1人命第一優先のカルチャーをベースに事業継続
マネジメントを軌道にのせ、安定経営を実践す
ることで、
地域社会に欠かせない食品・水産加工
業者の地位を確立
★取り組みの POINT
■しかく 東日本大震災での被災 〜事業継続活動強化のきっかけ〜
2011 年の東日本大震災では、石巻地域にある全ての製造
工場と店舗が被災した。当時、津波が襲来した現地での復旧
戦略を選択し、被災に対する支援や補助金などもあったこと
から、順調に復旧を遂げた。一方で、従業員の 6 割が被災し
た本経験を契機に、当社として時代の変化をいかに捉え、次
にどう備えるか、まずは、従業員や地域社会に安心してもら
うことを念頭に、
2013 年に、
人命第一優先とした防災と融合
した BCP(事業継続計画)策定など、防災・事業継続両面で
の強化活動(事業継続マネジメント)をスタートさせた。
2014 年 国際規格である ISO22301 認証取得
日本政策投資銀行 BCM 格付最高ランク取得
■しかく 当社の防災の取組みの特徴 〜人命第一優先〜
防災・事業継続に関するビジョンの明確化
先代の時代から、
人命第一優先のカルチャーが根付いていた部分もあるが、
東日本大震災
での地震・津波被害を受け、
単なる事業優先ではなく
「安全を配慮したうえで最善をつくす」
ことの重要性を改めて痛感。顧客や従業員など人命を第一に、そのうえで、贈答メ―カーと
して、供給責任/顧客満足/地域社会貢献を果たしていく経営者の想いを従業員と共有した。
紹介 地元で 100 年以上にわたり笹かま
ぼこをつくり続けてきた老舗企業
本社所在地 宮城県石巻市
国内拠点 販売 25 店舗、3 工場(宮城県内)
従業員数 約 200 名
企業の災害対応における事例集
1.食品・水産加工事業者 株式会社白謙蒲鉾店
防災・事業継続両面の強化
従業員の自発的な改善行動
時代の変化を先読みする企業へ成長2教育・訓練の継続的実施 〜多岐にわたる各種訓練〜
主に地震・津波など各種災害想定した「演習訓練」等を、
全ての従業員が参加できるよう実施。内容については、命
を守るための防災対応、要員参集などの初動対応、及び、
調達先への原料確保の対応など多岐にわたり、
22 年度訓練
は計 182 回に及んだ。
また、各種災害・防災知識の教育をはじめ、従業員が主
体性をもった訓練実施など
「どのような行動をするべきか」
を考えさせることに重点を置いた。従業員の意識も、日々
高まり、
多くの従業員が積極的に自ら改善提言を行うなど、
防災・事業継続強化に向けた風土が醸成された。
事業所における被害軽減の対策 〜主に地震対策〜
地震の多い地域であることを踏まえ、建物の耐震化、床下
アンカーや L 字金具による転倒防止を実施。
また、最上階 4 階部分に避難所スペースを設置。備蓄につい
ても、適切に在庫管理を行っており、飲料・食料など 1 週間
の避難にも耐えうる備蓄を常時行っている。
■しかく 安定供給に向けた事業継続の取組 〜サプライチェーン企業との連携等〜
(初動対応)
当社は食品を扱っており、職人でカバーしている比重が大きいことから、災害時は、
現地復旧が基本戦略となる。まずは、仕入先/販売先などサプライチェーン企業へ復旧を
目指すことをまず発信。
「製造・工場復旧」
「営業」
「資金・保険」のように役割・指揮命
令を分けるなど速やかに意思決定できる体制を整備し、初動対応を明確化している。
(サプライチェーン)
南海トラフ地震や富士山噴火など想定される自然災害による影響を、自社だけでなく、
サプライチェーン企業まで広げて確認を行っている。特にサプライチェーンに影響を及
ぼす可能性が高い会社を洗い出し、災害想定エリアから遠隔地にある別工場で代替生産
できるところまでトップ折衝を行っている。
■しかく 防災・事業継続活動により得られた効果・メリット
・防災や事業継続の取組みを通じて、
「時代の変化を先読みする会社」、「事前対策を講じる
ことができる会社」へシフトしている。更に、本取組みをが起点となり、
「SDGs、カーボ
ンニュートラル、健康経営」などの取組へとステップアップしている。
