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知ろう!記者に発表した最新研究

2012年10月11日発表
伊豆大島(いずおおしま)南方の海底に、活動的な海底火山を発見!
大室(おおむろ)ダシの様子が明らかに!

東京都(とうきょうと)伊豆大島(いずおおしま)の南方の海底には、大室(おおむろ)ダシと呼ばれる直径約20�qの海底の台地があります(図1)。水深約100〜150mに平坦(へいたん)な頂きがあり、中央に大室海穴(おおむろかいけつ)とよばれるくぼ地を持っています。


[画像:海域図]

図1:海域図

大室ダシは、もう噴火(ふんか)しない古い火山だと考えられてきたのですが、2007年にJAMSTECが行った調査により、現在も活動的な海底火山である可能性(かのうせい)が出てきました。本当に? それをたしかめようと谷 健一郎 博士(たにけんいちろうはかせ)らが行った調査について報告(ほうこく)します!

2012年7月20日〜8月4日にかけて海洋調査船「なつしま」による研究航海を行い、無人探査機「ハイパードルフィン」で、海底の観察、試料のサンプリング、温度の測定などをしました(写真1)。

[画像:海底下の熱量を測るハイパードルフィンのマニピュレータ]

写真1:海底下の熱量を測るハイパードルフィンのマニピュレータ



また、シングルチャンネル地震波構造探査(じしんはこうぞうたんさ)とマルチナロービーム海底地形調査を行って、海底地形や地質などを調べました(図2)。

[画像:音波で海底を調べる]

図2:音波で海底を調べる


大室ダシの北側には、玄武岩(げんぶがん)と呼ばれる鉄やマグネシウムを多くふくむ黒っぽい火山岩が多くみられました。一方東側には、流紋岩(りゅうもんがん)やデイサイトと呼ばれるケイ()を多くふくんだ白っぽい火山岩が多くみられました(写真2右)。複数(ふくすう)の種類の岩石があったことから、大室ダシはマグマ組成や活動時期のちがういくつかの火山が重なり合ってできたと考えられます。

[画像:北側と東側で岩石の種類がちがっていました]

写真2:北側と東側で岩石の種類がちがっていました


大室海穴のあたりでは、流紋岩質(りゅうもんがんしつ)溶岩(ようがん)軽石(かるいし)が積もっていました(写真3)。溶岩や軽石とは、高温のマグマが噴火の(さい)に海底に出てきてすばやく冷えかたまりできる岩石です。大室海穴で今回発見された流紋岩質の溶岩や軽石は、白っぽく石英(せきえい)斜長石(しゃちょうせき)を多くふくんでいました。

流紋岩質の溶岩も軽石もまだ新しかったことから、大室海穴を中心として比較的(ひかくてき)最近、噴火が起こり、流紋岩質のマグマが海底に噴出(ふんしゅつ)してこれらの溶岩や軽石ができたと考えられます。

[画像:大室海穴の様子]

写真3:大室海穴の様子


大室海穴の底部では熱水噴出孔(ねっすいふんしゅつこう) を発見し(写真4)、試料を()ることに成功しました(写真5)。熱水噴出孔から()き出ていた熱水の温度は、最高で194°Cもありました(水圧が高い深海では、水は100°Cでは沸騰しません)。大室海穴の熱量も2007年の調査の時と同じように非常(ひじょう)に高く、大室ダシの深部に熱いマグマが存在(そんざい)する可能性を示しました。

[画像:新しく発見した熱水噴出孔]

写真4:新しく発見した熱水噴出孔


[画像:チムニーの試料を採りました]

写真5:チムニーの試料を採りました



大室海穴を中心とした直径約8�qのくぼ地を発見しました(図3)。これは火山活動でできたカルデラの可能性があります。

[画像:カルデラを発見]

図3:カルデラを発見


過去に大室ダシが海底カルデラ噴火を起こした可能性があります(図4)。

[画像:カルデラ噴火]

図4:カルデラ噴火


浅海にある海底火山は、万が一、噴火するとマグマが海水にふれて爆発的(ばくは つてき)な噴火を起こす恐れがあります。こうした災害(さいがい)リスクの評価(ひょうか) に、やくだてるため、谷博士は岩石を 分析(ぶんせき)してマグマの成分を調べたり、過去に噴火した年代を決めたりすることで、大室ダシの過去の噴火履歴(かりれき)や火山の発達過程(かてい)解明(かいめい)していきます。

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