海の日30回記念! 魅力あふれる海と船乗りの世界
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ラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子「日曜まなびより」」
今回のテーマは「海の日30回記念! 魅力あふれる海と船乗りの世界」。
海に囲まれ、海から様々な恵みを受けている日本。海への感謝の気持ちを持ちつつ、日本がもっと豊かになれるよう、その大切さを考える日にしたい、そんな思いで制定されたのが「海の日」。この日が国民の祝日となってから今年は30回記念です。今回は“海”の仕事に携わる「船乗り」に注目! 船は安価で効率的な輸送手段で、日本では貿易量の99パーセント以上、国内貨物輸送のおよそ4割が、船による輸送となっています。そんな私たち消費者に必要な物資を運んでくれている船ですが、今、その船員の人手不足が深刻な状況です。
番組では、船長、航海士、機関士など船員の仕事内容から、進化している船乗りの働き方を紐解き、その魅力に迫っていきます!
[画像:杉浦太陽さん、村上佳菜子さん、国土交通省ゲストの3人が、「海の日30th 海の日記念行事2025」のポスターを紹介。]
- ゲスト
- 国土交通省 海事局 総務課
海洋教育・海事振興企画室長
野村 秀
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和7年(2025年)7月20日
- 再生時間
- 18分26秒
- 配信終了予定日
- 令和9年(2027年)3月31日
文字で読む
- 杉浦
- 7月の第3月曜日、つまり明日は国民の祝日「海の日」でございます!
- 村上
- もう「海」と言えば私たちですよ! 大好きですよ! でも、まだ30回目なんですね。もう、ずっとあるイメージ。
- 杉浦
- そう。夏と言えば「海の日」みたいな。海開きみたいなイメージもあるけどね。今年(2025年)は「海の日」が国民の祝日になって30回目ということで、佳菜子ちゃん、知ってる? 世界でも「海の日」を制定してる国はあるんだけど、それを祝日にしてるのは、日本だけって言われてるんだって。
- 村上
- そうなんだ! 世界にもあるんですね「海の日」って。でも、それだけ「海」は日本人にとって「かけがえのないもの」ってことなんですかね。
- 杉浦
- そうだね。日本は海に囲まれてて、海からいろんな恵みをもらってるじゃん。だから「海の日」は感謝の気持ちを持ちつつ、日本がもっと豊かになるように、海の大切さを考える日にしたいね。「海の日」はそんな思いで制定されている記念日なんだって。
- 村上
- でも...、私は「海の日」じゃなくても、いつでも海、好きですけどね(笑)
- 杉浦
- (笑) 年中海の日やな。間違いない。
- 村上
- もう、ほんと海大好き。
- 杉浦
- そうそう僕たちは海が大好きなんで、時間を見つけては海へ行ってるじゃん。でも、実はですね、多くの日本人は「海離れ」の傾向にあるんだって。実際、海水浴へ行く人の人数はピークだった1985年の10分の1くらいに減ってるんだって。
- 村上
- なんで? こんなに海、素敵なのに。何があったんですか?
- 杉浦
- 理由はいろいろあるみたいなんだけど、今は昔と比べてレジャーが多様化してるでしょ。特に動画見たりとか、ゲームしたりとか、そんな若者も増えてきてますし。美容への関心が高くて、日焼けですよ。シミ、シワが気になるから「海にはちょっと...」というかたが増えてるのかもね。
- 村上
- なるほど。日焼けしたくないかた、多いですもんね。私はもう、太陽に当たって、そばかす育てたい人ですけど(笑)、確かにそうですよね。あと、熱中症とかも気になりますよね。最近の日本、めちゃくちゃ暑いじゃないですか。でもそうやって考えると、海好きの私たちからすると残念ですよね。やっぱり、海に行くだけでリフレッシュできて、心が浄化されて、明日から頑張ろうって思えるじゃないですか。
- 杉浦
- 「海離れ」って、僕たちからは考えられないことだよね。しかも、こういう背景も影響してるのか、困ったことにですね、近頃は「船員」いわゆる「船乗り」など、海の仕事に携わる人も不足してるんだって。ではここからは、今日の講師に教えていただきましょう! 国土交通省海洋教育・海事振興企画室の野村 秀さんです。
- 村上
- 日本はどこも人手不足ですけど、野村さん、海業界も同じなんですね。
- 野村
- はい。海に囲まれている日本にとって、物資を船で運ぶ海運業は極めて重要な産業です。そうした海運業に携わる人の中でも、とりわけ船員のなり手不足は深刻な状況なんです。
- 杉浦
- 船員と言ってもイメージできないかたもいると思うので、簡単に説明しますと、船の最高責任者である「船長」、そして、船を操縦する「航海士」、エンジンなどの管理やメンテナンスを行う「機関士」など、船の上で働く人のことを「船員」と言います。野村さん、船員がいないと出航できないから大変なことになっちゃいますよね。
- 野村
- はい。船は安い価格で効率的に荷物を運ぶことができる重要な輸送手段です。そのため、日本の貿易量の99パーセント以上が船による海上輸送となっています。国内の貨物輸送だけを見ても、およそ4割が船によるものですから、船員がいないと船を出せず、多くの物資が不足して私たちの暮らしは成り立ちません。
- 村上
- それは困りますね。船員さんってめちゃくちゃ重要な存在なんですね。
- 杉浦
- そうですね。ではここで、佳菜子ちゃんに質問です! 給与の高い職業と言えば、何を思い浮かべますか?
