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VOL.199 JANUARY 2025
[NEW YEAR'S ISSUE 2025] CELEBRATING A BRIGHT NEW YEAR IN JAPAN 新年を飾る華やかな「羽子板(はごいた)


伝統工芸「博多おきあげ」による羽子板(全長92センチメートル)。
日本舞踊や歌舞伎*に登場する演目を表現している。
Photo: 博多おきあげ

日本には、新年を祝う室内の装飾品の一つ、羽子板はごいたがある。その歴史や由来について、福岡県で伝統工芸「博多おきあげ」の技術を継承して羽子板を制作している清水しみず 裕美子ゆみこさんに話を聴いた。

羽子板は、日本ではもともと正月の遊戯「羽根突き」に用いられた木の板で、長方形の持ち手が付いており、バトミントンのラケットを想起させるような形をしている。羽付突きは、ムクロジ**という植物の種に鳥の羽を数枚挿し込んだ羽根を、羽子板で打ち合う遊びだ。羽子板について清水さんは説明する。

「羽子板で羽根***をつく行為には、やくを跳ね飛ばし、災厄を退けるという願いが込められています。16世紀ごろから、羽子板は遊び用の実用品から徐々に華やかな装飾を施した観賞品として変化していきました。現在では、特にお正月に華やかさを添える装飾品として、また、無病息災や魔除け、厄払いの意味も込めて室内に飾るようになっています」


遊び道具として実用的な羽子板とさまざまな羽根の一例。

羽子板で羽つきをする様子。

羽子板の装飾は、当初は木の板に直接絵を描いたものが主流だったが、16世紀に入ると、厚紙や布、綿わたを使って立体的な装飾を施し、人物、あるいは花や自然の情景を表現する「押し絵」を施したものが作られるようになった。福岡では押し絵の技法を「おきあげ」と言い、伝統工芸として今日まで伝えられている。おきあげは、厚紙に布を貼る、あるいは綿をくるませて厚みを持たせた布でパーツを作り、それらを組み合わせて立体的な絵を造形していく。金や鮮やかな赤色といった華やかな、着物でも用いられる上質なシルク生地を使っているという。

「19世紀頃には歌舞伎*が大人気となり、人気役者を描いた羽子板がブロマイドのような役割を果たし、庶民に親しまれるようになりました。押し絵羽子板も高い人気となりました」と清水さんは語る。


伝統工芸「博多おきあげ」による羽子板(全長1メートル)。歌舞伎役者の髪の毛に至るまで立体的に表現されている。
Photo: 博多おきあげ

東京の浅草では、正月に飾るための羽子板を販売する羽子板市が毎年12月に開かれている。

「博多おきあげ」の展覧会の様子。中には全長1メートルの大きな作品もある。
Photo: 博多おきあげ

伝統工芸「博多おきあげ」の技術を継承して三代目の清水さんは、不定期ではあるが作品の展覧会を開催している。展覧会には、海外の方々も多く訪れて作品を楽しんでいるという。「手作業による繊細な作りやデザインに感嘆する声が寄せられます。また、伝統とモダンが融合した魅力を感じ、自国へのお土産みやげにしたいというお話も伺います」と清水さんは話す。

お正月、新年の無病息災を願いつつ、日本の華やかな羽子板を飾ってみてはいかがだろうか。


* 日本を代表する伝統芸能で、音楽や舞踊と一体となった演劇の一つ。17世紀始めころに京都で始まったとされる。
** 高さ15メートル以上になる落葉高木。実がつき、中の種子が黒くて堅く、羽つきの羽根の玉に使う。
*** ムクロジの種子に羽をつけたものを、羽子板で打つ。


By TANAKA Nozomi
Photo: Hakata Okiage; PIXTA

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