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八芳園本館改修工事

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[画像:八芳園本館改修工事 By安藤ハザマ]

江戸から続く400年以上の庭園

東京都港区白金台にある八芳園は、江戸時代の大久保彦左衛門の屋敷を由緒とする、東京でも屈指の歴史と美しい庭園を持つ結婚式場として知られている。2025年10月1日、八芳園の本館が約50年ぶりに改装され、江戸から続く「約400年の庭園」に新たな歴史が刻まれた。

八芳園は、庭内の料亭「壺中庵」で2022年に岸田文雄元首相とジョー・バイデン元米大統領の非公式夕食会が催されるなど、その庭園の美しさと格式の高さが国内外を問わず高く評価されている。
八芳園リニューアルの詳細はこちら(NEW HAPPO-EN Digital Pamphlet)

「増築」や「改築」でなく「継承」という思想

古式ゆかしい正門をくぐり一歩庭内に入ると、都心の喧騒から隔絶された森閑とした空間が出現する。これが400年以上の歴史を持つ八芳園の庭園である。
木々に囲まれた道を進むとロータリーがあり、その奥に地上6階建ての本館がある。今回のリニューアルでは本館手前側を壊して新たなエントランスをつくる。本館奥側は現状の建物を残して構造の補強と内装のリニューアルを行っていく。
本工事の概要について、所長の太細に聞いた。
「今回のリニューアルでは、小中規模の国内外会議ができる会場を新設するなど、内外装ともに大きく生まれ変わります。しかし設計思想としては、単純に目新しいものをつくるということではなく、あくまでも庭園や伝統と調和する建築というのが根底にあります。今回、本館の一部を残すのも、そうした八芳園様の強い美意識に基づいているのだと思います」

[画像:太細作業所長]

太細作業所長

工期約半年のリニューアル工事

2025年1月いっぱい営業を行う中、2024年10月ごろから統括作業所長の萩原をはじめ、数名の工事スタッフが現場準備室に入った。その間、現状確認と施工準備が進められ、2025年2月1日の休館と同時に工事はスタートした。グランドオープンは8カ月後の10月1日。それに先駆けて9月17日には内覧会が開催される。それまでには内装・設備も含めて引渡しを完了させなければならない。実質7カ月、前例のない期間での改修工事が始まった。
準備段階でわかっていたことは、資材の揚重・運搬の難しさだった。副所長の本臼が説明する。
「資材を揚重するためのクレーンは本館前のロータリーに据えることが決まっていました。しかしロータリーはM3(中3)階に位置し、直下には厨房などの施設が入っていました。基本的には地表部分は、大型の重機の荷重にまで耐えられるようには設計されておらず、大規模な補強をする時間もありませんでした。本社とも連携を取って耐荷重の検討を行い、限られた時間でできる補強を行った上で、85tクレーンを用いることになりました」
工事は本館手前部分の解体と同時に奥の部分の補強や改修工事も行う。しかし85tクレーンの能力では4階〜屋上までの作業エリアで解体搬出する建材や使用する鉄骨部材の重量にかなりの制限がかかる。
「荷受け用の構台を設置してそこから資材を運び入れるようにしました。重くて長いものは分割して運び、現場で再度組み立てることで対応しました」
一度に運べる量も限られ、運んだ後の工程も加わる。それでも作業手順を細かく見直し、効率的な運用を行うことで工程を調整していった。

[画像:クレーンによる揚重作業]

クレーンによる揚重作業

[画像:荷受け用の構台]

荷受け用の構台

[画像:本臼作業副所長]

本臼副所長

安全を第一に課題を解決

本館の内装解体工事が始まると新たな課題が発生した。担当した島田が話してくれた。
「歴史のある建物を改修する際にはよくあることなのですが、図面と現場の相違についてはかなりの早さの対応が求められました」
「このまま改修を進めて強度や耐震性に問題はないか」を慎重に検討しなければ工程を先に進めることはできない。あらゆる事態を想定して施工図を作り直し、形状の変更も含めて設計事務所と発注者に対して説明・了解を得ながら工事は進められた。
「工期全体が迫っている中で、当然焦りはありました。しかし、建物の安全性、これから50年・100年使われる建物ですから、そこをゆるがせにすることはできません。最終的には本社からの応援もあって乗り切ることができました。『全社一丸』でプロジェクトを乗り切ったという印象です」

[画像:安全性を最優先にして行われた内装解体]

安全性を最優先にして行われた内装解体

[画像:既存建物を生かしながら作業は進められた]

既存建物を生かしながら作業は進められた

[画像:島田工事二課課長]

島田工事二課課長

伝統と最新技術が融合

リニューアルした本館は、現代の工匠によるさまざまな技法がいかされ、新しさと伝統が融合した建物となっている。
エントランス部分には地上4階に直通する巨大なエスカレーターが設けられているが、柱や梁は一見したところ木造で、周辺との調和がなされている。

[画像:リニューアルを象徴する本館エントランス]

リニューアルを象徴する本館エントランス

[画像:ハイブリッド集成材により高い質感を実現]

ハイブリッド集成材により高い質感を実現

[画像:エスカレーター屋根部の施工]

エスカレーター屋根部の施工

「柱と梁は鉄骨なのですが、特殊な耐火加工を行った多摩産のカラマツの集成材で被覆したハイブリッド集成材という技術を用いています。工場で製作した鉄骨を一度木材工場に送って被覆したものを現場で組み立てます。接合部分は組み上がった後に現場で被覆しますが、それも専任の技術者が行います。通常よりも工数は増えますが、一線を画した仕上がりとなっています」(本臼)

達成することで得られたもの

2025年9月17日、八芳園は10月のグランドオープンに先駆けて内覧会を行い、新装となった本館が初めてお披露目された。内覧会を前に、今回の施工について太細が総括してくれた。
「今回の工事は、求められるクオリティの高さ、施工条件や施工期間、どれを取っても非常にハードルの高い、チャレンジングな案件でした。正直、課題も多かったですが、課題に直面した時に所員全員が『これは難しい...』ではなく『どうすれば解決できるだろう』という意識を持って当たってくれたことが大きいと思います。今回のようにチャレンジングな案件をやり遂げたことは、業務に携わった社員はもちろん、会社にとっても大きな財産になったと思います」

Project Team

[画像:萩原統括所長]

萩原統括作業所長

400年以上の歴史を持つ美しい日本庭園に調和した建築物を、現代の技術を持って作り上げることができたことで、大きな達成感と私たちの技術力への自信につながりました。

[画像:太細作業所長]

太細作業所長

[画像:本臼作業副所長]

本臼副所長

[画像:島田工事二課課長]

島田工事二課課長

[画像:集合写真]

Q:この現場で感じるやりがいは?

  • 短工期で既存との取り合い検討が難しい現場ですが、納めたときにやりがいを感じます。

    (入社5年目)

  • 改修工事は既存の状態を把握して、仕上げていかなければならず、新築とは違った難しさを感じていますが、 関係者と協議して、納めていくことにやりがいを感じています。

    (入社19年目)

  • 今までもこれからも、多くの人に利用される知名度の高い施設・建物の規模の改修工事に携わっていることです。

    (入社33年目)

  • 知名度のある物件であり、リニューアル工事においてこれほどの規模の工事に携わることができて責任感とやりがいを感じています。

    (入社13年目)

工事概要

工事名 八芳園本館改修工事
発注者 株式会社八芳園
設計 株式会社山﨑健太郎デザインワークショップ
用途 集宴会場・飲食店
工期 2025年2月〜2025年8月
概要 RC+S造 地上6階 地下1階 延床面積 16,189㎡
取材時期 2025年6月

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