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ERCA 独立行政法人 環境再生保全機構

コラム

熱中症対策新時代 イチから学ぶ熱中症3(全3回)

今年は記録的な猛暑となっています。暑い日中に外を歩いているとき「涼める場所があればいいのに」と思ったことはありませんか。

そこで、ぜひ活用してほしいのが、「クーリングシェルター」です。

「クーリングシェルター」とは、危険な暑さから避難できるよう自治体が指定した冷房設備を備えた施設のことです。環境省の2024年7月19日の発表によると、全国710市区町村が計約1万1000カ所をクーリングシェルターとして指定済みです。自治体の庁舎や図書館、公民館などの公共施設、薬局やコンビニエンスストアなどが指定されています。「熱中症特別警戒アラート」が発表された場合、市区町村は事前に指定した「クーリングシェルター」を一般向けに開放することが義務づけられています。

今回の「熱中症対策新時代 イチから学ぶ熱中症」第3回では、この「クーリングシェルター」をいち早くはじめた静岡県島田市とウエルシアホールディングス株式会社の取組について、ウエルシア薬局営業企画本部地域包括推進部の星晶博部長にお話を伺いました。

また、全国各地の熱中症対策の事例をあわせてご紹介いたします。

クーリングシェルターの場所を示すクーリングシェルターマーク

涼しさと地域住民の交流の場を提供 地域の健康ステーションへ

ウエルシア薬局 営業企画本部地域包括推進部 星晶博部長

島田市とウエルシア薬局は包括連携協定を結び、高齢者や子育て支援など地域の社会課題解決のための協働を進めてきました。この一環として熱中症対策を協議し、2023年7月20日から、市の公共施設13カ所のロビーと、ウエルシア薬局4店舗内の地域協働コミュニティースペース「ウエルカフェ」を、「クーリングシェルター」として無料で一般開放したのがはじまりです。ウエルカフェはもともと地域住民の皆さまに「休息の場」や「井戸端会議の場」、そしてウエルシア薬局や行政などからの「情報発信の場」として設置したフリースペースです。

ご高齢者の中には自宅でエアコンをつけることを我慢される方も多いのですが、ここに来ていただき、例えば本を読みながら涼んでいただいたり、ご近所の方同士で会話を楽しんだり、外出の途中で休憩いただく、そういった場として使っていただきたいと思っています。

ウエルカフェには、モニターがあり、この暑い時期は熱中症関連の情報発信もしています。また、弊社の専門職である薬剤師が店頭にいますので、必要であれば熱中症対策におけるアドバイスを受けることも可能です。

実際にクーリングシェルターを利用された方からは、「涼める場所があって良かった」という感謝の声をいただいています。

2024年には、島田市との連携から始まったこの熱中症対策の取組が全国他地域にも展開され、7月現在では714店舗において、熱中症対策のために、ウエルカフェ並びに調剤待合室を開放しています。さらに、4,900名を超える店舗従業員が熱中症対策について学び、熱中症に関する正しい知識を伝える「熱中症対策アンバサダーR((注記))」として地域住民の皆様の相談にお応えしています。今後も、正しい知識を持って地域住民へ熱中症対策を促し、地域の健康ステーションになるという企業理念を実現したいです。

(注記)「熱中症対策アンバサダーR」は、大塚製薬株式会社の商標登録です。

くろまる【参考】熱中症対策アンバサダーRとは(別ウインドウで開きます)

全国の熱中症対策に関する取組

全国の自治体では、クーリングシェルターの設置だけではなく、工夫を凝らした取組を進めています。今回はそのうちの一部を紹介します。

石川県小松市と鳥取市では高齢者をはじめとした「熱中症弱者」の方への見守り・声かけ活動を行っています。小松市では、地域民生委員が中心となって6月中旬から、ペットボトルに入った水とチラシを配布し、熱中症の啓発に努めています。鳥取市では保健所が主体となり、保健師や地域民生委員が高齢者宅を訪問し、温湿度計や熱中症啓発チラシなどを配布。日々の温度や湿度、暑さの感じ方をチェックしてもらうことで熱中症リスクを認識してもらうとともに、リスクを低減する行動変容を促しています。

東京都世田谷区は2012年から、東日本大震災をきっかけに、節電と熱中症対策として、公共施設や民間の薬局や銭湯などの約250カ所を避暑施設として開放してきました。「お休み処」という黄色ののぼりが目印です。お休み処では、ペットボトルの飲料水を区が無料で提供しています。「せたがや涼風マップ」で場所を知ることができます。

くろまる【参考】せたがや涼風マップ(別ウインドウで開きます)

「全国一暑い自治体」とも言われる埼玉県熊谷市は、小学生を対象に暑さ対策のアイデアを募集する「わたしのあつさたいさくコンテスト」を実施しています。また、大手飲料メーカーと連携し、自動販売機にデジタルサイネージ(電子機器を使った情報発信)を組み込み、熱中症予防に関する動画や画像を放映しています。

埼玉県は公益社団法人埼玉県栄養士会と連携して、県のホームページに、「熱中症予防お手軽レシピ」として、「主食」「主菜」「副菜」「おやつ」別に13品を紹介したり、「水分補給・食事を意識しましょう」「おすすめの料理を紹介」という動画2本を作成、公開したりしています。

こうした全国の自治体の先駆的な熱中症対策の取組は、環境省の「地域における熱中症対策の先進的な取組事例集」で知ることができます。

くろまる【参考】環境省「地域における熱中症対策の先進的な取組事例集」(別ウインドウで開きます)

また、環境省の熱中症予防サイトではクーリングシェルターを指定している全国の市区町村のウェブサイトへのリンク集がまとめられており、エクセルファイルをダウンロードすることができます。お住まいの自治体の取組をチェックして、熱中症対策に生かしてみてはいかがでしょうか。

くろまる【参考】熱中症予防サイト 指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)・リンク集(別ウインドウで開きます)

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