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嬉しい、悲しい、腹立たしい、といった感情は、誰かとコミュニケーションをしているときでも、あるいは一人で考え事をしている時でも、経験することができます。目の前にある状況や、将来の予測、あるいは過去の回想、そして現実感のない空想に対してさえも、私たちは心を揺さぶられ、その感覚を感情として理解しています。
それでは、感情はどのようにして心に浮かび上がってくるのでしょうか。そして、その個人差はどこから生まれるのでしょうか。私たちの研究室では、この疑問を心と脳、そして身体の働きの関係性から理解しようと試みています。強い感情を感じた時に同時に起こる心臓や呼吸などの活動の変化は、心の働きの結果として現れるだけでなく、これらの変化を感じること自体が、感情そのものの内容や鮮明さに影響を及ぼしている、という仮定のもと、心理学や心の動きに伴う脳活動を観察する認知神経科学の手法を用いて研究をしています。
具体的には、不安などの感情を感じやすい人や反対に自分の感情を感じづらい人は、感情に伴う身体反応の感じ方に特徴があるのか、またその特徴に関連する脳活動があるのか、といったことを調べています。このために、複数の自律神経活動を同時に計測する機械や、脳活動を観察するための機械などを使用することもあります。また、個人の感情の感じ方の特徴を質問紙や面接を用いて調べることもあります。最近では、身体反応の感じ方を変化させるトレーニングや、前述の脳活動の変化によって感情の感じ方や気分状態に変化が生じるのか、といった視点からの研究も行っています。
専門的な知識や研究手法を用いなくても私たちは、心と身体はつながっている、と直感的に信じています。この直感的な信念を、科学的な手法を用いて紐解き、心と身体の関係性についての理解を少しずつでも進めたいと考えています。