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[画像:循環・廃棄物の豆知識]
2014年4月号

災害時に発生する廃棄物量を推定するには

平山 修久

災害廃棄物発生量の推定方法

地震や津波などの自然災害発生時には、家屋建築物の倒壊や被災住宅より家財などの災害廃棄物が大量に発生します。これら大量の災害廃棄物の対応計画を作成し、適正に処理するためには、災害廃棄物の発生量を推定することが必要となります。しかしながら、災害廃棄物発生量を推定することは非常に困難なことです。実際、東日本大震災では、阪神・淡路大震災の経験を生かして、災害発生後から衛星画像による津波の浸水状況、解体する必要がある家屋数などの被害情報が次第に判明するに伴い適宜修正されてきました。これまでに、災害廃棄物の発生量は、全壊棟数といった住家被害などの被害の規模に比例することが明らかになってきています。イラストそして、被害の規模は、地震動の強さや津波の高さなど災害そのものの大きさと、災害廃棄物の発生量を低減できるなどの被害発生を小さくすることができる地域社会が持つ防災力や災害後の迅速な回復や適正な災害廃棄物対応を可能とする災害レジリエンスとの関係によって決まります。つまり、災害情報と地域社会情報を用いて、被害の規模を推定し、この推定された被害に対して被害単位当たりで発生する災害廃棄物量である発生量原単位を乗じることで災害廃棄物の発生量を推定することができるのです。

災害廃棄物の発生量原単位

それでは、被害単位当たりの発生量原単位はどれほどなのでしょうか?

2つの事例を紹介します。1995年の阪神・淡路大震災の経験から、被災家屋の解体によって発生するがれきは、0.4トン/平方メートル〜0.6トン/平方メートルとなっています。つまり、延べ床面積が100平方メートルの家屋を解体する場合には、40トン〜60トンの災害廃棄物が発生することになります。この場合、災害廃棄物量を推定するには、被災した住家の延べ床面積が必要となります。

×ばつ100棟=×ばつ1,000世帯=4600トンの災害廃棄物が発生すると推定することができます。このような発生量原単位の精度を高めることにより、災害直後からの体制構築、災害前の地域での災害廃棄物を考える防災演習や効果的な災害廃棄物対策の実現に活かしていくことができるようになります。

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[画像:発行:国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター]

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