知ろう!記者に発表した最新研究
2010年2月11日発表
地球奥 深くの鉄の流れ、新発見!
地磁気 のなぞにせまる!
いつも北を指す、ふしぎな
その地磁気の
図1:磁石の反応
磁石で遊んだことはありますか?磁石の両ハジは、N極とS極になっています。じゃあ、N極とS極を近づけたらどうなるでしょう。答えは、くっつく(図1a)。次に、S極とS極を近づけた時はどうなるでしょう?答えは、反発(はなれる)(図1b)。
図2:方位磁石
方位磁石もそれと同じです(図2)。
図3:地球は磁石
N極が北を指すのは、北にあるS極に引っぱられるから。じゃあ、そのS極の正体は?それは地球。実は、地球全体が1つの大きな磁石なのです(図3)。
図4:磁石のしくみ
図5:地球の内部
まずは磁石のしくみから。磁石は、鉄のかたまりに電線をぐるぐる巻いて電気を流すとできます(左:図4)。
実は、これと同じ
それらがどのようにして磁石を作るのか、説明しましょう。まず、(左:図4)の鉄のかたまりは(右:図5)地球の内核にあたります。また、(左:図4)のぐるぐる電線は、(右:図5)地球の外核にあたります。外核は高温なので、鉄がとけてまわりながら流れています()。
図6:対流
鉄が流れるって、想像つかないかもしれませんね。たとえば、お風呂。お湯がわいたと思って入ったら、下の方が冷たかった
外核のとけた鉄も、お風呂のお湯の対流と同じ。高温の内核によって熱せられて上へ、上に行って冷やされると下へ、と移動します。それに地球の自転の動きも加わって、外核のとけた鉄はまわりながら流れます。さらに、その流れが、地球の磁場の中でくり広げられることによって、電気が発生します。実は電気は、磁場の中で電気を通す物を動かすことによって発生するという性質があるのです。ですから、地球の磁場の中でまわって電気を発生するとけた鉄は、ちょうど(左:図4)の電気が流れるぐるぐる電線の状態になるのです。外核のとけた鉄が内核をつつみこんだ結果、地球は自分で電気を起こして大きな磁石となります。この磁石によって作られる巨大な磁場を地磁気といいます(図7)。このしくみは「地球ダイナモ」と呼ばれます。
図7:地球ダイナモのしくみ
写真:地球シミュレータ
この地磁気は地球を守る強い力。太陽から飛んでくる有害なつぶから地球を守ります。また、長いきょりを移動するわたり鳥にとっては道しるべとなります。わたり鳥は体内に方位磁石をもっていて、それを使って方位を定めるのです。そんな重要な地磁気ですが、そのしくみはなぞばかり。それを解き明かすのが、スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」です(写真)。
たくさんの
研究者は地球シミュレータを使って、とけた鉄の流れをシミュレーションしました。その流れを左右するのは、そのとけた鉄の粘度()と
図8:横に切った地球 外核のとけた鉄の流れがわかります
これは研究者にとっておどろきの発見です。とけた鉄に2重の流れがあるかもしれないとは予想していなかったのです。今後の北極と南極の位置と関係するかもしれない、と研究者は考えています。
もしも地磁気がなくなったら、太陽からの有害なつぶが地球にふりそそいでしまいます。また、体内磁石を使うわたり鳥などは迷子になってしまいます。地球
解説1:
?内核の鉄は、外核よりも高温なのに、どうしてとけていないの?
なぜなら、外核よりもずっと高い圧力がかかっているからです。
解説2:粘度
ネバネバ具合のこと。どろどろ?サラサラ?
解説3:駆動力
対流を生み出す力