食品安全関係情報詳細
資料管理ID
syu06400530535
タイトル
英国毒性委員会(COT)、母体の食事におけるラズベリー・リーフ茶の潜在的健康影響に関する声明を公表
資料日付
2024年11月13日
分類1
--未選択--
分類2
--未選択--
概要(記事)
英国毒性委員会(COT)は11月13日、「母体の食事におけるラズベリー・リーフ茶の潜在的健康影響に関する声明」を公表した。(COT/2024/06、PDF版37ページ)。概要(Lay summary)は以下のとおり。
《序説及び背景》
栄養に関する科学諮問委員会(Scientific Advisory Committee on Nutrition(SACN))は、出産可能年齢の女性を対象とする、政府からの食事に関する推奨事項に影響を及ぼす科学的エビデンスを検討している。当該作業においてSACNを支援するため、「食品・消費者製品・環境における化学物質の毒性に関する委員会(COT)」は、母体の食事に含有される特定の化学物質や製品に由来する毒性のリスクを調査するよう要請された。本声明は、ラズベリー・リーフ茶、又は、錠剤やチンキ剤に含有されるラズベリー・リーフ抽出物を妊娠中に摂取することに起因する潜在的リスクに焦点を当てている。
ラズベリー・リーフには、茶・錠剤・チンキ剤の形態があり、陣痛を誘発・促進し、継続時間を短縮させると信じられているため、最も一般的には、妊娠中に食品サプリメントとして摂取される。オーストラリアにおける最近の研究では妊婦の38%が、2007 - 2008年に掛けて実施された英国の研究では妊婦の約24%が使用していると報告されている。上記のような製剤に加え、英国では数点のラズベリー・リーフ製品が伝統的ハーブ医薬品として登録されている。しかしながら、これらは月経痛の症状緩和を目的とする非妊娠女性用の医薬品である。ラズベリー・リーフを含有する浣腸を提供するクリニックも存在するが、妊婦を対象としている製品か否かは不明である。
《作用機序》
多くの研究は1940年代からが開始されており、ラズベリー・リーフ抽出物が子宮又はその他の平滑筋に及ぼす影響を、無傷の動物体内において、あるいは、動物から単離した子宮・平滑筋を用いて調査されている。これらの研究結果は極めて変動性が高く、平滑筋の収縮を示す研究もあれば、弛緩を示す研究もある。この変動は、抽出物中の成分や試験された抽出物の用量の違い、試験された平滑筋組織の種別、動物の妊娠状態、無傷の動物を用いた試験であるか単離された子宮やその他の平滑筋を用いた試験であるか等の要因によるものと考えられる。ラズベリー・リーフが陣痛に対して及ぼす可能性があると主張されている効果のメカニズムも十分に解明されておらず、有効成分も不明である。数多くのメカニズムが示唆されているが、そのエビデンスは限定的であり、矛盾も認められる。
《毒性学的試験》
実験動物におけるラズベリー・リーフの生殖毒性に関するデータは限られており、マウスを用いて短期反復投与毒性を評価した研究1件のみが確認された。不確実性の別の原因は、ラズベリー・リーフ摂取後のその含有成分の体内における吸収・分布・代謝・排泄に関し、具体的な情報が不足していることである。しかしながら、ラズベリー・リーフ抽出物をマウスに経口投与した場合、静脈内注射した場合よりも毒性が低いことを示すエビデンスも存在する。これから、ラズベリー・リーフ抽出物は経口バイオアベイラビリティが低い、すなわち、摂取後に全身循環に達する毒性成分は少量のみであることが示唆される。
COTはまた、入手可能なヒトのデータも検討している。その中には、オーストラリアにて実施された2件の研究が含まれる。1件目は、病院にて分娩した女性において、妊娠中にラズベリー・リーフ茶や錠剤及び/又はチンキを摂取した女性群を特定し、妊娠中にラズベリー・リーフを摂取しなかった対応する女性群と比較した研究である。得られた結果において、ラズベリー・リーフの摂取に起因する、母親や乳児、分娩への有害影響は確認されなかった。同一グループによる2件目の研究は二重盲検プラセボ対照試験であり、妊娠中の女性をラズベリー・リーフ錠剤投与群とプラセボ錠剤投与群に無作為に割り当てている。有害影響は特定されていないが、ラズベリー・リーフ投与群96人中の4人のみが報告した、便秘という除外可能と考えられる影響が確認されている。しかしながら、COTは、英国におけるラズベリー・リーフ茶の推定摂取量、又は、茶・チンキ・カプセルを総計した推定摂取量は、オンライン情報源から収集したデータに基づくと、当該臨床試験にて試験されたラズベリー・リーフ投与量の最大で4倍以上になる点に留意する。
