令和6年度原子力の安全性向上に資する技術開発事業(高経年化対策に資するコンクリート照射劣化に関する研究)に係る入札可能性調査実施要領
令和6年8月1日
経済産業省
資源エネルギー庁 電力・ガス事業部
原子力政策課
経済産業省では、令和6年度原子力の安全性向上に資する技術開発事業(高経年化対策に資するコンクリート照射劣化に関する研究)の受託者選定に当たって、一般競争入札(又は企画競争)に付することの可能性について、以下の通り調査いたします。
つきましては、下記1.事業内容に記載する内容・条件において、的確な事業遂行が可能であり、かつ、当該事業の受託者を決定するに当たり一般競争入札を実施した場合、参加する意思を有する方は、別添1登録様式に記入の上、5.提出先までご登録をお願いします。
1.事業内容
(1) 概要
大型軽水炉が抱える建設期間やファイナンスリスク等の課題克服の他、安全性強化、並びに、GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた用途の多様性(水素製造など)およびVRE(Variable Renewable Energy)導入の補完等を目指すSMR等の新型炉の開発が世界的に進められている。一方で、スケールメリットを発揮できる既存の大型軽水炉と比べて、出力の小さなSMR等の新型炉は発電単価で不利となることが明らかとなっており、技術面だけでなく経済面でも不確実さが存在している。したがって、事業者に長期的な投資回収の高い予見性を付与するとともに、利用者には低廉な電源からの電力供給に資するためにも、原子力発電所の長期利用が重要な要素の一つとなっている。
加えて、取替困難な機器として、コンクリート構造物があり、地震大国である我が国においては、公衆の安全性への高い関心のため、説明性が求められる状況にある。
既存軽水炉の安全性向上に当たっては、放射線環境下におけるコンクリートの健全性を確保することが、軽水炉の事故発生リスクの低減の観点から重要である。放射線照射により原子炉建屋内のコンクリートが劣化することが知られている。原子力発電所で使用されているコンクリートは地産地消型で大量に原子炉建屋内に用いられており、含有する鉱物構成は多岐に渡る。そのため、個別にコンクリートの劣化に関するデータを取得して劣化予測評価や健全性評価を行うよりも、放射線照射による劣化のメカニズムを明らかにし、我が国の軽水炉に共通的に用いることのできる基礎データや評価手法の整備を行うことが望ましい。
このような背景を踏まえ、本事業では、安全な長期運転を実現する次世代革新炉にも対応可能な高経年化対策に資するコンクリート照射劣化に関する実験、解析、調査等に取り組む。
(2) 事業の具体的内容(令和6年度の実施項目)
以下の(A)〜(D)の項目に取り組む。
(A)骨材種別や温度条件を考慮した骨材の放射線照射時の影響評価
コンクリートに含まれる骨材の放射線照射時の膨張は、骨材種別や温度に依存する。国内の軽水炉で利用される様々な骨材の放射線照射時の影響を予測する評価手法の整備に向けて、照射速度による影響確認を目的とした照射済骨材等の照射後試験を実施する。
国内軽水炉のコンクリートに含まれている骨材の情報をもとに選定・収集した骨材に対して、照射速度による影響確認を目的として実施された照射試験、特に照射の加速試験に関する影響評価を行う。また、これまでにチェコCVRにて実現性を検討し、適用手法を具体化・試行した放射化した骨材等に対する各種分析・解析手法を、照射済の骨材試料に適用することで、骨材への中性子照射による膨張等の影響評価・分析を行う。
(B)劣化メカニズムの解明と劣化に関する定量的な予測手法の導出
コンクリートへの照射による劣化メカニズムを理解し、(A)の試験の実施結果を評価・活用可能とするため、次の内容を実施する。
- 骨材の膨張メカニズムならびに照射速度による影響の存在確認とそのメカニズムの検討
国内軽水炉のコンクリートに含まれている主な鉱物に対して、中性子照射に比して制御容易性を有するイオン照射試験を用いて、微細構造や力学特性の変化を測定して、中性子照射試験及び分子動力学シミュレーションから得られた知見と比較する。また、試料の観察を行って中性子照射材から得られる知見と比較する。さらに、大型放射光施設(Spring-8)等の放射光によるコンクリートの構造解析の検討を実施し、必要に応じて、X線吸収分光を用いたモデル物質による試測定を実施する。