・また、従業員に自主的な行動を促し、ISO や各種認定事務が自力で対応できるようになる
など、人材育成にも繋がっている。
津波速度体験訓練
演習訓練風景1代々受け継がれてきた企業使命感のもと、継続的な
防災対策で企業価値を向上させ、九州全域をカバー
する電力工事業者へ成長
★取り組みのPOINT
■しかく 受け継がれてきた企業使命感〜くらしと産業の礎をひらくパートナーシステムの白鷺電気工業〜
1947 年 2 月、地元八代の柱上変圧器の修理などを行う委託事業者
として創業した後、変電・送電工事に参入。常に危険と隣り合わせで
あることを踏まえ、何よりも安全や仲間を守ることの大切さなどの企
業理念が、脈々と受け継がれてきた。更に、市民生活や企業活動に欠
かせない電力工事業者として、‘停電すると一分でも早く復旧させよ
う’と従業員が自ら集まる等、
企業の公共性、
社会的責任という使命感
が根付いてきた。また、平時において、社内や協力会社との勉強会等
も継続的に行い、
「風化させない」ことも強く意識している。
■しかく 2016 年熊本地震を受けての取り組み 〜ライフラインを守る根幹「ヒト・モノ」〜
震度 7 クラスの 2 度の地震に見舞われ、
本社社屋が半壊。
そのよう
な中でも、企業使命感のもと、家族や協力会社の支援もあり、地震直
後から電力・通信等のライフラインの災害復旧に従事できたものの、
改めて、災害発生の対応事項や体制を「非常災害対策要項」として体
系化。そして、より発展させるため、ライフラインを守る根幹である
「ヒト・モノ」に主眼を置いた防災対策の強化を掲げた。
(主な取組)
紹介 熊本県を中心に電気電力設備の新
設/保守を行う総合電機設備業者
本社所在地 熊本県熊本市
国内他拠点 八代、福岡、京都、人吉、鹿児島
従業員数 約 130 名
企業の災害対応における事例集
2.総合電気設備工事業 白鷺電気工業株式会社
安否確認システム導入 本社の防災対策
設備やデータの確保
教育・訓練 通信手段の確保
継続的な安全・安心への取り組み
経営強化・企業成長の源2安否確認システムの導入、安全確保
全国震度 5 弱以上の地震が発生した場合、安否メールが配信
され、
本人・家族・家屋の状況が自動集計されるシステムを導入。
まずは、従業員等の安全を確認することを第一とした。併せて、
年 12 回程の安否確認訓練も実施。
新社屋の防災対策強化〜災害に強いビル〜
ライフラインの災害復旧拠点として役割を担う会社
として耐震を強化。
震度 6 強にも耐えうるよう建物壁に
アンボンドブレース(斜材)で補強。また、移動式書棚
においては、免震付きを導入し、棚の倒壊や収納物の落
下を防止。
非常時に避難所として、
食料やベッド、
トイレに至る
まで、十分な備蓄品を確保(熊本地震の経験から、従業
員・家族用に最低 3 日分確保)
。また、非常用発電機を
備えるなど、
安定的に復旧作業を継続させるため、
従業
員・家族に安全・安心な環境を提供し、万全な体制を整
えている。
教育・訓練の継続的実施
災害発生時の初動対応や二次災害防止について、教育訓練を
頻繁に実施。自治体の訓練への参加、協力会社との「安全総点
検」の実施など、
平時から、
「安全」
への意識付けに努めている。
また、従業員の声を積極的に抽出し、PJ チームを立ち上げるな
ど従業員主導での改善運動を積極的に推進し社内意識を高めて
いる。
■しかく 地域における企業や行政との連携強化
早期の復旧作業を目指し、電線、管等の資材をストックしている上、リース会社とのレンタル資材
の協定も締結。また、熊本以外の自治体と機器の相互支援を行う広域連携も積極的の図り、ライフラ
イン守る企業としての信頼を高めている。
■しかく 防災対策強化により得られた効果・メリット〜財務・非財務両面で企業価値向上〜
このような安全・安心への取組強化が、災害時の事業継続力に繋がっており、企業や地域から信頼
を得ることで、九州地方でライフライン守る企業として高い地位を確立している。
(・九州電力(株)技術力、安全施行等の表彰 ・熊本県からの防災センター竣工の感謝状授与)1「事業継続」
の取り組み強化により、
