食品安全関係情報詳細
資料管理ID
syu06400520475
タイトル
フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、細胞代謝を追跡して物質の毒性を評価する研究を紹介
資料日付
2024年11月20日
分類1
-
分類2
-
概要(記事)
フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は11月20日、細胞代謝を追跡して物質の毒性を評価する研究を紹介した。概要は以下のとおり。
ANSES Fougeres研究所の汚染物質毒性学ユニットで、研究プロジェクトを統括するEstelle Dubreil氏が着手した革新的な研究の目的は、「細胞がばく露される物質が毒性を発揮する濃度の特定に向けた細胞代謝の測定」である。研究結果は2024年8月にJournal of Hazardous Materials誌に掲載された。同ユニットの副責任者Ludovic Le Hegarat氏は、「最終的にはこのような方法によって、ヒトの健康にリスクを及ぼす物質の毒性学的参照値(toxicological reference value: TRV)を設定できる可能性がある」と説明する。この値は、それを超えると集団全体に対して健康リスクが生じるという限界値である。
・まだほとんど研究されていないアプローチ
Dubreil氏は、「動物実験を用いずに分子の毒性を評価する目的で新しいアプローチが探究されているが、メタボロミクス(代謝産物の研究)はまだin vitro毒性学にほとんど適用されていない」と説明する。代謝産物とは、脂質やアミノ酸等、細胞の機能や防御のために細胞が生成する化合物である。生成される代謝産物の量は、毒性物質へのばく露に反応して増加又は減少しうる。
ANSESの研究者らが行った本研究では、3種類のピロリジジンアルカロイドにばく露された肝細胞を例として取り挙げている。これは数種の植物が分泌する有機物質の大きな一群であり、ヒトや動物に毒性を示すことが知られている。ピロリジジンアルカロイド類は、ハーブティー、ハチミツ、シリアル等の飲料や食品から検出されることがある。
・低濃度でも影響がある
ANSESが探究した本アプローチの利点の一つは、各濃度でどの代謝機能又は経路が影響を受けるかを正確に把握できることである。研究から、物質の影響は必ずしもその濃度に比例しないことが示された。反応の多くは釣り鐘型である。つまり、細胞が低濃度でばくろ露されると、代謝産物の量はアルカロイドの量とともに増加し、次いで濃度が高くなると減少する。
細胞が生成する代謝産物の中で、脂質が最初に影響を受ける。つまり、脂質は低濃度で肝臓に対する毒性影響のマーカーとなる可能性がある。研究者らは、細胞の脂質含量の増加は、胆汁酸やアミノ酸の経路等、他の代謝経路が引き継ぐ前の、アルカロイド類の毒性影響を補償するための初期反応であると推測している。Le Hegarat氏は、「この研究は、現在ほとんど研究されていない低濃度での毒性影響に注目する必要性を明確に示すものである。事実、動物を用いる毒性学的研究では依然として「高用量」アプローチが支持されているが、低用量での研究は、ヒトのばく露の現実に出来るだけ近づくことを可能にする」と述べる。
・多くのデータから単一の値を特定する
研究者らは、各代謝産物の「用量反応」曲線に基づき、変曲点、すなわちその濃度を超えるとその物質が細胞代謝を阻害すると考えられる濃度を特定可能にするソフトウェアをテストした。しかし、ヒトに対するリスクの評価にそれを適用する前に、科学界は物質の毒性に関する最も予測的な計算方法について合意する必要がある。決定すべき問題の一例として、その濃度を超えると特定のマーカー代謝産物への初期の影響が観察される濃度に基づいた方がよいのか、あるいは阻害された代謝産物全体の中央値を採り上げるべきなのかが挙げられる。
当該論文は以下より閲覧可能。
Modeling HepaRG metabolome responses to pyrrolizidine alkaloid exposure for insight into points of departure and modes of action
Estelle Dubreilら(ANSES、フランス)
Journal of Hazardous Materials, Vol. 474, 5 August 2024, 134721
https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2024.134721
ANSES Fougeres研究所の汚染物質毒性学ユニットで、研究プロジェクトを統括するEstelle Dubreil氏が着手した革新的な研究の目的は、「細胞がばく露される物質が毒性を発揮する濃度の特定に向けた細胞代謝の測定」である。研究結果は2024年8月にJournal of Hazardous Materials誌に掲載された。同ユニットの副責任者Ludovic Le Hegarat氏は、「最終的にはこのような方法によって、ヒトの健康にリスクを及ぼす物質の毒性学的参照値(toxicological reference value: TRV)を設定できる可能性がある」と説明する。この値は、それを超えると集団全体に対して健康リスクが生じるという限界値である。
・まだほとんど研究されていないアプローチ
Dubreil氏は、「動物実験を用いずに分子の毒性を評価する目的で新しいアプローチが探究されているが、メタボロミクス(代謝産物の研究)はまだin vitro毒性学にほとんど適用されていない」と説明する。代謝産物とは、脂質やアミノ酸等、細胞の機能や防御のために細胞が生成する化合物である。生成される代謝産物の量は、毒性物質へのばく露に反応して増加又は減少しうる。
ANSESの研究者らが行った本研究では、3種類のピロリジジンアルカロイドにばく露された肝細胞を例として取り挙げている。これは数種の植物が分泌する有機物質の大きな一群であり、ヒトや動物に毒性を示すことが知られている。ピロリジジンアルカロイド類は、ハーブティー、ハチミツ、シリアル等の飲料や食品から検出されることがある。
・低濃度でも影響がある
ANSESが探究した本アプローチの利点の一つは、各濃度でどの代謝機能又は経路が影響を受けるかを正確に把握できることである。研究から、物質の影響は必ずしもその濃度に比例しないことが示された。反応の多くは釣り鐘型である。つまり、細胞が低濃度でばくろ露されると、代謝産物の量はアルカロイドの量とともに増加し、次いで濃度が高くなると減少する。
細胞が生成する代謝産物の中で、脂質が最初に影響を受ける。つまり、脂質は低濃度で肝臓に対する毒性影響のマーカーとなる可能性がある。研究者らは、細胞の脂質含量の増加は、胆汁酸やアミノ酸の経路等、他の代謝経路が引き継ぐ前の、アルカロイド類の毒性影響を補償するための初期反応であると推測している。Le Hegarat氏は、「この研究は、現在ほとんど研究されていない低濃度での毒性影響に注目する必要性を明確に示すものである。事実、動物を用いる毒性学的研究では依然として「高用量」アプローチが支持されているが、低用量での研究は、ヒトのばく露の現実に出来るだけ近づくことを可能にする」と述べる。
・多くのデータから単一の値を特定する
研究者らは、各代謝産物の「用量反応」曲線に基づき、変曲点、すなわちその濃度を超えるとその物質が細胞代謝を阻害すると考えられる濃度を特定可能にするソフトウェアをテストした。しかし、ヒトに対するリスクの評価にそれを適用する前に、科学界は物質の毒性に関する最も予測的な計算方法について合意する必要がある。決定すべき問題の一例として、その濃度を超えると特定のマーカー代謝産物への初期の影響が観察される濃度に基づいた方がよいのか、あるいは阻害された代謝産物全体の中央値を採り上げるべきなのかが挙げられる。
当該論文は以下より閲覧可能。
Modeling HepaRG metabolome responses to pyrrolizidine alkaloid exposure for insight into points of departure and modes of action
Estelle Dubreilら(ANSES、フランス)
Journal of Hazardous Materials, Vol. 474, 5 August 2024, 134721
https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2024.134721
地域
欧州
国・地方
フランス
情報源(公的機関)
フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道)
フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
(※(注記)注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。
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