分子動力学計算シミュレーションにより、鉱物界面など実材料を模擬した構造モデルを作成し、中性子照射シミュレーションを行う。これに基づき、照射量と原子構造、力学特性(ヤング率、最大応力ひずみ等)の関係を評価する。さらに、熱的治癒効果の現象解明として、照射で生じる結晶/非晶質界面での結晶成長を扱うシミュレーション技法を開発し、密度回復の構造的要因を明らかにする。
- 数値解析による照射の影響を考慮した鉄筋コンクリート部材性能変化評価
剛体ばねモデル(RBSM)を用いて、骨材の膨張やコンクリート等の放射線照射後の状況を模擬する数値解析を行い、健全性評価法立案に資するデータを整備し、健全性評価法について提案する。
(C)コンクリートの健全性評価に資するデータ整備とその利用方法の検討
(A)〜(B)の結果を用いて、骨材レベル、コンクリートレベル、部材レベルでの健全性評価手法に関するデータ整備とその利用方法について、電気事業者による実務的な利用を見据えて、成果のとりまとめ方針を検討する。
(D)電気事業者ニーズの把握および研究計画の策定
(A)〜(C)の実施にあたって、電気事業者にヒアリング等を行い、特に本事業成果活用にあたっての要望、期待を確認し、研究計画および成果のとりまとめ方針の妥当性確認を行う。
(3) 事業期間
契約締結日から令和10年3月31日まで(予定)
(4) 事業実施条件
- 60年超運転、および、今後の次世代革新炉では安全性や経済性を高めていくため、自然災害に強く、高い安全性、安定供給、経済性を実現する必要がある。高経年化対策にも次世代革新炉にも必要なコンクリートの照射劣化の知見や劣化メカニズムの解明に資するよう、コンクリートや含有する骨材の照射済試験体を用いた分析が可能であること。
- コンクリート照射劣化に関する実験や解析、照射後試験や照射劣化の定量的評価、分子動力学等のシミュレーション計算などの実施には、照射済試験体・解析コードともにコンクリート照射劣化に関する試験実施の知見が必要であり、解析結果の検証には、これまでの照射試験データとの整合性の照合が可能であること。また、日米民生用原子力研究開発ワーキンググループ(CNWG)との体制を構築して、照射済試験体を用いた分析ではチェコ原子力研究所(CVR)の機器・設備によってデータ取得の継続的性が可能であること。
- 本事業は、1骨材種別や温度条件を考慮した骨材の放射線照射時の影響評価 、2劣化メカニズムの解明と劣化に関する定量的な予測手法の導出、3コンクリートの健全性評価に資するデータ整備とその利用方法の検討の3つの技術開発で構成されている。受託者がリーダーとなり、プロジェクトに参加する組織を統括して、プロジェクトマネジメントを行うこと。
- 事業戦略を念頭に事業開始の段階で、参加者が知財戦略を構築し、必要に応じて見直しを行いながら事業を進めること。
2.説明会の開催
説明会は実施しません。質問がある場合は、令和6年8月13日(月)12時00分までにメールで行ってください。質問がない場合であっても寄せられた質問及び回答を共有するので、5.に連絡先(社名、担当者名、電話番号、メールアドレス)を令和6年8月20日(火)12時00分までに登録してください。
3.参加資格
- 予算決算及び会計令(以下「予決令」という。)第70条及び第71条の規定に該当しない者であること。
なお、未成年者、被保佐人又は被補助人であって、契約締結のために必要な同意を得ている者は、予決令第70条中、特別の理由がある場合に該当する。 - 経済産業省からの補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている者ではないこと。
- 過去3年以内に情報管理の不備を理由に経済産業省との契約を解除されている者ではないこと。
4.留意事項
- 登録後、必要に応じ事業実施計画等の概要を聴取する場合があります。
- 本件への登録に当たっての費用は事業者負担になります。
- 本調査の依頼は、入札等を実施する可能性を確認するための手段であり、契約に関する意図や意味を持つものではありません。
- 提供された情報は省内で閲覧しますが、事業者に断りなく省外に配布することはありません。
- 提供された情報、資料は返却いたしません。
- 契約を行う場合、委託事業の事務処理・経理処理につきましては、経済産業省の作成する委託事業事務処理マニュアルに従って処理していただきます。
- 契約を行う場合、委託事業の事務処理・経理処理等につきましては、更に以下の事項について対応を頂く必要があります。
1事業の実施に当たっては、事業全体の企画及び立案並びに根幹に関わる執行管理について、再委託(委託業務の一部を第三者に委託することをいい、請負その他委託の形式を問わない。以下同じ。)を行うことはできません。
