等における普及啓発活動が個々の実施主体で完結しており、会場
全体における効果的な来場者動線などの戦略がない。
(委員から頂いたご意見)
・ 伝えたいことを伝えるというよりも、世の中の人が知りたいことに応える
という姿勢でないと関心を持たれない。よって、社会の関心と共にという
スタンスが重要である。(田中委員)
・ すでに実施されていることは沢山ある、これらを広報の視点でニュースに
するにはどうしたらいいかということを考える事が大事。(田中委員)
資料2-36○しろまるストーリー性(人が介在)
(委員から頂いたご意見)
・ 一般の方にご理解頂けるように、是非、プロセス、アウトプット、アウト
カムをリスクコミュニケーションにおける、測る、モデル化、可視化、配
信、行動というところで全体を整理してストーリーを見せたらどうか。
(田村委員)
・ ストーリーをタイムライン(時系列)で見せるのも大事。伊能忠敬の地図に
興味を持った人は多いが、それが今どこにつながっているのかが実はなか
なか分からない。基本的な考えは一緒でないか。(田村委員)
・ 技術を支えている測量技術者がどこでどんなふうに働いているのかが見
えるアプローチの仕方の説明が必要。(須田委員)
・ 地理院に入るとどんな人になれるのだろうというところの人が見えてこ
ない。国土地理院の職員になると、こんな活躍ができるというものがある
と良い。
(須田委員)
・ ランドバードはすごくイメージが湧きやすいが、
組織した人達が実際活躍
している様子が見えてこない。
こういう成果(取り組み)を発信する時には、
組織された人が現場で活躍している資料が1枚あったら良い。
(須田委員)
○しろまるかみ砕いた説明
(業界から頂いたご意見)
・ 身近な道具を使って測量の疑似体験を行う事が有効
・ 「○しろまる○しろまるのふしぎ」の本が全国の図書館に配布されているが、建設系のふし
ぎの本がない。
「○しろまる○しろまるのふしぎ」の本を作る。
・ 学校でも分かる出前講座テキストの手引きを作成している。
(委員から頂いたご意見)
・ 国土地理院の地図や資料は一般の人にはちょっと難しいかなと思う。デー
タと数字はそれをつくった者と同じぐらいの知識を持っていないと理解
できないもの。理解し、おもしろさを分かってもらうためには、データと
数字の意味合いの伝え方を工夫するのが大事。(山﨑委員)
・ 広報は、分かりやすくピンとくるような現象の本質を伝えるというよりは、
報道官のように抽象から具象に橋渡しして、それで分かるように伝えてい
くようなことを心掛けるべき。(森田委員)
・ 地図とか測量に関して期待されているのは俯瞰的というよりズームアッ
プした、その場その場で直感的に分かる様なものが報道されるが、我々の
使命としては、もう少しズームアウトして全体がどうなっているかを知ら
せること。ズームアウト、ズームアップして分かるかどうか、この辺を自
資料2-37在に組み合わせて伝えていくことがこの分野(測量・地図)では重要。
(森田
委員)
・ 三層図をお示しされているが、この三層図を一般の人が見ても全く分から
ないし、伝わらないのではないか。私たちのように絵の中の一部にでも関
わっていれば、理解は出来るところもあるだろうが。どうして国土地理院
が必要なのかから始まってはどうか。
(田村委員)
○しろまる伝える人の工夫(スター、第三者)
(業界から頂いたご意見)
・ 世間一般に「広く」
「早く」
「正確に」情報を伝えるには、広報のプロの協
力が必要である。
・ メディアを通じたイメージアップ(人気俳優が建築士役を演じた後、建築
系学科の入学者数が増加した事例あり)
・ ドボジョ・建設小町という言葉があるが、測量に関わる女性の愛称を付け
てみてはどうか。
(委員から頂いたご意見)
・ 国の方は自分を褒めるのがあまり得意でないので、宣伝したいパーツを業
界の人に褒めてもらって、大いに期待を語ってもらうというのも提案され
うる。 (田村委員)
・ 伝わるというのはすごく大事なことであり、社会の関心事を客観的に見極
める必要がある。広報パーソンをはじめ、院内にスター(その道の専門家)
をつくることも進めていただきたい。(田中委員)
・ 地理院にはトップクラスの専門家がいる、社会の視点、受け手の視点でわ
かりやすく
"カッコいい"
肩書を付けても良い。
子供たちの憧れになるし、
マスコミ等においては、専門の方にさらに深く聞いてみたいと思えるきっ