さらに、COTは、妊娠中に医薬品や化学物質にばく露された女性の妊娠転帰データを収集する国家サービスである、英国奇形情報サービス(UK Teratology Information Service(UKTIS))収集のデータを考慮した。ラズベリー・リーフの利用は広く普及しているとの報告にもかかわらず、1983年の設立以来現在に至るまで、UKTISは、ラズベリー・リーフを摂取している妊婦やその子供における有害影響に関わる報告を極少数しか受理していない。
《汚染物質》
ラズベリー・リーフに含有される重金属等の汚染物質量や残留農薬量に関しては、限定的なデータしか確認されなかった。しかしながら、入手可能なデータからは、如何なる安全性上の懸念も提示されない。
《結論》
総括してCOTは、妊娠中のラズベリー・リーフの使用と関連するリスクは低いが、データに限界があるため不確実性は高いと結論する。
COTは、(間接的な情報に基づくと)ラズベリー・リーフの毒性成分の経口バイオアベイラビリティが低いことも、ヒトの健康への有害影響はほぼないと観察される一因である可能性を考えている。しかしながら、今後、バイオアベイラビリティ向上に向け改変されたラズベリー・リーフ製品が入手可能となった場合、別途、安全性評価が必要となる可能性がある。
本声明の全文は以下より入手可能。
「母体の食事におけるラズベリー・リーフ茶の潜在的健康影響に関する声明」
https://cot.food.gov.uk/Introduction%20and%20Background%20-%20Raspberry%20leaf%20tea
《序説及び背景》
栄養に関する科学諮問委員会(Scientific Advisory Committee on Nutrition(SACN))は、出産可能年齢の女性を対象とする、政府からの食事に関する推奨事項に影響を及ぼす科学的エビデンスを検討している。当該作業においてSACNを支援するため、「食品・消費者製品・環境における化学物質の毒性に関する委員会(COT)」は、母体の食事に含有される特定の化学物質や製品に由来する毒性のリスクを調査するよう要請された。本声明は、ラズベリー・リーフ茶、又は、錠剤やチンキ剤に含有されるラズベリー・リーフ抽出物を妊娠中に摂取することに起因する潜在的リスクに焦点を当てている。
ラズベリー・リーフには、茶・錠剤・チンキ剤の形態があり、陣痛を誘発・促進し、継続時間を短縮させると信じられているため、最も一般的には、妊娠中に食品サプリメントとして摂取される。オーストラリアにおける最近の研究では妊婦の38%が、2007 - 2008年に掛けて実施された英国の研究では妊婦の約24%が使用していると報告されている。上記のような製剤に加え、英国では数点のラズベリー・リーフ製品が伝統的ハーブ医薬品として登録されている。しかしながら、これらは月経痛の症状緩和を目的とする非妊娠女性用の医薬品である。ラズベリー・リーフを含有する浣腸を提供するクリニックも存在するが、妊婦を対象としている製品か否かは不明である。
《作用機序》
多くの研究は1940年代からが開始されており、ラズベリー・リーフ抽出物が子宮又はその他の平滑筋に及ぼす影響を、無傷の動物体内において、あるいは、動物から単離した子宮・平滑筋を用いて調査されている。これらの研究結果は極めて変動性が高く、平滑筋の収縮を示す研究もあれば、弛緩を示す研究もある。この変動は、抽出物中の成分や試験された抽出物の用量の違い、試験された平滑筋組織の種別、動物の妊娠状態、無傷の動物を用いた試験であるか単離された子宮やその他の平滑筋を用いた試験であるか等の要因によるものと考えられる。ラズベリー・リーフが陣痛に対して及ぼす可能性があると主張されている効果のメカニズムも十分に解明されておらず、有効成分も不明である。数多くのメカニズムが示唆されているが、そのエビデンスは限定的であり、矛盾も認められる。