2総額に対する再委託の割合が50%を超えないか。超える場合は、相当な理由があるか理由書の提出を求めます。なお提案書等において再委託費率が50%を超える理由書を添付した場合は、経済産業省で再委託内容の適切性などの確認を行い、落札者に対して、契約締結までに履行体制を含め再委託内容の見直しを指示する場合があります。
なお、本事業については、履行体制によっては再委託費率が高くなる傾向にある事業類型IIに該当するものであり、履行体制の適切性についてはそれらを踏まえて判断します。
<事業類型>
I.多数の事業者を管理し、その成果を取りまとめる事業
(主に海外法人等を活用した標準化や実証事業の取りまとめ事業)
II.現地・現場での作業に要する工数の割合が高い事業
(主に海外の展示会出展支援やシステム開発事業)
III.多数の事業者の協力が必要となるオープン・イノベーション事業
(主に特定分野における専門性が極めて高い事業)
3委託費を不正に使用した疑いがある場合には、経済産業省より落札者に対し必要に応じて現地調査等を実施します。また、事業に係る取引先(再委託先、外注(請負)先以降も含む)に対しても、必要に応じ現地調査等を実施するため、あらかじめ落札者から取引先に対して現地調査が可能となるよう措置を講じていただきます。
調査の結果、不正行為が認められたときは、当該委託事業に係る契約の取消を行うとともに、経済産業省から新たな補助金の交付と契約の締結を一定期間(最大36ヵ月)行わないこと等の措置を執るとともに当該事業者の名称及び不正の内容を公表します。
具体的な措置要領は、以下のURLの通りになります。
https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/shimeiteishi.html
- 委託契約書の規定に基づき提出された実績報告書等については「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年5月14日法律第42号)に基づき、不開示情報(個人情報及び法人等又は個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの等)を除いて、情報公開の対象となります。なお、開示請求があった場合は、以下に掲げる書類は調整を行わずとも原則開示とし、その他の書類の不開示とする情報の範囲については経済産業省との調整を経て決定することとします。
○しろまる原則開示とする書類
・提案書等に添付された「再委託費率が50%を超える理由書」
※(注記)不開示情報に該当すると想定される情報が含まれる場合は、当該部分を別紙として分けて作成すること。別紙について開示請求があった場合には、不開示とする情報の範囲については経済産業省と調整を経て決定することとする。
- 「ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議」(令和5年4月3日決定)において、政府の実施する公共調達においては、入札する企業における人権尊重の確保に努めるとされたことを受け、当該事業の落札者に対しては「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」(令和4年9月13日ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議決定)を踏まえて人権尊重に取り組むよう努めることを求めている。当該ガイドラインの内容を承知の上で、入札をすること。
https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220913003/20220913003-a.pdf
5.提出先・お問合せ先
〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1
経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課 岩月宛て
電話:03-3501-1991
FAX:03-3580-8447
E-MAIL:iwatsuki-jin@meti.go.jp
※(注記)郵送またはE-MAILにてご提出願います。
6.提出期限
令和6年9月2日(月)12:00
※(注記)複数者からの登録があった場合、その時点で入札可能性調査を終了し、一般競争入札(又は企画競争)を実施することがあります。
ダウンロードファイル
最終更新日:2024年8月1日