(平成21年10月9日)「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(改定案)等に対する意見募集について
平成21年10月9日
公正取引委員会
公正取引委員会は,不当廉売規制の考え方について,「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(昭和59年11月20日公正取引委員会事務局)及びその後に公表された業種別(酒類,ガソリン及び家電)のガイドラインにおいて明らかにするとともに,不当廉売に対し,迅速・厳正に対処してきたところです。
本年6月10日に公布された私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第51号。以下「改正法」といいます。)により,不当廉売が新たに課徴金納付命令の対象になります(平成22年1月施行予定)。
公正取引委員会は,不当廉売の要件に関する公正取引委員会の解釈をさらに明確化すること等により法運用の透明性を一層確保し,事業者の予見可能性をより向上させるため,これらガイドラインを改定することとし,改定案を公表して,関係各方面から広く意見を募集することとしました。
第1 ガイドラインの改定案の概要
1 ガイドライン改定の趣旨
不当廉売は,独占禁止法において,不公正な取引方法の一つとして禁止されており,従来,独占禁止法第2条第9項の規定に基づく「不公正な取引方法」(昭和57年公正取引委員会告示第15号)によって指定されていました。このうち「正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」については,改正法の施行により法定化されることとなりました(第2条第9項第3号。以下同号で規定される行為を「法定不当廉売」といいます。)。また,法定不当廉売を行った事業者が,過去10年以内に法定不当廉売を行ったとして行政処分を受けたことがあるなど一定の条件を満たす場合には,課徴金の納付が命じられることとなりました。
公正取引委員会は,不当廉売に係る法運用の透明性を一層確保し,事業者の予見可能性をより向上させる観点から,法定不当廉売の要件のうち,特に「供給に要する費用を著しく下回る対価」に重点を置いて,不当廉売に関する独占禁止法上の考え方を従前よりも明確化するため,次のガイドラインを改定することとしました。
- 「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(昭和59年11月20日 公正取引委員会事務局。以下「不当廉売ガイドライン」といいます。)
- 「酒類の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(平成12年11月24日。以下「酒類ガイドライン」といいます。)
- 「ガソリン等の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(平成13年12月14日。以下「ガソリンガイドライン」といいます。)
- 「家庭用電気製品の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」(平成18年6月29日。以下「家電ガイドライン」といいます。)
2 不当廉売ガイドラインの一部改定(案)(別紙1)
- 現行ガイドラインは,小売業を対象として想定し,不当廉売規制の考え方について要点を整理したものでしたが,改定案は,小売業以外の事業分野についても適用されるものとして策定しています。
- 法定不当廉売の要件の一つである「供給に要する費用を著しく下回る対価」について,「供給に要する費用」が「総販売原価」であることを明記しました。また,「供給に要する費用を著しく下回る対価」について,「可変的性質を持つ費用」(廉売対象商品を供給しなければ発生しない費用)を下回るものは「供給に要する費用を著しく下回る対価」であると推定されることを明らかにしました。
- 「可変的性質を持つ費用」にあたるかどうかの判断基準を示すとともに,「可変的性質を持つ費用」となる,又は推定される費用の例を示しました。
- 廉売問題に関する不当廉売以外の独占禁止法上の規制の一つである差別対価等に関する記載を拡充し,差別対価等の規制の基本的な考え方について明記するとともに,合理的な理由がない差別的な取扱いにより差別を受ける相手方に悪影響を与える場合にも問題となりうる旨を明記しました。また,優越的地位の濫用に関する記載も拡充し,優越的地位の濫用に該当するおそれのある行為として,低価格での納入の強要に加え,協賛金の強要等の行為についても記載しました。
3 酒類ガイドラインの一部改定(案)(別紙2)
- 従来,酒類ガイドラインの規定の一部は「酒類の不当廉売に関する考え方の明確化について」(平成13年4月2日)で補われていましたが,その記述もすべて酒類ガイドラインに統合することとしました。
- 不当廉売ガイドラインの改定に合わせて,「供給に要する費用を著しく下回る対価」についての考え方を明確化し,「供給に要する費用」は「総販売原価」であり,「可変的性質を持つ費用」を下回るものは「供給に要する費用を著しく下回る対価」であると推定されることを明らかにしました。また,実質的仕入価格に加え,運送費等の廉売対象商品の注文の履行に要する費用も「可変的性質を持つ費用」となること及び仕入れに付随する諸経費は「可変的性質を持つ費用」と推定されることを明記しました。
- 繰り返し「注意」を受けるような事業者に対する公正取引委員会の対応方針を追加し,事案に応じ責任者を招致した上で直接注意することを明記しました。また,周辺の事業者に対する影響が大きいと考えられるものについては,簡易迅速な処理によるのではなく,周辺の事業者の事業活動への影響についても調査を行い,厳正に対処し,排除措置命令や警告に至らない場合であっても,責任者を招致するなどした上で文書により厳重に注意する旨明記しました。
4 ガソリンガイドラインの一部改定(案)(別紙3)
