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知ろう!記者に発表した最新研究

2013年12月6日発表
断層(だんそう)は、とてもうすくてすべりやすかった!
東北地方太平洋沖地震(とうほくちほうたいへいようおきじしん)要因(よういん)解明(かいめい)

2011年3月11日に発生し、ひどいゆれや津波で各地に大きな被害をもたらした東北地方太平洋沖地震。地震は断層が短時間にずれ動いて発生するけれど、この地震を起こした断層は今までに例がないほど大きくずれ、日本海溝(にほんかいこう)の近くでは海底が50m移動し7〜10mもり上がりました。なぜ、こんなに大きな変動が? 今回は、その要因をつきとめたJAMSTEC、京都大学、筑波大学、東北大学および山形大学などのIODP(統合国際深海掘削計画(とうごうこくさいしんかいくっさくけいかく))国際研究チームによる調査研究結果をお知らせします!


[画像:今回の調査研究で大かつやくした地球深部探査船「ちきゅう」]

写真1:今回の調査研究で大かつやくした地球深部探査船「ちきゅう」

なぜ断層が大きくずれたのか。その要因をハッキリさせるには、地震を引き起こした断層を掘り、そこに何が存在しどんなすべりが起きたのかを直接調べるしかありません。そこで研究チームは、2012年4〜5月と7月、地球深部探査船「ちきゅう」で宮城県沖約220�q、水深約6,900mの海底を約850m掘り、断層を掘り出すとともに(あな)高精度(こうせいど)温度計を55個設置しました(図1)。

[画像:断面図]

図1:断面図

なぜ温度計かって? 断層がすべると断層面で岩石がこすれあいまさつが起き、熱が発生します(図2)。手をこすりあわせると温かくなるのと同じです。断層がすべりやすいほどまさつは小さく、まさつ熱はあまり発生しません。反対に、断層がすべりにくいほどまさつが大きく、まさつ熱が高くなります。

[画像:さつとまさつ熱]

図2:まさつと、まさつ熱

ならば、そのまさつ熱が(のこ)っているうちに断層の温度を測れば、地震時のまさつ熱が逆算(ぎゃくさん)できどんなすべりが起きたのか予測できるはず。だから、掘った孔の中の温度を2013年4月まで計測し、無人探査機(むじんたんさき)「かいこう7000II」を使って温度計を回収(かいしゅう)、計測データを解析(かいせき)しました(写真2)。

[画像: 温度計の、設置前(上)と設置後(下)。メッセージは、無人探査機「かいこう7000II」を使って回収をする「かいこう」チームへのお礼とサプライズの意味をこめて研究チームが書きました。]

写真2: 設置直前(上)と回収直後(下)の温度計。
この温度計を55個つなぎ掘った孔に設置しました。これで深さ別に温度を測れます。
右下の写真は、無人探査機「かいこう7000II」がその連なる温度計を孔から回収しようとする瞬間です。
温度計に書かれたメッセージは、回収を担当する「かいこう7000II」チームへのお礼とサプライズの意味をこめて研究チームが書きました。

まず、東北地方太平洋沖地震を引き起こした、まさにその断層部分(断層帯(だんそうたい))を掘り出すことに成功しました(写真3)。地震発生後13ヶ月と短い期間の断層を掘り出すのは、世界初です。断層の深さは、今回掘った場所(水深約6,900m)では海底下820mでした。写真3の矢印は、断層帯の中でも今回のずれがはっきり見える部分を指します。

[画像:掘り出した断層コア。くだけたように見えるのは、ここが過去に何度もすべってきたからです。]

写真3:掘り出した断層コア。くだけたように見えるのは、ここが過去に何度もすべってきたからです。

断層帯は厚さが5m以下と非常にうすく、強度の弱い粘土(ねんど)(スメクタイト)を約78%含んだ岩石からできていて(図3)、すべりやすい性質だったことが判明しました。

[画像:断層の物質]

図3:断層の物質

この試料を使って実験をしたところ、東北地方太平洋沖地震の時、この断層がさらにすべりやすくなっていた可能性がでてきました。地震時にまさつ熱が発生すると、地層中の水は膨張(ぼうちょう)します。これが、地層を瞬間的(しゅんかんてき)にうき上がらせるようにして(まさつしにくく)すべりやすくしていたのです。

温度データの解析では、地層に残るまさつ熱は冷えつつあるものの、断層部分はまわりより0.31度高いことを確認しました。

東北地方太平洋沖地震で何が起きたのかをまとめると(図4)、海底下深くで地震が発生して今回掘った場所にもゆれが伝わった結果、弱いこの地層がずれてこすれ瞬間的に大きなまさつ熱を発生させました。その熱で地層の中の水分が膨張し、地層を瞬間的にうき上がらせるようにしました。これにより、たとえば重ねたプラスチック板の間に水があるとすべるように、断層が一気に大きくすべったのです。こうした現象が比較的海底に近い深さで起きたので、大津波を引き起こしました。

[画像:2011年3月11日に起きたこと(イメージ)]

図4:2011年3月11日に起きたこと(イメージ)

東北地方太平洋沖地震の震源域となったプレートが沈み込むところは、四国沖にも伊豆小笠原(いずおがさわら)周辺にもあります。でもどこでも同じ現象が起きるとはかぎらず、場所によって大きく変わると考えられます。これからは、地層の性質などもふまえて、研究を続けていく予定です。

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