- 村上
- 社長!(笑) あと、お医者さんもそうだし、弁護士さんとか?
- 杉浦
- もう、聞く限りそういうイメージありますけど、今、佳菜子ちゃんが挙げた職業に加えて、実は、あまり知られていないんですけども、船員の給与の水準も、一般的な職業の人より高いんだって! 仕事内容が専門性に富んでいて働き方も特殊なので単純には比べられないけど、ざっくり言うと、飲食サービス業や建設業、製造業などすべての産業の一般的な労働者の年収がおよそ460万円。これと比べますと、国内で貨物を運ぶ船員の年収はおよそ700万円。日本と外国との間で貨物を運ぶ船員さん、およそ1,100万円だって。
- 村上
- へー! そうなんですね。意外、知らなかったです。でも、働き方が特殊なんですよね?
- 野村
- そうですね。一般的な職業の方は基本的に短い間隔で家に戻ることもできますが、船員は出航すると、数か月から半年以上、家に帰れないこともあります。
- 村上
- そうしたら、家族になかなか会えなかったり、私の場合だとワンちゃんにも会えないっていうことですよね。
- 野村
- ただ、船を降りた後は、まとめて休みを取ることができます。例えば3か月乗船した後、1か月の休暇を取得して自由気ままな旅に出ることもできるんです!
- 村上
- それは最高! 3か月頑張ったら、1か月家族で一緒に旅行したりできますね。
- 杉浦
- 半年頑張ったら、2か月休みだからね。1年に3か月休みがあるってこと。
- 村上
- 細かく休みがあるより、まとめてあった方がいろんな所に旅行できるし。
- 杉浦
- それでいて、給料もいいから、いろんな所に行けるよね。
- 村上
- 確かに! 興味が湧いてきました!
- 杉浦
- すごい仕事だよね。ということで、ここからは、船員のお仕事内容や進化している働き方について学んでいきます。
- 村上
- 先ほど、船員さんは船の上で働く人で「船長」「航海士」「機関士」などの職種があると伺ったんですけど、もう少し詳しく教えていただけますか。
- 野村
- はい。船員は大きく「職員・オフィサー」と「部員・クルー」に分けられます。職員は国家試験に合格して、国家資格である海の技と書く「海技士資格」を持って船に乗り込む人です。船長、機関長、航海士、機関士、通信士などがこれに当たります。また、部員は職員を補助する様々な仕事を行う人となります。
- 杉浦
- こうした中で、今、特になり手が不足しているのが、日本国内で港から港へ貨物を運ぶ内航船と呼ばれる船に乗る船員なんですよね。
- 野村
- はい。内航船で運ぶのは、製品の素材から生活必需品に至るまで様々な物です。近年は地球温暖化対策としてCO2の削減が求められている中、内航船による貨物輸送はトラックと比べて必要となるエネルギーや排出されるCO2の量が極めて低いので、省エネで環境にやさしい、これからの時代を担う輸送機関として非常に期待されているんです。
- 杉浦
- 今はトラック運転手さんも不足していますから、「船による輸送に切り替えていこう」という動きも社会全体で活発になっていますし、内航船への需要はますます高まりますよね。
- 村上
- 内航船に乗る船員さんは、給与の水準が高くて、まとまった休みも取りやすいっていうことですから、すごく魅力的な職業ですよね。
- 杉浦
- そうだよね。それもそうだけども、船長はもちろん、航海士も機関士もかっこいいと思わない? 僕もね、小型船の免許持ってますけど、大型船を操船するっていうのは、やっぱり夢っていうか、どんな感覚か分かんないし小型船でも難しいからさ。さらに機関士さんなんて、エンジンとかモーターとか規模が違うわけじゃん。それで海外とか行っちゃうわけじゃん。もう、憧れますねー。
- 野村
- そうですね。ひと口に運航と言っても自然が相手ですから、大型船の運航は一筋縄ではいきません。例えば、海底が浅い港や水路に入る時は、船の底がぶつかって座礁しないよう、潮の満ち引きを利用するなど、緻密な計画を立てますし、船を岸壁に着けたり離したりする作業も、高度なテクニックが必要になります。また機関士の場合は、エンジンなどに不具合が生じる前に、異常を感知することが求められます。スキルが上がってくると感覚が研ぎ澄まされて、僅かな変化でもすぐに異変に気付くこともあるそうです。壊れる前に気付いて修理し、船の運航に影響が出なかった時には、非常にやりがいを感じるそうです。
- 村上
- すごいなー。やっぱり、大切な貨物と船員の命を守らなくてはいけないお仕事ですから、責任は重大ですけど、その分やりがいも感じられそうですよね。ちなみに、最も船員に求められるスキルってなんですか?