災害時にお
いて放送/通信サービスなどの安定供給を実現
★取り組みのPOINT
■しかく 地域メディアとしての基本方針・役割
会社のビジョンを明確化 〜地域密着・災害報道に強い〜
当社は、千葉県 15 市町村にて、主にケーブルテレビや
ネット事業を展開。
社会インフラの供給責任を果たすこと
を第一に、
地域メディアとして差別化を図るべく大手では
拾えないローカル情報や災害情報を迅速かつ的確に伝え
ていくことを基本方針とし実践。
特に、2019 年の房総半島台風の被災以降、災害発生時
など、
緊急事態だからこそ、当社がやらないといけないと
の強い使命感を持って、
災害情報をはじめ、
地域住民に役
に立つ情報を提供し続けている。
■しかく 令和元年房総半島台風での被災
業継続活動強化のきっかけ、被災により得た教訓
当社は、東日本大震災以降、経営トップの意向で事業継続に係る諸規程の見直しなど、定
期的に改善を図っていた中、2019 年 9 月房総半島台風(台風 15 号)によって、当社エリ
アでも広範にわたり停電が生じ(約 32 千世帯に影響)
、3 日後までに多くは復旧したもの
の、伝送路などの設備も被災し、当社サービスが完全復旧するまで 10 日近くを要した。メ
ディアとしてサービスを提供できなかった苦い経験が、全社員の意識を変えるきっかけと
なり、自分事として事業継続の取り組みを行う必要性の理解が高まった。
紹介 千葉県 15 市町村をサービスエリ
アとするケーブルテレビ事業者
会社設立 1984 年 2 月
本社所在地 千葉県佐倉市
国内拠点 本社、通信技術センター
企業の災害対応における事例集
3.情報通信業 株式会社広域高速ネット二九六
当社通信技術センター(千葉県印旛郡)
L字データ放送
従業員からのボトムアップに
よる発展的改善
(課題抽出⇒訓練演習⇒戦略の見直し)2■しかく 事業継続活動の強化
問題点・課題の抽出 〜リスクの把握〜
内部統制PTにて、各部門や全従業員から、
優先的な実施事項や何ができるかなど、被災
により認識した問題点・課題を徹底的に抽出。
技術面や顧客対応など多岐に亘る計 117 項目
の新たな「気付き」が認識され、そこから、
事業継続計画(BCP)や体制の抜本的な見直
しに繋げた。
実効性を高める取り組み 〜訓練の継続〜
有事の状況は想定できないため、
何よりも、
現場の一人一人が、
何ができるか考えさせる
ことが重要と認識。
社員全員が参加するイン
パクトベースの BCP 訓練、
安否確認テスト、
避難訓練等を、繰り返し実施。また、戦略の
見直しとして、訓練/演習での新たな「気付
き」や「振り返り」の結果を、継続的に事業
継続計画(BCP)に反映させ、戦略を見直す
ことで実効性を高めている。
■しかく サプライチェーン企業との連携や地域貢献
安定供給の実現のため、自社の取り組みだけでなく、サプライチェーン企業との連携
も強化。有事の際の優先契約や業務提携など、工事施工業者、通信会社、システムベン
ダー、販売代理店など各ステークホルダーと協議のうえ、連携を積極的に図っている。
また、県内の自治体や警察と、緊急情報や地域安全情報に関する協定締結や河川監視
カメラの協働設置など、
災害に強いメディアとして、
積極的に地域社会へ貢献している。
■しかく 事業継続活動により得られた効果・メリット
(企業価値向上)
有事の際に、
継続的に地域住民に役に立つ情報を提供し続けること、
自治体等との地域
貢献により、
お客様から高い評価を頂くことで、
地域社会に欠かせない放送局としての地
位確立に繋がっている。
(平時での地道な備えが有事に活かされている)
(業務効率化・人材育成)
様々な訓練/研修などの業務継続活動を通じ、業務に係る新たな気づき、部門を超えた
交流など、社内コミュニケーションが活発化し、業務効率化・人材育成の面で大きな助け
になっている。
レポート
初動
対応 意思
決定
要員
確保
資源
確保
設備
維持
顧客
対応
社員
対応
情報
発信
広報
活動
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