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Pipelineパイプライン

開発パイプラインの状況

現在アンジェスでは、核酸医薬事業いわゆるゲノム創薬事業では、慢性動脈閉塞症を対象としたHGF遺伝子治療用製品、椎間板性腰痛症向けのNF-κBデコイオリゴ(エヌ・エフ・カッパ・ビー デコイオリゴ)DNA、DNAワクチンの開発の3プロジェクトを推進しています。

当社パイプライン

プロジェクト 地域 導出先・提携先 剤形 適応症 基礎研究 非臨床試験 臨床試験・治験 承認審査 承 認
第I相 第II相 第III相
HGF遺伝子治療用製品
(ベペルミノゲンペルプラスミド)
日本 注射剤 慢性動脈閉塞症
米国 注射剤 包括的高度慢性
下肢虚血(CLTI)
準備中 BLAに向けた
準備を開始
イスラエル Kamada 注射剤 慢性動脈閉塞症
トルコ Er-Kim 注射剤 慢性動脈閉塞症
NF-κBデコイオリゴDNA 日本 注射剤 慢性椎間板性腰痛症 実施中
DNAワクチン オーストラリア 注射剤 高血圧
Tie2受容体
アゴニスト化合物
米国 Vasomune
(共同開発)
注射剤 COVID-19および
急性呼吸窮迫症候群
前期
実施中

(注記)開発パイプラインとしては、上述のプロジェクト以外に、探索・基礎研究・非臨床試験段階で慢性B型肝炎治療薬があります。

エメンド社パイプライン

プロジェクト 地域 適応症 LEAD OPTIMIZATION PRE-CLINICAL IND-ENABLING PHASE 1-3
ゲノム編集治療の開発 米国 ELANE関連重症先天性
好中球減少症
血液学・眼科・免疫腫瘍学
などにおける疾患

HGF遺伝子治療用製品

HGF遺伝子治療用製品とは、HGF遺伝子を体内に入れて、その遺伝子からつくられるタンパク質の働きによって、病気を治す医薬品です。アンジェスは、2019年、世界で初めてプラスミドDNAを用いたHGF遺伝子治療薬を製品化することに成功しました。

1984年、日本にて、最も再生能力の高い臓器である肝臓からひとつの成長因子が発見されました。その因子は、肝細胞増殖因子(Hepatocyte Growth Factor:HGF)と名付けられ、肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体の様々な臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることがわかりました。そして、1995年、大阪大学の森下竜一教授らの研究チームにより、HGFに「血管を新生する」能力があることが発見され、血管が詰まり血流が悪くなっている虚血性疾患に対し「血管を新生する」というこれまでにない作用を有する治療薬「HGF遺伝子治療薬」の開発が始まりました。

血管の新生

遺伝子治療には、ウイルスベクター、プラスミドDNA、ゲノム編集等の手法が存在しますが、患者の方々の体への負担を軽減でき、血管の新生を促すためにプラスミドDNAを採用し、2019年、HGF遺伝子治療用製品は、世界で初めてプラスミドDNAを用いた、重症虚血肢潰瘍の改善を目的とした遺伝子治療薬として、製品化に至りました。

遺伝子
治療用製品
国内初*
プラスミド
(DNA分子)
製品 **
世界初*
HGF
実用化製品
世界初*

末梢血管を
新生する
治療用製品
世界初*
循環器医療
領域での
治療用製品
世界初*

* 2019年3月に条件及び期限付製造販売承認を取得した時点での情報です。

** 以下3機関の承認基準 - FDA(米国)/ EMA(欧州医薬品庁)/ 厚生労働省(日本)

NF-κBデコイオリゴDNA

NF-κBは炎症や免疫が活性化する時、活性酸素などによる酸化ストレスなど の刺激が外部から与えられた時に、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主 要な転写因子です。過剰な活性化は、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー・免疫関連の疾患を悪化させることが指摘されています。

遺伝子が発現する際、転写因子と呼ばれる蛋白質がゲノムの特定の配列領域に結合してスイッチが入りますが、デコイオリゴ核酸(NF-κBデコイ)は、そのゲノム上の転写因子結合部分と同じ配列を含む短い核酸(DNA)を人工的に合成したものです。デコイとは元来「おとり」を意味する言葉で、デコイオリゴ核酸は細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、特定の転写因子がゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制されます。

