・200002:2000年(平成12年) 三宅島噴火災害
【概要】
(1)被害の概要
平成12年6月26日に気象庁が緊急火山情報を発表した。それ以降の雄山の噴火活動により、人的被害はなかったものの、平成12年6月から12月までに下表のとおりの被害が確認されている。
表1 三宅島噴火災害の主な被害状況(平成12年12月時点)
(2)災害後の主な経過
表2 災害の主な経過(国・都・村の対応)
【参考文献】
1)東京都『平成12年(2000年)三宅島噴火災害誌』平成19年3月。
2)内閣府『三宅島噴火災害教訓情報資料集』平成17年度。
三宅村復興計画策定委員会(三宅村が平成14年1月29日に設置)は、噴火災害から1日も早く立ち直るための社会基盤整備対策を講じるとともに、将来の噴火などの災害に備えた、災害に強い島づくりと、これまで島を支えてきた農林漁業などの地域の基幹産業の振興との調和を図りながら観光産業を核として、三宅島独自の再建策の構築に早急に取り組むために設置された。同委員会は、平成14年12月4日に「三宅村復興基本計画」を三宅村へ答申した。
○しろまる復興計画の基本理念
島民が「安心して」、「活き活き」、「安全に」生活できることに加えて、三宅島らしさを追求し、時に厳しさをみせる自然と共生しながら、三宅村の目指す将来像である「人と自然にやさしい健康で豊かな村」を実現することを目指して、次の3つを基本理念と定めている。
・三宅島民の生活再建を最優先とした復興計画とする(生活再建)
・火山をはじめとした島の自然と三宅島民の文化や伝統を活かし、世界に誇れる観光地としての三宅島振興を実現するためのきっかけとなる復興計画とする(地域振興)
・噴火などの災害に備え、災害に強い三宅島づくりを目指した復興計画とする(防災しまづくり)
○しろまる復興計画の概要
「三宅村復興基本計画」では、基本計画の完成目標年次を10ヶ年と定めている。計画策定時は、帰島時期が不確定だったため、それらを踏まえて、「現時点から推進すべき事業」と、「帰島時期に応じて推進するべき対策」とに、復興施策や事業を大別している。
また、大きな特徴として、ハザードマップを作成しで噴火災害、泥流災害等の危険地域については、新たな個人資産の形成や社会基盤の建設は行わないことを前提としている。
生活再建、地域振興、防災しまづくりの分野での復興事業を推進するために、三宅村を14のゾーンに分けている。
各分野のゾーンは、それぞれが独立したものではなく、互いに関連しあい、相乗効果をもたらすものとし、すべての分野にわたって、火山との共生を目指す計画としている。また、統一的なまちなみの整備や広域的なバリアフリー化の推進など、島民・来島者にやさしく、三宅島らしい景観形成を目指している。
図 復興計画のゾーニング図
図 復興計画のゾーニングの体系
【参考文献】
1)東京都『平成12年(2000年)三宅島噴火災害誌』平成19年3月。
2)内閣府『三宅島噴火災害教訓情報資料集』平成17年度。
3)三宅島復興計画策定委員会『三宅島復興基本計画』平成14年12月。
○しろまる村民の避難生活が困窮状態に陥らないようにするとともに、帰島してから自らの努力により生活の再建が可能となるよう支援。
○しろまる対象
・被災日に三宅村に住所を有し、かつ帰島の意思を有する世帯実施予定
・災害保護の対象とならない世帯
・収入認定額が基準額以下であること
・義援金、支援金を含めて預貯金の保有額が500万円以下で預貯金を預託する世帯
○しろまる支給額
・生活保護基準額を準用する基準額と世帯の収入認定額を比較して、収入認定額が基準額に満たない場合に、その不足額を支給。
○しろまる実績:44世帯2,599万円(H16.2末)
○しろまる避難指示が4年半にも及んだことから、次のような固定資産税の特例措置が実施された。
1) 住宅が震災等により滅失・損壊した土地で、やむを得ない事由で住宅用地として使用できず、避難指示等が長期に及ぶ場合は、避難指示等の解除後3年度分の固定資産税等を軽減。
2) 三宅島噴火災害により滅失・損壊した家屋等の代わりに取得する家屋等に係る固定資産税について、最初の4年間2分の1減額(解除のあった年の翌年から3年を経過する間)
○しろまる経済産業省は、被災中小企業者の政府系中小企業金融機関からの既往債務について、東京都等と協力して以下の措置を実施した。
・元本については、政府系中小企業金融機関が被災中小企業者からの求めに対して、返済猶予等の柔軟な対応を行う。
・金利については、返済猶予措置のとられている間について、国と東京都等が協力して利子補給を実施。
・民間金融機関からの既往債務については、東京都等が利子補給措置を行う。