身近に広がる、未来を育む有機農業
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ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」
今回のテーマは「身近に広がる、未来を育む有機農業」。
「有機」や「オーガニック」という言葉を知っているかたは多いと思いますが、「有機農業の効果」はご存知ですか? 「有機農業」は、化学肥料や化学農薬を原則使わず、できるだけ環境に配慮した“地球にやさしい農業”で、これにより、田んぼや畑の生き物が増え、地球温暖化防止につながるなどの効果があるんです。その一方で、有機農産物は一般的な農産物と比べると価格が高くなる傾向に。ですが、これには有機農業ならではの課題も関係しているんです。
番組では、学校給食にも広がっている有機農産物の魅力や特徴を、生産現場の様子からひもときます。12月8日の「有機農業の日」にあわせ、全国でマルシェなどのイベントも開催されます。この機会に有機農産物に直に触れながら、有機農業について学んでいきましょう。
[画像:2025年11月9日3ショット(有機農業)]
- ゲスト
- 農林水産省 農産局
農業環境対策課
有機農業推進班 渡邉 智文
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和7年(2025年)11月9日
- 再生時間
- 18分52秒
- 配信終了予定日
- 令和9年(2027年)3月31日
文字で読む
- 杉浦
- 佳菜子ちゃんが好きな給食メニューって何だった?
- 村上
- カレーうどん! 袋に入ってるうどんで、それをお皿の上で4等分か8等分に切って、つけ麺みたいに少しずつ食べるっていうのが、私の世代ははやってた。太陽さんは?
- 杉浦
- カレーうどんは、もうカレーの中にうどんが入ってたけどなー。袋麺じゃなかった。だから、誰の麺が多いか? とか。
- 村上
- 懐かしい。やっぱり、いろいろと違いますね。
- 杉浦
- そりゃ、世代が違うからー。牛乳、瓶だったでしょ?
- 村上
- 瓶でした。蓋を爪で取るのが大変な(笑)
- 杉浦
- 一回り違ってもそこは一緒だった...(笑)
- 村上
- 地域によっても違ったりしますよね。
- 杉浦
- そうなんだよね。カレーうどんもそうだけど、最近はですよ、地産地消だけじゃなくて、佳菜子ちゃんが大好きな「オーガニック」の野菜とかお米を使った給食が出ることもあるんだって。
- 村上
- そうなんですか?! うわー、すごい!
- 杉浦
- 例えば、昨年の例を一部紹介しますと、北海道せたな町内の全小中学校の給食には、有機米のご飯と、有機農業で栽培された大豆で作った「味噌」を使ったお味噌汁が出たんだって。それから、栃木県市貝町の全小中学校では、有機農業で栽培されたレモンを使ったハニーレモントースト。おしゃれだよねー! そして、宮崎県高鍋町では、幼稚園の園児たちのおやつの時間に、調理師と園児たちが一緒に、ホットプレートを使って、有機農業で栽培されたサツマイモで焼き芋を作ったんだって。いいよね!?
- 村上
- いいですね! すごく充実してますね。
- 杉浦
- 食育にもなってるしね。
- 村上
- 私がこどもの頃って、有機農業で栽培されたものが学校給食で出るって、なかったと思います。でも、今はこんなにも給食に広がってるんですね。
- 杉浦
- そうだね。それは、有機農産物を栽培する「有機農業」が、どうしてやさしい農業なのか「こどもたちに知ってもらいたい」って、想いの表れなのかもね。
- 村上
- そうですよね。有機農業は化学肥料や化学農薬を使わない農業で、「地球にやさしい農業」だってことを、皆さんにも知ってもらいたいですもんね。
- 杉浦
- 知ってもらいたいよねー。佳菜子ちゃんはオーガニック食品が大好きだから知ってると思うんだけど、農林水産省が公表している「有機農業・有機食品に関する消費者意識調査」によると、多くの人が「有機」や「オーガニック」という言葉は知ってるんだけど、「有機農業の効果」については、およそ7割の人が「あまり知らなかった」「全く知らなかった」と答えてるんだって。
- 村上
- そうか。私も最初、知ったのは言葉だけだったけど、オーガニックを取り入れたりする中で覚えていった、知っていったっていう部分がありますからね。
- 杉浦
- 確かにね。そこで、今日は改めて「有機農業」について講師のかたに教えていただきましょう。農林水産省農業環境対策課の渡邉 智文さんです。
- 村上
- 渡邉さん、私は、有機農業について少しは知ってるかなと思うんですけど、まだ知らないこともあると思うので、今日は基本的なところから教えてください。
- 渡邉
- はい。まず有機農業とは、先ほど村上さんがおっしゃっていたように、化学肥料や化学農薬を原則使わず、可能な限り環境に配慮した栽培方法です。
- 杉浦
- 確かに「自然にやさしい」というイメージはありますけど、どうして、化学肥料や化学農薬を使わないことが環境にいいのか、そこのところがイメージできていないかたが多いと思うんですけど。
- 渡邉
- そうですね。化学農薬を使わずに農業をすると、いろいろな虫や植物が生息しやすくなって、それをエサにするカエルや鳥も増えます。つまり、田んぼや畑の周りが、いろんな生き物が集まる場所になるんです。実際の例として、有機農業に取り組み、昆虫などの田んぼの生き物が増えることによって、コウノトリやトキが生息できる地域を実現した自治体もあります。こういう「いろんな生き物が共に生きられる環境」を守ることを、生物多様性の保全と言います。つまり、有機農業は農産物を作るだけじゃなくて、「自然のつながり全体を守っていくことにも役立つ農業」というわけです。
- 村上
- では、化学肥料を使わないと、どんないいことがあるんでしょうか?
