公害健康被害補償・予防の手引

問9 費用負担の考え方、仕組み

公害健康被害補償制度における費用負担の考え方、仕組みはどうなっていますか。

1 公害健康被害者の補償費用

公害健康被害補償制度における被害者補償の基本的な考え方は、原因者と被害者との間で損害賠償として処理されるべきものを制度的に解決しようとするところにあります。
したがって被害者救済のために必要な費用は、全額を汚染原因者が負担することとされています。
ただし、公害健康被害者の健康回復事業等を行う公害保健福祉事業は、福祉施策の性格もあるということで、原因者と公費で1/2ずつ負担することとしています。
なお、被害者救済のための費用は、汚染原因者の負担によることとしていますが、第一種地域関係と第二種地域関係とは、その内容が異なります。
第一種地域関係は、どこの煙突から出た煙がどれだけの被害をもたらしたかということをはっきりさせることができません。
したがって、発生した被害を救済するために、全国の汚染原因者が共同してその費用を負担することとしています。現在、大気汚染の原因は、工場・事業場の煙突から出る煙と自動車の排気ガスの二つであると割り切り、この両者から出る硫黄酸化物(SOx)と窒素酸化物(NOx)の量に応じ、工場・事業場8割(汚染負荷量賦課金として徴収します。)、自動車2割の割合で費用を負担することとしています。
また、第二種地域関係は、原因物質と疾病との因果関係が一般的に明らかでありますから、原因物質を排出した施設を設置した者(これを「特定施設設置者」といいます。)が、費用を負担することとなっています。これを特定賦課金といいます。

しろまる補償給付費等の負担方法

2 健康被害予防事業の実施費用

健康被害予防事業を実施するために必要な費用は、基金を設け、その運用益により賄うことにしています。健康被害予防事業は、現在の大気汚染が健康に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないという状況を踏まえ、大気汚染の影響による健康被害を予防するために行われるものであり、大気汚染の原因となる物質を排出する施設を設置する事業者及び大気汚染に関連のある事業活動を行う者に拠出金の拠出を求め、これにより基金を設けています。また、健康被害予防事業は、健康被害予防のための一般的な対策を補完し、より効果あるものとするものであり、国からも基金に関する財政上の措置(出資)が講じられています。
なお、2008年度より、環境省から自立支援型公害健康被害予防事業補助金が交付されています。

しろまる健康被害予防事業に係る基金

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