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社会的背景について

戦後の日本経済の急速な成長によって、日本の工業生産力と国民の生活水準は飛躍的に向上するが、一方では工業等から排出されるばい煙、汚水等により環境の汚染が進み、とりわけ公害による健康被害の発生は重大な社会問題となる。

環境への影響

高度経済成長期の初期においては、石油化学工業の育成が大きな課題となっていたことから、四日市、徳山、岩国の旧陸海軍燃料跡地の払い下げが行われ、1955年(昭和30年)には通商産業省により石油化学工業育成対策が公表されるなど臨海工業地帯に大規模なコンビナートを造りだす動きがあった。

四日市ぜんそく

大気汚染による呼吸器障害。川崎、尼崎、北九州など戦前からの工業地帯に加え、大規模な発電所、石油精製工場等が新たに立地したことにより、大気汚染が一層悪化したことで引き起こされた

発生地

しろまる四日市コンビナートから発生

原因

四日市コンビナートから大量のガスが大気中に排出されたことが原因

水俣病

工場排水に含まれるメチル水銀化合物が蓄積された魚介類を食べる、有機水銀とした体内に取り込まれ、その結果引き起こされる中枢神経系の疾患

発生地

しろまる熊本県水俣市の不知火海に面する漁村で発生
1956年(昭和31年)5月に脳症状を主とする原因不明の患者の入院が報告

原因

日本窒素肥料(株)水俣工場からの排水が原因

新潟水俣病

工場排水に含まれるメチル水銀化合物が蓄積された魚介類を食べ、有機水銀とした体内に取り込まれ、その結果引き起こされる中枢神経系の疾患

発生地

しろまる新潟県阿賀野川下流の沿岸地区で発生
1965年(昭和40年)5月に新潟大学医学部より原因不明の中枢神経疾患が阿賀野川下流の沿岸地区で散発との報告

原因

昭和電工(株)鹿瀬工場からの排水が原因

イタイイタイ病

工場排水に含まれるカドミウムが蓄積された稲などの農産物や飲料水を飲食することで、カドミウムが体内に取り込まれ、その結果、腎臓障害、骨軟化症をきたす

発生地

しろまる富山県神通川流域にある婦中町、富山市の一部及びその周辺地域で発生
1955年(昭和30年)第17回臨床外科医学会で神通川流域に、原因不明の激痛を伴う奇病が見られるとの報告

原因

三井金属鉱業(株)神岡鉱業所からの排水が原因

直轄事業

[画像:調査研究]

調査研究

・大気汚染による健康影響に関する総合的研修啓発イベント
・局地的大気汚染対策に関する調査研究

直轄事業

[画像:知識の普及]

知識の普及

・啓発イベント(講演会、市民公開講座等)の開催
・啓発ツール(パンフレット、ホームページ等)による情報提供
・電話相談 など

直轄事業

[画像:調査研究]

研修

・地方公共団体が行うソフト3事業の従事者を対象とした研修
・地域においてぜん息・COPDの指導に従事する者を育成する研修

助成事業

[画像:調査研究]

健康相談事業

・医師・保健師等によるぜん息等に関する相談・指導

健康診査事業

・幼児を対象とした問診等によるぜん息の発症予防のための指導

助成事業

[画像:調査研究]

機能訓練事業

・ぜん息患者を対象とした運動訓練、自己管理支援を目的とした各種事業

助成事業

[画像:調査研究]

大気浄化植樹(助成)事業

・地域における大気環境の改善に資することを目的に、大気浄化植樹マニュアルを有する植栽を整備する事業

独立行政法人環境再生保全機構について

[画像:設立について]

事業内容

1 公害健康被害補償業務
2 公害健康被害予防事業
3 地球環境基金事業
4 ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理助成業務
5 最終処分場維持管理積立金の管理業務
6 石綿健康被害救済業務
7 環境保全に関する調査研究・情報の収集・整理・提供、研修
8 建設譲渡事業及び貸付事業に係る債権の管理・回収等

<所在地>

〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町1310番
ミューザ川崎セントラルタワー8階、9階

多発する公害紛争と訴訟

続々と法制等の整備が図られ対策が行われたが、公害問題は各種対策の効果を上回って激化した。公害による健康被害の発生は重大な社会問題へと発展し、公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、1970年(昭和45年)6月に「公害紛争処理法」が制定された。

公害による健康被害の救済と補償

公害による健康被害者の救済。そして補償へ...

