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ERCA 独立行政法人 環境再生保全機構

コラム

Q 妊娠・出産を考えていますが、ぜん息を発症している場合に注意しなければならない点を教えてください。

ぜん息発作が起きないよう長期管理薬でしっかりコントロール

この場合まず、妊娠をするタイミングにおいてのこと、妊娠中のこと、出産後のことと、それぞれの経過においての注意がありますが、すべての経過の中で一番注意すべきことは、ぜん息発作を起こさないことです。どの時期においても、長期管理薬である吸入ステロイド薬は、薬物が体内循環にて効果を発するものではなく、体内における副作用の心配はほとんどありませんので、これをしっかり使ってコントロールしてください。コントロール不十分の妊婦さんでは、妊娠中毒症や早産、低体重児、身体障害などを引き起こす危険性が高まりますので発作のない経過が望まれます。日頃発作の原因になっている行動に注意して体調管理を図りましょう。もし発作が出てしまったら、我慢は禁物です。早いうちに気管支拡張薬を吸入して発作を鎮めてください。繰り返して大きな発作になればなるほど、薬の量が増え、軽快するまでに時間がかかります。落ち着かなければ、早めに受診し、発作治療薬であるβ2刺激薬吸入やテオフィリン系薬の治療を受けましょう。経口ステロイド薬であっても短期間であれば心配いりません。その後は吸入ステロイド薬による管理をしっかり続けてください。
出産後は赤ちゃんに時間をとられ、自分の体調コントロールがおろそかになりがちです。お母さんであるあなたがぜん息発作で苦しんだら、赤ちゃんの面倒を見られません。大事な育児ですから、発作のない状態でいたいものです。吸入ステロイド薬による長期管理を忘れずに心がけてください。

昭和大学特任教授 田中一正

昭和大学特任教授 田中一正

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