観て聴いて体験しよう! 文化芸術のすすめ
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ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」
今回のテーマは「観て聴いて体験しよう! 文化芸術のすすめ」。
あなたは最近、博物館に行ったり、舞台を観に行ったりしていますか? 「芸術の秋」には、全国で芸術や文化に触れられる機会が広がっています。例えば「文化庁 芸術祭」。終戦の翌年から続く歴史ある芸術の祭典で、期間中には、演劇、文楽、オペラ、オーケストラなど多彩な公演が全国で開催されます。また“文化の日”を中心とした特別な期間「教育・文化週間」には、教育や文化の大切さを知ることで、一人ひとりの人生の充実につながるよう、全国の博物館や美術館、動物園、水族館などが、無料開館や特別展、公開講座などを行っています。
番組では、多様な文化、芸術、自然を生(なま)で感じることの大切さを学びます。是非この機会に、多くの文化芸術に触れてみませんか。
[画像:2025年11月2日3ショット(文化芸術のすすめ)]
- ゲスト
- 文化庁
参事官(芸術文化担当)付
参事官補佐 吉野 千津
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和7年(2025年)11月2日
- 再生時間
- 19分27秒
- 配信終了予定日
- 令和9年(2027年)3月31日
文字で読む
- 杉浦
- 毎年この季節になると、「芸術の秋」という言葉を至る所で聞きますけども、そもそも、なんで「芸術の秋」って言われるようになったのか、佳菜子ちゃん知ってますか?
- 村上
- えー、秋は気候が心地よくて、芸術を楽しむゆとりが生まれるとか?「読書の秋」とか、特に私たちフィギュアスケーターは「スポーツの秋」とか、まあ、おんなじ理由なんじゃないですか?
- 杉浦
- 理由としてはですね、「芸術の秋」という言葉が広まるきっかけになったのは、1918年に刊行された雑誌に「美術の秋」という言葉が載ってから、って言われているんだって。
- 村上
- へー、雑誌なんだ。100年以上前ですよね、すごい! 最初にその言葉を思いついたかた、今なら超一流のコピーライターでしょうね。きっと、いろんな芸術だったり、文化に触れて言葉のセンスを磨いていたんでしょうね。
- 杉浦
- そうだろうね。さあ、そこで今日は「芸術の秋」ですから、みんなに観て聴いて体験してもらいたい注目のイベントや、「教育・文化週間」の取組を、このかたに教えていただきましょう! 文化庁で舞台芸術関係の業務を担当されている吉野 千津さんです。
- 杉浦
- まず注目するのは、今年(2025年)第80回となる、こちら「文化庁 芸術祭」! ということで、佳菜子ちゃん「今年80回」だって。何か思いつかない? 今年は戦後...?
- 村上
- 80年。え? ということは!?
- 杉浦
- そう! つまり「文化庁 芸術祭」は、なんとなんと、終戦の翌年から開催されている芸術祭なんですね!
- 村上
- すごいですねー!!
- 杉浦
- すごいことだよね、これは。
- 村上
- 吉野さん、終戦の翌年って、芸術祭を開催できるような状況じゃなかったんじゃないですか?
- 吉野
- おっしゃるとおりです。でも、土地は戦火で荒れ果て、人々の心は深く傷つき、すさんでいた時代だからこそ、「芸術祭を開催したい」「芸術が必要だ」と考えたかたがいたんです。
- 杉浦
- そのかた、今 日出海(こん ひでみ)さんと言いまして、文化庁、当時の文部省の社会教育局芸術課の課長さんで、その後、初代文化庁長官になったかたなんですよね。
- 吉野
- はい。今さんは、日本において古くから引き継がれているすばらしい文化や魅力的な芸術に触れれば「きっと、みんなの心に希望と勇気が湧いて生活を立て直すことができる」、そんな思いから発案され、様々なかたの協力を得て、芸術祭が発足したんです。
- 村上
- 第1回は、どんな芸術祭だったんですか?
- 吉野
- 戦後間もないので、あまり大きなことはできなかったのでは? と思われるかもしれませんが、実際には1946年の9月から10月の2か月にわたり、東京芸術劇場では歌舞伎、帝国劇場では創作劇や邦楽、日本舞踊、さらに、オペラや洋楽、バレエ、翻訳劇の公演など、バラエティに富んでいたようです。
- 村上
- いろいろありますね! きっと、開催には困難がいっぱいあったと思いますけど、見事にやり遂げた、っていうことですよね。当時の方々の文化や芸術に対する情熱を感じますね。
- 杉浦
- 情熱を感じます...。そして、その情熱は一度も途切れることなく受け継がれて、今年(2025年)、80回目の「文化庁 芸術祭」が今、まさに開催中なんですね! すごいですね。
- 吉野
- そうですね。80年たってもなお「多くの人に芸術に触れてもらいたい」という、根っこにある芸術への熱い気持ちは変わらず、毎年秋に芸術祭を開催しています。
- 村上
- 今年(2025年)はどんなラインナップになっているんですか?
