赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント
POINT
それまで元気だった赤ちゃんが、何の予兆や病歴のないまま、眠っている間に突然死亡してしまうことがあります。この「乳幼児突然死症候群(SIDS)」は、原因の分からない病気で、窒息などの事故とは異なります。SIDSの予防方法は確立していませんが、いくつかの点に留意すれば、発症のリスクを低くすることができます。
1乳幼児突然死症候群(SIDS)とはどんな病気?
それまで、すくすく育っていた赤ちゃんが、ある日突然、眠っている間に亡くなってしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)」という病気があります。
赤ちゃんが突然亡くなることは、生まれつきの病気や感染症、窒息事故などによっても起こることがあります。しかし、SIDSはそれらと異なり、何の予兆や既往歴もない赤ちゃんが睡眠中に突然死に至る、原因の分からない病気です。
日本でのSIDSの発生数は減少傾向にあるものの、令和6年(2024年)は51人の乳幼児がSIDSで亡くなっており、1歳未満の赤ちゃんの死亡原因としては第5位(令和6年)となっています。
発症するのは、乳児期の赤ちゃんに多いですが、まれに1歳以上でも発症することがあります。また、多くが寒い時期に発生しています。
乳幼児突然死症候群死亡者数の推移
資料:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計」より政府広報室作成
2SIDSの発症リスクを低くするには?
SIDSについて、日本はもとより世界各国で様々な調査研究が行われていますが、原因の解明には至っていません。そのため、予防方法が確立していないのが現状です。
しかし、これまでの研究などから、次の3つのポイントに留意すれば、SIDS発症の危険性を低くするというデータが得られています。
(1)1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせる
SIDSは、うつぶせ、あおむけのどちらでも発症しますが、うつぶせに寝かせたときのほうがSIDSの発症率が高いことが研究者の調査から分かっています。
医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。
この取組は、睡眠中の窒息事故を防ぐ上でも有効です。
(2)できるだけ母乳で育てる
母乳育児が赤ちゃんにとって、いろいろな点で良いことはよく知られています。母乳で育てられている赤ちゃんのほうがSIDSの発症率が低いということが研究者の調査から分かっています。様々な事情があり、全ての人が母乳育児ができるわけではありません。無理のない範囲で母乳育児にトライしてみましょう。
(3)たばこはやめる
たばこもSIDSの発生要因のひとつであるといわれています。 乳幼児の周囲で誰かがたばこを吸うことは、SIDSの発生率を高くすることがわかっています。妊婦自身の喫煙、周りの人が吸ったたばこの副流煙を妊婦が吸う「受動喫煙」も生まれた後にSIDSの発生要因になります。
こどもに関わる全ての大人は喫煙をやめましょう。
SIDSやその予防方法について詳しく知りたい、そのほか育児について不安なことがあるときは、お住まいの都道府県・市町村の母子保健担当課および保健所・保健センターなどにご相談ください。
コラム:11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間」
12月以降の冬期に乳幼児突然死症候群(SIDS)が発症する傾向が高いことから、こども家庭庁では、毎年11月を「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間」とし、発症の予防に対する普及啓発を重点的に行っています。
赤ちゃんをSIDSから守るため、お母さんやお父さんだけでなく、赤ちゃんの身近にいる全ての人も、SIDSについて理解を深め、SIDSの発症リスクを低くする取組に協力しましょう。
[画像:「寝ている赤ちゃんのいのちを守るために」と書かれたポスター]
こども家庭庁 乳幼児突然死症候群(SIDS)普及啓発用ポスター
(取材協力:こども家庭庁 文責:内閣府政府広報室)