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知ろう!記者に発表した最新研究

2010年12月21日発表
インド洋が二酸化炭素を吸収(きゅうしゅう)する速度は、速い! 北太平洋の2倍!

地球温暖化(ちきゅうおんだんか)に大きな影響(えいきょう)を与えるとされる二酸化炭素(CO2)。その放出源(ほうしゅつげん)は、自動車の排気(はいき)ガスや工場のけむりなど、人間の活動です。その人間が放出したCO2は、やがてどこにいくのでしょう。実は、およそ30%が海に吸収(きゅうしゅう)されると考えられています。ですから、その量や吸収速度を知ることは、地球温暖化を予測する上で重要です。

そこで研究者は、2003年から2004年にかけて研究航海を行いました。その結果、南インド洋は北太平洋の約2倍の速度で、人間が放出したCO2を吸収することがわかったのです。さらに、1995年以前と比べた結果、吸収速度が加速していました。

この結果から、海のCO2吸収速度は同じペースではなく、10年ほどで変わる実態が明らかになったのです。これは、今までの地球温暖化に関する研究では考慮されていなかった現象です。研究者は、「人間が放出したCO2を海が吸収する役わりについて、見直す必要がある」と話します。

海がCO2を吸収するしくみは、大きく3つあります。

まず1つ目は、大気中のCO2が海面で海に溶けこむことです(図1)。CO2は、酸素(さんそ)窒素(ちっそ)などに比べて水に溶けやすい性質(せいしつ)を持っていて、大気と海の間で(つね)にやり取りされています。海のCO2濃度(のうど)が大気のCO2濃度より低ければ、CO2は海に吸収されるのです。逆に高ければ、海から大気中に放出されます。

[画像:海面から海に溶けこむCO2]

図1:海面から海に溶けこむCO2

2つ目は、生物ポンプというしくみです(図2)。陸上で森林などがCO2を吸収して光合成をするように、海でも植物プランクトンがCO2を利用して光合成をします。たとえば、その光合成が表層(ひょうそう)でたくさん行われて海のCO2が利用されれば、海のCO2濃度は低くなります。すると、その分だけ大気からCO2が溶けこみやすくなるのです。

さらに、植物プランクトンは他の生き物に食べられ、やがてフンや死がいとなります。それらがしずむことで、CO2は深い海へと運ばれるのです。

[画像:生物ポンプ]

図2:生物ポンプ


3つ目は、海洋大循環(かいようだいじゅんかん)です(図3)。ゆっくりと地球をめぐる海の流れにのって、表層で吸収されたCO2は深層へ、世界へと運ばれます。

[画像:世界の海へと運ばれるCO2]

図3:世界の海へと運ばれるCO2

このようなしくみによって、人間が放出したCO2は海に吸収されます。ですから、その量や吸収速度を知ることは、地球温暖化を予測する上で欠かせません。そこで研究者は、インド洋で研究航海を行いました。

研究航海は2003年12月から2004年1月にかけて、オーストラリアからアフリカに向かって行われました(図4)。

[画像:研究航海を行った海域]

図4:研究航海を行った海域


今回活躍(かつやく)したのは、海水をとるための大型装置(おおがたそうち)(図5)。その装置には海水を入れるボトルが36本取り付けられていて、6,500mの深さから海面まで、36ヶ所の深さで海水をとることができます。

[画像:海水をとる方法]

図5:海水をとる方法


その装置でとった海水の塩分、溶存酸素(ようぞんさんそ)栄養塩(えいようえん)、CO2などについて高精度(こうせいど)な分析をしました。

ところで、海に吸収された人間が放出したCO2は、そのまま運ばれるわけではありません。海の生き物の影響によって増えてしまう可能性もあります。そのため、人間が放出したCO2量を知るためには、生き物による影響を取りのぞくことが必要です。今回は、溶存酸素や栄養塩なども測定することで生き物による増加分を明らかにして、その量を引いて、人間が放出したCO2量を出しました。そして、その吸収速度を求めました。

北太平洋、南太平洋、南大西洋についてもデータを入手して同じ解析(かいせき)を行い、さらに、1995年以前のデータとも比べました。

まず、海が吸収する、人間が放出したCO2の速度は海によってちがうかを知るために、南インド洋、北太平洋、南太平洋、南大西洋を比べました。その結果、南インド洋と南太平洋は、北太平洋の約2倍になることがわかりました(図6)。

[画像:CO2吸収量の比かく]

図6:CO2吸収量の比かく


さらに、吸収速度の変化を知るために、1978年から1995年の17年間と1995年から2003/2004年の8年間を比べました。その結果、CO2吸収速度は加速していたのです(図7)。

[画像:南インド洋におけるCO2吸収量の変化]

図7:南インド洋におけるCO2吸収量の変化

なぜ増えたのでしょうか。研究者は、「南極海(なんきょくかい)でCO2を吸収した海水が海洋大循環によってインド洋に流れこんできたのかもしれない」と考えています。

今回の結果から、CO2の吸収速度は海によって大きな差があること、また吸収速度は同じペースではなく10年ほどで変わることが、明らかになりました。これは、今までの地球温暖化に関する研究では考慮されていなかった現象です。研究者は、「海が吸収する役わりについて見直す必要がある」と話します。

さらにくわしく調べるために、2011年には東部インド洋、2012年には南大洋でも研究航海を行う予定です。

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