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プレスリリース


2012年 12月 11日
独立行政法人海洋研究開発機構

統合国際深海掘削計画(IODP)第345次研究航海の開始について
〜東太平洋ヘス・ディープ掘削による海洋下部地殻の形成過程の解明〜

この度、統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)((注記))の一環として、「東太平洋ヘス・ディープ掘削による海洋下部地殻の形成過程の解明」(別紙参照)を実施するため、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号の研究航海が12月11日から開始されます。

本研究航海では、中米コスタリカ沖東太平洋において、海洋下部地殻の形成過程を解明するため、日本から8名が乗船するほか、米国、欧州、中国、オーストラリア、インド、ブラジルからも含め、計29名が乗船研究者として参加する予定です。

(注記)統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)

日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州(18カ国)、中国、韓国、豪州、インド、NZ 、ブラジルの26ヶ国が参加。日本が運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。

別紙

東太平洋ヘス・ディープ掘削による海洋下部地殻の形成過程の解明

1.日程(現地時間)

平成24年12月11日
プンタレナス(コスタリカ)より出港
コスタリカ沖東太平洋にて掘削を実施
平成25年 2月12日
バルボア(パナマ)にて下船
(研究航海終了)

なお、気象条件や調査の進捗状況等によって変更の場合があります。

2.日本から参加する研究者

氏名 所属/役職 乗船中の研究担当
秋澤紀克 金沢大学/大学院生(博士課程) 火成岩岩石学
阿部なつ江 海洋研究開発機構/研究員 火成岩岩石学
野坂俊夫 岡山大学/准教授 変成岩岩石学
針金由美子 産業技術総合研究所/研究員 構造地質学
星出隆志 東北大学/ポスドク研究員 火成岩岩石学
前田仁一郎 北海道大学/准教授 火成岩岩石学
町 澄秋 金沢大学/大学院生(博士課程) 物理特性計測
PYTHON Marie 北海道大学/特任助教 変成岩岩石学

3.研究の概要

中央海嶺によって形成される海洋地殻は、これまでの研究により3層構造(上から海洋堆積物層、マグマが固まってできる玄武岩層・はんれい岩層)からなることが明らかになっています。しかし、下部地殻(厚さ数kmの厚いはんれい岩層)については、海水等による変質作用を受けていない試料が採取されておらず形成時の状況が確認できない等の理由から、その形成過程の解明に至っていません。一方で、中米コスタリカ沖東太平洋海嶺に近接するヘス・ディープ海盆は、これまでの調査により、形成時の状態に近いはんれい岩が海底下浅部に分布していることがわかっています。

そこで本航海では、ヘス・ディープ海盆において掘削を行い、形成後間もないはんれい岩層のコア試料を採取し、岩体の鉱物化学組成や岩体内に存在する熱水の含有成分を分析することで、はんれい岩層のもととなったマグマの成分を明らかにします。また、掘削孔内における温度計測を行い、はんれい岩層内の温度分布を分析することで、はんれい岩になるまでのマグマの移動経路を明らかにします。これらの調査から得られた知見により、海洋下部地殻の形成過程を解明することを科学目標としています。

[画像:図1]
図1 本航海の掘削予定地点(HB-02B及びHB-04Bは予備の掘削地点)。

お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(IODPおよび本航海について)
地球深部探査センター企画調整室 次長 倉本 真一 TEL:045-778-5811
(報道担当)
経営企画部 報道室長 菊地 一成 TEL:046-867-9198

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