かけになる。
(田中委員)
・ スポーツ界など、一人のスター選手が出てくると親しみとか接点が広がる
ので、国土地理院という存在だけを広報していくのではなく、スター選手
(専門家)的なところを使って接点を広げてはどうか。
(田中委員)
○しろまる技術広報のあり方
(業界から頂いたご意見)
・ 新技術の紹介が脚光を浴びる一方で、測量において現在主流であるような
従来技術に関する情報発信が少なくなっている。
・ 次世代に向けた技術者の体験談集などの取りまとめ。
・ 有名な構造物と測量の関わり、環境と測量などを解説して一般の人に興味
資料2-38を持ってもらう(土木学会の「ドボ博」など)。・ 技術的説明や専門的な事業説明は不要
(委員から頂いたご意見)
・ 国土地理院がつくる地図は、国土の基盤そのもので民間が作るものとは役
割が違う。これら基盤整備のためには技術が重要であるが、国土地理院は
技術の将来をどう描いているか、
そういうものも発信されればいい。
(山本
委員)
・ VLBIもアンテナをつくる技術ではなくて、そこから得られるデータを
解析する技術が重要であり、国土地理院でないとやっていないような純粋
な技術について、もう少し世間の人に伝わると良い。
(山本委員)
・ どうして日々、測り続けていかなければいけないのか。ここのところが一
般の人には分からないのではないか。1 回測れば良いのではと考える。(田村委員)
・ 地理空間情報の会議などに出ても、地理空間情報を使っている人は良さと
か凄さを分かっているが、全体を使って見せるのは難しい。
(田村委員)
○しろまる広報マネジメント
(業界から頂いたご意見)
・ 技や貢献度を客観的に評価する仕組み作り(技術コンテスト、測量マイス
ター認定制度など)。・ 広報戦略には長期的視点が必要、それがなければ一過性の効果で終わって
しまう。
・ 測量の日、G空間EXPO、霞ヶ関見学デー等イベントにおける地図の展
示、出前講座や企業見学対応など。
・ 「測量=基本測量+公共測量」の固定観念からの脱却を図り、森林測量、
農地測量、遺跡測量、建築測量等、多様な分野との連携を図り、連合体と
して広報を広めていくべきである。
・ 測量専門学校や高等専門学校の学生激減も課題。学問と実業という視点、
業界全体での需要や事業の方向性といった視点などを踏まえて検討すべ
き。
・ 業界団体の取り組みが先行し国等は実務的な取り組みが遅すぎるのでは
ないか。
(委員から頂いたご意見)
・ 提供される情報量が減っているところは意識的に確認して対策を講じる
ことが有効。(田中委員)
・ 到達目標を設定し、フォーカスするところを絞り、ターゲットを決めて、
資料2-39定量的な評価が難しいところは定性的な評価を行ってはどうか。(今村委員)・ 宇宙教育でもコスミックカレッジとかスペースキャンプとか子供たち、あ
るいは先生方に対して情報発信をしているが、一番難しいのは、持続性を
どうキープするかである。最初はある種の効果が出てくるが、マンネリ化
する傾向がある。広報は持続性が重要。
(山本委員)
伝えるターゲットと、ターゲット別の対応方法
【論 点】
1 測量の意義と役割を効果的に社会に伝えるため、
誰に、
何を、
どのよう
に(Who, What, How)伝えるか、まず整理すべきでないか?
2 国民(ユーザ)に向けては下流からの発想に立って意義や役割を伝える
ことが重要でないか?
【キーワード】
対象者の明確化、下流からの発想、対象別のアプローチ、担い手確保
【頂いたご意見】
○しろまる総論
(業界から頂いたご意見)
・ 広報は大きく一般向け広報と担い手確保のための広報に分けられる
(委員から頂いたご意見)
・ 広報をしていくときに、まず大事なのは対象者で、対象者を明確(誰に)に
しておく必要がある。(田中委員)
・ ターゲットが定まったらメッセージとメディアを組み合わせて伝える方
法を考える。(田中委員)
○しろまる各論(ユーザ、女性、今まで接点のない人達、国土地理院志望の子供)
(業界から頂いたご意見)
・ 誰もがインターネットを利用する時代であるので、インターネットを活用
した広報の推進が重要。ターゲットごとに適切なコンテンツを提供すべき。
・ 測量の意義と役割を効果的に社会に伝えるため、誰に、何を、どのように
(Who, What, How)伝えるか、まず整理すべきでないか?
