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経済企画庁調査局
(概 観)
我が国経済:需要面をみると、個人消費は、収入が低迷しているものの、緩やかに回復してきている。財布の中身は増えていないものの、ひもは緩み出している。住宅建設は、このところ大幅に増加してきた持家の着工が減少したが、全体としては前年を上回る水準を保っている。設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。公共投資は、着工の動きはこのところ低調だが、事業の実施が進んでいる。
11年4〜6月期(速報)の実質国内総生産は、前期比0.2%増(年率0.9%増)となり、うち内需寄与度はプラス0.2%となった。
産業面をみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、鉱工業生産は、最終需要の動きを反映して低い水準でおおむね横ばいだが、持ち直しの兆しもみられる。企業収益は、持ち直してきた。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善傾向にある。企業倒産件数は、春先からやや増加しているものの、信用保証制度の拡充の効果などで前年の水準を下回っている。
雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
輸出入は、対アジア輸出入の動向を反映して、緩やかに増加している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、8月は中旬にかけて114円台から115円台で推移した後、9月上旬には109円台まで上昇した。
物価の動向をみると、国内卸売物価は、下げ止まっている。また、消費者物価は、安定している。
最近の金融情勢をみると、短期金利は、8月から9月上旬にかけて横ばいで推移した。長期金利は、8月は一時上昇した後、9月上旬にかけて横ばいで推移した。株式相場は、8月は上旬に下落した後、中旬以降上昇し、月末から9月上旬にかけて下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、7月は前年同月比4.0%増となった。また、企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。
海 外 経 済:主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、99年1〜3月期前期比年率4.3%増の後、4〜6月期は同1.8%増(速報値)となった。個人消費、設備投資は増加している。住宅投資は1〜3月期の大幅増の反動もあり、伸びが鈍化している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大しているものの、製造業等では輸出減の影響もあり減少している。物価は総じて安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、拡大している。連邦準備制度は、8月24日に、公定歩合を0.25%引き上げ4.75%に、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.25%引き上げ5.25%にする金融政策の変更を発表した。8月の長期金利(30年物国債)は、月前半に上昇したものの、後半には低下し、月を通じてはほぼ横ばいであった。株価(ダウ平均)は、中旬以降大きく上昇したものの月末に下落し、月を通じては小幅の上昇となった。
西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに改善してきている。フランスでは、景気は緩やかな拡大を続けている。イギリスでは、景気は改善してきている。鉱工業生産は、ほぼ横ばいで推移している。失業率は、ドイツではこのところ横ばいで推移している。フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは低水準で推移している。物価は、安定している。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところ鈍化している。物価は下落している。韓国では、景気は急速に回復している。失業率は高水準ながらも低下している。
国際金融市場の8月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、月を通じてはやや減価した。
国際商品市況の8月の動きをみると、CRB商品先物指数は、月初から上昇基調で推移し、下旬にやや弱含んだものの、月末にかけては200ポイント台目前の水準まで急上昇した。原油スポット価格(北海ブレンド)は、中旬までほぼ一本調子で上昇し、下旬には一時弱含む場面がみられたが、月末には再び21ドル台を回復した。
我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷しているものの、緩やかに回復してきている。財布の中身は増えていないものの、ひもは緩み出している。住宅建設は、このところ大幅に増加してきた持家の着工が減少したが、全体としては前年を上回る水準を保っている。設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。公共投資は、着工の動きはこのところ低調だが、事業の実施が進んでいる。輸出は、アジア向けが回復傾向にあるため、緩やかに増加している。
在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産は、最終需要の動きを反映して低い水準でおおむね横ばいだが、持ち直しの兆しもみられる。
雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。また、企業収益は、持ち直してきた。
以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していないが、各種の政策効果の浸透などで、やや改善している。
政府は、緊急経済対策、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策等の諸施策を強力に推進する。また、公需から民需へ円滑にバトンタッチが行われ、景気の腰折れを招くことなく、本格的な回復軌道につなげていくため、速やかに公共事業等予備費を使用することとし、具体的な検討を行うとともに、今後とも経済情勢を注視しつつ、15か月予算という考え方に立った平成11年度第2次補正予算の編成も含め、機動的・弾力的な対応を行う。
1 国内需要:個人消費は、収入が低迷しているものの、緩やかに回復してきている