- 不当廉売ガイドラインの改定に合わせて,「供給に要する費用を著しく下回る対価」についての考え方を明確化し,「供給に要する費用」は「総販売原価」であり,「可変的性質を持つ費用」を下回るものは「供給に要する費用を著しく下回る対価」であると推定されることを明らかにしました。また,実質的 仕入価格に加え,運送費等の廉売対象商品の注文の履行に要する費用も「可変的性質を持つ費用」となること及び仕入れに付随する諸経費は「可変的性質を持つ費用」と推定されることを明記しました。
- 繰り返し「注意」を受けるような事業者に対する公正取引委員会の対応方針を追加し,事案に応じ責任者を招致した上で直接注意することを明記しました。また,周辺の事業者に対する影響が大きいと考えられるものについては,簡易迅速な処理によるのではなく,周辺の事業者の事業活動への影響についても調査を行い,厳正に対処し,排除措置命令や警告に至らない場合であっても,責任者を招致するなどした上で文書により厳重に注意する旨明記しました。
- 元売が運営委託方式を用いて給油所を経営する場合の考え方についての記載を拡充し,同一商圏の系列特約店への卸売価格を下回る小売価格を設定することは,独占禁止法上問題となることがある旨などを明記しました。
- 系列特約店に対する卸売価格を一方的に決定することなどにより,元売りが正常な商慣習に照らして不当に,系列特約店に不利益となるように取引の条件を設定することは,優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となる旨などを明記しました。
5 家電ガイドラインの一部改定(案)(別紙4)
- 不当廉売ガイドラインの改定に合わせて,「供給に要する費用を著しく下回る対価」についての考え方を明確化し,「供給に要する費用」は「総販売原価」であり,「可変的性質を持つ費用」を下回るものは「供給に要する費用を著しく下回る対価」であると推定されることを明らかにしました。また,実質的 仕入価格に加え,運送費等の廉売対象商品の注文の履行に要する費用も「可変的性質を持つ費用」となること及び仕入れに付随する諸経費は「可変的性質を持つ費用」と推定されることを明記しました。
- 繰り返し「注意」を受けるような事業者に対する公正取引委員会の対応方針を追加し,事案に応じ責任者を招致した上で直接注意することを明記しました。また,周辺の事業者に対する影響が大きいと考えられるものについては,簡易迅速な処理によるのではなく,周辺の事業者の事業活動への影響についても調査を行い,厳正に対処し,排除措置命令や警告に至らない場合であっても,責任者を招致するなどした上で文書により厳重に注意する旨明記しました。
第2 意見募集
1 資料入手方法
(1)電子政府の総合窓口(e-Gov)に掲載
(2)公正取引委員会のホームページに掲載
(3)公正取引委員会事務総局の本局(東京都),各地方事務所(札幌市,仙台市,名古屋市,大阪市及び福岡市)及び支所(広島市及び高松市)並びに内閣府沖縄総合事務局総務部公正取引室(那覇市)において供覧
2 意見提出方法
意見は,電子メール,FAX又は郵送のいずれかの方法により,日本語にて提出してください。電話による意見は受理いたしかねますので,その旨御了承願います。意見提出の際は,住所,氏名(ふりがな),所属団体名又は会社名及び連絡先(電子メールアドレス,FAX番号又は電話番号)を明記してください。団体又は会社として意見を提出する場合には,所在地,団体又は会社名,担当者名及び連絡先を明記してください。
<電子メールの場合>
メールの件名を「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方(改定案)等に対する意見」としてください。電子メールのファイル形式はテキスト形式としてください。添付ファイルやURLへのリンクによる意見は受理いたしかねますので,その旨御了承願います。
メールアドレス:renbai-iken@jftc.go.jp
<FAXの場合>
あて先を「取引企画課 不当廉売ガイドライン担当」と明記し,また,送信票の件名に「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方(改定案)等に対する意見」と明記して下さい。あて先のない意見は受理いたしかねますので,その旨御了承願います。
FAX番号: 03-3581-1948
<郵送の場合>
〒100-8987 東京都千代田区霞が関1-1-1中央合同庁舎第6号館B棟
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課 不当廉売ガイドライン担当
あて
3 意見提出期限
平成21年11月9日(月曜)18時00分必着
4 意見提出上の注意
寄せられた意見につきましては,住所,氏名,所属団体名,会社名及び連絡先(電子メールアドレス,FAX番号又は電話番号)を除き公表することがあります。また,意見に対して個別に回答はいたしかねますので,その旨御了承願います。
なお,御記入いただいた氏名,住所,電話番号,FAX番号及び電子メールアドレスは,御提出いただいた意見の内容に不明な点があった場合等の連絡のために利用します。頂いた個人情報は,この連絡や確認以外の目的では利用いたしません。
関連ファイル
ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。(印刷用)(平成21年10月9日)「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」(改定案)等に対する意見募集について(PDF:22KB)
ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。別紙1〜4(PDF:717KB)
ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。参考1〜2(PDF:170KB)
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問い合わせ先
公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部取引企画課
電話 03-3581-3371(直通)
ホームページ http://www.jftc.go.jp