炎症が引き起こされるメカニズム

遺伝子が発現する際、転写因子と呼ばれるタンパク質(NF-κB)がゲノムの特定の配列領域(炎症を起こすゲノム)に結合してスイッチが入ることによって痛みなどの炎症の原因となるタンパク質が生成されます。

(A)通常時
(B)刺激時

NF-κBに対するデコイ「NF-κBデコイ」

「おとり」として「NF-κBデコイ」を人工的に設計し、体内に多数入れることによって転写因子「NF-κB」と炎症を起こすゲノムが過剰に結合されなくなります。そうすると、炎症が起きるゲノムのスイッチが押されにくくなり、痛みの出る遺伝子の発現が抑制されるので、結果として痛みを軽減することができます。

(A)デコイ導入時
NF-κBデコイオリゴについて詳しくはこちら

ワクチン

DNAワクチンとは、対象とする病原体のたんぱく質の一部をコードする環状DNA(プラスミド)を接種することでそのたんぱく質(抗原)を体内で生産し、病原体に対する抗体を介した免疫を付与します。目的の抗原(生体の免疫システムが認識する異物)を攻撃する抗体を体内で作り出すことにより抗原に対する抵抗力が生まれ、その効果を発揮します。プラスミドDNAを用いたHGF遺伝子治療用製品で培った技術を活かしてDNAワクチンの研究開発を進めています。

【高血圧DNAワクチン】

高血圧DNAワクチンについては、血圧上昇作用を持つ体内物質である「アンジオテンシンII」に対する抗体を体内で作り出し、その働きを抑えることで高血圧を治療することを目的に開発を進めています。

昇圧作用を有する生理活性物質アンジオテンシンIIに対する抗体の産生を誘導し、アンジオテンシンIIの作用を減弱させることで長期間安定した降圧作用を発揮する。

高血圧DNAワクチン(抗AngII抗体産生)

・犬慢性心不全を対象とした動物用医薬品としても開発中。
(2015年10月5日、DSファーマアニマルヘルス(大日本住友製薬子会社)と共同開発契約締結を発表。)

現在、高血圧治療においては多くの経口医薬品が使用されていますが、これらの薬は毎日忘れずに服用する必要があるのに対し、注射剤であるDNAワクチンは一度の投与で長期間にわたって効果が持続することが期待されている。

高血圧DNAワクチンについての詳細はこちら

【新型コロナウイルス感染症向け経鼻投与ワクチン】

スタンフォード大学が保有する「Gold-Nanostar Octopod」技術を活用し、安全でより効果の高いワクチンのために経鼻投与製剤の共同研究開発

・経鼻投与とは

新型コロナウイルスやインフルエンザ、風邪などの原因となるウイルスや細菌は鼻や口、喉といった「上気道」の粘膜を侵入口として体内に入り込もうとします。上気道には感染から身を守るための「粘膜免疫」という仕組みがあり、ウイルスを迎え撃ちます。
粘膜に分泌されるタイプの「IgA」という抗体が鼻や喉にできれば感染自体を防ぐ効果が高まる可能性があり、経鼻投与では、感染部位である、気道部分に免疫を作ることが可能になります。

ウイルスとは?
ウイルス概要
DNAワクチンとは?
ワクチン概要
経鼻投与ワクチンの仕組み
仕組み図解 仕組み図解
2020年3月より行っていた新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンについてはこちら

【その他 取り組み】

・CIN治療ワクチン

現在、世界各国で発売中の子宮頸がん予防ワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防を目的としたワクチン(注射剤)であり、HPV既感染者に対して癌化を防ぐ治療効果は期待できません。一方、当社が開発中のCIN治療ワクチンは、子宮頸がんの前癌状態の組織(高度異形成)を消失させ、子宮頸がんへの移行の回避が期待できる画期的な経口の治療薬です。CIN治療ワクチンは、腸管免疫を活用してHPV抗原に対する特異的な細胞性免疫を活性化させ、子宮頸部のHPV感染細胞を選択的・効率的に攻撃することで癌化細胞を除去するという新しいメカニズムにより有効性を発揮します。当社は、韓国のBioLeaders CorporationよりCIN治療ワクチンに関する日米英中の開発、製造、使用および販売の独占的実施権を取得しています。本開発品については、当社が保有する権利を森下仁丹株式会社に独占的に再許諾する契約を締結しております。

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