地震対策状況の再点検
1.地震防災対策の現状
地震防災対策は、体制の整備・施設の整備の2つがあいまって総合的に効果が発揮されるものである。
これまで、地震防災体制や地震防災緊急事業五箇年計画に係る地震防災対策施設について現状調査等を行っているが、中間的な取りまとめの状況は以下のとおりである。
- 南関東、東海等においては、地震防災対策の大綱等は整備されているが、震災時の具体の活動体制などについて実効性のあるものとなっているか十分な検証がなされていない。
- 地震防災体制等が規定されている地域防災計画の震災対策編等について、4分の1の市町村で策定されていない。
- 全都道府県及び約7割の市町村が相互応援協定に参加しており、広域的な相互応援体制の整備が進みつつある。
- 地震防災対策施設の整備の進捗は、評価手法が確立していないものもあるなど、「整備がどこまで進んでいるか」の判断が難しい。
- 阪神・淡路大震災の死者の8割以上が建物倒壊に起因するものであるが、旧耐震基準の個人住宅の耐震化は進んでいない。
- 災害弱者に供される施設や避難所として利用されている建物等、公共的施設についても耐震化が進んでいないものもある。
2.地震対策推進上の課題
上記の現状調査等を踏まえつつ、地震防災体制、地震防災対策施設の現状について、より詳細かつ体系的に把握し、以下の課題等の解決策を含めた今後の地震防災対策の基本的な方向について、関係省庁が連携して検討を進める必要がある。
- 災害に強い地域づくりを進めるため、「公助」だけでなく、「共助」「自助」をも含めた地震防災体制をどのように確立すればよいか。
- 南関東直下型地震や東海地震をはじめとし、被災時の実践的なマニュアル、情報収集・伝達体制などについて、実効性のあるものとするためにはどのようにすればよいか。
- 広域的な被害が想定される大都市圏等において、実効性のある広域防災体制をどのように構築していくべきか。
等
- 施設整備の現状について、総合的な地震防災力の観点から評価する手法を確立する等、整備のあり方について検討すべきではないか。
- 現状の制度的枠組みにおいて、例えば耐震改修や密集市街地の改善等、推進上の隘路を解決するための総合的な方策を検討すべきではないか。
- 限られた予算の中で、地震防災の観点から総合的に優先度などを勘案し、地震防災力の効果的な向上につながる施設整備を進めるべきではないか。
等
3.専門調査会による検討調査
上記の課題等についての検討を行うため、有識者による専門調査会を立ち上げることとする。