公害健康被害補償・予防の手引

問8 健康被害予防事業

公害健康被害補償制度においては、公害健康被害者の補償に加え、健康被害予防事業が行なわれていますが、どのような事業が行われていますか。

1986(昭和61)年10月の中央公害対策審議会の答申においては、現在の大気汚染の状況の下では、大気汚染の原因者の負担に基づき個人に対する個別の補償を行うことは合理的ではなく、公害健康被害補償制度を公正で合理的なものとするため、第一種地域の指定をすべて解除し、今後は健康被害予防事業の実施など総合的な環境保健施策を推進することが適当とされました。
中央公害対策審議会の答申を踏まえ、公害健康被害補償法等の改正が行われ、1988(昭和63)年3月1日をもって第一種地域の指定が解除され、健康被害予防事業が実施されることになりました。
健康被害予防事業は、現在の大気汚染の状況を踏まえ、大気汚染の影響による健康被害を予防するために実施されるものであり、これにより地域住民の健康の確保を図ることを目的としています。
健康被害予防事業は、人の健康に着目し、健康の確保・回復を図る事業と環境そのものに着目し、環境自体を健康被害を引き起こす可能性がないものとしていく事業とに大きく分けられます。具体的には、環境再生保全機構が実施する調査研究、知識の普及及び研修並びに指定解除前の第一種地域を管轄する地方公共団体が機構の助成等を受けて行う計画作成、健康相談、健康診査、機能訓練、施設等整備の事業です。
健康被害予防事業を実施するために必要な費用は、機構に基金を設け、その運用益により賄うこととしています。基金は、大気汚染の原因者である事業者等から拠出される拠出金及び国からの財政上の措置(出資)により設けられています。
なお、2008年度より、環境省から自立支援型公害健康被害予防事業補助金が交付されています。

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