この調査は昭和45(1970)年から昭和49(1974)年まで千葉、大阪、福岡の3府県でそれぞれ大気汚染濃度の異なる2地区を選び、30歳以上の女子と60歳以上の男子を対象に実施されました。 調査実施当初は「煤煙(ばいえん)等影響調査」と呼ばれていましたが、昭和46年に環境庁発足に伴い「複合大気汚染健康影響調査」と名称が変更されました。
調査方法は、ほぼBMRC方式にそって、面接法による呼吸器症状調査、呼吸機能検査、喀痰(かくたん)検査、胸部レントゲン検査、一般理学的検査、尿検査が実施された。
対象者は5年間で延べ1万5,000名でうち約78%について面接調査が実施されている。
また、呼吸機能検査は延べ約8,000名に対して行われたが、呼吸機能と大気汚染との間に明確な関連性はみられなかったと報告されている。
呼吸器症状の粗有症率については、東大阪地区と大牟田地区が高いことが示された。
この調査では、調査年度毎のせき・たん及び持続性せき・たん有症率と各大気汚染物質の相関関係に関する検討が行われ、統計的な検定結果は年度ごとまた汚染物質ごとで異なっていたものの、全般的には正の相関を示した。
特に昭和49年(1974)度調査で、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、窒素酸化物(NOX)との相関が非常に高いことが注目され、昭和53(1978)年の「二酸化窒素の環境基準」改定の際にその根拠となる重要な知見とされた。