実質国内総生産(平成2年基準、速報)の動向をみると、11年1〜3月期前期比2.0%増(年率8.1%増)の後、11年4〜6月期は同0.2%増(同0.9%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度はプラス0.2%となり、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.0%となった。需要項目別にみると、民間最終消費支出は前期比0.8%増、民間企業設備投資は同4.0%減、民間住宅は同16.1%増となった。また、財貨・サービスの輸出は前期比0.9%増、財貨・サービスの輸入は同0.7%増となった。
個人消費は、収入が低迷しているものの、緩やかに回復してきている。財布の中身は増えていないものの、ひもは緩み出している。
家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で6月0.1%減の後、7月は1.4%増(季節調整済前月比0.7%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比 2.6%増、勤労者以外の世帯では同1.3%減となった。形態別にみると、非耐久財は減少、サービス等は増加となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比1.1%増、勤労者世帯では同1.9%増となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で6月1.6%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で6月2.1%減の後、7月は2.5%減(季節調整済前月比0.5%減)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で6月2.0%減の後、7月2.0%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で6月3.6%減の後、7月5.1%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で8月は6.8%増となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で7月は6.7%増となった。レジャー面を大手旅行業者13社取扱金額でみると、7月は前年同月比で国内旅行が4.3%減、海外旅行は9.4%減となった。
賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では前年同月比で6月3.3%減の後、7月(速報)は1.3%減(事業所規模30人以上では同0.5%減)となり、うち所定外給与は、7月(速報)は同2.7%増(事業所規模30人以上では同2.1%増)となった。実質賃金は、前年同月比で6月2.8%減の後、7月(速報)は1.2%減(事業所規模30人以上では同0.5%減)となった。
住宅建設は、このところ大幅に増加してきた持家の着工が減少したが、全体としては前年を上回る水準を保っている。
新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で6月6.5%増(前年同月比7.3%増)となった後、7月は11.7%減(前年同月比1.9%増)の9万6千戸(年率115万戸)となった。7月の着工床面積(季節調整値)は、前月比17.2%減(前年同月比4.8%増)となった。7月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比23.6%減(前年同月比5.4%増)、貸家は同0.4%減(同2.9%減)、分譲住宅は同9.8%減(同5.4%増)となっている。
設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。
当庁「法人企業動向調査」(11年6月調査)により設備投資の動向をみると、全産業の設備投資は、季節調整済前期比で11年1〜3月期(実績)6.5%減(うち製造業7.1%減、非製造業5.0%減)の後、11年4〜6月期(実績見込み)は、2.1%減(同4.8%減、同0.7%減)となっている。暦年計画では、前年比で10年(実績)3.6%減(うち製造業0.7%減、非製造業5.2%減)の後、11年(計画)は8.6%減(同10.3%減、同7.7%減)となっている。
なお、11年4〜6月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると前年同期比で13.4%減(うち製造業24.6%減、非製造業6.6%減)となった。
先行指標の動きをみると、当庁「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で6月は6.3%増(前年同月比7.7%減)の後、7月は5.4%減(同7.5%減)となり、基調は減少傾向となっている。ただし、このところ製造業の動きには底堅さがみられる。
なお、7〜9月期(見通し)の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前期比で4.0%増(前年同期比5.9%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、低水準で推移しており、7月は季節調整済前月比8.1%減(前年同月比23.4%減)となった。内訳をみると、製造業は季節調整済前月比10.8%減(前年同月比39.5%減)、非製造業は同12.1%減(同19.7%減)となった。
公的需要関連指標をみると、公共投資は、着工の動きはこのところ低調だが、事業の実施が進んでいる。
公共工事着工総工事費は、前年同月比で6月7.8%減の後、7月は7.9%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で7月0.9%減の後、8月は6.6%減となった。官公庁からの建設工事受注額(50社)は、前年同月比で6月15.7%減の後、7月は17.4%減となった。実質公的固定資本形成は、11年1〜3月期に季節調整済前期比10.3%増の後、11年4〜6月期は同4.0%減となった。また、実質政府最終消費支出は、11年1〜3月期に季節調整済前期比0.8%増の後、11年4〜6月期は同0.4%減となった。
2 生産雇用:生産は、おおむね横ばいだが、持ち直しの兆しもみられる
鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産・出荷は、最終需要の動きを反映して低い水準でおおむね横ばいだが、持ち直しの兆しもみられる。
鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で6月3.2%増の後、7月(速報)は、鉄鋼、非鉄金属等が増加したものの、一般機械、化学等が減少したことから、0.6%減となった。また製造工業生産予測指数(季節調整値)は、前月比で8月は輸送機械、電気機械等により4.7%増の後、9月は輸送機械、一般機械等により0.2%増となっている。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で6月3.6%増の後、7月(速報)は、耐久消費財、生産財等が減少したことから、1.0%減となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で6月0.3%減の後、7月(速報)は、電気機械、輸送機械等が増加したものの、石油・石炭製品、化学等が減少したことから、1.6%減となった。また、7月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値)は101.3と前月を1.6ポイント下回った。
