国家公務員法に規定する再就職等規制は、
1 他の職員・元職員の再就職依頼・情報提供等規制
2 現職職員による利害関係企業等への求職活動規制
3 再就職者(元職員)による元の職場への働きかけ規制
の3つの規制があります。
※(注記) なお、独立行政法人通則法第54条第1項においてこれらの規定が準用され、行政執行法人の役員・元役員も同様の規制の対象とされています。
1 他の職員・元職員の再就職依頼・情報提供等規制(国家公務員法第106条の2)
職員が、営利企業及び営利企業以外の法人(以下「営利企業等」という。)に対し、
- 他の役職員又は役職員であった者(以下「役職員等」という。)を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させることを目的として、
ア) 当該役職員等に関する情報を提供すること
イ) 再就職させようとする地位に関する情報提供を依頼すること - 他の役職員等を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させるよう要求又は依頼すること
は禁止されています。
規制の例外
- 職業安定法、船員職業安定法その他の法令の定める職業の安定に関する事務として行う場合
- 独立行政法人、特殊法人等に現役出向させる場合
- 官民人材交流センターの職員がその職務として行う場合
2 現職職員による利害関係企業等への求職活動規制(国家公務員法第106条の3)
職員が利害関係企業等に対し、
- 離職後に当該利害関係企業等又はその子法人に再就職することを目的として、
ア) 自己に関する情報を提供すること
イ) 再就職しようとする地位に関する情報の提供を依頼すること - 再就職することを要求又は約束すること
は禁止されています。
利害関係企業等の定義
職員が職務として携わる事務の相手方のうち、1から7のいずれかに該当する営利企業等をいう。
- 許認可等を受けて事業を行い、又は行おうとしている営利企業等
- 補助金等の交付を受けて交付対象事業を行い、又は行おうとしている営利企業等
- 立入検査、監査若しくは監察を受け、又は受けようとしている営利企業等
- 不利益処分をする場合の名あて人となるべき営利企業等
- 法令の規定に基づく行政指導を現に受けている営利企業等
- 国等と一定の契約を締結し、又は契約の申込みをしようとしている営利企業等
- 犯罪の捜査、公訴の提起又は刑の執行を受ける者である営利企業等
規制の例外
- 独立行政法人、特殊法人等に現役出向する職員が当該法人に対して行う場合
- 本省係長級以下の職員(国家公務員倫理法第2条第2項各号に掲げる本省課長補佐級以上の職員以外の職員)が行う場合
- 官民人材交流センターから紹介された利害関係企業等との間で行う場合
- 公務の公正性の確保に支障が生じない場合(当該許認可等事務について当該職員の裁量の余地が少ない等)として、委員会(再就職等監察官)の承認を得た場合
3 再就職者(元職員)による元の職場への働きかけ規制(国家公務員法第106条の4)
- 離職後に営利企業等の地位に就いている再就職者(元職員)が、
- 離職後2年間、
- 自らが離職前5年間に在職していた局等に現在所属している役職員に対し、
- 当該営利企業等又はその子法人を相手方とする契約又は処分であって離職前5年間(これより以前に課長級以上のポストに就いていた場合は、当該期間を含む。)に担当していた職務(局長級以上のポストに就いていた場合は、在職していた府省等の所掌事務全体)に属するものに関して、
なお、在職中に自らが決定した契約又は処分であって当該営利企業等を相手方とするものに関して、在職していた府省等の役職員に対し、職務上の行為をするように又はしないように要求又は依頼することは、期限の定めなく禁止されています。 - 再就職者(元職員)から違法な働きかけを受けた職員は、再就職等監察官にその旨の届出をしなければなりません。
規制の例外
- 法律の規定に基づき、行政庁からの指定、登録、委託等を受けて行う試験、検査、検定等の事務を遂行するために必要な場合、独立行政法人等の業務を行うために必要な場合
- 法令や国等との契約に基づく権利の行使、義務の履行の場合
- 法令に基づく申請又は届出を行う場合
- 一般競争入札等による契約締結に必要な場合
- 公開情報の提供を求める場合
- 電気、ガス、水道に関する契約等裁量の余地が少ない職務に関するもので、公務の公正性を損ねるおそれがないものとして、委員会(再就職等監察官)の承認を得た場合