VOL.207 SEPTEMBER 2025
THE MUSICAL INSTRUMENTS AND MUSIC CULTURE OF JAPAN
[日本固有の生き物]ニホンノウサギ
ニホンノウサギは体長約45cmから55cm、体重2.5kg前後で、日本の様々な地域で見られる日本固有種のウサギである。森林・草原・農耕地などに生息し、上あごの切歯が発達していることから、草や木の葉のほか、堅い木の枝、樹皮などを食べる。体毛は外敵から身を守るために周囲に溶け込む茶褐色だが、積雪地帯では冬になると耳の先以外は真っ白になる個体もいる。後ろ足が長く発達しており、時速80kmのスピードで駆けることができる。夜行性のニホンノウサギは巣穴を作らないため、日中は木の根元や岩陰、草むらなどに潜んでおり、警戒心が強いためその姿を見るのは難しい。日本では一年で最も美しいとされる月を「中秋の名月」1といい、その日に月を眺める「月見」2という文化があるが、月の模様から古来より月ではウサギが餅つきをしていると信じられてきた。
- 1. 旧暦8月15日(現在の新暦では9月から10月で、毎年日付が変動する)の夜に見られる月。十五夜ともいう。
- 2. 月を眺めて楽しむ伝統行事。特に中秋の名月と、秋最後とされる旧暦9月13日の名月である「後の月」を鑑賞することを指す。月見では、穀物の粉を水でこねて小さく丸めて蒸したりゆでたりした団子やイモ、クリ、ススキなどを備えて、秋の収穫への感謝を込める。
Photo: PIXTA; Hiroshima City Asa Zoological Park