・ 一般向け広報では、女性や今まで関心のない層も含め裾野を広げることが
重要。
資料2-310・ 担い手確保のための広報では、ターゲットは短期的には大学生・専門学校
生、中長期的には中学生・高校生。保護者もターゲット。
・ 子の就職にあたっては、母親の関与が大きい。
・ リクルート用のパンフレットに実際に従事している若手技術者の感想を
記載したら、高校生からはこんな仕事もあるのかという感想が担当教師に
寄せられたとのこと。高校物作りコンテスト参加校、農業土木系、測量専
門学校に全て配布。
(委員から頂いたご意見)
・ 測量技術者の分野は女性の進出がおくれている分野であり、積極的に女性
が興味を持ってくれるような、そういうアピールをしていかないと担い手
不足の解消に繋がらない。(須田委員)
・ 広報という観点では、技術者は上流から眺めますが、一般国民はどうして
も下流から見てしまいます。下流からの発想が結構重要で、下流の方に表
現と利用というユーザーに向けたコミュニケーションの部分が存在する。
(森田委員)
・ 全然関心のない人たちの関わりを増やしていくということも広報上は非
常に重要。
例えば、
新しいビル、
建物や、
トンネル、
道路ができるときに、
お披露目や竣工式の際に国土地理院の地図を提供して、地図記号だけでは
ない大人の接点を増やしていく。(田中委員)
・ 地図が大好きで、国土地理院に入りたいが、どんな勉強をしたら国土地理
院の職員になれるのかとお子さんに尋ねられた時に、アドバイスしてあげ
られるような資料があると良い。
(須田委員)
地図を使った広報
【論 点】
1 デジタル地図、
紙地図に関わらず、
欲しいときに地図が見られる、
手に
入る環境がある
(さらに、
それに測量技術者が関与している)
ことを分
かりやすく世の中に提示すべきではないか?
2 地図の分野においても ICT の有効活用を図るべきではないか? ICT
を活用することで、
地図を通じて他の情報を手繰ることができ、
加えて
地図が語る意味まで伝えられる情報提供のあり方を追求すべきでないか?3 体を動かし地図・地理を体感することで、
効果的な広報を追求できないか?4 美術的、
芸術的観点も取り入れて、
コミュニケーションとしての地図の
資料2-311表現に磨きをかける時代に至っているのではないか?
【キーワード】
地図の役割(機能)の重要性、地図へのアクセスの改善、ICT の活用
【頂いたご意見】
○しろまるアクセスの向上
(委員から頂いたご意見)
・ 関心を持ってもらった次の段階で、地図作成や測量に関するアピールをす
るわかりやすい資料や気軽に地形図が買える環境があればいい。(田島委員)・ そこにアクセスすれば地図に関する情報は大体何でも入手でき、芋づる式
に多様な情報が分かるような地図ポータルサイトが広報や普及に重要。
(森田委員)
○しろまるIT 活用による語る地図の実現
(委員から頂いたご意見)
・ 地図を見ただけでは文章がないとどう感じていいか分からない、どう見て
いいか分からないことがある。IT の進化を活用し、語る地図みたいなもの
や地図自体が雄弁なものであるということを解説も交えて発信していく
必要がある。 (田中委員)
・ スマートフォンの普及により子供から大人まで、地図を見る機会が増えて
いること、
その流れを活用できることを考えると良いと思っている。
(田中
委員)
○しろまる地図と体験の組み合わせ
(委員から頂いたご意見)
・ 日本列島球体模型のようなものが皇居前広場にあれば、多くの方が体験で
きアピール観が随分違うと思う。(森田委員)
・ 経緯線をたどっていくようなイベントを通じて、地理を身近に感じ、興味
を持ってもらう仕組みがあったら良い。(森田委員)
・ 地理とか測量に興味を持っていただく時、(パワポ図面などの)概念的な説
明ではなく具体的なモノを紹介したり、触れたり、実際手足を動かして体
験できると良い。
(井田委員)
○しろまる美的センス
資料2-312(委員から頂いたご意見)
・ 描くの「正しさ」に加え美しい、面白さ、見た人の驚きもあると良い。(田
中委員)
・ 陸地測量部の時には、表現のところで美術系の先生が入っていた。伊能図
作成にも絵師が入っていた。また、欧米には「カートグラファー」という
専門的職能が認知されていることも重要な視点。(森田委員)
防災の観点からみた「国土を測る」意義と役割の伝え方
【論 点】
1 自分の地域が持つ固有の特徴(地形、
地質、
植生)に由来して、
起こりう
る災害リスク(履歴と予測)とその対処方法を知ることがこの国で生き
る必須の作法として認知されるが、
測量界は、
地図を使った学びを学校
や社会でどのように支援できるか?