- 渡邉
- 有機農業では化学肥料の代わりに自然由来のものを肥料にします。例えば、家畜のふんや稲わら、もみ殻、落ち葉などです。これらを発酵させた「たい肥」を土に混ぜると、ミミズや微生物が元気に活動して、その結果、土が本来持っている力が引き出されるんです。
- 杉浦
- 土が水分や養分をしっかりと蓄えて、作物が育ちやすくなったり、病気に強くなったりするんですよね。
- 村上
- 森で木の根っこがぐんぐん育って土を守って、土砂崩れを防いでいるのと似ていますよね。なんか、前に学んだ「ウッド・チェンジ」の話を思い出しました。
- 渡邉
- そうですね。また、自然由来の肥料には炭素がたくさん含まれています。土の中で微生物がそれを分解すると、一部は二酸化炭素として放出されますが、一部は土の中に長く留まります。結果的に大気中の二酸化炭素を減らして土に貯めることになるので、地球温暖化防止につながると考えられています。
- 杉浦
- つまり、有機農業の効果をまとめますと「生物多様性の保全」「良質な土壌づくり」「地球温暖化防止」ということになります!
- 村上
- だから有機農業は、「地球にやさしい農業」って言えるんですよね! 家族や友人から、私、オーガニックおばさんって(笑) 呼ばれてるんですけども、この事実を多くのかたに知ってもらいたいです!
- 杉浦
- そうだね! では、ここからは「有機農業の日(オーガニックデイ)」や「オーガニックビレッジ」についても学んでいきましょう!
- 村上
- 渡邉さん、「有機農業の日(オーガニックデイ)」について教えてください。
- 渡邉
- はい。「有機農業の日」は、有機農業への理解を広めるために作られた記念日です。2016年、有機農業推進法の成立から10年を迎えたことを記念して、民間団体によって「12月8日」が記念日として制定されました。農林水産省でも昨年度(2024年度)からこの日を中心に有機農業や有機食品に親しんでもらう特別な期間を設けて、全国の自治体や企業・団体の方々にご協力いただき、有機農業や有機食品の普及を進めています。
- 杉浦
- その期間が、今年度(2025年度)は、11月14日、今度の金曜日から12月14日の日曜日までの1か月間ですね。
- 渡邉
- はい。期間中は、自治体や企業・団体の方々が、全国各地で有機農業や有機食品に親しめるイベントを開催します。農林水産省ウェブサイト上の「有機農業の日」特設ウェブサイトでそれらの情報を発信しています。サイトをご覧いただくと、オーガニックマルシェなどの情報もチェックできますので、是非、お近くのイベントに足を運んでください。
- 村上
- マルシェは、私、大好きでよく行くんですけど、土日もやってたりするじゃないですか。この期間は、より多くの場所で行われているっていうことですよね。
- 渡邉
- そうですね。
- 杉浦
- ただ、有機農産物は一般的なものよりも少々値が張りますけども...。
- 渡邉
- 一般的な農産物に比べて割高な価格で販売されていることが多くあります。
- 村上
- 改めて、なぜ有機農産物は高価なんですか? 渡邉さん。
- 渡邉
- 有機農業は化学農薬を使用しないので、雑草対策、病害虫対策などにとても手間がかかります。例えば、防虫ネットや粘着トラップを使って害虫が畑に入らないようにしたり、自然由来の素材を利用した資材で虫を寄せにくくしたり、害虫にとっての天敵を防除に使ったり、人力で草取りを行う場合もあります。
- 村上
- 草取りは今でも人の手で行っているんですか?
