(平成26年9月24日)株式会社吉野家資産管理サービスほか2社に対する勧告について
平成26年9月24日
公正取引委員会
公正取引委員会は,株式会社吉野家資産管理サービス(以下「吉野家資産管理サービス」という。),株式会社北日本吉野家(以下「北日本吉野家」という。)及び株式会社中日本吉野家(以下「中日本吉野家」という。)の3社(以下「3社」という。)に対し調査を行ってきたところ,消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(以下「消費税転嫁対策特別措置法」という。)第3条第1号前段(減額)及び後段(買いたたき)の規定に違反する行為が認められたので,本日,消費税転嫁対策特別措置法第6条第1項の規定に基づき,3社に対し勧告を行った。
本件は,平成26年8月20日に,中小企業庁長官から消費税転嫁対策特別措置法第5条の規定に基づく措置請求を受けた事案である。
1 違反行為者の概要
代表取締役
河村 泰貴
代表取締役
大塚 誠
代表取締役
早麻 義隆
2 違反事実の概要
(1)ア 吉野家資産管理サービスは店舗等の賃貸借等の事業を営む事業者であり,北日本吉野家及び中日本吉野家は飲食店を営む事業者である。
イ 3社は,それぞれ,個人又は資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下である事業者(以下「賃貸人」という。)と賃貸借契約を締結し,賃貸人から継続して商業施設を店舗等として賃借しているところ,吉野家資産管理サービスは当該店舗等を飲食店を営む自己の子会社に貸し付け,北日本吉野家及び中日本吉野家は,それぞれ,当該店舗等を自ら飲食店等として使用している。
ウ 3社は,それぞれ,吉野家資産管理サービスの子会社である株式会社コンスタンツ(以下「コンスタンツ」という。)と業務委託契約を締結して店舗等の賃貸借契約に関する契約更新,賃料改定等の交渉等の事務を委託している。
(2)ア 吉野家資産管理サービスは,平成26年4月又は5月に,コンスタンツを通じて,賃貸人のうち賃料を消費税を含む額で定めている賃貸人(以下「本件賃貸人」という。)のほとんど全てに対し,平成26年6月分以後の賃料について,消費税率引上げ前の賃料(平成26年3月分の賃料をいう。以下同じ。)と同額に定めることを要請した。
イ 吉野家資産管理サービスは,コンスタンツを通じて,本件賃貸人のうち前記アに係る要請を行わなかった賃貸人に対し,平成26年4月分及び5月分の賃料としてそれぞれ消費税率引上げ前の賃料と同額を支払った上で,同年5月に,同年6月分以後の賃料について,消費税率引上げ前の賃料と同額に定め,消費税率引上げ分を上乗せしないことを要請した。
ウ 吉野家資産管理サービスは,前記アの要請の際に,消費税率引上げ前の賃料の額に消費税率引上げ分を上乗せして支払った平成26年4月分及び5月分の賃料に関して,当該賃料に係る消費税率引上げ分を同年6月分の賃料から差し引いて支払うことも併せて要請していたところ,この要請に応じた賃貸人に対して,既に支払った同年4月分及び5月分の賃料に係る消費税率引上げ分を同年6月分の賃料から差し引いて支払った。
(3) 北日本吉野家は,平成26年4月又は5月に,コンスタンツを通じて,本件賃貸人の全てに対し前記(2)アと同様の内容を要請した。また,北日本吉野家は,本件賃貸人の全てに対し前記(2)ウと同様の内容の要請をしていたところ,この要請に応じた賃貸人に対して,既に支払った同年4月分及び5月分の賃料に係る消費税率引上げ分を同年6月分の賃料から差し引いて支払った。
(4) 中日本吉野家は,平成26年4月又は5月に,コンスタンツを通じて,本件賃貸人のほとんど全てに対し前記(2)アと同様の内容を,それ以外の本件賃貸人に対し前記(2)イと同様の内容を,それぞれ要請した。また,中日本吉野家は,本件賃貸人のほとんど全てに対し前記(2)ウと同様の内容の要請をしていたところ,この要請に応じた賃貸人に対して,既に支払った同年4月分及び5月分の賃料に係る消費税率引上げ分を同年6月分の賃料から差し引いて支払った。
(5) 3社は,それぞれ,消費税率引上げ前の賃料と同額に定め,消費税率引上げ分を上乗せしなかった同年4月分又は6月分以後の賃料について,同年9月上旬までに,消費税率引上げ分に相当する額を上乗せした額まで引き上げることを本件賃貸人との間で合意し,同年4月分又は6月分に遡って当該引上げ分相当額を本件賃貸人に対して支払った。また,3社は,それぞれ,同年4月分及び5月分の賃料に係る消費税率引上げ分として同年6月分の賃料から差し引いた額について,同年9月上旬までに,本件賃貸人に支払った。
3 勧告の概要
(1) 3社は,それぞれ,今後,特定供給事業者から受ける役務の供給に関して,役務の対価の額を減じ又は当該役務と同種若しくは類似の役務に対し通常支払われる対価に比し低く定めることにより,特定供給事業者による消費税の転嫁を拒むことのないよう,自社の役員及び従業員に本勧告の内容について周知徹底するとともに,消費税転嫁対策特別措置法の研修を行うなど社内体制の整備のために必要な措置を講じること。
(2) 3社は,それぞれ,前記(1)に基づいて採った措置について,特定供給事業者に通知すること。
(3) 3社は,それぞれ,前記(1)及び(2)に基づいて採った措置について,速やかに公正取引委員会に報告すること。
4 株式会社吉野家ホールディングスに対する要請
3社は株式会社吉野家ホールディングスの子会社であるところ,公正取引委員会は,本日,株式会社吉野家ホールディングスに対して,企業グループ内において,消費税転嫁対策特別措置法の研修を行うなどコンプライアンス体制の整備のために必要な措置を講じるよう要請した。
関連ファイル
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問い合わせ先
公正取引委員会事務総局取引部消費税転嫁対策調査室
電話 03-3581-3378(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp/