(平成21年10月30日)サンアロマー株式会社に対する課徴金の納付を命ずる審決について(ポリプロピレン製造販売業者に対する課徴金納付命令事件)
平成21年10月30日
公正取引委員会
公正取引委員会は,被審人サンアロマー株式会社(以下「被審人」という。)に対し,平成20年8月28日,審判開始決定を行い,以後,審判官をして審判手続を行わせてきたところ,平成21年10月28日,被審人に対し,平成17年法律第35号による改正前の独占禁止法第54条の2第1項の規定に基づき,課徴金の納付を命ずる審決を行った(本件平成20年(判)第20号審決書については,当委員会ホームページの「報道発表資料」及び「審決等データベース」参照。)。
1 被審人の概要
事業者名 | 所在地 | 代表者 |
---|---|---|
サンアロマー株式会社 | 東京都品川区東品川二丁目2番24号 | ゴダード・フォン・ |
2 主文
被審人は,課徴金として金5097万円を平成22年1月4日までに国庫に納付しなければならない。
3 本件の経緯
平成20年
6月20日 課徴金納付命令
8月28日 審判開始決定(注)
10月14日 第1回審判
↓
平成21年
4月13日 第4回審判(審判手続終結)
8月27日 審決案送達
9月9日 審決案に対する異議の申立て
10月28日 課徴金の納付を命ずる審決
(注) 被審人を含む4社に対して,審判開始決定がなされ,被審人以外の3社のうち,2社については平成21年5月19日に課徴金の納付を命ずる審決が出され,これに対する審決取消訴訟が現在東京高裁に係属中であり,1社については審判係属中である。
4 審決の概要
(1) 課徴金に係る違反行為の概要
被審人は,他の事業者と共同して,ポリプロピレン(原料であるナフサの価格に連動して販売価格を設定する旨の契約を締結しているものを除く。以下同じ。)の販売価格の引上げを決定することにより,公共の利益に反して,我が国におけるポリプロピレンの販売分野における競争を実質的に制限していた。
(2) 課徴金の計算の基礎となる事実及び課徴金額の算定
被審人の本件違反行為の実行期間は,改正前の独占禁止法第7条の2第1項の規定により,平成12年5月1日から同月29日までであり,この期間におけるポリプロピレンの販売に係る被審人の売上額は16億9908万5486円である。課徴金の額は,この売上額に100分の3を乗じて得た額から1万円未満の端数を切り捨てて算出された5097万円である。
(3) 本件の争点
ア 被審人は,本件違反行為の不存在を主張し得るか。(争点1)
イ 被審人が本件実行期間内に昭和電工プラスチックプロダクツ株式会社(以下「SPP」という。)に対して販売したポリプロピレン(売上額2329万4602円。以下「本件商品」という。)が独占禁止法第7条の2第1項所定の「当該商品」に該当するものとして課徴金算定の対象となるか。(争点2)
(4) 争点に対する審判官の判断の概要
ア 争点1について
本件審判は,独占禁止法第3条に違反する本件違反行為に関し,審判手続を経た上で,公正取引委員会が本件違反行為の存在を認定し,独占禁止法第54条第2項の規定により平成13年(判)第15号審決(以下「本案審決」という。)を行った後,本件違反行為について同一の被審人に対して課徴金納付命令が発せられたことに由来する課徴金に係る審判であるところ,被審人には,本案審決に係る審判手続において本件違反行為の存否を争う機会が与えられており,公正取引委員会は,被審人の主張立証を踏まえて本件違反
行為の存在を認定して本案審決を行ったものである。
このような場合には,課徴金に係る審判において,被審人が重ねて本件違反行為の不存在を主張することは許されないと解するのが相当であるから,「本件違反行為は存在しない。」との被審人の主張はそれ自体失当であり,本件審判においては,本案審決の認定に係る本件違反行為の存在を前提とした上で,判断すべきこととなる。
イ 争点2について
本案審決において認定された本件違反行為は,「ポリプロピレン(原料であるナフサの価格に連動して販売価格を設定する旨の契約を締結しているものを除く。)」を対象商品とするものであり,その取引先による限定は加えられていない。そうである以上,本件商品は,本件違反行為の対象商品の範ちゅうに属する商品であり,特段の事情のない限り,「当該商品」に該当し,課徴金算定対象に含まれるものと推定すべきである。
被審人は,特段の事情を基礎付けるものとして,本件各事情,すなわちSPPとのグループ企業関係,取引形態,価格改定の手順等を主張するが,本件各事情は特段の事情を基礎付けるものではなく,本件商品が本件違反行為による拘束を受けていたことと矛盾する事実とはいえない。したがって,本件商品は,独占禁止法第7条の2第1項所定の「当該商品」に該当するものと認められ,課徴金算定対象に含まれることとなる。
関連ファイル
ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。(印刷用)(平成21年10月30日)サンアロマー株式会社に対する課徴金の納付を命ずる審決について(ポリプロピレン製造販売業者に対する課徴金納付命令事件)(PDF:12KB)
ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。審決書(PDF:215KB)
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問い合わせ先
公正取引委員会事務総局官房総務課審決訟務室
電話 03-3581-5478(直通)
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