「危険を知らせる人たちを、『お客さん』と勘違い」

福岡水害(平成11年6月)

危険を知らせる人たちを、『お客さん』と勘違い
〜水溜まりに突っ込みエンジンストップ〜

(福岡県太宰府市 50代 男性 タクシー運転手)

水害が起きた日は「何かいつもと違う。おかしいな」とはうすうす思っていましたが、雨の日はお客さんも多いし、張り切って仕事をしていました。

すると、前方に、女の人が二人、こちらの方に向かって手を振っているのが見えました。私はてっきりお客さんが呼んでいるものと思い、迷わず車を直進させました。

ところが、そこは土地が急に低くなっている箇所で、プールのように水が溜まっていたのです。私の車はあっという間に深みに突っ込み、エンジンが止まってしまいました。

×ばつ印をつくって、道路の危険を知らせようとしてくれていたのです。

その女性たちに車を押してもらって、何とかそこから脱出することができましたが、車はテコでも動きませんでした。

仕方がないので営業所に電話で事情を説明し、レッカー車で迎えにきてもらいましたが、エンジンが止まると車はハンドルもブレーキもきかなくなりますから、曲がり角の多い町の中を引っ張ってもらうのは、それは大変でした。

雨水が溜まるのはアンダーパス(注記)だけじゃないってこと、この失敗で思い知りました。

(注記)アンダーパスとは、交差する鉄道や道路などの下を通過するため、周辺の地面よりも低くなっている道路のこと。

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