災害対応資料集

・198303:1983年(昭和58年) 日本海中部地震

【概要】

(1)被害の概要
1発生日時
昭和58年5月26日12時00分ごろ
2震源地
能代沖約100km 北緯40.4度 東経138.9度
3震源の深さ:約5km
4規模:マグニチュード7.7
5各市町村の最大震度(震度4以上)
震度5:秋田・深浦・むつ
震度4:青森・八戸・江差・森・盛岡・酒田
6被害状況

表1 日本海中部地震の主な被害状況

都道府県 人的被害(人) 住宅被害(棟)
死者 負傷者 全壊 半壊 一部破損 床上浸水 床下浸水
秋田県 83 265 1,132 2,632 2,867 65 277
青森県 17 25 447 865 3,018 62 152
北海道 4 24 5 16 69 27 28
新潟県 0 2 0 0 0 2 0
石川県 0 3 0 2 0 3 3
京都府 0 0 0 0 0 0 3
島根県 0 5 0 0 0 141 277
計 104 324 1,584 3,515 5,954 300 740

図1 日本海中部地震の震度分布図

7被害の特徴
・震源地が陸地に近いため、地震発生とほぼ同時に津波が襲い、被害が拡大した。
・津波による被害が多かった。死者104名の内100名が津波による犠牲者である。
・砂地地盤において液状化現象が発生した。
・危険物施設は、地下埋設されているタンク施設は地面より上昇し、地上にあるタンク施設は地面より沈下する傾向が見られた。

(2)災害後の主な経過

表2 災害後の主な経過(秋田県の取組状況)

年 月日 項目
昭和58年 5月26日 1200 日本海中部地震発生

1205 地震に関する情報第
1214 大津波警報
2018 津波警報解除
1225 県災害対策連絡部の設置
1250 県災害対策本部の設置
5月27日 災害弔慰金支給制度、災害援護資金貸付制度の適用
被害速報の発表
5月28日 災害救助法適用(能代市、男鹿市、八森町、八竜町)
5月29日 死亡者に対する県単災害見舞金の支給決定
6月2日 知事から弔慰金の早期支給について指示
6月3日 昭和町に災害救助法適用
6月4日 災害救助法に基づく捜索延長申請決定
6月6日 各部局の復旧状況について説明
井川町に災害救助法適用
6月7日 局地激甚災害適用の可否について検討
義捐金の配分基準について検討
6月9日 死者の取扱(判定
6月11日 山本町に災害救助法適用
6月13日 災害救助法に基づく捜索延長申請を決定
6月17日 国の災害本部会議の状況について報告
6月20日 第1回義捐金配分委員会
6月24日 災害救助法に基づく捜索再々延長申請を決定
7月1日 激甚災害指定とその内容について状況報告
7月4日 災害対策本部の体制について検討
7月10日 住宅被災者に対する県単災害見舞金の支給決定
7月15日 災害弔慰金の支給金額決定
7月20日 被害確定公表
7月26日 被災市町村に対して災害見舞金公布
7月28日 秋田県防災会議の開催
7月30日 県災害対策本部解散

【参考文献】
1) 東京消防庁『日本海中部地震調査報告書』昭和58年8月。
2) 秋田県『日本海中部地震の記録 被害状況と応急対応』昭和59年3月。
しろまる災害対策本部の設置(秋田県)
・5月26日12時50分、知事を本部長とする「秋田沖地震秋田県災害対策本部」を設置するとともに、山本、秋田地方部にそれぞれ「秋田県災害対策山本地方部」、「秋田県災害対策秋田地方部」を設置し、県災害対策本部並びに、被災市町村の災害対策本部との連携体制をとった。
しろまる日本海中部地震非常災害対策本部(政府)
・5月26日午後、災害対策関係省庁連絡会議を開催するとともに、「昭和58年(1983年)日本海中部地震非常災害対策本部」を設置した。
1) 災害復旧予算
しろまる災害関連の予算計上にあたっては、民政対策をはじめ商工対策等について、緊急を要するものや災害査定に基づく農業施設、公共土木施設などの公共土木補助事業、さらに県単独事業等の恒久復旧対策に要する経費について、県議会に補正予算として計上した。
しろまる秋田県県議会は6月定例会の会期後ではあったが、地震災害の復旧対策を促進するため、各常任委員会を開会するとともに、各会派代表者会議を開会し、議会の対応について協議した。さらに、政府、国会、その他の関係機関、県選出国会議員に対し、県民の窮状を訴えるとともに、一日も早い立ち直りを促進するよう、金融、財政などの援助措置を陳情した。
しろまる秋田県県議会9月定例会では、災害復旧議会に終始し、津波対策、港湾堤防などの災害復旧について、議論が集中し、また県から提案された緊急災害予算の専決処分を承認すとともに、災害救助、公共施設災害復旧関係の予算を議決した。
2) 激甚災害の指定
しろまる秋田県は、災害の規模、財政規模から「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する決律」に基づく激甚災害の指定を受けることが早期復旧対策には絶対不可欠であると判断し、激甚災害の指定とそれに伴う各種融資制度の適用、融資条件の緩和などについて、国に対して強く働きかけた。
しろまる7月5日付で「日本海中部地震についての激甚災害の指定およびこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」が公布され、秋田、青森両県に対して、激甚災害として正式に指定された。指定の内容及び措置は次の通り
・同法第5条(農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置)
・同法第6条(農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例)
・同法第22条(罹災者公営住宅事業に対する補助の特定)
・同法第24条(公共土木施設、農地及び農業用施設等小災害に係る地方債の元利補給等)
しろまるさらに能代市、男鹿市、八森町、八竜町、若美町の区域に係る災害については、次の規定が適用された。
・同法第12条(中小企業信用保険法による災害関係保障の特例)
・同法第13条(中小企業近代化資金等助成法による貸付金用の償還期間等の特例)
・同法第15条(中小企業者に対する資金の融通に関する特例)
【参考文献】
1) 神戸大学都市安全研究センターホームページ『大規模災害後の復興プロセスにおける住宅再建支援に関する教訓資料』
(../../../../../tolink/out51.html)。
2) OCNホームページ『地震被害状況 日本海中部地震』。
3) 東京大学社会情報研究所廣井研究室ホームページ『今後の地震対策のあり方に関する専門調査会資料 参考資料1 我が国の地震防災対策の概要平成13年10月24日』。
4) 秋田県『日本海中部地震の記録 被害状況と応急対応』昭和59年3月。
しろまる秋田港は旧雄物川の河口に埋め立て及び掘り込み式により建設された港であり、岸壁、物揚場、護岸、エプロン、臨港道路、アンローダー等に被害を受け、港湾機能の80%以上が麻痺状態となった。
しろまる秋田港の復旧おいて、運輸省第一港湾建設局秋田港工事事務所並びに秋田県は、応急復旧に着手するとともに災害復旧に着手するとともに災害復旧工事の早期着手を国に強く働きかけた
・災害復旧工事(直轄災害)は7月29日閣議決定、8月5日から着手

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内閣府政策統括官(防災担当)

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