2 作り手の意図と読み手の理解が合致した防災マップの作成・利用プロ
セスをどのように実現したら良いのか?
3 災害発生時の情報が錯綜する時期に如何に正しい情報を伝えられるよ
う関係する組織と意思の疎通を図ることが大切でないか?
4 災害発生時に様々な災害情報が相乗りして One Map として表示され、
それを災害関係者が情報共有できる仕組みをどのように発展させるべ
きか?
【キーワード】
防災における地図の役割(防災マップ)
、地図を読める住民を増やす取
組、日常生活を「守る」延長線に災害対応
【頂いたご意見】
○しろまる地域を知る重要性
(委員から頂いたご意見)
・ 地域を知るのに努力の要る時代になっているが、国土地理院が地理院地図
で標高が見えるようにした取り組みは大事なことだと思う。(山﨑委員)
・ この国は災害と縁が切れないので、地図なり地学なりがきちんと教えられ
ないとこの国で生きていく振る舞いを教えられない。(山﨑委員)
・ 防災に関して、その土地がどういう成因(土質、地形、年代等)でできてい
るかといった情報を組み合わせることにより、起こりうる災害種が分かる
ような少し違った形の価値が生まれることに期待。(山本委員)
資料2-313・ 例えば、GNSS データや気象データを活用したリアルタイムな浸水予測図
をカーナビやスマホ等で表示し、適切な避難を促す仕組みはできないか。
(今村委員)
○しろまる防災マップ(ハザードマップ)
(委員から頂いたご意見)
・ 小さい頃から測量データ(地図)に慣れ、親しむことによりハザードマップ
等の読解力が向上。災害の履歴だけではなく予測についても教育すること
必要。(今村委員)
・ 防災マップ等を読める住民は少ない。読み方が分からないので、読み方、
活用方法について研修とか講習が必要。読める住民が増えれば関心も高ま
り、よりよい防災マップができることが期待。(井田委員)
・ ハザードマップは、市町村単位で完結しているので、読み誤る。隣接自治
体の地形やハザード情報が分からないので危険な方へ避難してしまう恐
れがある。このような問題があることも、周知広報すべきである。(井田委員)・ 防災地図(ハザードマップ)など、作り手が思っているほど読み手に見方・
読み方の能力はない。簡単なものでよいから地図を作らせて見るのが地図
を読む力をつける早道である。(井田委員)
○しろまる情報提供のあり方
(委員から頂いたご意見)
・ SNSなどの利用も高まり、情報の氾濫、混乱を招いている事実があり改
めてきちんとした情報を出すことが大切である。(今村委員)
・ マスメディアの情報は非常に有益だが、場合によっては偏りがあり、その
ため過大に状況が報告され、風評被害が出たりする。より広範囲に、どこ
が本当に被害を受けて、どこが大丈夫だというような正確な情報の発信が
重要。今後の課題。(今村委員)
・ 災害の初期の時点は、どこでどれだけの大きな災害が起きているかがメイ
ンの報道になる。それを一定の段階でどういうふうに正していくかという
ことは大事な観点。その判断は国土地理院や他機関の情報も含めて取捨選
択しながら対応していく。(山崎委員)
・ 災害時に国土地理院の方もテレビなどから、国民に有益な情報(災害に関
する)を提示出来ると良い。(田中委員)
○しろまる情報提供のアイディア
資料2-314(委員から頂いたご意見)
・ 災害が起きたときに、自衛隊や消防の情報、河川や道路の情報が一つにま
とまった、支援とか救助には使えるような地図があったらいい。(山﨑委員)・ 衛星、ドローンやいろんなデータを含む災害情報が末端の自治体まで届く
仕組みが実現することが期待される。(山本委員)
教育の観点からみた「国土を測る」意義と役割の伝え方
【論 点】
1 児童・生徒以上に地理を教えなければならない教員の養成が急務であ
るが、
地理を教諭せねばならぬ教員に、
本来有している地理に対する興
味を効果的に引き出し、彼らの意欲を増す研修のため測量界はどのよ
うに貢献できるか?
2 平成 34 年度から見込まれる高校地理の必修化を機会と捉え、厚みのあ
る地理教育(防災、
地学教育も含む)を初等、
中等、
高等教育それぞれの
段階で実施するための戦略を準備すべきでないか?
3 デジタル教科書など、新たなメディアに対応した興味や関心を引き出
す方策を準備すべきではないか?
4 学際的視点を培い、21 世紀の羅針盤となるべく人材を育成するために
地理・測量の高等教育組織を実現するための方策はいかなるものか?
