令和7年第7回串間市議会(12月定例会)
令和7年第7回串間市議会定例会の開会にあたり、私の市政運営に対する所信の一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
私は、この度の市長選挙におきまして、「若者や子育て世代が安心して未来を築き、お年寄りが心楽しく暮らせるまちへ。」を政治理念として掲げ、そのための私の政策を市民の皆様に訴えてまいりました。
その結果、多くの市民の皆様の御理解及び御支持をいただき、そして負託を受けまして第20代串間市長に就任させていただくこととなりました。
市民の皆様の期待の大きさと、その課せられた使命や責任の重さに、身の引き締まる思いであり、市民の皆様や議員各位の御協力をいただきながら、さらにより良い串間市を創っていくため、全身全霊で取り組んでまいる所存であります。
さて、国政におきましては、衆議院、参議院ともに与野党が協力関係を図りながら政権運営を行っているなど、非常に不安定な政局の中で、本市の先行きの不透明感も増しつつあると感じております。
そのような中に、第104代内閣総理大臣に女性初となる高市早苗氏が就任したことは新しい時代の幕開けとなる明るい話題の1つであると考えております。高市総理大臣は、所信表明演説におきまして、物価高対策に最優先で取り組む姿勢を鮮明にしました。ガソリン税や軽油引取税の旧暫定税率の早期廃止を目指し、いわゆる103万円の壁について、物価に連動した形で160万円以上に引き上げる議論を進め、国民の手取りを増やし、また、2地域居住を含む関係人口創出、稼げる農林水産業の創出等を通じて地方に活力を取り戻すと表明いたしました。
その結果、与野党6党が本年12月末にガソリン税の旧暫定税率を、来年4月に軽油引取税の旧暫定税率を廃止することで合意し、今臨時国会において関連法案が成立する見込みとなりました。その反面、地方では財源不足が懸念される等、その状況を注視していく必要があるものと考えております。
いずれにいたしましても、高市総理大臣のその手腕に大いに期待するとともに、本市としましても、国の政策に高いアンテナを張り、スピード感を持って様々な対策を講じてまいります。
それでは、私が注力する施策を「いのちを守る」、「持続可能な行財政運営」、「人口減少対策」、「産業振興」、「くしまの未来を担う人づくり」の5つの柱に分けて申し述べさせていただきます。
1つ目の柱、「いのちを守る」につきましては、安定した医療体制の確保を図り、また、災害に強いまちづくりを推進する取組であります。
その内容でありますが、まずは、市民病院の再建が急務であります。これまでに培った国・県・民間とのパイプを最大限に活かして、宮崎大学等の御協力も仰ぎながら安定的な医師確保に努めてまいります。また、日南串間医療圏として広域的に医療機関等と連携を取りながら持続可能な医療体制の確保を図ってまいります。
災害対策につきましても、昨年8月に発生し、震度5強を記録した日向灘地震において、自動車での避難で渋滞が生じた状況や既に整備されている避難道路の状況に鑑み、また、今後発生が想定されている南海トラフ巨大地震への対応として、自動車でも避難できる道路を整備し、地域の実情に応じた避難計画の見直しや避難所の環境整備に取り組んでまいります。
これらの取組を通して、市民の皆様の命を守り、「安心・安全なくしま」を作ってまいりたいと考えております。
2つ目の柱、「持続可能な行財政運営」につきましては、将来に向けて串間市の行財政を健全化し、持続可能な自治体を目指していく取組であります。
その内容としましては、まずは、財政健全化といたしまして、財政規律を守る強い姿勢の下、全ての事業について効果等を再検証し、大胆な見直しを行うことによって歳出削減に努めてまいります。また、物品や役務等の調達については可能な限り市内事業者から行い、市内経済の好循環を図ってまいります。
さらには、開かれた市政により公平公正な行政運営を確立してまいります。その象徴といたしまして、市長執務を定期的に1階で行い、市民の皆様の生の声を聴き、施策に反映してまいります。
職員につきましても、常に改革意欲を持って市民の皆様の幸せのためにやるべきことは何かを考えながら職務を遂行できるよう、育成に取り組んでまいります。
また、今や重要な収入源となっておりますふるさと納税について商品構成等の見直しを行い、積極的な情報発信を行うことで、まずは倍増を目指し、最終的には50億円を達成できるよう取り組んでまいります。
3つ目の柱、「人口減少対策」につきましては、急激なスピードで進行している人口減少・少子高齢化に歯止めをかけ、消滅可能性自治体からの脱却を目指す取組であります。
まず、社会減対策の1つであります、移住の促進につきましては、本市の魅力はもとより、移住に関する情報発信及び移住希望者へのサポートを充実させるとともに、子育て世代のUターン促進についても積極的に進めてまいります。移住に関しましては、移住者が孤立することのないよう、地域住民との調和を図り、新しいコミュニティを創造できる仕組みづくりを構築してまいります。
また、地元企業の成長を促しながら地元雇用を進め、雇用の安定を図る取組を通して市外からの移住及び定住の促進も図ってまいります。
4つ目の柱、「産業振興」につきましては、本市の基幹産業である農林水産業のみならず、全ての産業の振興を図り、市民の所得の増加を推進する取組であります。
その内容としましては、「一次産業の成長は串間市全体を充実させることができる。」との考えの下、農産品の付加価値増大による農業経営の安定化、再造林の推進による循環型林業の構築、アプリを使った漁師直売制度の構築等の取組を進めることで農林水産業の新規就業者と後継者の育成・確保に努めてまいります。
商工業振興につきましても、市内商工業者の経営安定はもちろんのこと、事業承継の推進による地元の商工業の維持・拡大にも努めてまいります。
5つ目の柱、「くしまの未来を担う人づくり」につきましては、教育環境を充実させ、未来を担う人材の育成を図る取組であります。
本市では、小中高一貫教育を実施し、児童生徒の学力向上と「くしま学」を通じた郷土愛の醸成などに取り組んでおります。
引き続き、児童生徒一人ひとりの個性に寄り添った子ども主体の教育を充実させ、学力向上を目指すとともに、南海トラフ巨大地震等の災害に備えた対応を進め、安全安心な学校づくりにも取り組んでまいります。
また、宮崎県立福島高等学校の生徒数確保と学校魅力化を図るために、宮崎県教育委員会、福島高等学校と連携して、全国からの出願を認める学校・学科の導入に取り組み、互いに切磋琢磨して学力はもとより人間力の向上、郷土愛の深化を図れるような環境を整えてまいります。
以上、第20代串間市長としての市政に対する所信の一端を申し述べさせていただきましたが、このほかにも、観光の振興、福祉の充実など、取り組むべき重要課題が山積しております。
また、近年の歳出の増大に伴う市債の増加や貯金に当たる財政調整基金の減少など、本市の財政状況は極めて厳しい状況にあり、財政の健全化は最優先課題であります。そのためには、徹底した歳入歳出の見直しが必要であり、市民の皆様の御理解と御協力が不可欠であると考えております。
「新しい串間へ。」このスローガンの下、誠実に、粘り強く、一歩ずつ、持続可能なふるさと串間を次世代に残すための取組を私の政治生命をかけて進めてまいりますので、議員各位並びに市民の皆様の御支援・御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
総務課