- 渡邉
- 人の手や草刈り機を使うこともありますが、最近ではロボットを使った雑草管理の技術も生まれています。例えば、田んぼでは水面をかき混ぜて水を濁らせることで雑草が生えるのを抑制できるのですが、この仕組みを応用して、田んぼを泳ぐロボットが開発されていて、生産現場でも使われているんです。
- 村上
- へー! 他にも、有機農業で農産物を生産するには、防虫ネットを張ったり、他の生き物の力を借りたり、本当にいろんな工夫と手間がかかるんですよね。
- 渡邉
- はい。しかも農産物に「有機」と表示するには、「有機JAS認証」を取得する必要がありますが、これには、「田んぼや畑が2年以上有機的に管理されていること」が条件となっているんです。ですから、有機栽培を始めても2年以上たった農産物でなければ「有機」と表示できず、一般的な農業から切り替えるにも時間と手間がかかります。また、有機農業を始めてからも、一般的な農業と比べると収穫量が減る傾向もあるんです。
- 村上
- そうか...。手間もコストもかけているのに収穫量は減ってしまう。だから、一般の農産物より値段が高くなるのは、ある意味当然なんですね。
- 杉浦
- また、一般的な農産物が出荷時に大量輸送されるのに対して、有機農産物は小口に宅配便などを使って店舗に納品することが多いので、流通コストも一般的な農業と比べるとかかりますよね。
- 渡邉
- そうなんです。加えて、小売店の立場からすると有機農産物は、「価格が高い」「大量に仕入れられない」「安定して供給されない」といった理由で、取扱いを増やしにくいという状況もあります。
- 渡邉
- その結果、有機農業に取り組む農家さんは、コストがかかり収穫量は減るのに、販売面で有利になりにくい... という問題を抱えているんです。
- 村上
- それって、どうにかできないんですかね?
- 渡邉
- そうですね。農林水産省では生産者の利益を確保しつつ、消費者の手に届きやすい価格で販売できるように流通の効率化などに取り組んでいます。
- 杉浦
- また、「オーガニックビレッジ」も推進しているんですよね。
- 渡邉
- はい。農林水産省では、「2050年までに日本の耕地面積の4分の1を有機農業にしていく」という目標を掲げています。そのため、地域ぐるみで有機農業の生産から加工、消費まで一貫して取り組む市町村を「オーガニックビレッジ」として応援していて、2030年までに200市町村、創出することを目標に全国各地での産地づくりを進めています。
- 杉浦
- 現時点では、オーガニックビレッジは46都道府県150市区町村だって。
- 村上
- 目標達成まであと少しですね。
- 渡邉
- はい。有機農産物を使った学校給食の取組事例が増えているのも、地域の生産者、事業者、自治体の職員など様々な関係者が力を合わせて、有機農業について学んできたことや、有機食品の消費拡大に取り組んできた結果とも言えるんです。
- 杉浦
- 今年度(2025年)の有機農業の日、特別期間にも、有機農産物を使った給食が振る舞われる地域があるそうですよ。
- 村上
- こどもたちが喜ぶ献立作りは楽しそうですよね。私、もう一つ呼ばれてる名前があるんですけど、妖怪サラダおばけって(笑) その異名を持つ私としては、やっぱり野菜のおいしさを実感できるサラダがおすすめなんですけど、こどもたちにはいろいろな献立を通じて地元で取れた有機野菜を味わってほしいです。
- 杉浦
- 給食で有機農産物を積極的に利用してもらえれば、農家さんも安定的な収入につながりそうですし、どんどん進めていければいいですね。
- 渡邉
- はい。12月8日は「有機農業の日(オーガニックデイ)」です。是非、この機会にお近くのイベントなどに参加して有機農業や有機農産物に理解を深めてください。
- 村上
- 今日の話を聞いて特に注目したのは、「12月8日は「有機農業の日」」です。
- 杉浦
- 覚えておきましょう! 僕は、「地球にやさしい有機農業」。改めて勉強しましょう!
ラジオCM
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