ポイント1 公害による被害はその原因が人為的なもの
ポイント2 一般の民事紛争と同様に被害者が公害発生原因者に民法の不法行為に基づく損害賠償を求める方法により解決を図らざるを得ない
ポイント3 民事訴訟により損害賠償を請求する場合、被害者側が「損害の発生」、「加害行為と損害との因果関係」、「加害者の故意・過失」、「被害者の権利又は利益の違法な侵害」を立証しなければならない
課題 しろまる 環境汚染行為と健康被害の因果関係の科学的究明が困難
しろまる 必要なデータが被告である企業側にあり原告側にない場合が多い など
緊急的措置

<事業の枠組み>

公害による健康被害者の中には経済的理由等から十分な治療を受けていない者もいるという深刻な事態に対し、緊急的に個別の事例ごとに国・自治体による医療救済措置が講じられた

しろまる 水俣病:1958年(昭和33年)〜
しろまる 新潟水俣病、四日市ぜん息:1965年(昭和40年)〜
しろまる イタイイタイ病:1968年(昭和43年)〜

[画像:補償制度から補償・予防制度へ]

補償制度から補償・予防制度へ

大気汚染の様態の変化

制度改正の背景

公害健康被害補償制度の発足以降、
大気汚染防止対策の目覚しい進展
・ 二酸化硫黄(SO2)による大気汚染
:ほとんどの地域で環境基準が達成
・ 二酸化窒素(NO2)や浮遊粒子状物質(SPM)の汚染
:環境基準の達成
状況が低いまま、ほぼ横這いで推移

大気汚染の態様に変化が見られるようになった

大気汚染の様態の変化を踏まえた環境庁の対応

<中央公害対策審議会への諮問> しろまる 1983年(昭和58年)11月 環境庁長官から中央公害対策審議会に諮問
(諮問内容) 大気汚染の様態の変化を踏まえ、大気汚染系疾病にかかる第一種地域の今後のあり方について
<審議会における検討> しろまる 中央公害対策審議会環境保健部会の下に設置された「大気汚染と健康被害との関係の影響等に関する専門委員会」において検討
<審議会の答申> しろまる 1986年10月 中央公害対策審議会より環境庁長官に答申
(要 旨) ・ 現在の大気汚染が総体として慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できない
・ しかし、1955年(昭和30年)〜1970年代(40年代)の一部地域における慢性閉塞性肺疾患が、大気汚染レベルの高い地域の有症率の過剰をもって主として大気汚染の影響と考え得る状況にあった
・ これに対し、現在の大気汚染の慢性閉塞性肺疾患に対する影響はこれと同様のものとは考えられない

公害健康被害予防事業の概要

<事業の枠組み>

しろまる 国・地方公共団体が行う一般的なぜん息及び慢性閉塞性肺疾患対策及び環境改善に係る施策を補完し、より効果的にするもの
しろまる 一般的な疾病の予防・回復のための個人、家庭等における努力を促し、これとあいまって効果を挙げることを狙いとする
しろまる 事業の実施に当たっては、地域の大気汚染の状況、患者、住民の二一ズ等を把握した上で行う
しろまる 事業の財源は、ばい煙発生施設等設置者と大気の汚染に関連のある事業活動を行う者からの拠出金と国からの出資金により基金を設け、その運用収入で事業を実施する

さんかく

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