- 野村
- それは、どの船員にも共通することで「コミュニケーション力」のようです。国土交通省では、海と船の仕事に関心を持ってもらえるよう「海ココ」というサイトを運営しているんですが、こちらで公開している船員の方々のインタビュー記事を読むと、多くの船員がコミュニケーションを大切にしていることが分かります。
- 杉浦
- なるほど。船が出航したら、限られた船員で業務に当たらなければならないから、やっぱり人間関係がギクシャクしないように、コミュニケーションを大切にすることが、安全な運航につながるんじゃないかな。
- 村上
- なるほどねー。コミュニケーション力だったら、私も勉強して頑張ったら目指すこともできたりするんですかね?
- 杉浦
- コミュ力高いもんね。向いてるかもよ? それでね、実は佳菜子ちゃん、近頃は女性の船員も昔に比べると増えてきてるんだって!
- 村上
- そうなんですか?!
- 野村
- はい。ただ、増えてきているとはいえ2023年の女性の船員数は、船員全体の僅か2パーセントに過ぎません。これは古くから「船の仕事は男性の仕事」というイメージが定着していたことや、ハラスメントへの対応や出産・育児などによる退職への懸念もあり、事業者の女性船員採用に対する意識が高くないことなどが、要因の一つだと思われます。そのため国では、今後、働き方が特殊な船員であっても、育児や介護に参加しやすい環境の整備に向けた取組や、ハラスメント対策を重視した取組を進めていこうと考えています。
- 杉浦
- 野村さん、今のお話の他にも船員の働き方改革が進んでいまして、力のいる仕事が自動化されるなど、女性もだいぶ働きやすくなってきてるんですよね?
- 野村
- はい。船の仕事でも、作業の効率化や船員の負担軽減を目的に、デジタル化が進められています。また、どの作業が労働時間に含まれるかを明確にルール化し、「操練」と呼ばれる訓練の時間もきちんと労働時間としてカウントすることで、過重労働の防止を図っています。さらに、効率的に運航できるスケジュールを組むなどの改革にも取り組んだ結果、船員一人当たりの労働時間は着実に減少しています。
- 村上
- そうなんですね。そうした現状を知れば、もっと多くのかたが船員の仕事に興味を持ってくれるかもしれないですね。
- 野村
- そうですね。実は、より多くのかたに、海と船の仕事に関心を持っていただけるよう、7月から8月にかけて全国各地で様々なイベントが開催されています。明日(7月21日)、東京では体験乗船もできるイベント「海の日記念行事2025」を開催します。全国各地のイベント情報の詳細は、海と船の情報ポータルサイト「海ココ」で検索すると見つけられますので、是非、海の日30回記念をきっかけに、海や船の魅力を味わってください。
- 村上
- 今日の話の中で私が特に注目したことは、「船員に興味を持ったら「海ココ」で検索!」です。
- 杉浦
- 僕は「「海の日」30回記念 海と船の魅力をもっと知ろう」です。
ラジオCM
こどもの事故防止週間(CM)
7月14日から20日は「こどもの事故防止週間」です。
夏本番。海水浴や川遊びなど、水辺のレジャーが増える季節です。
こどもの水の事故を防ぐには、大人がこどもから目を離さず、
手の届く範囲で見守ることが大切です。
海の状況や川の流れは、日により、時間ごとに、また天候によっても変化します。
海水浴は、ライフセーバーのいる、遊泳エリア内で。
釣りや川遊びの際も、ライフジャケットを正しく着用させましょう。
こどもは声や音を出さず静かに溺れることもあるため、
わずかな時間でも、水の浅い場所でも油断せず、
大人が見守ることが重要です。
明日のくらしをわかりやすく
♪政府広報♪