中皮腫とは〜診断・治療から公的制度まで〜

手術について

手術の種類と説明

手術に入る流れ

外来

手術の事前検査(MRI・レントゲン等)や担当医からの手術の説明は、入院する前に外来で行われ、手術の1、2日前に入院することが多いようです。

入院

看護師から入院生活の説明を受けます。
また、手術後の体の動かし方や呼吸の仕方(腹式呼吸など)、痰(たん)の出し方、うがいや排泄(はいせつ)の方法などを教わります。

手術時

病室から手術室への移動は、歩いていくこともありますが、車いすやストレッチャーによる移動の方が多いようです。

  • (a) 入室、名前の確認
    手術室に入るときに、名前やリストバンドなどによる本人確認があります。
  • (b) 手術の準備
    手術台に移動し、点滴の場所や、心臓や呼吸の状態を監視するための医療機器(モニター)が取り付けられます。体の位置が固定され、感染を防ぐために手術する場所が消毒され、大きな布で体がおおわれます。背中から管(くだ)を挿入して麻酔薬を注入する硬膜外麻酔(こうまくがいますい)が行われることもあります。手術後もこの管を通して、痛み止めの薬を注入することができます。
  • (c) 麻酔
    点滴や麻酔ガスによって麻酔がかけられます。麻酔がかかるときのことを、力が抜けるような感じ、と表現する人が多いです。なるべくリラックスし、落ち着いて呼吸しましょう。十分に麻酔がかかったところで、手術が始まります。手術の進み具合などによって麻酔薬の調節がなされ、手術終了のころには、徐々に麻酔から覚めるようになります。
  • (d) 手術
    がん組織や周りのリンパ節を取り除きます。また、取り除いた臓器や器官の再建(臓器などを取り除くことによって、損なわれた体の機能や外観を元の状態に近づけるための手術)などの処置が行われ、創(きず)が縫い合わされます。手術した場所の近くには、たまった血液や体液を体の外へ出すための管(ドレーン)が付けられることがあります。手術にかかる時間は手術の方法と内容によってさまざまで、短時間のこともあれば、10時間近くかかることもあります。

術後

  • (a) 術後、回復室や集中治療室に移動します。
  • (b) 呼吸や血圧、意識などの状態について集中的に管理します。その後、状態に応じて、回復室や病室で術後の管理を継続します。

退院

  • (a) 体の状態が安定したらなるべく体を動かして回復が早まるようにします。
  • (b) 合併症などがなく回復が順調か確認します。
  • (c) 担当医の許可がでれば退院となります。

手術の種類

胸膜中皮腫の手術は、胸膜切除/肺胸膜剥皮術(以下、「P/D」)と胸膜肺全摘術(以下、「EPP」)があります。EPPは片側の胸膜と肺(場合によっては心膜、横隔膜も)を全切除する術式で、手術侵襲が大きいため、手術関連死亡率は5〜10%と高率で合併症の発生率も高く、心臓への負担もかかります。手術に耐えられるかを十分に検査する必要があります。

P/Dは肺実質を残し、胸膜を切除する術式です。肺を温存するため手術侵襲はEPPに比べて軽度であり、手術関連死亡率や合併症発生率もEPPと比較して低いです。

どの術式を選択するか

手術のリスクや術後の呼吸機能・生活の質(QOL)は、肺が温存されるP/Dの方が優れています。

なお、P/DとEPPの生存率を調査した結果、生存率に差はありませんでした。

胸膜切除/肺剥皮術
(P/D)
胸膜肺全摘術
(EPP)
手術内容 肺を温存し胸膜のみを切除する手術です。必要時、心膜や横隔膜を合併切除します。 片側の胸膜と肺(場合によっては心膜、横隔膜も)を一塊に切除する手術です。
手術時間 4〜8時間 4〜6時間
体にかかる負担 大きい 非常に大きい
手術関連死亡率 3〜5% 5〜10%
主な合併症 肺からの空気漏れ 不整脈・心不全・気管支断端瘻
術後入院期間 2〜3週間 3〜4週間
術後の追加治療 化学療法など 放射線治療など
出典:

中皮腫の手術の実績がある病院一覧

(注)令和3年4月現在において、国立がん研究センターからの「中皮腫の手術の実績がある病院」の
情報提供は中止されています。

「国立がん研究センター・がん情報サービス」の一般向けサイト「病院を探す」(外部リンク:国立がん研究センター)から手術の実績がある病院一覧を探すことができます。

中皮腫の手術の実績がある病院の検索手順についてはこちら。

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