中皮腫とは〜診断・治療から公的制度まで〜

中皮腫の治療を実施している病院一覧・治療の流れ

中皮腫の治療を実施している病院一覧

(注)令和3年4月現在において、国立がん研究センターからの「中皮腫の治療を実施している病院」の情報提供
は中止されています。

お近くの中皮腫の治療を実施している病院は、「がん情報サービス」の「病院を探す」(外部リンク:国立がん研究センター)から探すことができます。なお、こちらのサイトでは大学病院を検索することができません。

中皮腫の治療を実施している病院の検索手順についてはこちら。

治療の流れ

ここでは、一般に代表的な中皮腫である胸膜中皮腫についての治療の流れについて説明します。治療の流れとしては、
(1)腫瘍の疑い(気づき)→(2)受診→(3)検査・診断→(4)治療法の選択→(5)治療→(6)経過観察という流れとなります。

(1)腫瘍の疑い(気づき):
「体調がおかしいな」と思ったまま放っておかず、受診しましょう。

一般的に、胸膜中皮腫は初期症状に乏しく早期発見が難しいので、ある程度進行してからでないと症状が現れてこない傾向にあります。一般的な症状は、胸痛、背部痛、咳、呼吸困難や胸部圧迫感などです。まれに原因不明の発熱や体重減少が見られることもありますが、全く症状が現れないこともあるため、健康診断で偶然に発見されることも少なくありません。そのため、少しでも体調がおかしいと思ったら、放置せずすぐに病院を受診することが重要です。

(2)受診:
受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。メモをしておくと整理できます。いくつかの検査の予定や次の診察日が決まります。

医師と患者のイラスト

医療機関を受診した際には、受診のきっかけになる症状「呼吸が苦しい」、「胸が痛い」、「咳が出る」などについて、何でも担当医に伝えることが重要です。また、中皮腫の多くが、アスベストの吸入と関連すると考えられており、職業歴や居住歴等も非常に大切ですので、担当医には職業歴や近親者の状況についても思い当たるところがあれば伝えてください。

(3)検査・診断:
検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。検査や診断についてよく理解しておくことは、治療法を選択する際に大切です。理解できないことは、繰り返し質問しましょう。

顕微鏡を見る女性のイラスト

初期の段階では、自覚症状がないことが多いため、検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかることがあるなど、確定診断を行うのが難しいのが現状です。また、健診の際のレントゲンで偶然発見されることもあります。早期発見が非常に重要ですので、昔、アスベストを扱う工場の近くに住んでいたり、建築業や解体業に就いていた人は、定期的に胸部レントゲン検査を受けたり、胸の痛みや咳などの症状が出現した場合には、早急に検査を受けることが重要です。

中皮腫の診断は、問診・身体診察に始まり、一般的には画像検査、血液検査、細胞検査、生検によって診断します。診察や検査は、診断の確定や治療法を選択する際に大切なことですので、事前によく理解して、わからない点があれば担当医に納得がいくまで質問のうえ、適切に実施してください。

以下は、主な検査方法の説明です。

問診・身体診察
全身を診察し、胸部・腹部にしこりがないか確認するとともに、自覚症状、既往歴、職業歴、住環境やアスベストのばく露の可能性等について確認します。
腫瘍マーカー
血液の検査により、異常値がないかどうか検査をします。
画像検査(超音波、エックス線、CT、MRI、核医学検査)
画像検査によって胸膜周辺のがんの広がりなどを調べるために、超音波、エックス線、CT、MRI、核医学検査などを行います。各検査の主な内容については各検査名をクリックしてください。
細胞診
針を使って胸水や腹水の細胞を採取し、採取した細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無について確認します。
生検
胸膜または腹膜から細胞や組織を採取して、それを病理医が顕微鏡で観察して、がんの徴候がないか調べる検査法です。

(4)治療法の選択:
腫瘍や体の状態に合わせて、担当医は治療方針を説明します。ひとりで悩まずに、担当医と家族、周りの方と話し合ってください。あなたの希望に合った方法を見つけましょう。

精密検査の結果から腫瘍や病期(ステージ)に応じて、担当医が治療方針を説明します。治療法の選択については、ひとりで悩まずに担当医やご家族や、周りの方々と話し合うことも重要です。治療方法は、病期によって異なりますが、すべて担当医に任せず、自分の希望を伝えたうえで一緒に治療方法を選んでいくという姿勢が重要です。積極的に担当医に質問を行い、うまくコミュニケーションをとりながら自分に合った治療法であることを確認してください。

診断と治療の選択に悩む場合やどうしても納得いかない場合は、セカンド・オピニオン(患者さんが納得のいく治療法を選択することができるように、治療の進行状況、次の段階の治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めること)として他の医師に相談することも大事です。

治療法には、外科手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)及び緩和ケアなどがあります。どのような治療法を行うかは、病状(病期)や全身状態により決定されます。以下は、ステージ別の主な治療法を簡単に図示したものです。

胸膜中皮腫の臨床病期と治療

胸膜中皮腫の臨床病期と治療のイラスト

(注記)手術前の抗がん剤治療や、手術後の放射線治療を行うことがあります。
I期及びII期でも手術ができないことが多くあります。

(5)治療:
治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、小さなことでも構いませんので、気が付いたことは担当医や看護師、薬剤師に話してください。よい解決方法が見つかるかもしれません。

以下は、主な治療法です。

化学療法のイラスト

手術(外科治療)
手術は早期の限られた病期において実施されます。胸膜中皮腫の手術は胸膜切除/肺胸膜剥皮術(P/D)と胸膜肺全摘術(EPP)があります。根治を目指すためには胸膜切除/肺胸膜剥皮術(P/D)、胸膜肺全摘術(EPP)に化学療法や放射線療法を併用した集学的治療が重要です。
化学療法(抗がん剤治療)
化学療法は手術で切除できない進行した悪性胸膜中皮腫や再発した悪性胸膜中皮腫に対して施行されます。また、集学的治療の一環として外科治療と併用されることもあります。
化学療法としてペメトレキセドとシスプラチンの併用療法があります。この治療法は生存期間の延長が臨床試験によって確認されている方法です。また、ニボルマブ(オプジーボR )についても、一部の悪性胸膜中皮腫へ条件付きでの使用が承認されました。臨床試験については、詳しくは「治験情報」より検索してください。
放射線療法
放射線を腫瘍が存在する範囲に照射して腫瘍を縮小させる方法で、手術後の再発予防や痛みを緩和する目的で使用されます。集学的治療の一環として、手術後に放射線療法が施行される場合があります。

(6)経過観察:
治療後の体調の変化や腫瘍の再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。

治療を行った後の体調確認のため、また、再発の有無を確認するために定期的に通院して検査をします。再発の危険度が高いほど頻繁、かつ長期的に通院することになります。

特に、以下の再発と転移には十分気を配りつつ、経過観察をすることになります。

再発と転移に関して

再発
再発とは、治療がうまくいったように見えても、手術で取りきれていなかった目に見えない小さながんが残っていて再び現れたり、薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療でいったん縮小したがんが再び大きくなったり、別の場所に同じがんが出現することをいいます。中皮腫が再発した場合、抗がん剤に加え、症状を抑える緩和医療(緩和ケア)行う場合もあります。患者さんの状況に応じて治療やその後のケアを決めていきます。
転移
転移とは、がん細胞が別の臓器に移動し、そこで成長したものです。がんを手術で全部切除した後も、転移が見つかるケースもあり、時間が経過して見つかる場合もあります。
出典:
このページの先頭へ

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /