水泳は、ぜん息の子にとって発作を起こしにくい運動の一つですが、もし発作が起きてしまったらプールからすみやかに上がり、体をふいて椅子などに腰掛けさせ、楽な姿勢をとらせてください。そして、タオルなどをかけて体を温め、あわてないで様子をよく観察しながらゆっくり腹式呼吸をして呼吸を整えましょう。呼吸困難が強いときやしばらくしても改善しないときは、気管支拡張薬の吸入を行います。発作時用として内服の気管支拡張薬が処方されている場合には、それを内服してもらいますが、吸入薬にくらべて効果が出るまでに時間がかかります。発作時用の薬を持っていない場合や、呼吸困難がかなり強く気管支拡張薬の吸入や内服を行っても症状が改善しない場合は、それ以上我慢をさせずに医療機関を受診させてください。
ぜん息の子は運動によってぜん息発作を起こすことがしばしばあり、「運動誘発ぜん息」と呼ばれています。発作の起こりやすさは、運動の種類やその時のぜん息症状によって変化しますので、一律に運動制限をすることは避けましょう。十分な準備運動や適切な予防薬の使用によって運動誘発ぜん息は予防が可能です。また、水泳などによって体を鍛えることはぜん息の治療に非常に重要なことですから、積極的に運動に参加するように促してください。
東海大学医学部付属八王子病院 医学部医学科専門診療小児科学 特任教授 山口公一 先生
東海大学医学部付属八王子病院
医学部医学科専門診療小児科学 特任教授 山口公一 先生