5 さらに、
測量分野の下支えや将来に向けた人材育成のため、
大学におい
て地図、測量を専門的に学ぶ環境の整備が必要ではないか?
【キーワード】
大学における人材育成の強化、小中高校の地理教育現場への支援、科学
オリンピックとの連携強化
【頂いたご意見】
○しろまる教員の課題
(委員から頂いたご意見)
・ 高校では地理教育がなされていないこともあり、小、中学校でも地理や地
学の学習が一所懸命やられていない中で、地理や地学の知識がないまま教
壇に立つ先生もおり悪循環になっている。(井田委員)
・ 小、中、高校の先生方の教員研修の中で地理や地学といったことをどう広
げていくかということが一つの大きな課題になっている。(井田委員)
資料2-315・ 地理総合が始まると、それを教える先生が大変だと思う。デジタル地図、
GPSとかを駆使して教えるということも目標として掲げられると推察
されることから、それに対応できる先生をどのように作っていくのかとい
うのは大きな課題となる。
(森田委員)
○しろまる初等中等教育の課題
(委員から頂いたご意見)
・ 大学の受験科目で選択できないという理由で高校では地理・地学の履修者
が少ない。これは長じて大きな影響を及ぼしているのではないか?(井田
委員)
・ 知識を得るためにはアナログの経験が必要なので、地理を学校教育の中で
きちんとやっていただきたい。大学受験も地理で受験する学生が増えるよ
うな社会をつくっていく方向にバックアップしていただきたい。
(山﨑委員)○しろまる地理教育のアプローチ
(業界から頂いたご意見)
・ 地理教育の再導入が話題となっているが、地図づくりのおおもとが測量に
あることをしっかりと知識として伝えないといけない。それでないと単な
る地誌的な知識の植え付けに終わってしまう。
・ 子供(保護者同伴)を対象とした地図教室の開催。
(委員から頂いたご意見)
・ 小、中学校でデジタル教科書が出てきており、デジタル教科書が普及する
につれて、興味や関心を引きやすい教材が取り入れられるようになると思
うので、教科書会社に地図とか測量を教材の 1 つとして扱ってもらうのも
普及啓発の道。(井田委員)
・ 地理教育でオリエンテーリングは使えるのではないかなと考えている。タ
イムを競うとかではなくて、ゲーム形式で子供にも大人にも地図を使って
地図を読む力を養う。地図記号も学ぶとかできるし防災力もつく。 (田島
委員)
・ フランスでは子供のころから都市計画に親しんでほしいという取り組み
がある。しかし、それを学校で教えるのは難しいので地域にまちづくりセ
ンターをつくって、そこへ専門の人を配置して都市計画を教えつつ、同時
に先生も作っていくみたいなことをやっている。
(森田委員)
○しろまる科学オリンピックとの関わり
資料2-316(委員から頂いたご意見)
・ 地学オリンピックの募集、実施、表彰のタイミングでのPRも重要。イベ
ントや活動自体をしっかり広報するため、例えば受賞した人を、新たなメ
ディアに取材をしてもらうような働きかけや学校、自治体から発信しても
らう展開を考える。(田中委員)
・ 数学オリンピックと地学オリンピックの受賞者がタッグを組んで新たな
ことに挑戦するなど、面白い企画を工夫できるのでは。(田中委員)
・ 全国児童生徒地図作品展で、
「子供がつくった凄い地図」
のフレーズのよう
に、世の中の関心や親しみに対応する観点でニュースをつくっていく動き
があると、理解と共感が生まれるのでは。(田中委員)
・ 地理オリンピックの参加者はエリートといってもよいが、若い人は違った
価値観で新しい地理観を模索したりするので、彼らの意見を取り入れるこ
とも重要。(今村委員)
○しろまる高等教育の課題
(業界から頂いたご意見)
・ デジタル教科書など、新しいメディアに対応した広報手段を用いるべきで
ないか?
(委員から頂いたご意見)
・ 大学教育の中でも測量とか地図を強化するという、そういう働きかけをし
ていくべきではないかと思う。横断的にある体系を大学で教育していく重
要性が叫ばれているなか、測量や地図は好事例である。(清水委員)
・ 大学の中に地図、測量に関する学部、学科が日本にはない。これが解決で
きれば、この分野の若手もどんどんそこで育っていく。 (森田委員)
・ 大学に学科のない分野は特に技術者の人材不足になっている。大学の中で
測量とか地図の教育組織を充実させるということを通して、測量・地図分
野を活性化させると同時に、将来の人材を育成が必要。(清水委員)