人間は、生産活動や消費活動の結果、さまざまな排出物や廃棄物を生み出しています。その量がそれほど多くないときには、自然の浄化作用によって十分に処理されていましたが、排出物などが多量になって自然の処理能力をこえたり、自然の浄化能力に処理をたよれない新しい廃棄物がうまれてきたりしました。こうして自然環境の汚染がすすみ、生態系が破壊されて人間の健康にも被害が生じ、大気汚染をはじめとする公害問題が発生するようになりました。
1960年代に顕在化した硫黄酸化物(SOx)を中心とする産業公害型の大気汚染対策は着実な進展をとげました。続いて1970年代後半からは大都市地域を中心とした都市・生活型の大気汚染が問題となりました。現在では、その生成機構が複雑な光化学オキシダントや低濃度長期暴露による健康影響が心配される有害大気汚染物質による大気汚染などが課題となっています。また、地球温暖化などの地球環境問題は、私達の子孫が生存の基盤を失うほど深刻なものになりつつあります。
世界は、アジア地域など急速な工業化をとげつつある諸国を中心に、ますます経済活動の規模が拡大しています。それに伴って、交通需要は増大し、窒素酸化物(NOx)や二酸化炭素(CO2)等の大気汚染物質の排出量が増大しています。 こうした問題に対処するために私達は、このような大気汚染の現状と対策に対する理解を深め、協力して、ひとりひとりができることから取り組んでいく必要があります。