《毒性学的試験》
実験動物におけるラズベリー・リーフの生殖毒性に関するデータは限られており、マウスを用いて短期反復投与毒性を評価した研究1件のみが確認された。不確実性の別の原因は、ラズベリー・リーフ摂取後のその含有成分の体内における吸収・分布・代謝・排泄に関し、具体的な情報が不足していることである。しかしながら、ラズベリー・リーフ抽出物をマウスに経口投与した場合、静脈内注射した場合よりも毒性が低いことを示すエビデンスも存在する。これから、ラズベリー・リーフ抽出物は経口バイオアベイラビリティが低い、すなわち、摂取後に全身循環に達する毒性成分は少量のみであることが示唆される。
COTはまた、入手可能なヒトのデータも検討している。その中には、オーストラリアにて実施された2件の研究が含まれる。1件目は、病院にて分娩した女性において、妊娠中にラズベリー・リーフ茶や錠剤及び/又はチンキを摂取した女性群を特定し、妊娠中にラズベリー・リーフを摂取しなかった対応する女性群と比較した研究である。得られた結果において、ラズベリー・リーフの摂取に起因する、母親や乳児、分娩への有害影響は確認されなかった。同一グループによる2件目の研究は二重盲検プラセボ対照試験であり、妊娠中の女性をラズベリー・リーフ錠剤投与群とプラセボ錠剤投与群に無作為に割り当てている。有害影響は特定されていないが、ラズベリー・リーフ投与群96人中の4人のみが報告した、便秘という除外可能と考えられる影響が確認されている。しかしながら、COTは、英国におけるラズベリー・リーフ茶の推定摂取量、又は、茶・チンキ・カプセルを総計した推定摂取量は、オンライン情報源から収集したデータに基づくと、当該臨床試験にて試験されたラズベリー・リーフ投与量の最大で4倍以上になる点に留意する。
さらに、COTは、妊娠中に医薬品や化学物質にばく露された女性の妊娠転帰データを収集する国家サービスである、英国奇形情報サービス(UK Teratology Information Service(UKTIS))収集のデータを考慮した。ラズベリー・リーフの利用は広く普及しているとの報告にもかかわらず、1983年の設立以来現在に至るまで、UKTISは、ラズベリー・リーフを摂取している妊婦やその子供における有害影響に関わる報告を極少数しか受理していない。
《汚染物質》
ラズベリー・リーフに含有される重金属等の汚染物質量や残留農薬量に関しては、限定的なデータしか確認されなかった。しかしながら、入手可能なデータからは、如何なる安全性上の懸念も提示されない。
《結論》
総括してCOTは、妊娠中のラズベリー・リーフの使用と関連するリスクは低いが、データに限界があるため不確実性は高いと結論する。
COTは、(間接的な情報に基づくと)ラズベリー・リーフの毒性成分の経口バイオアベイラビリティが低いことも、ヒトの健康への有害影響はほぼないと観察される一因である可能性を考えている。しかしながら、今後、バイオアベイラビリティ向上に向け改変されたラズベリー・リーフ製品が入手可能となった場合、別途、安全性評価が必要となる可能性がある。
本声明の全文は以下より入手可能。
「母体の食事におけるラズベリー・リーフ茶の潜在的健康影響に関する声明」
https://cot.food.gov.uk/Introduction%20and%20Background%20-%20Raspberry%20leaf%20tea
地域
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国・地方
英国
情報源(公的機関)
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情報源(報道)
英国毒性委員会(COT)
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