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みどりの学術賞選考委員会委員長 杉浦 昌弘
選考委員会を代表し、第7回みどりの学術賞受賞者の選考経過をご報告申し上げます。
選考委員会は、「みどり」に関する学術に造詣の深い学識経験者等約450名に対し、この賞にふさわしい候補者の推薦を依頼いたしました。その結果、分子・細胞レベルから地球規模まで、実に様々な分野から約70名の推薦が得られました。
選考委員会は、この推薦を基に約半年をかけ候補者の選考を進めてまいりました。その結果、第7回みどりの学術賞受賞者として、NPO法人地域振興支援センター クリーンアース環境研究所所長 宮地重遠博士と、東京大学教授 鷲谷いづみ博士の2名を推薦することに決定いたしました。
まず、宮地博士の業績について申し上げます。
宮地博士は植物生理学の分野において、クロレラなどの微細藻類を使って光合成過程で炭水化物を合成する「CO2固定」の研究を進め、CO2濃縮は炭酸脱水酵素が行っていること、微細藻類などはCO2濃度を感知する機構があり、この働きによりCO2濃縮を調節していることを明らかにされました。これらの成果をもとに「海洋バイオテクノロジー」という新しい学術分野を創設し、海洋におけるCO2固定能力の研究や海洋微生物の蒐集など、この分野の発展に貢献されました。
次に、鷲谷博士の業績について申し上げます。
鷲谷博士は生態学の分野において、絶滅危惧種であるサクラソウを使って、生理生態学、昆虫による授粉様式の解析、個体群生態学的手法などを用い科学的知見に基づく野生植物の保全手法を開発されました。また、侵略外来種の生態影響、里山や水辺の生物多様性の保全と再生などに関する広範な研究を総合的に展開し、「保全生態学」として体系化し、この分野の発展と、生態系・生物多様性の保全に貢献されました。
いずれの研究も我々人間が「みどり」とそれを取り巻く自然とどのように関わっていけばよいか、その道筋を示された研究として高く評価しました。
このような「みどり」に関する学術研究が、新たな知恵をもたらし、社会を動かす源泉となることを選考委員会として心から期待し、念願するものであります。
以上をもちまして、委員長としての選考経過の報告を終わります。