- 吉野
- はい。今年(2025年)は、10月1日から始まり11月30日まで、演劇、文楽、舞踊、邦楽、民俗芸能、オペラ、オーケストラ、バレエなどご用意しておりまして、舞台を観たことのないかたも興味を持っていただける内容になっています。
- 村上
- これから開催される公演にはどんなものがありますか?
- 吉野
- 例えば、大阪市にある国立文楽劇場で開催される「人間国宝の至芸 ―源平の世界を聴く―」。こちらは、「琵琶」「常磐津節(ときわづぶし)」「狂言」「長唄」の人間国宝5人が一堂に介し、源氏と平氏、いわゆる源平の世界を題材にした作品を通して、各芸能の至極の芸を鑑賞できる公演です。
- 村上
- 「人間国宝」と言えば、今年(2025年)話題になった映画を観て人間国宝の芸に興味を持たれたかたも多いと思うので、これは、今、まさに注目の公演ですね。
- 吉野
- そうなんです。近年、映画や動画など様々な視聴環境があり、生(なま)の舞台やコンサートに触れたことがないかたもいらっしゃると思います。ですから、映画や動画で舞台に興味を持たれたら、是非「生(なま)」で、「LIVE」で観て聴いて、その臨場感を体験してほしいんです。生(なま)だからこそ感じる感動があります。例えば、演劇の舞台であれば、俳優の息遣い、伝わる音の振動、ほと走る汗、観客と共に作り上げる舞台は、人々の心に響き、まさに希望と生きる活力を与えてくれます。
- 村上
- 私たちフィギュアスケーターも、もちろん、テレビだと、近くの表情まで観られるところも魅力の一つですけど、やっぱり会場に行くと、滑る音、氷が削れる音だったり、そういうところに感動してくださったりするので、そういうのって、やっぱり、生(なま)で観ないと感じなかったり、会場の空気感も、そこでしか味わえない。もう、話してるだけで、私、鳥肌が立ってるんですけど(笑) 是非、それを感じて、芸術に触れてほしいなと思います。
- 杉浦
- 僕もいろいろな舞台に立たせてもらいましたけども、やっぱり、演者とスタッフさんとお客さんで作る作品だから、生(なま)の臨場感を味わってほしいですね。吉野さん、他にも注目の公演がありますよね?
- 吉野
- はい。沖縄の国立劇場おきなわ大劇場では「波照間島の民俗芸能」が見られますし、東京の新国立劇場では「オペラ「ヴォツェック」」の公演もあります。
- 村上
- オペラは私も大好きで、音楽もフィギュアで使わせてもらったんですけど、オペラって、ちょっと料金が高いイメージもありますよね。
- 吉野
- そうですね。ただ、近年は若いかたにも芸術を生(なま)で体験してほしいと、様々な割引プランを設けている劇場が多く、学生割引やジュニア割引などもあります。まずは、今年の「文化庁 芸術祭」のラインナップをホームページで確認してみてください。
- 杉浦
- さあ、ここからは「教育・文化週間」について伺っていきましょう。
- 村上
- 吉野さん、こちらはどういったものなんですか?
- 吉野
- 「教育・文化週間」(11月1日〜11月7日)は、皆さんに教育や文化の大切さを知ってもらい、もっと関心を持ってもらうこと、そして、教育や文化を通してより良い社会づくりや一人ひとりの人生の充実につなげていくことを目的に、毎年「文化の日(11月3日)」を中心に、全国で様々な教育や文化のイベントが開かれる特別な期間です。
- 杉浦
- 期間中、無料開館される博物館もあるんですよね。
- 吉野
- はい。全国の博物館などでは、この週間にちなんだ公開講座やワークショップなどの特別なプログラムや無料開館なども行っていますので、この機会に、博物館などで織りなされる多様な文化、芸術、自然に触れていただければと思っています。
- 杉浦
- 佳菜子ちゃんは「博物館」って聞くと、何を思い浮かべる?
