公害という言葉は、実にいろいろな場で使われていますが、どのように理解すればよいのでしょうか?
「公害」という言葉は、これまで社会一般には、人の生活や財産に支障を及ぼし、健康を損ない、あるいは人の迷惑になる現象や活動などをさすものとして、広く用いられ、その意味する範囲には相当な差があります。
戦前には、足尾銅山鉱毒事件、浅野セメント降灰事件のような深刻な問題もありましたが、これらの多くは新興の鉱工業が引き起こした地域的な紛争としてとらえられ、対応がなされました。戦後の復興期以降、特に、重化学工業を中心とする高度経済成長と都市化の過程において、著しい大気汚染、水質汚濁などが全国的にも大きな社会問題として認識されるにつれ、「公害」が重要な国政上の課題とされるに至りました。
今日では、「公害」は、先進国・発展途上国にも共通してみられる問題であり、人の活動に伴って環境を汚染し、健康・生活・財産に悪影響を及ぼすことととらえられています。
環境基本法では、公害対策基本法を引き継ぎ、「公害」を
と定義しています。
この法律の考え方は、公害を社会的な問題としてとらえ、一定の原則に基づいて対応策を講ずべきものを明らかにしています。
したがって、地震、台風、雷、洪水のような自然現象によるものや、日照妨害、電波障害などの事象は公害から除かれています。