主な業種について最近の動きをみると、一般機械では、生産は7月は減少し、在庫は2か月連続で減少した。輸送機械では、生産は3か月連続で増加し、在庫は2か月連続で増加した。化学では、生産は7月は減少し、在庫は5か月連続で減少した。
第3次産業の動向を通商産業省「第3次産業活動指数」(6月調査、季節調整値)でみると、5月1.7%増の後、6月は、サービス業が減少したものの、卸売・小売業,飲食店、不動産業等が増加した結果、前月比0.0%となった。
農業生産の動向をみると、平成11年産水稲の全国作況指数(8月15日現在)は、103の「やや良」となっている。
雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、6月0.46倍の後、7月0.46倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、6月0.82倍の後、7月0.87倍となった。雇用者数は、減少している。 総務庁「労働力調査」による雇用者数は、7月は前年同月比1.2%減(前年同月差63万人減)となった。常用雇用(事業所規模5人以上)は、6月前年同月比0.5%減(季節調整済前月比0.1%減)の後、7月(速報)は同0.4%減(同0.0%)となり(事業所規模30人以上では前年同月比1.3%減)、産業別には製造業では同2.3%減となった。7月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差2万人増の330万人、完全失業率(同)は、6月4.9%の後、7月4.9%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では6月前年同月比0.8%減(季節調整済前月比1.8%減)の後、7月(速報)は同1.8%増(同2.0%増) となっている(事業所規模30人以上では前年同月比1.5%増)。
また、労働省「労働経済動向調査」(8月調査)によると、「残業規制」等の雇用調整を実施する事業所割合は、4〜6月期はやや低下したものの、引き続き高い水準となっている。
企業の動向をみると、企業収益は、持ち直してきた。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善傾向にある。
大企業の動向を前記「法人企業動向調査」(6月調査、季節調整値)でみると、11年4〜6月期の売上高、経常利益の判断(ともに「増加」-「減少」)は、「減少」超幅が縮小した。また、11年4〜6月期の企業経営者の景気判断(業界景気の判断、「上昇」-「下降」)は「下降」超幅が縮小した。
また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(6月調査、季節調整 値)でみると、売上げD.I.(「増加」-「減少」)は、11年4〜6月期は「減少」超幅が縮小し、純益率D.I.(「上昇」-「低下」)は、「低下」超幅が縮小した。業況判断D.I.(「好転」-「悪化」)は、11年4〜6月期は「悪化」超幅が縮小した。
企業倒産の状況をみると、件数は、春先からやや増加しているものの、信用保証制度の拡充の効果などで前年の水準を下回っている。
銀行取引停止処分者件数は、7月は910件で前年同月比25.7%減となった。業種別に件数の前年同月比をみると、製造業で25.2%、卸売業で44.6%の減少となった。
3 国際収支:輸出は、アジア向けが回復傾向にあるため、緩やかに増加
輸出は、アジア向けが回復傾向にあるため、緩やかに増加している。
通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で6月7.4%増の後、7月は0.7%減(前年同月比1.2%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、電気機器、化学製品等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、アメリカ等が増加した。
輸入は、アジアからの輸入が増加基調にあり、緩やかに増加している。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で6月5.7%増の後、7月3.7%減(前年同月比3.9%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、鉱物性燃料、原料品等が増加した。同じく地域別にみると、アジア、中東等が増加した。
通関収支差(季節調整値)は、6月に1兆547億円の黒字の後、7月は1兆2,329億円の黒字となった。
国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
7月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大したものの、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、6,572億円となった。また、経常収支(季節調整値) は、貿易・サービス収支及び所得収支の黒字幅が縮小するとともに、経常移転収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、1兆2,008億円となった。投資収支(原数値)は、6,818億円の黒字となり、資本収支(原数値)は、6,323億円の黒字となった。
8月末の外貨準備高は、前月比6億ドル増加して2,613億ドルとなった。
外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、8月は中旬にかけて114円台から115円台で推移した後、9月上旬には109円台まで上昇した。一方、対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、8月は月初の121円台から124円台に下落したが、その後上昇し、月末から9月上旬にかけて114円台から118円台で推移した。
4 物価:国内卸売物価は、下げ止まり
国内卸売物価は、下げ止まっている。
8月の国内卸売物価は、電気機器(入出力装置)等が下落したものの、石油・石炭製品(C重油)等が上昇したことから、前月比0.1%の上昇(前年同月比1.3%の下落)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比3.3%の下落(前年同月比15.7%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比1.7%の下落(前年同月比12.6%の下落)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比0.5%の下落(前年同月比4.4%の下落)となった。