- 村上
- うーん...。私の部屋にも飾ってある「土偶」とか(笑) 歴史的に貴重なものが展示されているとかですかね。
- 杉浦
- そうね。多くの人は「博物館」って聞くと、そんなイメージがあるよね。でもね、実は、「美術館」や「動物園」「水族館」「植物園」「科学館」「プラネタリウム」、こちらも博物館なんだって! そうなんですよね? 吉野さん。
- 吉野
- はい。博物館の定義を大まかに説明しますと、博物館とは「資料を集めて保管し、調査研究して資料の価値を調べ、その成果を展示やいろいろな方法で発信し、全ての人々に学びや楽しみを提供する機関」と言えます。ですから、歴史的に貴重なものが展示されている施設だけでなく、動植物などの生物や、宇宙、天文、理工や物理など科学を中心とする施設も「博物館」なんです。
- 村上
- そうなんだ! 美術館と博物館の違いがずっと分からなかったけど、一緒なんですね。ということは、「教育・文化週間」中に無料開放している施設や、特別展、公開講座などを開催している施設は、ものすごく多いっていうことですよね?
- 吉野
- はい。「教育・文化週間」に関連した全国の博物館などの無料開館やイベントなどの情報は、文部科学省のホームページ内の「教育・文化週間」のページにまとめて掲載しておりますので、こちらをご覧になってみてください。また、文化庁の「博物館総合サイト」には全国の博物館のリストがありますし、ユニークな取組を行っている博物館の魅力も動画で紹介しています。
- 村上
- へー、全国の博物館を紹介するサイトがあるなんて知らなかったです。国立の博物館などは私もいくつか知っていますし、行ったこともありますけど、きっと、全国には私の知らないような博物館がいっぱいあるんでしょうね。
- 吉野
- そうですね。例えば、静岡県にある「ふじのくに地球環境史ミュージアム」は「100年後の静岡が豊かであるために」をテーマに、人と自然の関係や未来のあり方を考える博物館です。施設は廃校になった高校を活用していて、学校の雰囲気をいかした展示を行っています。
- 村上
- いいですね。学校の雰囲気をいかしてっていうのも。
- 杉浦
- そうだよね。博物館やミュージアムというと、展示物を観たり、学芸員のかたに展示物について説明してもらうのが一般的だよね。でも、この博物館では面白い展示も行っているんですよね。
- 吉野
- はい。単に展示を見て知識を得たり学んでもらうだけでなく、考えてもらえるような展示を意識的に行っていて、来館者とミュージアムが一緒になって地球環境リスクや豊かな暮らし方について意見を交わす対話型展示「地球家族会議」なども行っています。
- 村上
- 名前もいいですね。一方的に説明を聞くだけじゃなくて、来場者からも意見を言えるっていうのも素敵ですし、こどもも大人も一緒になって意見を言い合える場って貴重ですよね。こどもにとって、とてもいい体験になりそうですね。
- 杉浦
- そうだねー。「体験」と言えば、吉野さん、体験に関するイベント紹介に特化した情報提供サイトもあるんですよね。
- 吉野
- はい。国立青少年教育振興機構の「体験活動情報サイト」では、全国の企業・団体などが提供する体験活動プログラムを掲載しています。こどもの成長や学習に役立つ理科や体育、図画工作、道徳などの体験活動プログラムを、地域や時期、対応している教科別に検索できるようになっていますので、こちらも是非、ご覧になって、芸術や文化にも触れる体験を探していただければと思います。
- 村上
- 芸術も文化も、実際に、生(なま)で体験する楽しさ、喜びを感じてもらいたいですね。
- 吉野
- 「教育・文化週間」の期間中、全国の博物館、美術館、動物園などでは無料開館を行ったり、特別展、公開講座などを行ったりしています。また、文部科学省では「学んだことは宝物。冒険に出かけよう!」をキャッチコピーに、「映画 すみっコぐらし」とタイアップしています。皆さんも是非、自分なりの冒険に踏み出してほしいです。なお、「文化庁 芸術祭」では(2025年)11月30日まで、各地で文化庁主催公演や記念公演を実施しています。是非この機会に、実際に観て、聴いて、体験して、文化芸術に触れてください。
- 村上
- 今日の話を聞いて特に注目したのは、「芸術を生(なま)で観て 五感で感じよう」です。
- 杉浦
- 僕は、「親子で、家族で、博物館へ行こう!!」です。足を運ぶというのが大事ですよね。
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また、リコール製品を使い続けるのは絶対にやめましょう。
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