企業向けサービス価格は、7月は前年同月比1.1%の下落(前月比0.1%の上昇)となった。
商品市況(月末対比)は石油等は上昇したものの、繊維等の下落により8月は下落した。8月の動きを品目別にみると、灯油等は上昇したものの、生糸等が下落した。
消費者物価は、安定している。
全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で6月保合いの後、7月は公共料金(広義)が上昇から下落に転じたこと等の一方、外食の上昇幅の拡大等により保合い(前月比0.3%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で6月0.3%の下落の後、7月は0.1%の下落(前月比0.4%の下落)となった。
東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で7月0.1%の下落の後、8月(中旬速報値)は、外食の上昇幅の縮小等の一方、繊維製品の下落幅の縮小等により0.1%の下落(前月比保合い)となった。なお、総合は、前年同月比で7月0.1%の下落の後、8月(中旬速報値)は0.3%の上昇(前月比0.3%の上昇)となった。
5 金融財政:長期金利は、一時上昇したが、その後はほぼ横ばいで推移している
最近の金融情勢をみると、短期金利は、8月から9月上旬にかけて横ばいで推移した。長期金利は、8月はやや上昇した後、9月上旬にかけて横ばいで推移した。株式相場は、8月は上旬に下落した後、中旬以降上昇し、月末から9月上旬にかけて下落した。M2+CDは、7月は前年同月比4.0%増となった。
短期金融市場をみると、オーバーナイトレート、2、3か月物ともに、8月から9月上旬にかけて横ばいで推移した。
公社債市場をみると、国債利回りは、8月は一時上昇した後、9月上旬にかけて横ばいで推移した。
国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、7月は短期は0.089%ポイント上昇し、長期は0.103%ポイント上昇したことから、総合では前月比で0.096%ポイント上昇し1.819%となった。
マネーサプライをみると、M2+CD(月中平均残高)は、7月(速報)は前年同月比 4.0%増となった。また、広義流動性は、7月(速報)は同 3.7%増となった。
企業金融の動向をみると、金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、8月(速報)は前年同月比 6.5%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後 1.8%減)となった。8月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債がゼロとなった。また、国内公募事業債の起債実績は3,990億円となった。
企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。
株式市場をみると、日経平均株価は、8月は上旬に下落した後、中旬以降上昇し、月末から9月上旬にかけて下落した。
6 海外経済:欧州経済に改善の動き
主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。実質GDPは、99年1〜3月期前期比年率4.3%増の後、4〜6月期は同1.8%増(速報値)となった。個人消費、設備投資は増加している。住宅投資は1〜3月期の大幅増の反動もあり、伸びが鈍化している。鉱工業生産(総合)は増加している。雇用は拡大しているものの、製造業等では輸出減の影響もあり減少している。雇用者数(非農業事業所)は7月前月差33.8万人増の後、8月は同12.4万人増となった。失業率は8月4.2%となった。物価は総じて安定している。7月の消費者物価は前年同月比2.1%の上昇、8月の生産者物価(完成財総合)は同2.3%の上昇となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、拡大している。連邦準備制度は、8月24日に、公定歩合を0.25%引き上げ4.75%に、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.25%引き上げ5.25%にする金融政策の変更を発表した。8月の長期金利(30年物国債)は、月前半に上昇したものの、後半には低下し、月を通じてはほぼ横ばいであった。株価(ダウ平均)は、中旬以降大きく上昇したものの月末に下落し、月を通じては小幅の上昇となった。
西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに改善してきている。フランスでは、景気は緩やかな拡大を続けている。イギリスでは、景気は改善してきている。実質GDPは、ドイツ99年4〜6月期前期比年率0.2%増(速報値)、フランス4〜6月期同2.4%増(速報値)、イギリス4〜6月期同2.0%増(改訂値)となった。鉱工業生産は、ほぼ横ばいで推移している (鉱工業生産は、ドイツ7月前月比1.0%増、フランス6月同0.8%増、イギリス7月同0.3%増)。失業率は、ドイツではこのところ横ばいで推移している。フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは低水準で推移している(失業率は、ドイツ8月10.5%、フランス7月11.2%、イギリス7月4.3%)。物価は、安定している(消費者物価上昇率は、ドイツ8月前年同月比0.7%、フランス8月同0.5%、イギリス7月同1.3%)。なお、イングランド銀行は、9月8日に政策金利を0.25%引き上げ、年5.25%とした。
東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところ鈍化している。物価は下落している。韓国では、景気は急速に回復している。失業率は高水準ながらも低下している。
国際金融市場の8月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、月を通じてはやや減価した。モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(1990年=100)をみると、8月31日現在107.3、7月末比1.1%の減価となっている。内訳をみると、8月31日現在、対円では7月末比4.3%減価、対ユーロでは同1.3%増価した。
国際商品市況の8月の動きをみると、CRB商品先物指数は、月初から上昇基調で推移し、下旬にやや弱含んだものの、月末にかけては200ポイント台目前の水準まで急上昇した。原油スポット価格(北海ブレント)は、中旬までほぼ一本調子で上昇し、下旬には一時弱含む場面がみられたが、月末には再び21ドル台を回復した。